「くのっ、くのっ!こうして・・・・・ていっ!きゃあっ!やったやった!のび太!見た見た?今の!?私、すごくない!?」
「見てなかった。」
「ムカ!せっかくかっこよく決めたのに〜。次はちゃんと見ててよ?」
「・・・・・・・・・・。」
「のび太のび太!ほら、いくよ、見ててっ!」
自分の隣でテレビゲームに熱中するチェルシー。これが本当にクラスをまとめ、巧みなバイオリンを披露したチェルシーと同じチェルシーなのか?
「てぇぃっ!」
・・・・・同じチェルシー以外の何者でもないわけだが。
「ほらっ、またできた!フフフフフっ!これならのび太との対戦にも使えそうだっ。」
あんな事を交換日記に書いておきながら、なんでこの女はいつも通りなんだ?やっぱり悪戯だったのかな?あり得る。普段から人を持ち上げといて、突き落とす最低な奴だからな。思い遣りの欠片もない女。そんな事を思っていると、チェルシーはゲームをやめ、腕を伸ばす。
「ふぁあ・・・・・。眠くなっちゃった。先にお風呂使わせてもらうね。」
「・・・・・・チェルシー。」
「なあに?ゲームならまた明日にしょ。もう十一時回ってるよ?」
「いつの間に・・・・・・・」
「対戦ゲームってつい時間を忘れちゃうよねー。男子がゲームセンターに入り浸る気持ちも、なんとなくわかっちゃった。」
「・・・・・・・あのさあ、チェルシー。」
「?お風呂先に入りたい?」
「じゃなくて・・・・・・。チェルシー、交換日記に書いた『愛しい』って本気なの?」
「ーーっ。」
「後、最後に書いた『大好き』ってーー」
「お風呂入る。」
「あっ、ちょっと!」
チェルシーはプイっとそっぽを向いて、お風呂場の方へと早足で行ってしまった。
「・・・・・・・・・・。」
しばらく呆然とするのび太。ふと、自分の鞄が目に入り、中を開ける。そして問題の物を取り出し、中を覗き込む。
『のび太と再会してそろそろ一年が経とうとしている。私は、のび太と出会えて本当に良かったと心の底から思ってるよ。私にとってのび太は一番大切な人。のび太といる時間はかけがえのないもの。のび太といる時間が私にとって一番幸せだから・・・・・・。できることなら、これからずっと一緒にいたい。こうして日記を書いていると、寂しい気持ちがちょっとだけ楽になるから。私はのび太と再会して、のび太の良い所をいっぱい見つける事ができた。まだまだのび太の良い所はあると思う。だから、これからもそれを見つけていこうと思っています。そして、今以上にのび太の事を好きになりたい。』
そして文章の最後にこう書いてある。
ーーねぇ、のび太は私のことが好き?
「・・・・・・・好きに決まってるでしょう。」
誰もいないのに頬を赤らめながらその言葉を発する。その後、チェルシーと入れ替わりで風呂に入る。チェルシーは風呂から出ても不機嫌で一言もしゃべらず、会話を拒絶するかのようにドライヤーのスイッチをONにしていた。
「・・・・まったく。」
そんなチェルシーもチェルシーだが、自分も自分だ。
「さっきまでここにチェルシーが・・・・・・」
こんな事態だっていうのに、風呂に入ってみればそんなことばかりが頭の中を埋め尽くしていく。
のび太の結婚相手は?
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アカメ
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クロメ
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チェルシー
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シェーレ
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レオーネ