ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター9『ドッタンバッタン大騒ぎです!』

『劇場版 ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース ~炎のさだめ~』

 

チャプター9『ドッタンバッタン大騒ぎです!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白熱したエキシビションマッチは………

 

全連合のフラッグ車が同時に撃破となり………

 

引き分けに終わったのだった………

 

戦いを終えた各校の隊員達は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アクアワールド大洗・駐車場………

 

「まさか引き分けとはな………」

 

「うん、ビックリだね」

 

回収されて行くティーガーⅠとⅣ号を見送りながら、まほとみほがそう言い合う。

 

「まほさん、みほさん」

 

とそこへ、自車のチャーチルが運ばれて行ったのを確認したオレンジペコがやって来る。

 

「オレンジペコさん」

 

「今日はどうもありがとうございました。非常に良い勉強をさせていただきました」

 

そう言って、2人に向かって深々と頭を下げるオレンジペコ。

 

「ううん、コッチこそ勉強させてもらったよ。まさか最後の最後でやられちゃうとは思ってなかったから」

 

「私もだ。流石はダージリンが見込んだ次期隊長候補だな。筋が良い」

 

それに対し、みほとまほはそう返す。

 

「『西住流の新家元』さんにそう言って貰えるとは、光栄です」

 

「止してくれ。飽く迄建前と名目上での事だ」

 

オレンジペコがそう言うと、まほが手を振りながらそう返す。

 

 

 

 

 

そう………

 

実は現在まほは………

 

『西住流の家元・師範』に就任したのである。

 

何故そうなっているかと言うと、事の発端は先の全国大会での例の騒動である………

 

あの決勝戦が終わって程無く………

 

『今回の一連の事態と出来事は、全て自分の責任である』

 

と、西住流の家元・師範であり、黒森峰戦車道の指導教官である西住 しほが記者会見にて表明。

 

そして、家元と師範、更には黒森峰戦車道の指導教官からも退いて隠居すると宣言。

 

事実上の引責辞任である。

 

新家元・師範としては、元々後継者であったまほが就任。

 

無論、彼女はまだ高校生であり、本人が言っていた通り、就任は建前と名目上である。

 

実際の家元・師範の実務は、代理人の立場にある西住 町子が行っている。

 

改革の顔は若者の方が良いと言う町子の案である。

 

この件における西住の親族間での会議では、反対意見は出なかった。

 

と言うよりも、元々しほを支持していた親族達は、例の騒動の煽りを喰らい、発言権を失うか、一族から出奔した為、反対意見を言う者が居なかったと言うべきであろう。

 

そして町子は、コレまでの黒森峰への教導、西住流の教えとされた勝利至上主義を転換。

 

何よりも安全と礼儀を第一とし、戦車道を通して人を高める本来の西住流の教えを浸透させていった。

 

問題とされていた世間からの批難だったが………

 

直後に起こった文科省の不祥事の方が話題として大きくなり、それの影に隠れる形で黒森峰への批難は何時の間にか消えてしまっていた。

 

大きな事件が起こるとその前の大きな事件を忘れると言う、日本人の気質に救われる形となった。

 

 

 

 

 

因みにその文科省の方は、文部省と科学技術庁に再分離され、更に科学技術庁を省に昇格。

 

文部省は庁に格下げされ、特に問題の中心であった学園艦教育局の権限は学園艦の建造や維持運営だけとなり、閑職中の閑職となった。

 

戦車道に関する行政上の業務は、独立したスポーツ庁に移管され、文部庁は一切口出し出来なくなったのだった。

 

 

 

 

 

経営・資金面での問題も、離れて行ったスポンサーに代わる様に、密かに神大コーポレーションが融資を行った事で解決。

 

更に、進学先から退学させられたり、勤め先から解雇された黒森峰出身者達も密かに系列の私立大学・会社へ編入・再就職させた。

 

コレにより、神大コーポレーションは大した労力も掛けず、黒森峰出身の優秀な人材を多数確保。

 

一段とその勢力と権力を増大させた。

 

裏では、今回の騒動で1番得をしたのは神大コーポレーションである等と噂されている。

 

黒森峰を出て行った隊員達も、全員ではないがそれなりの人数が戻って来ており………

 

町子の新たな教導体制と神大コーポレーションからの支援………

 

そして『久美の奇策』により………

 

以前と同等とまでは行って居ないが………

 

黒森峰は立ち直り始めていた。

 

 

 

 

 

「ヘーイッ! そっちも凄かったみたいねっ!!」

 

とそこで、陽気な声と共に、ケイ達が姿を見せる。

 

「あ、ケイさん」

 

「………プッ!」

 

「うふふ………」

 

みほが振り返ってケイの姿を認めたと同時に、『あるもの』が目に入ったまほとオレンジペコが思わず吹き出す。

 

「ちょっとぉっ! 早く降ろしないさいよぉっ!!」

 

「え~、運んで欲しいって言ったのはそっちでしょう?」

 

「カチューシャは肩車してって言ったのよ! 何で抱っこなのよっ!?」

 

それは、カチューシャを抱き抱えている絹代の姿だった。

 

カチューシャの身長と相まって、完全に子供を抱っこしている様にしか見えない。

 

「くふふ………似合ってるぞ、カチューシャ」

 

「ま、まほさん、失礼ですよ………うふふ」

 

笑いを隠そうともしないまほと、堪えようとしているが堪えきれていないオレンジペコ。

 

「ムッキ~ッ! アンタ達粛清よっ!!」

 

「コラコラ~、駄目でしょ~、そんな乱暴な言葉を使っちゃ~」

 

「アンタも悪乗りするんじゃないわよっ!!」

 

カチューシャがまほとオレンジペコに向かって怒鳴ると、絹代がまるで子供をあやすかの様にそう言い、憤慨するカチューシャ。

 

一方、いつも彼女を肩車する役のノンナはと言うと………

 

「………お見事です」

 

「アンタこそ、やるじゃないか」

 

ナオミと固い握手を交わしている。

 

その横では、エンジン部に被弾しているIS-2と、車体正面のど真ん中に命中弾がめり込んでいるファイアフライが運ばれて行っていた。

 

「………そっちも凄かったみたいですね?」

 

とそこで、みほがケイ達の背後で運ばれて行っている彼女達の戦車を見てそう呟く。

 

ケイのシャーマンは、カチューシャのT-34-85に撃破された様である。

 

車体側面にめり込んでいる砲弾からそれが分かる。

 

問題は絹代のチハ(旧砲塔)である。

 

彼女の車輌は、何故かカチューシャのT-34-85のエンジンルームに、垂直に突き刺さる様に衝突していた。

 

T-34-85からは白旗が上がっているが、当然チハ(旧砲塔)からも白旗が上がっている。

 

「一体何を如何やったらああなるんだ?」

 

「知らないわよ! 気づいたらああなってたのよっ!!」

 

「ハッハッハッハッ!!」

 

まほがそう尋ねると、カチューシャは怒鳴る様にそう返し、絹代は呵々大笑する。

 

「??」

 

「まほさん。こう言うのは考えたら負けと言う奴ですよ」

 

ワケが分からず首を捻るばかりのまほに、何処か悟っているかの様なオレンジペコがそう言い放つのだった。

 

「やれやれ………結局倒せなかったわね。やるじゃない、貴方」

 

「いえ、そんな………私なんてまだまだですよ」

 

「謙遜する事ないわよ。私は知波単の紅月 カレンよ。黒森峰さんの名前は?」

 

「あ、私、赤星 小梅と言います」

 

「赤星 小梅ね………メアド交換しない?」

 

「! ハイッ!!」

 

一方、カレンも激戦を繰り広げていた小梅と仲良くなっていた。

 

「まほさ~んっ!!」

 

とそこで、そんな声と共にまほの元へ駆け寄って来る者が居た。

 

聖子である。

 

「まほさん! 会場の方が準備出来たみたいですよ!! 皆待ってるそうですよ!! 早く行きましょうっ!!」

 

「う!………そ、そうだな。待たせてしまっては悪いからな」

 

聖子が何やらそんな事を言うと、若干顔を引き攣らせたまほがそう返す。

 

「じゃあ! 先に行ってますね~っ!!」

 

「…………」

 

まだ若干引き攣った顔のまほを残し、聖子は会場と呼ばれた場所………アウトレットへと向かう。

 

「…………」

 

「あ、あの………お姉ちゃん、大丈夫?」

 

顔を引き攣らせたままのまほに、みほが心配そうに声を掛ける。

 

「だ、大丈夫だ。コレも黒森峰の為だ! そうだ! そうなんだ!!」

 

するとまほは、まるで自分に言い聞かせるかの様にそんな事を言い始める。

 

「………頑張ってね。お姉ちゃん」

 

そんなまほに、みほは只それだけを言うのがやっとであった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小1時間後………

 

大洗アウトレットの特設ステージ上にて………

 

「「「「「「「「「「ありがとうーっ!!」」」」」」」」」」

 

十八番の『DreamRiser』を歌い終えたサンショウウオさんチームが、最高の笑顔で観客達に向かって手を上げる。

 

「「「「「「「「「「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」

 

観客達からは雄叫びの様な歓声が挙がる。

 

それに笑顔のまま、手を振って答えるサンショウウオさんチーム。

 

「よ~し、それじゃあ皆! そろそろ今日のゲストを紹介しちゃうよ~っ!!」

 

「「「「「「「「「「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」

 

とそこで、聖子がそう宣言すると、観客達から再び大歓声が挙がる。

 

「紹介します! 黒森峰からやって来た可愛い可愛いお友達っ!!………『ティーアビスクヴィート』!!」

 

聖子がそう言い、サンショウウオさんチームが2手に分かれて左右に広がる様に位置取ると………

 

ステージ奥の壁が左右に割れ、スモークが放出されたかと思うと………

 

「フレンズの皆ーっ!!」

 

「「「「「「「「「「集まれーっ!!」」」」」」」」」」

 

ケモノの耳や尻尾が付いた衣装を身に付けた黒森峰戦車部隊員達がそう言う台詞と共に次々に姿を現した。

 

そして持ち歌である『ようこそシュバルツバルトパルク』を、ドッタンバッタン大騒ぎしながら歌い踊り始める。

 

「「「「「「「「「「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」

 

3度挙がる観客達からの歓声。

 

 

 

 

 

そう………

 

これこそが黒森峰が風評を払拭する為に打ち出した奇策………

 

『スクールアイドルデビュー』である。

 

コレまで伝統的な立場から、戦車道連盟がスクールアイドルを支援している事に難色を示していた西住流と黒森峰女学園だったが………

 

イメージ回復にコレを利用しない手はないと判断した町子により、電撃デビューが決定。

 

更に、久美が知り合いの漫画家に頼んで、コンセプトデザインを考えてもらったところ………

 

黒森峰女学園が使っている戦車が、俗に『アニマルシリーズ』と呼ばれる物が中心な事から、『獣の女の子』との発想に至ったのである。

 

このコンセプトは大当たりし、『ティーアビスクヴィート』は忽ち子供達(と大きなフレンズ)を中心に大人気グループとなった。

 

その人気は、低下していた黒森峰のイメージを一気に持ち直させる程である。

 

 

 

 

 

(こ、コレも黒森峰の為っ!!)

 

まだ若干恥かしさが垣間見えているトラのフレンズに扮しているまほ。

 

「すっごーいっ!! 貴方達は応援するのが得意なフレンズなんだねーっ!!」

 

存外ノリが良く、すっかりハマり込んでいる豹のフレンズに扮している小梅。

 

「お、大洗にやってきたわにっ!!」

 

ヤケクソ気味に見える、何故かワニのフレンズになっているエリカ。

 

「気を付けーっ! 歯を食いしばれーっ!!」

 

そして1番ノリノリなカエルのフレンズに扮した久美。

 

「まほさ~んっ!!」

 

「小梅ちゃ~んっ!」

 

「エリカーッ!!」

 

「毛路山軍曹ーっ!!」

 

全員が熱烈なコールを受けていた。

 

「お姉ちゃん………」

 

そして、観客の中に居たみほは、まほの苦労を感じ、色々と同情する視線を向ける。

 

「アハハハッ! ナイスだわ、コレッ!!」

 

「可愛いわよー! 黒森峰さーんっ!!」

 

ケイと絹代は、心底楽しんでおり、観客に交じってコールを飛ばす。

 

「コレが新しい黒森峰………」

 

「色々な意味で革新的ですね………」

 

カチューシャとオレンジペコは、色んな意味で唖然としている。

 

「うふふふ………」

 

そして、その一同からやや離れた場所でティーアビスクヴィートのライブを見ていたダージリンは、只管に笑いを零すのだった。

 

 

 

 

 

そんなドッタンバッタン大騒ぎなライブが行われている特設ステージの後方では………

 

全校の歩兵部隊が立ち見でその様子を見ていた。

 

6校もの歩兵部隊が居るので、人数が人数であり、戦車部隊の女子達や一般客に席を譲り、全員が立ち見で見物していた。

 

「えへへへ、控えめに言って堪らんです、ハイ」

 

「了平、貴方はまた………」

 

獣姿の黒森峰戦車部隊員達がドッタンバッタン歌い踊っている姿に、了平が鼻血を垂らしながら嬉しそうにしており、楓がそんな了平に呆れる。

 

「可愛いね、エリカちゃん………」

 

「小梅の奴も似合ってるじゃないか」

 

エリカと小梅に賛辞を飛ばす拳龍と弦一朗。

 

(………今度あの衣装で頼んでみようかな?)

 

そんなまほの姿をちゃっかり自分の携帯のカメラで撮影しながら、何やら考えている都草。

 

「オイ、黒森峰の歩兵隊長さん」

 

するとそこで、白狼が都草に声を掛けた。

 

「オイ、神狩。他校と言えど先輩だぞ。その口の利き方は何だ?」

 

そんな白狼の無礼な言い方を、弘樹が咎めようとするが………

 

「いや、構わないよ。それで何だい? 神狩 白狼くん」

 

都草は特に気にした様子を見せず、改めて白狼に問う。

 

「気になってたんだが、揚羽達と蟷斬の奴は如何した? 今日の試合じゃ見なかったんだが………」

 

白狼は今回試合に参加した黒森峰機甲部隊の中に、揚羽達黒森峰生徒会メンバーと自身と浅からぬ因縁の有る蟷斬が居なかった事を尋ねる。

 

「天河会長達は生徒会の方の仕事が忙しくて欠席だよ。何せ廃校になりそうだったところから盛り返したからね。色々と処理しなければならない案件も多いそうだ」

 

「蟷斬の奴は?」

 

「彼は………実を言うと、私も分からないんだ」

 

「はっ? 何だそりゃ?」

 

都草の思わぬ答えに、白狼は首を傾げる。

 

「決勝の日の翌日に、『もっと心身を鍛え直す』と言って休学届けを出して武者修行の旅に出て粗音信不通なんだよ」

 

「時代錯誤な奴ってのは何処にでも居るんだな………」

 

「最後に来た連絡だと………『アマゾンは制した。次はヒマラヤだ』とだけ言っていたよ」

 

「何やってんだか………?」

 

蟷斬の行動に、白狼は呆れた様に溜息を吐いたのだった。

 

「ん………?」

 

するとそこで弘樹が、自分の戦闘服の袖を引っ張る者の存在に気づく。

 

「…………」

 

そこに居たのは、小学校低学年くらいの少年だった。

 

しかも1人では無く、かなりの人数がその傍に控えている。

 

「………何だい?」

 

弘樹は何時もの仏頂面だが、優しい声色でそう尋ねる。

 

「お兄ちゃん達、試合に出てた人だよね?」

 

子供達を代表する様に、弘樹の袖を引っ張っていた少年がそう尋ねて来る。

 

「ああ、そうだが………?」

 

「僕達にも歩兵道やらせて!」

 

と、弘樹の返答を聞くが否や、少年がそう言って来た。

 

「何っ………?」

 

「僕達も歩兵道やりたいんだ!」

 

「ねえねえ良いでしょう?」

 

困惑する弘樹に、子供達は一斉に群がって来る。

 

「むう………」

 

珍しく困った顔を見せる弘樹。

 

この年齢から歩兵道に興味を持ってくれている事は求道者としては嬉しい………

 

しかし、歩兵道は安全の為の大前提として、戦闘服の着用が義務付けられている。

 

こんな子供達用、しかも大量の戦闘服が、すぐに用意出来るワケがない。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

だが、それを知らない少年達は、期待の眼差しを弘樹に向ける。

 

弘樹は助けを求める様に、他の歩兵隊員達を見やるが、一同も如何して良いか分からず、顔を見合わせていた。

 

すると………

 

「私にいい考えがあるわ!」

 

何処かの司令官の様な、何故か失敗フラグが建っている台詞と共に、空と嵐一郎が現れた。

 

「! 教官っ!!」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

2人の姿を見て、大洗歩兵部隊員達は元より、他の歩兵部隊員達も敬礼する。

 

「お疲れ様。今日は皆頑張ったわね」

 

「何を言っとる、まだまだだ」

 

空が歩兵隊員達を労うが、嵐一郎はそう厳しい言葉を投げ掛ける。

 

「もう~、嵐一郎は相変わらず厳しいわね~」

 

「この年頃の連中と言うのは、ちょっとでも甘やかすとすぐ付け上げるからな」

 

「あの、教官方………良い考えと言うのは?」

 

と、話が脱線しそうだったのを見て、楓が軌道修正を図る。

 

「あっと、そうだったね。戦闘服が無くても安全に出来る訓練があるのよ」

 

「我が自衛隊でも行われている伝統的な訓練だ」

 

「「「「「「「「「「??」」」」」」」」」」

 

そう言う空と嵐一郎に、一部を除いた歩兵部隊員一同は首を傾げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫くして………

 

「や、やっと終わった………」

 

「お疲れ様、お姉ちゃん」

 

途中、ノンナが乱入し、酒に酔っているかの様な色っぽい雰囲気と声で、『たのまれグッバイ』を歌い上げるなんてハプニングもありながら………

 

漸く長いアンコールを終えたまほに、缶コーヒーを差し出して労うみほ。

 

現在特設ステージは、スタッフによって片付けの真っ最中である。

 

「いや~、面白いライブだったよ」

 

「見応え有りましたね~」

 

杏と柚子が、ティーアビスクヴィートの様子を思い出してそう言う。

 

「うう………」

 

それを聞いて只々恥ずかしそうにしているまほ。

 

「ところで、何でアンタはワニなのよ?」

 

とそこで、アリサがワニのフレンズとなっているエリカにそう尋ねる。

 

「そ、それは………」

 

「いや~、実はでありますなぁ。エリカ殿が黒森峰中等部に入学する日に意気込んで言おうとした言葉を………」

 

「久美いいいいいぃぃぃぃぃぃーーーーーーーっ!!」

 

「ぐえっ!?」

 

口籠るエリカに代わって、久美が答えようとしたが、エリカはそんな久美の喉を締め上げる。

 

「この事には触れるんじゃないわよ! 良いわねっ!?」

 

「ヒイッ! わ、分かったわよ!」

 

鬼の形相でそう言って来るエリカを見て、アリサはそれ以上の追及を止めたのだった。

 

「………アラ? セージさん達が居ませんね」

 

「ウチの連中も居ないわね?」

 

「と言うより、男子の皆の姿が無くない?」

 

とそこで、男子達の姿が無い事に気づいたオレンジペコ、絹代、沙織がそう声を挙げる。

 

すると………

 

「バーンッ! バーンッ! バーンッ! バーンッ!」

 

「ドドドドドドドッ! ドドドドドドドッ!」

 

「ドゴーンッ! ドゴーンッ!」

 

何やら擬音の様な大声が響いていた。

 

「な、何ですかっ!?」

 

「マリンタワーの方から聞こえるぞ」

 

優花里が驚きの声を挙げると、麻子がその声が大洗マリンタワーの方から聞こえて来ている事に気づく。

 

「行ってみましょう」

 

華の言葉に全員が頷き、マリンタワーの方へと向かう。

 

そしてそこで一同が見たモノは………

 

「バーンッ! バーンッ! バーンッ! バーンッ!」

 

「ドドドドドドドッ! ドドドドドドドッ!」

 

「ドゴーンッ! ドゴーンッ!」

 

小学校低学年くらいの少年達と共に、撃ち合いを行っている男子歩兵隊員達の姿だった。

 

全員、自分の得物を装備しているものの、その全てにマガジンが装填されておらず、口で銃撃音や爆発音を発しながら戦っている。

 

「な、何やってるのっ!?」

 

その光景を目撃して唖然としていた女子戦車部隊員達の中で、逸早く我に返った沙織が、全員が思っている事を口にする。

 

「慌てないで。地元の子供達とのちょっとしたレクリエーションよ」

 

そこで、空が姿を見せる。

 

「藤林教官っ!? レクリエーションって………?」

 

「コレなら戦闘服を着て無くても出来るし、子供達でも安心でしょう?」

 

戸惑うみほに、空はそう説明する。

 

「自衛隊でも、弾が足りない時とかこんな感じで訓練するし」

 

「いや、でもコレは………」

 

あっけらかんとそう言う空を横目に、傍から見ると『てっぽうごっこ』に興じている様にしか見えない男子歩兵部隊員達を見やるまほ。

 

「バーンッ! バーンッ! バーンッ! バーンッ!」

 

「!? プーッ!!」

 

とそこで、真顔でそのレクリエーションに参加している都草の姿が目に入り、思わず吹き出してしまう。

 

「ア、アイツ! あんな真顔で! アハハハハハハッ!!」

 

「そ、総隊長! お気を確かにっ!!」

 

大笑いするまほを見て、エリカが慌てて心配する様に寄り添ったが………

 

「「「「「アハハハハハハッ!!」」」」」

 

みほ達も、弘樹やジョーイ、デミトリまでもが真顔で参加しているのを見て堪え切れずに笑い出す。

 

「「「「「「「「「「アハハハハハハハハハッ!!」」」」」」」」」」

 

やがて女子戦車部隊員達全員が大笑いし始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ

 

黒森峰のイメージ回復戦略で、採用したけもフレ案と最終的にどちらにするか悩みボツにしたが、やっぱり書きたいので書いてみた別バージョン………

 

 

 

 

 

 

 

大洗アウトレット・特設ステージ………

 

「よ~し、それじゃあ皆! そろそろ今日のゲストを紹介しちゃうよ~っ!! 黒森峰の赤星 小梅さんと、毛路山 久美さん!!」

 

聖子がそう紹介すると、ステージ袖から小梅と久美が現れ、拍手で迎えられる。

 

「いや~、どうもどうも」

 

「お招きありがとうございます」

 

観客達に向かって何度も頭を下げる久美と、聖子に感謝を述べる小梅。

 

「それでは今日は2人に………」

 

と、聖子がそう言い掛けた瞬間………

 

突如として不穏なBGMが流れ始めた。

 

「へっ?」

 

「何々?」

 

「何事ですか?」

 

突然の事に戸惑うサンショウウオさんチームと小梅、久美。

 

その次の瞬間!!

 

「ワアアアアァァァァァーーーーーーニイイイイイィィィィィィーーーーーーーッ!!」

 

ステージの床を突き破る様に、ワニの怪人………の着ぐるみを来たエリカが現れた。

 

御丁寧に、ワニ怪人の首の辺りには、エリカの顔が露出している。

 

「か、怪人っ!?」

 

「ワアアアアァァァァァーーーーーーニイイイイイィィィィィィーーーーーーーッ!!」

 

聖子が驚きの声を挙げると、ワニ怪人(エリカ)は久美と小梅に向かって突撃する。

 

「ワアアアアァァァァァーーーーーーニイイイイイィィィィィィーーーーーーーッ!!」

 

「ゲロォッ!?」

 

ワニ怪人(エリカ)は、小梅の前に居た久美を殴り飛ばす。

 

………若干本気の様に見えたパンチを食らい、久美はステージ袖に転がる様に消える。

 

「ワアアアアァァァァァーーーーーーニイイイイイィィィィィィーーーーーーーッ!!」

 

「! キャアアアアッ!!」

 

そこでワニ怪人(エリカ)は、小梅を捕まえる。

 

「小梅さん!」

 

「聖子! 駄目ですっ!!」

 

助けに行こうとする聖子だったが、優に止められる。

 

「ワアアアアァァァァァーーーーーーニイイイイイィィィィィィーーーーーーーッ!!」

 

「だ、誰か助けてぇーっ!!」

 

奇声を挙げるワニ怪人(エリカ)を見て、小梅は悲鳴の様に助けを求める。

 

すると………

 

 

 

 

 

「待゛て゛ぇ゛っ゛!!」

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

力んで言ったせいか、全てに濁音が付いている様に聞こえる台詞が響き渡り、ワニ怪人(エリカ)と小梅、サンショウウオさんチームは驚き、その声の主を捜す。

 

「! あっ! アレはっ!?」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

そこで聖子が何かに気づいた様に指を指し、観客達の視線がその指の先へと向かう。

 

そこには………

 

「やはりゴルゴムの仕業だったか! おのれっ! ゆ゛る゛さ゛ん゛!!」

 

またもや力んだ余り、全てに濁音が付いた様に聞こえる台詞と共に、アウトレットの階段の踊り場に仁王立ちしているまほの姿が在った。

 

「!!」

 

と、そのまほが両腕を身体の右側に持って行き、拳を握る。

 

そしてその握った拳をギチギチと音がするまで更に握り締めたかと思うと、一瞬左腰部分へ持って行ったかと思った次の瞬間には、右腕を肘を曲げて右腰に添える。

 

左腕は身体の前で10時の方向へと伸ばす。

 

「変………身ッ!!」

 

その左腕を円を描く様に2時の方向へと動かしたかと思うと、身体ごと右へとスライドさせながら両腕を右へと伸ばした。

 

何時の間にかまほの腰には、『キングストーン』のベルトが巻かれており、それが激しく光を放ち始める。

 

そして一際な光が放たれたかと思うと………

 

まほの姿が、怪傑ゾロの様な姿に変わった!!

 

「トアッ!!」

 

変身したまほは、階段の踊り場から跳躍!

 

ステージ上に降り立ち、ワニ怪人(エリカ)と対峙する。

 

「!?」

 

ワニ怪人(エリカ)が驚きの様子を見せる中、変身したまほの身体の彼方此方から蒸気が噴き出す。

 

「仮面パンツァーッ! シュバルツッ!!」

 

そこではまほ………否、『仮面パンツァーシュバルツ』は、高らかに名乗りを挙げ、ポーズを決めた!

 

「トアァッ!!」

 

仮面パンツァーシュバルツが跳躍したかと思うと、ワニ怪人(エリカ)の脳天に手刀を叩き込む!

 

「!? ワアアアアァァァァァーーーーーーニイイイイイィィィィィィーーーーーーーッ!?」

 

ワニ怪人(エリカ)が怯んだ隙に、小梅を引き離す!

 

「逃げるんだっ!!」

 

「ハ、ハイッ!!」

 

仮面パンツァーシュバルツに促され、小梅はサンショウウオさんチームの方に駆け寄る。

 

「ワアアアアァァァァァーーーーーーニイイイイイィィィィィィーーーーーーーッ!!」

 

そこで、立ち直ったワニ怪人(エリカ)が、仮面パンツァーシュバルツに襲い掛かる。

 

「トアァッ!!」

 

ワニ怪人(エリカ)と組み合う仮面パンツァーシュバルツ。

 

「ワアアアアァァァァァーーーーーーニイイイイイィィィィィィーーーーーーーッ!!」

 

「!? ふあっ!?」

 

だが、ワニ怪人(エリカ)は想像以上のパワーで、仮面パンツァーシュバルツを投げ飛ばす!

 

ステージ上に在った機材にぶつかり、床の上を転がる仮面パンツァーシュバルツ。

 

「ワアアアアァァァァァーーーーーーニイイイイイィィィィィィーーーーーーーッ!!」

 

その仮面パンツァーシュバルツに、ワニ怪人(エリカ)は突進する。

 

「! トアッ!!」

 

しかし、今度は逆に、仮面パンツァーシュバルツが突進して来た勢いを利用して、ワニ怪人(エリカ)を巴投げで投げ飛ばす!

 

「!? ワアアアアァァァァァーーーーーーニイイイイイィィィィィィーーーーーーーッ!?」

 

「トアッ!!」

 

転がったワニ怪人(エリカ)が立ち上がった瞬間に、小ジャンプしてのパンチを脳天にお見舞いする。

 

「トアッ! トアッ!」

 

そのまま左右のワンツーパンチを叩き込む仮面パンツァーシュバルツ。

 

「トアッ!!」

 

更に再度右の拳を繰り出したが………

 

「ワニッ!!」

 

その拳を、腕ごとワニ怪人(エリカ)の左手に掴まれてしまう。

 

「! トアッ!!」

 

「ワニッ!!」

 

すかさず左の拳を繰り出したが、コレもワニ怪人(エリカ)の右手に腕ごと掴まれてしまう。

 

「ワアアアアァァァァァーーーーーーニイイイイイィィィィィィーーーーーーーッ!!」

 

そこで何と!!

 

ワニ怪人(エリカ)はその大顎で、仮面パンツァーシュバルツの右肩に食い付いた!!

 

「うわっ!? ぐううっ!!」

 

仮面パンツァーシュバルツが苦悶の声を挙げる中、ワニ怪人(エリカ)はそのまま体重を掛け始める。

 

「ぐううっ!………」

 

その攻撃の前に、仮面パンツァーシュバルツは片膝を着いてしまう。

 

「ああ! 仮面パンツァーシュバルツが危ないっ!!」

 

「! 皆ーっ!! 仮面パンツァーシュバルツを応援してっ!!」

 

聖子が声を挙げた瞬間、小梅がステージ上から観客席に向かってそう呼び掛けた!

 

「行くよっ! せーのっ!!」

 

「「「「「「「「「「頑張れーっ!!」」」」」」」」」」

 

小梅の呼び掛けに答える様に、観客席のチビッ子達から応援の声が飛ぶ。

 

「もっと大きな声でっ! せーのっ!!」

 

「「「「「「「「「「頑張れーっ! 仮面パンツァーッ!!」」」」」」」」」」

 

更にそう呼び掛けると、今度は大人達も交じって大きな応援が飛んだ!

 

「! バトルホッパーッ!!」

 

と、その声援に応えるかの様に、仮面パンツァーシュバルツがそう叫んだかと思うと………

 

ステージ袖から1台のバイク………『バトルホッパー』が爆音と共に現れる!

 

「!? ワニッ!?」

 

そして、驚いていたワニ怪人(エリカ)をそのまま跳ね飛ばす!!

 

「!? ワアアアアァァァァァーーーーーーニイイイイイィィィィィィーーーーーーーッ!?」

 

ぶっ飛ばされて倒れるワニ怪人(エリカ)。

 

「!!」

 

その瞬間、仮面パンツァーシュバルツは立ち上がり、両腕を広げたかと思うと、キングストーンの上で拳を合わせう様に組む『バイタルチャージ』を行う!

 

そして、変身時の様に両手を身体の右側で構えたかと思うと、ギチギチと音がするまで握り締める。

 

「トアァッ!!」

 

再び両腕を広げたかと思うと、仮面パンツァーシュバルツはワニ怪人(エリカ)に向かって跳躍!

 

「パンツアアアアアァァァァァァーーーーーーーッパアアアアアァァァァァァーーーーーーーンチッ!!」

 

身体の屈伸の反動が加わった必殺パンチ………『パンツァーパンチ』が、ワニ怪人(エリカ)に炸裂!

 

「!? ワアアアアァァァァァーーーーーーニイイイイイィィィィィィーーーーーーーッ!?」

 

パンチをブチ込まれたワニ怪人(エリカ)は、白い煙を立てながらステージ上を転がり、フラフラと立ち上がる。

 

「パンツアアアアアァァァァァァーーーーーーーッキイイイイイィィィィィィーーーーーーーックッ!!」

 

そこへ今度はトドメの屈伸の反動を加えた必殺キック………『パンツァーキック』が叩き込まれる!!

 

「!? ワアアアアァァァァァーーーーーーニイイイイイィィィィィィーーーーーーーッ!?」

 

ワニ怪人(エリカ)は悲鳴と共に、大きくブッ飛ばされ、ステージ上に倒れる。

 

10割コンボを決めた仮面パンツァーシュバルツは、丈の文字に見える様にポーズで着地する。

 

「ワアアアアァァァァァーーーーーーニイイイイイィィィィィィーーーーーーーッ!?」

 

そして、ふらふらと立ち上がったワニ怪人(エリカ)の姿が、炎に包まれたかと思うと爆発・四散!!

 

跡形も無く消し飛んだ!

 

「やったぁーっ!!」

 

「「「「「「「「「「うおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」

 

聖子が喜びの声を挙げると、観客席からも歓声が挙がる。

 

「ありがとう、皆! 皆の応援が有ったから勝つ事が出来た! 本当にありがとうっ!!」

 

「「「「「「「「「「仮面パンツァーッ!!」」」」」」」」」」

 

仮面パンツァーシュバルツは観客、特にチビッ子達にお礼を言い、バトルホッパーに跨ると、ステージ袖に消える。

 

『西住 まほ………仮面パンツァーシュバルツは、ゴルゴムにこの平和な世界を破壊させてはならぬと、新たな決意を燃やすのであった』

 

そこで、地市の小〇清志風のナレーションが流れて………

 

黒森峰のアピール戦略………

 

『仮面パンツァーショー』は幕を閉じたのだった。

 

そして、その直後………

 

ステージ上の巨大モニターに映像が映し出される。

 

『ゴルゴムの悪魔博士、来流矢教授の大発明。恐るべきタウリンエキスを注入され、パワーアップした『干し芋怪人』がツインテールを振り回して暴れ回る。勝てるか、仮面パンツァー! エキスの意外な原料とは何か? 変身、仮面パンツァーシュバルツ! 『鮟鱇が消えた日』! お楽しみに!!』

 

………次回予告だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボツの理由

 

悪乗りし過ぎ(爆)

 

あとエリカが不憫過ぎた




新話、投稿させていただきました。

試合後のイベントライブ。
サンショウウオさんチームのゲストとして呼ばれたのは………
黒森峰のフレンズ!(笑)
これこそが黒森峰がイメージ回復の為に打って出た奇策です(爆)

最後のオマケはボツ案ですが、ちょっと書いてみたかったので掲載しました。
コレはきっとゴルゴムの仕業です!(爆)

次回はサービスの風呂シーン(笑)からオリジナル展開に入ります。
いよいよ本戦に向けて動き出すかも?

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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