「さっきの話し・・・・」
「???」
深夜、墓場でお祈りをしていたサヨのもとにクロメがやってきた。だがサヨは振り向かず、目の前の墓を眺める。
「村の人たちがみんな帝都の方に引っ越したって・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「うそなんでしょ?」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
クロメは辺り一面に広がる墓を見渡す。
「このお墓・・・全部がこの村の人たち、違う?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「聞いたことがある。昔、ある賑やかな村が一夜のうちに跡形もなくなくなったこと。それもたった一人の少年の手によって・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「そしてその少年の名は『やめて、聞きたくない!!』・・・・・・・。」
サヨは両耳を抑えながら声を上げる。
「いつまでそうやっているつもり?」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「情けない。いつまでも過去にこだわって『分かってる!!』 !?」
「分かってるわよ!!こんなことしたって死んだみんなが生き返るわけじゃない。ましてや喜びもしない。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「今の私には家族もいなければ、帰るべき居場所もない。だから前に進むしかないんだ。」
そう言うとサヨは立ち上がり、振り向く。
「それと、調子に乗らないで!」
「???」
「いーだっ!」
サヨはクロメに舌を突き出す。
「私は別に悲しくてここに戻ってきたわけじゃないわ。決戦にむけて色々準備しに来たのよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「サヨはこの村の出身?」
「そうよ。懐かしいなあ・・・・・昔はタツミとイエヤスと一緒に遊んだり、悪戯して村長に叱られたり、剣術の稽古したり、狩りに行って迷子になったり・・・・。」
私はいつもタツミのことを見ていた。
いつだって・・・・
カチャ
「今日は何読んでんの!?」
私の部屋に今日も彼がやってきた。
「もうすぐ読み終わる・・・勇者が魔王を倒して・・・。」
「マジで!?すげぇ。」
生まれた時から体が弱かった私は他の子たちと外で遊ぶこともできず、いつも部屋で本を読んでいた。そんな私にやたらとかまってくる男子。私に出来た最初で最高の友達・・・・・。私は、ほぼ毎日タツミに部屋から連れ出されては色んな遊びに付き合わされた。
ある日、イエヤスが虐められていた。彼を助ける為、タツミは一人でいじめっ子たちにむかっていった。けど
「イエヤス!」
いじめっ子二人がイエヤスを取り押さえる。
「お前が黙って殴られるっていうなら、こいつは許してやるよ!」
イエヤスを人質に取られ、なす術を失う。
「さあ、どうすんだ?」
「・・・・・・・・・・。」
「どうすんだよ?」
「・・・・・・・・。」
「いいんだな?よーし、このぉ!」
いじめっ子たちはイエヤスに拳を振り上げる。
「待て!」
タツミはその場に胡座をかいて座り込む。
「タツミ!」
「ふん。最初からそうしてればいいんだよ!」
いじめっ子たち全員がタツミを取り囲み
ガス
ボス
ドス
ガス
ボス
ドス
ふくろ叩きにする。
「イエヤス、大丈夫か?」
「うーうん、大丈夫。」
フクロ叩きにあったので全身に怪我。しかしそんな状況でも自分より他人を心配するお人好し、タツミ。その様子を見ていた私は声をかける。
「タツミは強いね。それにとても優しんだね。」
「やーやめてくれよ。オレのどこが強いんだよ?」
「ううん。タツミは強いよ、それに優しい。だって優しくなきゃ、本当に強くはなれないんだから。」
「・・・・・・・・・・・オレこれからもっともっと強くなるよ!そしてサヨとイエヤスはオレが守る。」
「うん、ありがとう。」
わんぱくで無鉄砲で怪我しないかいつもハラハラさせられた。そのクセ人のことは心配な性格で・・・・。
ある日、こっそり家を抜け出してタツミと一緒に狩りに出かけた。そして帰る途中で危険種に出くわした。
「どうしょう、逃げられる状況じゃない。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「って、何をしているの!?」
タツミは落ちていた木の棒を手に取る。
「・・・・・う・・・・・う・・・・・・う・・・・・。」
タツミは棒をかまえる・・・・けど、足が震えてる。
「う・・・・・・・う・・・・・・・サ・・・・ヨ・・・・・・急いで逃げろ・・・・・」
「そんなんで勝てるの?」
「無理、でも時間稼ぎくらいには・・・・」
「死ぬつもり?」
「うん、でもいいんだ。」
「???」
「サヨはオレが守る!!」
ドオン
そして何とか二人で危険種を倒した。
「ハア・・・・・・・・ハア・・・・・・・・・・・・。」
「ハア・・・・・・・・ハア・・・・・・・・・・・・。」
「まったく・・・・・・なんて無茶苦茶なのよ・・・・」
全身大怪我を負いながらなんとか私は立ち上がる。
「死んだらどうするの?相手は危険種なのに・・・・。」
「・・・・・お前はオレが守るって言ったろ?サヨは大事な友達だからな。」
タツミは全身血だらけで、うつ伏せに倒れている。
「・・・・・・・ホント・・・・・生意気なんだから・・・・。」
タツミのせいで毎日を命がけで生きる私。でもそんな毎日が幸せだった。
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