そして次の日。
「のび太さん、顔色悪いけど、どうかしたの?」
「え?な、何でもないよ!」
心配した静香がのび太の顔を覗き込む。のび太は、慌てて平然を装った。どうしょう。静香ちゃんにでも相談しようかな。静香ちゃんは優しいからな。
『「ええっ、チェルシーさんがのび太さんの事を!?でも、チェルシーさんって確かのび太さんの家に住んでて。オバ様も、オジ様も、ドラちゃんもいないから、つまり、のび太さんとチェルシーさんはその・・・・・・っ。」ぷしゅ〜。バタン。「静香ちゃーん!!」』
・・・・ダメだ。
どうゆっくり説明したところで、静香ちゃんがパニックになるのは目に見えてる。真っ赤になって倒れるだけならまだいい。下手にその内容をほかの連中に聞かれようものなら、ただじゃ済まなくなってしまう。特にスネ夫なんぞに知られようモノならーーうう、考えたくもない。
「うわっ!?何だっ!?」
すると視界が暗くなる。
「だ〜れだ!」
背後から手で視界を覆われ、問いかけられる。
(う・・・・・誰だろう?)
声を変えているが、この気配は間違いない。
「チェルシー?」
「わお!」
のび太の返答に視界が明るくなる。そして目の前には、見知った女の子の姿。どうやら、正解したそうだ。
「すごい!なんでわかったの?」
「え?そ、そんなにすごい?」
「わざと声色とか変えたのに・・・・・。どうして?野生の勘なの?」
「うーん、なんていうか・・・・・」
「うんうん、なんというか?」
「チェルシーの顔しか浮かばなかったんだ・・・・・・・それで・・・・その・・」
「へ、へ〜・・・・・そうなんだ。」
「う、うん・・・・・・」
互いに顔を真っ赤にしながら、見つめ合う。
「・・・・・あ、ありがとう、のび太。」
「う、うん・・・・・・・」
気まずい空気になり、何も言えなくなる。二人は恥ずかしそうに目線を逸らした。
「オホン!」
「『!?』」
完全に二人だけの世界に入っているのび太とチェルシー。そんな二人にシビリを切らした静香が咳をつく。突然我に返った二人は心底驚いた。
「そ、それじゃあね・・・・」
「う、うん・・・・・」
「ちゃんと当ててくれて・・・・嬉しかったよ。」
逃げるようにチェルシーは去って行った。それにしても『だ〜れだ』だなんて、チェルシーも可愛らしいなぁ・・・・・。
「のび太さん。最近、チェルシーさんと仲良くしすぎじゃない?」
静香は不機嫌な様子でのび太に問いかける。
「何で?友達なんだから仲良くするのは当たり前じゃない?」
「そ、それは・・・・・・・そうだけど・・・・」
のび太の正論に静香は言葉を失った。
数週間後、
「あ!!」
静香は誤って机にぶつかり、上に乗っていたノートをや鉛筆をばら撒いた。
「大丈夫、静香ちゃん?」
スネ夫も一緒に散らばった物をかき集める。
「ん?」
「どうしたの、静香ちゃん?」
静香は床に落ちたノートを手に取り、思わず中身を見てしまう。スネ夫もノートを覗きこむ。これは交換日記・・・・?内容からして相手は、のび太とチェルシーだ。
「・・・・・・・・・・っ!?」
静香の顔が徐々に赤らめていく。読んでいるだけで恥ずかしくなってくるチェルシーの大胆な文章。のび太の素晴らしさを事細かく書きしるしてある。これは最早、交換日記ではなく恋文である。
「のび太さん・・・・・・」
静香は指に力を入れ、ノートを破り捨てようする。
「待って、静香ちゃん!良いことを思いついたよ!」
だがそれはスネ夫によって止められた。名案を思いついたのだ。スネ夫は早速消しゴムを取り出し、のび太が書いた内容を綺麗に消し去る。そして改めて鉛筆を使い、内容を書き換えた。
ーー嫌い、嫌い、嫌い、嫌い、ふざけんな、ふざけんな、ふざけんな、ふざけんな、ふざけんな、ふざけんな、ふざけんな、ふざけんな、本当にそれ以外の言葉が出てこないくらいにチェルシーの事が大っ嫌いです。
ーーチェルシー自身の存在が僕を馬鹿にしているとしか思えない。
ーーもうただただ不愉快。
ーー何を企んでいるのかは知らないけど、こういう嫌がらせがしたいなら、僕のいない所でしてほしい。
ーーチェルシーへ
「これでよし!」
スネ夫はニヤニヤしながら、ノートを元の場所に戻した。
のび太の結婚相手は?
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アカメ
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クロメ
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チェルシー
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シェーレ
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レオーネ