「なら、コーヒーカップとかどうだ?」
ジェットコースターに乗って気分を悪くしているのび太に、アカメは提案する。
「コーヒーカップか・・・・確かにあれなら回転速度さえあげなかったら体に負担がないし・・・・クロメはどう?」
「のび太がいいなら、私もいいよ。」
こうしてのび太たちはコーヒーカップに乗る事にした。
(近くない!?)
のび太はアカメとクロメの間に座る。因みにクロメは左隣、アカメは右隣に座っていた。だが何かがおかしい。近すぎる。だがのび太はそれを口に出す事が出来なかった。それではまるで遠回しに『気持ち悪いから近寄るな、あっちに行け』と言ってるようなものだからだ。
「どうかしたか?」
アカメはのび太の顔を覗き込む。
「な、何でもないよ。」
「ウフフ、のび太は照れちゃってるんだよ。お姉ちゃん!デートなんだからもっとくっつかないとダメだよ!」
「そうか・・・・・・・。」
ぎゅう
アカメとクロメに密着されたことで、のび太の心臓の鼓動が早くなり、胸が苦しくなっていた。
「おい、ドラえもん!『時限バカ弾』と『エースキャップ』を出せ!」
双眼鏡でのび太たちの様子を見ていたジャイアンは、ドラえもんに掌を突きつき出す。
「はー、分かったよ。」
ヤレヤレといった感じでドラえもんはポケットに手を入れると、『時限バカ弾』と『エースキャップ』を取り出し、ジャイアンに手渡す。
時限バカ弾ー5㎝位の時計のような形をしており、貼り付けることで指定時刻に起爆する。爆発した相手はとてつもなくバカになり、その場でバカなことをおっぱじめる。
エースキャップーこの帽子をかぶって物を投げると、狙った所に必ず当たるようになる。
ジャイアンは『エースキャップ』を被ると、『時限バカ弾』をのび太に向かって投げる。だが、
パシッ
のび太の背中に付いた『時限バカ弾』をクロメが叩き落とし、壊してしまう。
「ほらね。」
ドラえもんは予想通りと笑みを浮かべる。その後も、ジャイアンたちは色々な秘密道具を使うが、同じような結果になるのであった。
「何でだ、何で・・・・・・・」
「クソ・・・・・・」
「私だったらドン引きするのに。寧ろ怒って帰るわ。」
ジャイアン、スネ夫、静香は口をあんぐり開ける。
「アカメやクロメはね、のび太くんの悪い部分を全て知ってる。それでも・・・・・・」
ドラえもんは呆れた顔でジャイアン、スネ夫、静香に説教する。だがドラえもんの声は三人の耳に届いていない。
「ねぇ、見てあれ!」
「あれは観覧車!間違いない!のび太さんはアカメさんとクロメさんを押し倒して、犯す気よ!」
「そうなの!?」
「観覧車と言ったらそれしかでしょう?あれはその為に作られたんだから!」
「え!?そうなの!?知らなかった!アカメちゃんたちが危ない!」
スネ夫、静香、ジャイアンは急いでのび太たちを追いかけた。残されたドラえもんはベンチに座りながら、空を見上げる。そして思い出す。自分の身体がまだ黄色で、耳が付いていた頃の事を。自分には仲良しの雌猫型ロボットがいた。何をするにも、どこに出かけるのも一緒だった。だがそんな関係が崩れる日がやってきた。鼠ロボットがドラえもんの耳を齧ったのだ。耳を失ったドラえもんを彼女は笑った。腹を抱え、目に涙を溜め、大笑いしたのだった。
「・・・永遠の愛ってあるのかな・・・」
アカメ、クロメ、のび太の三人は観覧車に乗っていた。クロメは嬉しそうに窓の外を眺める。
「きょ、今日は楽しかったね。」
のび太はアカメに声をかける。
「そうだな。こんなに楽しめたのはいつ以来だろう。」
「そ、そっか!ならよかったよ!アカメ、この間はごめんね・・・・・その・・・・てっきり僕は・・・」
「私の方こそすまない。ちゃんと鍵を掛けてなかった私が悪かったんだ。そもそものび太は覗きなんてするわけがない。」
数日前。のび太は風呂に入ろうと、脱衣所の扉を開けたところ、裸のアカメと鉢合わせてしまったのだ。
この小説は続けた方がいい?
-
続けた方がいい
-
やめた方がいい