「ーーそれで?アカメちゃん、それで野比くんはなんて言ったの?」
なつみがケーキをジュースで流し込みながら、身を乗り出してくる。
「だから、今日は急ぐから一緒に帰れないって。」
「そうなんだ。」
次の日、梨華となつみを誘って、カフェに来ていた。二人に私の悩みを聞いてほしかった。悩みというのはもちろんのび太のこと。ついに一緒に帰ることを断られてしまって、なんだかやたらと不安に駆られてしまったのだ。ケーキを二人におごりながら、まずはなぜ急に二人を誘ったかという話をすることになった。
「でも、それって普通のことじゃないのかな。私だって梨華ちゃんと一緒に帰らない時もあるし。」
「そうだよね。今まで一緒に帰るのを欠かしたことがないとかそういう訳じゃないよね。」
「ああ、もちろん。」
「じゃあ、別にいいんじゃないの?たまたま一緒に帰れなかったくらいで。」
「そうなんだが、なんだか最近ののび太ってつれないなあと思って。」
「そうなの?」
私は、ここ最近のび太の様子がおかしいことを二人に話して聞かせた。なんだか、二人の中をマンネリに感じているんじゃないかということ。それを証拠に、何か別のことを考えていたり、上の空だったり、デートを曖昩な理由で断ったり。
「ーーーーそんなの普通じゃない?」
「そうだよ。長い間付き合っていれば、最初みたいにラブラブじゃなくても仕方ないよ、なつみちゃんの言う通り普通だと思うよ。」
「普通、なのか・・・・・・」
「・・・・・それにしてもアカメちゃんって素敵よね。」
「す、素敵!?」
「だって、未だにそんなに野比くんのことが好きだなんて。」
「そうだよ。2年も経とうっていうのに、そんなラブラブな気持ちのままいられるなんてある意味スゴイと思うけどなぁ。」
「そ、そうなのか・・・・・」
1年過ぎようと2年過ぎようと、好きになった人のことはいつまでも好きなんだと思うのは、私だけなのだろうか。
「うん、すごくうらやましいかな。」
「クラスの子も言ってるよ。いつ見ても仲よさそうでいいなぁって。一週間くらいで別れちゃう子もいるしね。」
「そうなのか・・・・・」
好きで告白した相手と一週間で別れてしまうというのはどんな状況なんだろう。付き合うようになって一週間というのは、むしろ一番素敵な時間のように思う。会えない時間が一日千秋のように感じ、顔を合わせるだけで口がほころぶ感じが自分でもわかる。隣を歩いているだけで、自分が世界中で一番幸せ者であるような気持ちになり、手をつなぐことはそれこそ幸せの極みのように思えたものだ。その頃の気持ちというのは、むしろ今でも鮮烈に思い出せてしまうくらい、私の中でははっきりと記憶に残っている。
「だが、やっぱり、なんだか最近のび太がつれないような気がするんだ。一緒に帰れないってだけで、胸がきゅうってしめつけられるような。」
「でもさ、もうすぐクリスマスじゃない。野比くんもなにか考えてるんじゃないの?」
「・・・・・・なにも聞いてない。私から聞くタイミングも最近なくて。夜はすぐに部屋に篭るし。」
「き、きっと、ぎりぎりまで隠しておくつもりなんだよ!ね、梨華ちゃん。」
「わ、私もそう思う・・・・・かな。」
さすがにクリスマスの予定を何も聞いていないというのは、二人もフォローしづらかったのか、慌てた感じでわらっていた。
「そういえば、クリスマスっていったら、この雑誌にね。」
梨華は取り繕うようにカバンから情報を取り出してペラペラとめくり始めた。
「ほら、シエルで限定スペシヤルケーキを売り出すんだって。おいしそうだよね。」
「へぇ、こっちのホテルディナーもすごくない?カップル向けのコースが用意されてるんだって。」
「ホテルから見える夜景は格別で、本州のカップルからも予約殺到だってさ。」
「夜景を眺めながら七面鳥のローストとワインを傾けて・・・・だって。アカメちゃん達もそういうのどう?」
「素敵だと思うが、さすがにそういうのはムリだ。値段だって・・・・・」
「あ・・・・・、そういえばそうだね。この値段じゃ一番安いコースだって、よほど頑張ってバイトしないと。」
「いくら野比くんでもムリよねぇ。」
「私は別にそこまでじゃなくてもいいんだ。のび太のうちで二人きりで小さな肉を囲んで、楽しく過ごせればそれで。」
素敵な夜景を見ながら、豪華なディナーとお泊まりだなんてそれも素敵だが、さすがに私達みたいな学生には難しい。私はただのび太と一緒にクリスマスを過ごせればそれでいい。それだけだった。
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