ドラえもん のび太のアカメが斬る!   作:雛月 加代

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第三章:観覧車を斬る

「なら、コーヒーカップとかどうだ?」

 

ジェットコースターに乗って気分を悪くしているのび太に、アカメは提案する。

 

「コーヒーカップか・・・・確かにあれなら回転速度さえあげなかったら体に負担がないし・・・・クロメはどう?」

 

「のび太がいいなら、私もいいよ。」

 

こうしてのび太たちはコーヒーカップに乗る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(近くない!?)

 

のび太はアカメとクロメの間に座る。因みにクロメは左隣、アカメは右隣に座っていた。だが何かがおかしい。近すぎる。だがのび太はそれを口に出す事が出来なかった。それではまるで遠回しに『気持ち悪いから近寄るな、あっちに行け』と言ってるようなものだからだ。

 

「どうかしたか?」

 

アカメはのび太の顔を覗き込む。

 

「な、何でもないよ。」

 

「ウフフ、のび太は照れちゃってるんだよ。お姉ちゃん!デートなんだからもっとくっつかないとダメだよ!」

 

「そうか・・・・・・・。」

 

ぎゅう

 

アカメとクロメに密着されたことで、のび太の心臓の鼓動が早くなり、胸が苦しくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、ドラえもん!『時限バカ弾』と『エースキャップ』を出せ!」

 

双眼鏡でのび太たちの様子を見ていたジャイアンは、ドラえもんに掌を突きつき出す。

 

「はー、分かったよ。」

 

ヤレヤレといった感じでドラえもんはポケットに手を入れると、『時限バカ弾』と『エースキャップ』を取り出し、ジャイアンに手渡す。

 

時限バカ弾ー5㎝位の時計のような形をしており、貼り付けることで指定時刻に起爆する。爆発した相手はとてつもなくバカになり、その場でバカなことをおっぱじめる。

 

エースキャップーこの帽子をかぶって物を投げると、狙った所に必ず当たるようになる。

 

ジャイアンは『エースキャップ』を被ると、『時限バカ弾』をのび太に向かって投げる。だが、

 

パシッ

 

のび太の背中に付いた『時限バカ弾』をクロメが叩き落とし、壊してしまう。

 

「ほらね。」

 

ドラえもんは予想通りと笑みを浮かべる。その後も、ジャイアンたちは色々な秘密道具を使うが、同じような結果になるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何でだ、何で・・・・・・・」

 

「クソ・・・・・・」

 

「私だったらドン引きするのに。寧ろ怒って帰るわ。」

 

ジャイアン、スネ夫、静香は口をあんぐり開ける。

 

「アカメやクロメはね、のび太くんの悪い部分を全て知ってる。それでも・・・・・・」

 

ドラえもんは呆れた顔でジャイアン、スネ夫、静香に説教する。だがドラえもんの声は三人の耳に届いていない。

 

「ねぇ、見てあれ!」

 

「あれは観覧車!間違いない!のび太さんはアカメさんとクロメさんを押し倒して、犯す気よ!」

 

「そうなの!?」

 

「観覧車と言ったらそれしかでしょう?あれはその為に作られたんだから!」

 

「え!?そうなの!?知らなかった!アカメちゃんたちが危ない!」

 

スネ夫、静香、ジャイアンは急いでのび太たちを追いかけた。残されたドラえもんはベンチに座りながら、空を見上げる。そして思い出す。自分の身体がまだ黄色で、耳が付いていた頃の事を。自分には仲良しの雌猫型ロボットがいた。何をするにも、どこに出かけるのも一緒だった。だがそんな関係が崩れる日がやってきた。鼠ロボットがドラえもんの耳を齧ったのだ。耳を失ったドラえもんを彼女は笑った。腹を抱え、目に涙を溜め、大笑いしたのだった。

 

「・・・永遠の愛ってあるのかな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アカメ、クロメ、のび太の三人は観覧車に乗っていた。クロメは嬉しそうに窓の外を眺める。

 

「きょ、今日は楽しかったね。」

 

のび太はアカメに声をかける。

 

「そうだな。こんなに楽しめたのはいつ以来だろう。」

 

「そ、そっか!ならよかったよ!アカメ、この間はごめんね・・・・・その・・・・てっきり僕は・・・」

 

「私の方こそすまない。ちゃんと鍵を掛けてなかった私が悪かったんだ。そもそものび太は覗きなんてするわけがない。」

 

数日前。のび太は風呂に入ろうと、脱衣所の扉を開けたところ、裸のアカメと鉢合わせてしまったのだ。

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