ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター27『遊園地跡へ向かえです!』

『劇場版 ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース ~炎のさだめ~』

 

チャプター27『遊園地跡へ向かえです!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミズーリを制圧した弘樹とパシフィック機甲部隊は………

 

その艦砲射撃を逆に利用し、大学選抜機甲部隊の長距離砲撃部隊を壊滅させた。

 

更に、大学選抜機甲部隊の補給地点と飛行場も潰す事に成功。

 

大学選抜機甲部隊は、第2補給ラインまでの後退を余儀なくされた。

 

しかし………

 

まだ戦いは始まったばかりである………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メガフロート艦・湿地地帯………

 

長距離砲撃部隊を壊滅させ、大学選抜機甲部隊を一時退かせた大洗連合は、大洗機甲部隊が居たこの場所に集結していた。

 

「只今戻りました」

 

パシフィックと共にミズーリの制圧に向かっていた弘樹が、漸く大洗機甲部隊に復帰する。

 

「お疲れ様、弘樹くん。ミズーリは?」

 

「主砲弾は撃ち尽くして、座礁させた後に機関の火を落としました。試合中に再び使う事は不可能でしょう」

 

みほが尋ねると、しっかりと後処理をしてきたと報告する弘樹。

 

「そう………ありがとう」

 

「いえ。では、部隊に戻ります」

 

みほに向かってヤマト式敬礼をすると、弘樹はとらさん分隊に復帰する。

 

「大活躍だったみたいだな、舩坂」

 

そんな弘樹に、大詔が声を掛けて来た。

 

「いや、敵の補給地点を潰せたのはお前の功績だ。よくあの敵部隊の目を掻い潜って場所を特定したな」

 

「スニーキングミッションはお手の物さ」

 

弘樹とそう会話を交わす大詔。

 

そう………

 

大学選抜機甲部隊の補給地点を調べ出したのは、何を隠そう大詔だったのである。

 

単身、大学選抜機甲部隊の目を掻い潜り、補給地点を調べ上げ、その場所をミズーリに居た弘樹に知らせた。

 

まさか歩兵が単独で部隊を突破して補給地点の場所を調べ上げるなど夢にも思っていなかった大学選抜機甲部隊は、まんまと一泡噴かされたのである。

 

大学選抜機甲部隊の補給地点に居た隊員が見た『歩く段ボール』の正体こそ、潜入していた大詔なのだ。

 

「みぽりん。ココからは如何するの?」

 

とそこで、沙織がコレからの作戦について尋ねる。

 

「………コチラが補給地点を潰したとなれば、大学選抜機甲部隊も報復として補給地点を狙って来る事が考えられます。部隊の半数は、補給地点の防衛に回って下さい」

 

「半数もですか?」

 

みほは補給地点の防衛が必要だと言うが、その為に部隊の半数を回すと言う事に、優花里が思わず声を挙げる。

 

「装備の規格が統一されてる大学選抜機甲部隊に対して、私達は学校ごとにバラバラだから、何処か1つでも補給地点が潰されちゃうと厳しくなる。防衛戦力は多目に出さないと………」

 

「みほちゃん。知波単は防衛に回るわ」

 

するとそこで、絹代のチハ(旧砲塔)がⅣ号の隣に着け、そう言って来た。

 

「お願いします。絹代さん。では、防衛に回る部隊は………」

 

そう返すとみほは、補給地点の防衛に回ってもらう部隊名を挙げる。

 

名乗り出た知波単に、総隊長であるミカが一時離脱してしまった継続、ミズーリとの戦いで部隊にそれなりの損耗を出してしまったパシフィック………

 

それに黒森峰とプラウダ&ツァーリの救援で損害を被ったボンプル、元より防御戦術を得意とするマジノ………

 

更にBC自由、竪琴&クメン、クレオパトラ&スフィンクス、鉱関が防衛に回る様に伝達。

 

黒森峰とプラウダ&ツァーリも、長距離砲撃で損害を受けていたが、元々の部隊規模が大きかったので、被害の程度は軽く、攻勢部隊に残存する事になった。

 

「この戦いはフラッグ車を倒さない限り終わりません。ですが、相手のフラッグ車は部隊の最後尾に陣取って居ます」

 

「フラッグ車を撃破するには、取り巻きをドンドン倒して、痺れを切らさせるしかないって事ね」

 

「カチューシャが良くやられるパターンですね」

 

「そんな事は言わなくて良いのっ!!」

 

みほが今度の方針を口にすると、カチューシャとノンナが漫才の様な遣り取りを交わす。

 

「…………」

 

そんな2人の遣り取りも余所に、みほは地図を広げて次の戦いの場所を思案する。

 

「………次の戦場は此処です」

 

やがて、地図上の1点………

 

『遊園地跡』を示してそう言ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

第2補給ラインまで後退していた大学選抜チームは………

 

『敵部隊、2手に分かれて移動を開始。片方は後退しています。恐らく、補給地点の防衛に回る積りでしょう』

 

「もう片方は?」

 

『進路を北西に取っています。この先には………遊園地跡がありますね』

 

「遊園地跡………そこで戦う積りか」

 

偵察兵からの大洗連合部隊の動きを聞いて、愛里寿はそう推測した。

 

「大洗得意のゲリラ戦を仕掛ける積りか………だが、ゲリラ戦で何時までも頂点に立っていると思ったら大間違いだぞ」

 

イプシロンがそう唸る。

 

元々島田流の戦略・戦術は、みほのそれに近く、ゲリラ戦も得意とするところだった。

 

「………先ず報復も兼ねて補給地点を潰す。そして遊園地跡で籠城している本隊を叩く」

 

「退き先も無く、後詰めが無い籠城を叩くのは簡単ですね」

 

愛里寿がそう指示すると、ルミがそう割り込む。

 

「部隊を2分する。片方は補給地点へ向かえ。もう片方は私と共に遊園地跡へ向かう。メグミ、アズミ、ルミ、一緒に来い」

 

「「「了解っ!!」」」

 

「如何やら漸く相見えそうだな………舩坂 弘樹」

 

そして、部隊を2分させ、片方を補給地点へ向かわせると、もう片方の指揮を執り、バミューダ三姉妹とイプシロンを連れて、遊園地跡に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

遊園地跡へと到着したみほ達は………

 

「ココからの戦いは、皆さん其々の対応能力が問われます。個々の特徴を活かして、チームワークで戦いましょう」

 

欧風な建物が立ち並ぶ、営業時には売店やキャラクターショップであっただろう建物が立ち並ぶ通りを進軍している中で、みほが皆に向かってそう呼び掛ける。

 

「急造チームでチームワーク?」

 

何を言ってるんだとばかりにエリカが冷笑するが………

 

「急造でもチームはチームだ」

 

「ぐ………」

 

まほにピシャリとそう言われて、黙り込む。

 

「あら? 天下の黒森峰さんは、急造チームじゃチームワークなんて出来ましぇ~ん、なんて泣き言を言うの? いや、恐れ入ったわ」

 

するとそこで、クロエがエリカを嘲る様にそう言い放つ。

 

「! 馬鹿にするんじゃないわよ! やってやろうじゃないの! 急造でもチームワークぐらい出来るわよ!!」

 

すぐさま向きになって反論するエリカ。

 

と、その瞬間!!

 

クロエがヘルキャットのハッチから飛び出したかと思うと、エリカのティーガーⅡの砲塔天板上に着地。

 

そのままエリカの眼前に屈み込み、エリカに対してメンチを切る様な仕草をする。

 

「ううっ!?………!!」

 

一瞬気後れしたものの、生来の負けん気でメンチを切り返すエリカ。

 

一触即発かと思われたが………

 

「………貴方良く見ると可愛いわね」

 

「え゛っ!?」

 

クロエが不意にそう言い放ち、エリカが思わず変な声を挙げた瞬間………

 

クロエは、エリカの頬に口付けた。

 

「!? なあっ!?」

 

「頂きま~すっ!!」

 

エリカが仰天して固まった瞬間、クロエはルパンダイブでエリカを押し倒す様にしながら、ティーガーⅡの車内へ突入した!

 

そう………

 

西部機甲部隊の総隊長・クロエは………

 

『両刀』なのである。

 

「キャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

「えっ!? ちょっ!? 何っ!?」

 

「アハハハハッ! 貴方達も纏めて面倒見てあげるわっ!?」

 

「イヤアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!?」

 

「や、止めてぇっ!?」

 

「だ、駄目! スカートがっ!?………ああ、ブラがっ!?」

 

「良いではないか! 良いではないか!」

 

ティーガーⅡが漫画の様にドッタンバッタンしている中、絹を裂く様な悲鳴が何度も響き渡り………

 

やがてそれが艶っぽい悲鳴に代わる。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

思わぬ事態に、みほ達は茫然と固まっている。

 

やがて、ティーガーⅡが静かになると………

 

「御馳走様~」

 

キューポラから、妙に肌がツヤツヤとしているクロエがそう言いながら出て来て、自分のヘルキャットに戻って行った。

 

「…………」

 

その後で、妙にやつれ、着衣が乱れているエリカが、這い出る様にキューポラから姿を見せる。

 

「エ、エリカ………だ、大丈夫か?」

 

まほが恐る恐ると言った具合に声を掛ける。

 

「………アハ…………アハハハハ………ハハハハハ………」

 

しかしエリカは、焦点の合っていない目で、虚ろな表情のまま、乾いた笑いを上げ始める。

 

「エ、エリカ………」

 

その光景に愕然となるまほ。

 

「………他の子も味見しようかしら?」

 

とそこで、クロエがそうボソリと呟いた瞬間………

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

西部の面々としずか以外の戦車チームの車長が、一斉に車内へ引っ込み、ハッチをガッチリと閉めた!

 

「ハハハハハッ! 冗談よ冗談!」

 

「フフフ、英雄色を好むですなぁ」

 

ケタケタと笑うクロエに、只1人愉快そうにしているしずか。

 

「クロエーッ!!」

 

とそこで、西部のT28のシャムが怒声を挙げた。

 

「あ~、ハイハイ。今行きま~す」

 

しかしクロエは、少しも慌てる事なく、今度はT28の方へと向かう。

 

「「「「何かホント、すみません………」」」」

 

そんなクロエの事を、心底申し訳無さそうに謝罪するシロミ、ノーラ、ブチ、ミケ。

 

「彼女の腕は認めるが………アレは如何にかならんのか?」

 

「出来るならとっくにやってるよ………」

 

弘樹の問いに、力無く笑ってそう返すジャンゴ。

 

その後、今度はT28の方がドッタンバッタンし始めたが、もう全員が無視を決め込んだのだった………

 

「ココからが正念場ですね………」

 

空気を変える様にチャーチルの車内でそう呟くオレンジペコ。

 

「けど、ペコ。私のデータによれば、未だに総合戦力比では大学選抜機甲部隊側が圧倒的に有利。想定勝敗率は大学選抜チーム側が80%よ」

 

すると砲手席のアッサムが、私物のノートPCの画面に自身が収集したデータを表示させながらそう言って来る。

 

「運命は浮気者。不利な方が負けるとは限らない………ダージリン様ならきっとそう仰いますよ」

 

だが、そんなアッサムを見返しながら、オレンジペコは堂々とそう言い放った。

 

「………そうね。彼女ならそう言いそうね」

 

それを聞いたアッサムはフッと笑うと、ノートPCを閉じて仕舞うのだった。

 

(………そのダージリン様が居てくれたら、本当に心強いのですが)

 

しかし、オレンジペコの胸中にはふとそんな思いが過る。

 

(………ううん。今のグロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊の総隊長は私………私が頑張らないと)

 

けれども、すぐにその思いを振り払い、表情を引き締める。

 

その時、オレンジペコは気づかなかった………

 

「「…………」」

 

そんなオレンジペコの乗るチャーチルを、建物の上から見下ろしている………

 

仮面を付けた男女の姿が在った事に………

 

「…………」

 

そして、遊園地内を進軍する一団の中で………

 

梓がペリスコープ越しに、園内に在る一番高い丘の上に建てられている………

 

巨大観覧車を見つめていたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、大洗連合部隊の補給地点の防衛に向かった部隊は………

 

「急げーっ! ドンドン積み込めっ!!」

 

「移動したら、すぐに陣地を構築するんだぞっ!!」

 

補給物資が、次々とトラックに積み込まれて行く。

 

大学選抜機甲部隊側が補給地点を後退させたので、逆に大洗連合部隊側は補給地点を更に前線に近づける作業に入ったのだ。

 

装備が統一されている大学選抜機甲部隊側に比べて、様々な学園艦の機甲部隊の混成部隊である大洗連合部隊では、物資の量も桁違いである。

 

しかし、そこは裏方の達人………我等が整備長・敏郎の指揮の元、迅速な移動準備が行われている。

 

「後方支援が勝敗を決める! 迅速に行動しろっ!!」

 

「「「「「「「「「「了解っ!!」」」」」」」」」」

 

敏郎の号令一下、次々に物資を運んで行く大洗連合部隊の後方支援部隊。

 

『コチラ西! 来たわよっ!! 大学選抜機甲部隊よっ!!』

 

するとそこで、補給地点の護衛に就いていた部隊の中に居た絹代が、敏郎にそう報告を入れて来た。

 

「来たか………もう間も無く作業は終わる。食い止められるか?」

 

『任せておいて』

 

「頼むぞ………作業を急がせろーっ!!」

 

だが敏郎は冷静に対処するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び、遊園地跡のみほ達は………

 

大洗連合が入って来た南正面入り口に黒森峰機甲部隊とプラウダ&ツァーリ機甲部隊………

 

西裏門に西部機甲部隊としずか、ナイトウィッチ&ハロウィン機甲部隊………

 

東通用門にグロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊、天竺ジョロキア機甲部隊が陣取り、防備を固めている。

 

残りのサンダース&カーネル機甲部隊、アンツィオ&ピッツァ機甲部隊、ベルウォール機甲部隊、大洗機甲部隊は北側に富士山を象った展望台が在る中央広場に陣取っていた。

 

状況に応じ、各所の応援に向かう積りの様だ。

 

更に空襲を警戒し、各校の高射部隊が園内の各所に配置されており、対空機銃や高射砲が空を睨み付ける様に向けられている。

 

展望台の上に陣取ったⅣ号の上で、みほが双眼鏡、優花里が砲隊鏡を構えている。

 

Ⅳ号の傍には同じ様に双眼鏡を構えた楓や小太郎と言った偵察兵の姿も在り、良く見ると園内の各高所にはカモフラージュを施した偵察兵達が双眼鏡や望遠鏡を構えている。

 

「………来る」

 

やがてみほが、大学選抜機甲部隊の物と思われる土煙を発見し、そう声を挙げる。

 

「大学選抜機甲部隊、接近して来ました。皆さん、十分に警戒して下さい」

 

『『『『『『『『『『…………』』』』』』』』』』

 

沙織が園内に居る全員へ通信を飛ばすと、部隊は緊張に包まれる。

 

「………西住総司令。意見具申、宜しいですか?」

 

するとそこで、梓がみほへそう通信を飛ばした。

 

「? 如何したの、梓ちゃん?」

 

「私に1つ、考えが有ります」

 

「………言ってみて」

 

梓からの提案に耳を傾けるみほ。

 

「………如何でしょうか?」

 

「………今からで間に合う?」

 

みほは梓にそう問い返す。

 

「ギリギリ………いえ! 間に合わせて見せますっ!!」

 

梓は引き締まった表情で、みほにそう返す。

 

「………分かりました。その案を採用します」

 

「! ありがとうございますっ!!」

 

「時間が有りません。すぐに実行に移して下さい」

 

「了解! 梓よりハムスターさん分隊へ! 協力を要請しますっ!!」

 

「こちらハムスターさん分隊。話は聞いて居ました。すぐに取り掛かります」

 

そしてすぐに梓はハムスターさん分隊へ協力を要請し、話を聞いていたハムスターさん分隊の勇武は、直ちに梓の作戦を実行に移す。

 

「…………」

 

梓は、みほへヤマト式敬礼をしたかと思うと、M3リーを発進させ、独立行動に入るのだった。

 

果たして、彼女の作戦とは何か?

 

迫る大学選抜機甲部隊を前に、間に合うのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

大学選抜チーム・島田流との対決も折り返し地点。
遊園地跡での決戦準備になります。

原作では居た知波単が補給地点防衛に回っていますが、コレはとある展開を考えての事です。
それが何かはお楽しみです。

そんな知波単の代わりを務める西部ですが………
クロエが相変わらずフリーダムです(笑)
今回、結構踏み込んだ描写をしてみましたが、問題が有りましたら訂正・削除しますのでご一報下さい。
ギャグとして流していただけると一番幸いです。

そして何やら作戦の準備に入る梓達。
原作よりパワーアップしたミフネ作戦が炸裂しますので、お楽しみに。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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