ドラえもん のび太のアカメが斬る!   作:雛月 加代

241 / 257
第六章:二人だけの世界を斬る

そして次の日。

 

「のび太さん、顔色悪いけど、どうかしたの?」

 

「え?な、何でもないよ!」

 

心配した静香がのび太の顔を覗き込む。のび太は、慌てて平然を装った。どうしょう。静香ちゃんにでも相談しようかな。静香ちゃんは優しいからな。

 

『「ええっ、チェルシーさんがのび太さんの事を!?でも、チェルシーさんって確かのび太さんの家に住んでて。オバ様も、オジ様も、ドラちゃんもいないから、つまり、のび太さんとチェルシーさんはその・・・・・・っ。」ぷしゅ〜。バタン。「静香ちゃーん!!」』

 

・・・・ダメだ。

 

どうゆっくり説明したところで、静香ちゃんがパニックになるのは目に見えてる。真っ赤になって倒れるだけならまだいい。下手にその内容をほかの連中に聞かれようものなら、ただじゃ済まなくなってしまう。特にスネ夫なんぞに知られようモノならーーうう、考えたくもない。

 

 

 

 

 

 

 

「うわっ!?何だっ!?」

 

すると視界が暗くなる。

 

「だ〜れだ!」

 

背後から手で視界を覆われ、問いかけられる。

 

(う・・・・・誰だろう?)

 

声を変えているが、この気配は間違いない。

 

「チェルシー?」

 

「わお!」

 

のび太の返答に視界が明るくなる。そして目の前には、見知った女の子の姿。どうやら、正解したそうだ。

 

「すごい!なんでわかったの?」

 

「え?そ、そんなにすごい?」

 

「わざと声色とか変えたのに・・・・・。どうして?野生の勘なの?」

 

「うーん、なんていうか・・・・・」

 

「うんうん、なんというか?」

 

「チェルシーの顔しか浮かばなかったんだ・・・・・・・それで・・・・その・・」

 

「へ、へ〜・・・・・そうなんだ。」

 

「う、うん・・・・・・」

 

互いに顔を真っ赤にしながら、見つめ合う。

 

「・・・・・あ、ありがとう、のび太。」

 

「う、うん・・・・・・・」

 

気まずい空気になり、何も言えなくなる。二人は恥ずかしそうに目線を逸らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オホン!」

 

「『!?』」

 

完全に二人だけの世界に入っているのび太とチェルシー。そんな二人にシビリを切らした静香が咳をつく。突然我に返った二人は心底驚いた。

 

「そ、それじゃあね・・・・」

 

「う、うん・・・・・」

 

「ちゃんと当ててくれて・・・・嬉しかったよ。」

 

逃げるようにチェルシーは去って行った。それにしても『だ〜れだ』だなんて、チェルシーも可愛らしいなぁ・・・・・。

 

「のび太さん。最近、チェルシーさんと仲良くしすぎじゃない?」

 

静香は不機嫌な様子でのび太に問いかける。

 

「何で?友達なんだから仲良くするのは当たり前じゃない?」

 

「そ、それは・・・・・・・そうだけど・・・・」

 

のび太の正論に静香は言葉を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数週間後、

 

「あ!!」

 

静香は誤って机にぶつかり、上に乗っていたノートをや鉛筆をばら撒いた。

 

「大丈夫、静香ちゃん?」

 

スネ夫も一緒に散らばった物をかき集める。

 

「ん?」

 

「どうしたの、静香ちゃん?」

 

静香は床に落ちたノートを手に取り、思わず中身を見てしまう。スネ夫もノートを覗きこむ。これは交換日記・・・・?内容からして相手は、のび太とチェルシーだ。

 

「・・・・・・・・・・っ!?」

 

静香の顔が徐々に赤らめていく。読んでいるだけで恥ずかしくなってくるチェルシーの大胆な文章。のび太の素晴らしさを事細かく書きしるしてある。これは最早、交換日記ではなく恋文である。

 

「のび太さん・・・・・・」

 

静香は指に力を入れ、ノートを破り捨てようする。

 

「待って、静香ちゃん!良いことを思いついたよ!」

 

だがそれはスネ夫によって止められた。名案を思いついたのだ。スネ夫は早速消しゴムを取り出し、のび太が書いた内容を綺麗に消し去る。そして改めて鉛筆を使い、内容を書き換えた。

 

ーー嫌い、嫌い、嫌い、嫌い、ふざけんな、ふざけんな、ふざけんな、ふざけんな、ふざけんな、ふざけんな、ふざけんな、ふざけんな、本当にそれ以外の言葉が出てこないくらいにチェルシーの事が大っ嫌いです。

 

ーーチェルシー自身の存在が僕を馬鹿にしているとしか思えない。

 

ーーもうただただ不愉快。

 

ーー何を企んでいるのかは知らないけど、こういう嫌がらせがしたいなら、僕のいない所でしてほしい。

 

ーーチェルシーへ

 

「これでよし!」

 

スネ夫はニヤニヤしながら、ノートを元の場所に戻した。

のび太の結婚相手は?

  • アカメ
  • クロメ
  • チェルシー
  • シェーレ
  • レオーネ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。