「はぁぁぁ、ひどいめにあった。」
なんとか雨から逃れられる場所を見つけ、無数の水滴を手で払う。突然の夕立に降られ飛び込んだのは、とうの昔に廃業したクリーニング屋の軒先。風雨にさらされ、色あわせたシャッターが物悲しい。
「あ〜あ、結構濡れてる。」
ハンカチで頬を拭いながら、一人さみしくぼやく。出てくる時は、洗濯物日和の晴れの天気予報だったはずなのに・・・・・・!
「ったく、雨の予報くらい当てろっての。」
そして色とりどりの傘をさして歩く人を嫉妬の目線でぼんやりながめる。
「・・・・・・・こりゃ、しばらくやみそうにないかな。」
どんよりした空に目を向け、ただただ雨のやむのを待ったーー。
「はぁぁ・・・・・・仕方ないか・・・・・」
早く家に帰ってゆっくり風呂に浸かりたい。その時、ふと、なにかの気配を感じて視線をよこに向けた。
「・・・・・・・・・・・・・・。」
のび太は驚いた。いつの間にか、そこに女の子が立っていた。さっき、ここに飛び込んだ時にはいなかったはずだけど・・・・・。
「・・・・・・・・・・。」
この子も、今朝の天気予報を信じた被害者だろうか。突然の雨に降られ、この軒下に逃げ込んできたらしい。透明の雨粒が髪の毛や肩に散らばっていた。
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・っと」
でも、あまりじろじろ見るのも良くないか。もちろんのび太だって、それくらいの社会常識はわきまえている。そんなことわかってる。わかってるけど、目をそらせなかった・・・・・。でも、それも無理はない。だって、人生でこれほどの美少女を目にするのは生まれてはじめてのことだから・・・・・・。美女の証である、ぱっちりした目元。真っ白なほっぺたは、とろけるほどに美しい丸みを帯びていて。髪の毛は、雨粒がすべり落ちるほどにつややかでなめらか。そして、ふっくらとした胸元は、ひときわ目を引き付ける・・・・。
「・・・・・・・・・。」
アカメたちに勝るとも劣らない美少女。こんな人がうちの近所にいたとは・・・・・。そんなことを考えていると・・・・・・
「雨、やみませんね・・・・・」
彼女が話しかけてきた。なので・・・・・
「えっと・・・・・・ほ、ほんとですね・・・・・・」
それは、ほとんどひとりごとに近いようなかぼそい声。この雨音の中じゃ聞こえなくても無理はないと自分を慰めることの出来る最低限の音量で。このささやかな雨音の中ですら、掻き消されてしまうような小さな声。だけどーー。
「・・・・・・・ふふっ」
「???」
女の子はにこっと微笑んだ。その瞬間、胸に痺れるように甘い感覚が、じんわりと胸に染み渡る。・・・・・・幻聴じゃなかった。でも、なぜ話しかけてくれたのか、わからない。だけど今、初対面の美少女に話しかけられている。なにか言葉をかえさなきゃ。でも、奇跡が起ころうとも、長続きさせるための言葉一つも出てこない。喉のつまった老人のごとく立ち尽くしていると新品の奇跡が放たれた。
のび太の結婚相手は?
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レオーネ