ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター29『島田 愛里寿の策略です!』

『劇場版 ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース ~炎のさだめ~』

 

チャプター29『島田 愛里寿の策略です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遊園地跡にて、大学選抜機甲部隊との戦闘を展開させる大洗連合部隊。

 

だが、大学選抜部隊は『スーパーパーシング』、『T29重戦車』、『T30重戦車』、『T34重戦車』と言った主力車輌を投入。

 

更に、自分達の補給地点を破壊されたお返しも兼ねて、大洗連合部隊の補給地点をも強襲する。

 

果たして、この猛攻に大洗連合部隊は耐えられるのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メガフロート艦上・遊園地跡………

 

西裏門………

 

南正面ゲートと東通用門で戦闘が開始される中、遂にこの西裏門にも敵が現れる。

 

「撃て」

 

パーシング達が一斉砲撃を行い、西裏門を吹き飛ばす。

 

「南と東は既に交戦中。敵を押してるそうよ」

 

「私達も負けてらんないわね」

 

「待ち伏せしている敵を蹴散らして、一気に攻め立てるぞ」

 

部隊長がそう言うと、1輌のパーシングの車長とその随伴歩兵達がそう言い合う。

 

「前進」

 

そして、まだ粉煙が収まり切らない内に、大学選抜部隊は前進を始めた。

 

「さあ、私達の餌食になるのは誰かしら?」

 

味方が押しているとの情報を聞いたからか、意気揚々と進んで行く大学選抜部隊。

 

しかし………

 

「「待っていたぞ」」

 

そこに居たのは、赤いテケとヘルキャット。

 

そして、『頑張る女の子の美しい笑顔』を浮かべたしずかとクロエだった。

 

「「「「「「「「「「あ………」」」」」」」」」」

 

思わず固まる大学選抜部隊。

 

実はこの部隊のメンバーの大半は………

 

最初にアズミに率いられ、森林地帯で1度この2人と交戦していたメンバーなのである。

 

「「我等(私達)が、地獄だっ!!」」

 

『頑張る女の子の美しい笑顔』のまま、大学選抜部隊へ突撃するクロエとしずか。

 

「「「「「「「「「「キャアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!」」」」」」」」」」

 

大学選抜の戦車部隊が、悲鳴を挙げながら全速で後退する。

 

「オイ! 逃げて如何するんだっ!?」

 

「怯むな! 怯むなっ!!」

 

随伴歩兵部隊の歩兵達が、慌てて檄を飛ばす。

 

「おのれ、地獄姉妹め! 何時までもやられっぱなしの我々ではないぞ! やれっ!!」

 

とそこで、随伴歩兵部隊の部隊長が通信機に向かってそう言ったかと思うと、風切り音が聞こえて来た。

 

「「!!」」

 

それにすぐさまクロエとしずかは反応し、お互いに離れる様に移動。

 

直後に、先程まで2人とテケとヘルキャットが居た場所に、山形の軌道で飛んで来た砲弾が着弾!

 

「! 間接射撃っ!!」

 

「自走砲ですわ!」

 

シロミとブチがそう声を挙げる。

 

その言葉通り、西裏門のやや後方には、『M40 155㎜自走加農砲』、『M41 155㎜自走榴弾砲』、『M43 8インチ自走榴弾砲』と言った自走砲の部隊が展開していた。

 

威力はカールや列車砲に遠く及ばないが、アレは規格外の代物であり、軍事道の参加規定内の自走砲としてはかなりの大口径砲の部隊だ。

 

クロエとしずかの戦いは接近戦である事を解析した愛里寿が、彼女達の配置先を読み、配備させたのである。

 

如何やら徹底して長距離から砲撃し、近寄らせない・近寄らないと言う戦法を執る積りの様だ。

 

「クロエ、下がりなさい! アレだけの大口径砲! 私のT28だって天板に直撃されれば危ないわ! アンタのヘルキャットの装甲なんて紙みたいなもんよ!!」

 

「姫! ココは一旦退こうよっ!!」

 

シャムと鈴が、クロエとしずかにそう呼び掛ける。

 

「仕方ないわね………」

 

「この屈辱は何れは返す………」

 

真面に戦えないまま後退せざるを得なくなった事に、クロエとしずかは悔しさを滲ませつつも、後退する。

 

「敵部隊、後退して行きます」

 

「良し! 自走砲部隊はそのまま砲撃を続けながら前進! 我々も園内へ突入するぞ!」

 

「ホラ! 何時までビビってるんだ!?」

 

それを確認した大学選抜歩兵部隊は、自走砲部隊にそう指示を出し、未だに怯えている大学選抜戦車チームの尻を叩いて前進させるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

独立行動を執っていたウサギさんチームとハムスターさん分隊は………

 

「梓ちゃん! 敵がドンドン押し寄せてるって!!」

 

「分かってる! ローラーコースターはコレで良し………他のアトラクションは如何ですか!?」

 

優季からの報告に、車外に降りていた梓は怒鳴る様に返しながら、ローラーコースターに『何か』を施し、他のアトラクションの所に居るハムスター分隊員達に問い質す。

 

『ゴーカート! OKです!!』

 

『ウォーターライドゾーン! 設置完了!!』

 

『ロードトレインとドロップタワーもOKです!!』

 

すると、彼方此方のアトラクションに散らばっていたハムスター分隊員達から次々に返事が返って来る。

 

「了解! 後は………」

 

それを聞いた梓は、遊園地跡の中に在った丘の上………

 

大観覧車を見上げた。

 

「あの観覧車だけ………全員! 直ちに観覧車へと向かって下さいっ!!」

 

『『『『『『『『『『了解っ!!』』』』』』』』』』

 

梓はM3リーに乗り込みながらそう命じ、ハムスターさん分隊とウサギさんチームは大観覧車へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

南正面ゲート………

 

「うわっ! すみません! やられましたっ!!」

 

黒森峰のパンターが1輌撃破され、白旗を上げる。

 

「カチューシャ様ぁ! 申し訳ありませんっ!!」

 

更に、プラウダ&ツァーリのT-34-76が白旗を上げる。

 

「このぉっ!!」

 

それに激昂したかの様に、カチューシャのT-34-85が、1輌のスーパーパーシングに向かって砲撃する。

 

しかし、砲弾はパンターの装甲を纏った砲塔に弾かれ、明後日の方向に飛んで行く。

 

「ああもう! 堅過ぎよっ!!」

 

「駆逐戦車部隊がやられたのが痛いですね………」

 

地団駄を踏むカチューシャを見ながら、ノンナがそう呟く。

 

先の高地での戦闘にて、カールや80㎝列車砲の直撃を受けてしまった黒森峰とプラウダの駆逐戦車部隊は損傷の度合いが酷く、まだ戦線に復帰出来ていないのである。

 

ティーガーⅠ・ⅡやKV-2、IS-2と言った高火力車輌も存在するが、敵の物量を押し返すには数が不足していた。

 

「止むを得ん。一時後退する。我々が殿を務める。損傷を受けている車輌、負傷判定を受けている歩兵達から順に撤退開始」

 

コレ以上、此処で戦闘を続けるのは不利と判断したまほは撤退を決定。

 

命令通りに、損傷を受けている車輌と負傷判定を受けている歩兵達から撤退を始める。

 

その撤退する味方部隊を守る為、まほ達の戦車部隊と随伴歩兵分隊は遅滞行動を執る。

 

「敵部隊、撤退を開始」

 

「了解。フェイズ2へ移行します」

 

すると、何故か南正面から迫って来た大学選抜部隊は足を止めての砲撃を開始した。

 

「? 足を止めた?」

 

「コチラが撤退に入ってるからって狙い撃つ積り? 馬鹿にして」

 

(本当にそうか?)

 

突如進軍を停止し、その場での砲撃を始めた大学選抜部隊を見て、小梅とエリカがそう言い合い、まほは違和感を覚える。

 

その間にも、部隊の撤退は次々に進む。

 

「ニーナ! アリーナ! 貴女達の番よっ!!」

 

「「ハイだぁっ!!」」

 

そして殿を務めていた主力メンバーの中で、ニーナとアリーナのKV-2が撤退に加わり、中央広場への直通通路に入る。

 

「今だっ!! 撃てぇっ!!」

 

するとそこで、南正面ゲート攻略部隊の部隊長から声が響き、スーパーパーシング部隊の上を通り越す様に、何かが連続で飛んで行く!

 

「!? ゲロォッ!?」

 

「アレは!? まさかっ!?」

 

まるで花火の様に炎を上げながら頭上を通り過ぎて行く物体を思わず見上げる久美とマーティン。

 

「マズイッ! ニーナ! アリーナ! 逃げろぉっ!!」

 

「「えっ………?」」

 

ピョートルがそう言った瞬間………

 

炎を上げていた物体………『ロケット弾』は、撤退行動に入っていたKV-2に次々と着弾!

 

更に流れ弾が建物にも直撃し、建物が崩れた通路に瓦礫が降り注ぐ。

 

「! 『M26 T99』!!」

 

「ロケットランチャー装備のパーシング!? そんなものまで用意していたのか!?」

 

そこで都草が、偵察兵から借りた双眼鏡でロケット弾を放った犯人………『M26 T99』を確認し、デミトリと共に驚きの声を挙げる。

 

やがて、立ち上っていた煙が収まると………

 

中央広場への直通通路は、黒焦げになっているKV-2と崩れた建物の瓦礫で埋まり、通行不能になっていた。

 

「ニーナ! アリーナ!」

 

カチューシャが思わず叫ぶ。

 

すると………

 

黒焦げになっていたKV-2の砲塔が、鈍い音を立てながら動き始める。

 

「!?」

 

カチューシャが驚いていると、KV-2の砲塔は大学選抜位部隊が陣取る南正面ゲートへと向けられ、砲がやや上向きになったかと思うと、発射された!

 

放たれた152ミリの榴弾は、弧を描いてスーパーパーシング部隊を飛び越え、たった今ロケット弾をしこたま撃ち込んで来た『M26 T99』に命中!

 

まだ残っていたロケット弾を巻き込み、巨大な爆発を起こした!

 

「「「「「「「「「「ギャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」」」」」」」」」」

 

『M26 T99』の随伴歩兵達は、当然その爆発に巻き込まれて戦死判定となる。

 

勿論、『M26 T99』も白旗を上げた。

 

だが直後に、黒焦げのKV-2も白旗を上げた。

 

「せめてもの一太刀だよ………」

 

「すまねえだぁ、カチューシャ様ぁ」

 

そして、ニーナとアリーナから、カチューシャへそう言う声が飛んだ。

 

「………良くやったわ。シベリア送りは勘弁してあげる」

 

だが、カチューシャは珍しく寛大な処置と共にニーナとアリーナを褒めた。

 

「何だよ姉ちゃん。今日は随分と優しいな」

 

「煩いわよ………」

 

からかう様に言って来たピョートルにも、カチューシャは素っ気なく返す。

 

(コレはコレで逆に怖いな………)

 

しかし、そんなカチューシャの姿に、ピョートルは逆に恐怖を覚える。

 

「オイ、ノンビリ話している場合か!? 敵が来てるんだぞっ!?」

 

とそこで、桃がツッコミを入れる様にそう言って来た。

 

「おっと、そうだった」

 

「中央広場への直通通路は塞がれた………止むを得ん。迂回ルートを行くぞ」

 

まほがそう言うと、殿に残っていた黒森峰とプラウダ&ツァーリの主要メンバーは、迂回ルートの通路を移動し始める。

 

「………フェイズ2成功。コレより予定の行動に入ります」

 

だが、そんなまほ達を見て、南正面ゲートから押し寄せて来ていた大学選抜部隊は、まほ達と付かず離れずの絶妙な距離を取りながら追撃するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、東通用門でも………

 

「キャアアッ!!」

 

ニルギリのチャレンジャーが、T34重戦車の120ミリ砲を真面に喰らい、車体が一瞬浮かび上がって、引っ繰り返った。

 

「! ニルギリさん!」

 

「すみません、総隊長代理………」

 

オレンジペコが声を挙げると、ニルギリの謝罪が返って来る中、引っ繰り返ったチャレンジャーの底部から白旗が上がる。

 

とそこで、今度はT30重戦車の155ミリ榴弾砲が火を噴く!

 

「「「「「「「「「「どわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」」」」」」」」」

 

ジョロキア歩兵達が、50人ほど一気に吹き飛ばされる。

 

「駄目だ! 完全に押されてるぞっ!!」

 

ルクリリがそう叫ぶ中、マチルダⅡが発砲するが、砲弾はT29に当たったかと思うと、弾かれてしまう。

 

「ペコ。コレ以上は無理よ」

 

「…………」

 

アッサムも車長席を振り返りながらそう言い、オレンジペコは一瞬考える様な素振りを見せる。

 

「………止むを得ません。後退します。部隊は中央広場へ。主力メンバーは敵重戦車部隊を惹き付け、味方の撤退を支援します」

 

やがて、苦渋に満ちた表情でそう言い放つ。

 

「了解。皆、此処は私達に任せて!」

 

「全員、敵を挑発して」

 

それを受けて、ケイとエミからそう指示が飛ぶ。

 

「よっしゃあっ! 任せなっ!!」

 

「挑発すんのは得意中の得意だよ」

 

音子と千冬がそう言って同時に発砲。

 

放たれた砲弾は、共にT34重戦車に命中し、弾かれた。

 

「オイ、冬子! 何同じ戦車狙ってやがんだ!! 別のヤツ狙えっ!!」

 

「ああ? ふざけんじゃないよ。アンタこそ、アタシが狙った戦車を撃つんじゃないよ」

 

「「何ぃ~~~っ!?」」

 

とそこで、音子と千冬はハッチから姿を曝すと、互いにメンチを切り始める。

 

「ちょっと! 内輪揉めしてる場合じゃないでしょっ!!」

 

「「ギギギギギギギギギッ!!」」

 

エミが慌てて注意するが、2人のメンチの切り合いは更に激しさを増す。

 

「オイ、嬢ちゃん達。その辺にしときな。じゃねえと、俺等が無理矢理止めさせるぜ」

 

とそこで、バーコフがそう言いながら、2人のエレファントとヤークトパンターの傍に立った。

 

「「「…………」」」

 

その背後では、ゴダン、コチャック、ザキが睨みを利かせている。

 

「………チッ!」

 

「取り敢えず、この場はお預けだよ」

 

それを見て、漸く音子と千冬はメンチの切り合いを止めた。

 

「流石は舩坂 弘樹の戦友だな………」

 

「一瞬寒気がしましたよ………」

 

その様子を見ていたターメリックとキーマはそう言い合う。

 

「このまま敵部隊を惹き付けつつ後退! 他の部隊との合流を計ります!」

 

「「「「「「「「「「了解っ!!」」」」」」」」」」

 

オレンジペコがそう言うと、主力メンバーは勇ましく返事を返し、敵を惹き付けつつ後退する。

 

「………東通用門、フェイズ2クリア。予定通り行動します」

 

しかし、そんなオレンジペコ達を見ながら、東通用門に展開していた大学選抜部隊の部隊長はそう言うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中央広場………

 

「南正面ゲート部隊、撤退! 東通用門と西裏門も後退中だって!! 今、主力メンバーが撤退支援で敵を引き付けてるって………」

 

「………おかしい」

 

沙織が各部隊の状況を伝えると、みほはその動きに違和感を感じる。

 

「みぽりん? 如何したの?」

 

「この敵の動きは………!? しまったっ!?」

 

その様子を見た沙織が質問するが、みほはそれには答えず、何かに気づいて慌てた様子を見せる。

 

「西住殿っ!?」

 

「みほさん、如何しました?」

 

「全部隊! 大至急野外劇場へ向かって下さいっ!!」

 

優花里と華の声にも返事を返さず、みほは即座に残っていた全部隊にそう命じる。

 

「敵の狙いは部隊長達か………」

 

そこで弘樹も敵の意図に気づき、そう声を挙げる。

 

そう………

 

今大学選抜機甲部隊は、大洗連合の各指揮官達に目を付けたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

次々と遊園地跡に殺到して来る大学選抜チーム。
そしてその狙いは、大洗連合部隊の各部隊長達。
ジワジワと追い詰められる中、梓達の作戦は間に合うのか?

そして次回………
いよいよ『あの人達』が満を持して登場します。
多分、色々な意味で呆気に取られる登場になるかと思いますので、楽しみにしていて下さい。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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