コンコン!
その後、のび太はクロメの部屋へとやってきた。
「クロメ!」
「・・・・・・・・・・。」
「なんて言ったらいいのか・・・・ごめん。」
クロメはのび太を一瞥して、背中を向ける。完全に怒ってる・・・・。
「わたしのこと、嫌いになった?」
「ううん、全然。」
「良かった。」
クロメは振り向き、いつものようにのび太の胸の中へ飛び込んできた。
「ごめんね。」
こちらを見上げたクロメの目は、少し赤かった。
「でもよかった、演技で。」
「え?」
「のび太に嫌われたら・・・・私・・・・・・・・私・・・・」
クロメの体が小さく震える。こういう時、どう反応したらいいんだ?ありがとうって言うのも変だしな・・・・・
「もしかして相手がアカメだったとしても、僕が二人きりで女の人と飲みに行くのとか、イヤだったりする?」
「うーん、お姉ちゃんはねぇ。私たちの家族だもんね。私より付き合いが長い訳だし。今更やめてって言われても困るでしょう?」
「うん、まぁ・・・・」
「どっちにしても、私はそのくらいじゃ怒ったりしないから気にしなくていいよ。仕事とかでそういうことあるかもしれないし。」
「そ、そう?」
「まあ、そういうことがあってもそんな時は適当に濁しておいてくれればいいよ。怒らないにしても聞いちゃうと嫉妬しちゃうかもしれないし。」
「そっか・・・・・・」
「あ!別にだからってそういうこと自由にしていいっていう訳じゃないんだからね?」
「そ、それは、もちろんしないさ。」
「怒りはしないけど、でも私だけ見てくれていなきゃイヤだよ?のび太は私だけの旦那様なんだから。」
クロメはそう言って、のび太の頬にちゅっとキスをした。しっとりした柔らかい唇。
「ーーねえ、のび太。去年のこと、覚えてる?」
「あの子・・・・・・のこと?」
クロメものび太も、どうやら同じことを考えていたようだ。のび太達は、去年の冬のある日、不思議な出来事に遭遇した。
「九十九ちゃん・・・・だったよね。」
のび太とクロメは『九十九』と名乗る小さな女の子に出会った。迷子だったその子は、何故かのび太とクロメのことを、パパとママと呼んだ。当然、その頃ののび太達にそんな子供がいるはずもなく本当の事は分からなかった。九十九は雪の降る公園で、目の前でのび太達の前から文字通り消えてしまったのだ。
「私達に子供出来るとしたら、やっぱりあの子なのかな。」
のび太とクロメは、九十九は本当に未来からやってきたのではないかと思えて仕方がなかった。
「そうかも・・・・・しれないね。」
あの時ののび太達は将来の事を真剣に考え、話し合っていた。そしてその未来は現実にありつつあった。
「九十九が、私達の子供だったら、嬉しいな。」
「そうだね、いい子だったもんね。」
あの時、九十九を挟んで3人並んで本当の親子のような時を過ごした。二人は今、おそらく同じ事を考えている。しかし、それを言葉にすることに何故かお互いに躊躇してしまうようだった。
「・・・・・・そろそろ、戻ろっか。」
「そうだね。」
結局、のび太とクロメはそれ以上のことを話すでもなくアカメ達の所へと向かった。
この小説は続けた方がいい?
-
続けた方がいい
-
やめた方がいい