「パパは、ツクモをよく抱っこしてくれるの。パパの膝の上は大きくて、そのまま絵本を読んでもらうのが大好き。ママはね、ツクモの髪を綺麗に結んでくれるの。ツクモはママが結んでくれた髪が大好き。今度ね白の大きなリボンを買ってもらうんだ。」
ツクモは、のび太とクロメの顔を交互に見ながら、一生懸命両親の話をした。見たことも、会ってこともない人達だけれど、すごくいい人なんだろうということがよくわかる。二人とも、ツクモのことが大好きで、ツクモのことを愛していて、とても大切にしているんだろう。ふと親戚のお姉さんの事を思い出す。あの人も、まだ生まれていない赤ちゃんに対して深い愛情を感じていた。やっぱり、この子もあんな風に思われて生まれてきて、育てられたんだろうな。
「でもね、この前パパとママ、ケンカしてた。」
ツクモがちょっぴりうつむく。
「喧嘩?」
なんだ、中の良さそうな夫婦なのに、喧嘩するのか。もしかして、ツクモがここにいるのはそれが理由だったりするのか?
「あのね、ツクモね、来年から幼稚園に行くことになったんだけどね。パパはね、ツクモのしょうらいのことを考えて、しりつの幼稚園がいいだろうって。しりつは、おうちからずっと遠いから、朝も早く起きなきゃいけないし、お友達ともあまり遊べなくなっちゃう。」
クロメがツクモの声を聞いて、のび太の方を見る。昨日のことだ。小さなツクモは、親が入れようとしている私立の幼稚園のことがどうも好きになれないようだ。好きになれないどころか、イヤそうに下唇を噛んでいるところを見ると、行きたくないというところだろう。親の気も知らないで、どういうつもりはないが、あまり勝手すぎるのもどうかってこと。
「ママはね、ツクモが好きなところに行けばいいっていうんだけど、ツクモ分かんないし。そしたら、ツクモに何かやりたいことはない?って聞くの。」
うんうん、とのび太もクロメも興味深く聞き入れる。どこかの誰かさんみたいな事を言うなぁ。
「ツクモね、お菓子屋さんがやりたいって言ったら、ママ、幼稚園のお菓子屋さんはないって。」
いくら、子供に任せるったって、たとえばツクモみたいに小さな子はそんなこと決められないのだ。まだ、世の中のことをそんなに知っている訳じゃないのに、そう簡単に決められるものじゃあない。クロメとのび太の目が偶然に合う。そして彼女が苦笑いを浮かべた。
「そしたら、二人はどうするのがいいのがいいか、ケンカになっちゃって。」
「困ったパパとママだな。」
自分達のことは棚に上げ、のび太とクロメはうんうんと頷きあった。
「でもね、ツクモはパパとママ、どっちも好きだよ?わかんないけど、二人ともツクモのことを思って言ってくれてるのはわかるもん。時々、うんざりしちゃうこともあるけど、パパとママはツクモのことを考えてくれてるんだもん。」
(なんだか、子供の言葉にしちゃ、しっかりし過ぎてるよなぁ。というより、子供ってのは、僕達が考えるよりしっかり考えてるってことなのかな。)
「ツクモね、お友達とおいしいお菓子が食べられる幼稚園がいいって言ったら、じゃあそういう幼稚園を探しとくねって仲直りしてた。」
のび太の結婚相手は?
-
アカメ
-
クロメ
-
チェルシー
-
シェーレ
-
レオーネ