ドラえもん のび太のアカメが斬る!   作:雛月 加代

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第十一章:任務完了を斬る

べしっ

 

ガシッ

 

ガガガ

 

ガシッ

 

帝国中にアカメとタツミのぶつかり合う音が鳴り響く。

 

「ハア・・・・・ハア・・・・・ハア・・・・・・・ハア・・ハア・・・・・(この力も長くは保たない・・・。)」

 

「サヨ、お前が何を信じたのか知らないが・・・所詮人間はこの程度さ・・・。」

 

「ハア・・・・・ハア・・・・・ハア・・・・・・・ハア・・ハア・・・・・」

 

肩で息をするアカメに対してタツミは息ひとつ乱れていない。

 

「人間は弱い、醜い、儚い、生きる価値もない、虫けら同然の存在さ。」

 

「・・・・・・・・・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だからどうだって言うんだ。」

 

「???」

 

振り向くとそこには

 

「のび太・・・・。」

 

「遅くなってゴメン、アカメ。」

 

回復したのび太が立っていた。

 

「僕は確かに弱い、けど、・・・だからこそ僕は強くなろうって頑張れる!!タツミにとっては生きる価値もない、虫けら同然の存在かもしれないけど・・・人間は弱いから背一杯あがいて強くなれる。」

 

「・・・・・・・・・・・。」

 

「弱くて、醜くて、儚いからこそ人間は美しいんだ。」

 

その言葉にタツミは眉間にシワを寄せる。

 

「アカメ、ここからは僕一人で戦わせてくれ。」

 

「だが・・・・・」

 

「・・・・・・・。」

 

のび太の目は強い意思を宿していた、その瞳にアカメは何も言えなくなってしまう。

 

「分かった・・・・・・」

 

承知したものの、アカメの心は不安でいっぱいだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行くぞ、タツミ!!」

 

「そうかなくちゃな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガガガガ

 

ガシッ

 

ガガガガ

 

ガシッ

 

二つの剣がぶつかり合う音が国中に鳴り響く。タツミは後ろに飛ぶと小さな炎の弾を連射する。

 

ドオン

 

ドオン

 

ドオン

 

それを瞬時にかわすのび太。

 

「まさか、手負い・・・・しかも帝具なしであそこまで動けるなんて・・・・。」

 

「わああああ!!」

 

「くっ・・・。」

 

タツミは瞬時に左腕を正面から垂直に振り抜こうとするが

 

グサリ

 

のび太の剣がタツミの右腕を切り落とした。

 

「バカな!!こんなことがあるはずがない!!」

 

タツミは信じられないと声を上げる。

 

「確かに君は強い・・・・けど僕を見くびりすぎだ!!」

 

その言葉にタツミは笑みを浮かべる。

 

「流石だよ、のび太。それでこそ戦い甲斐があるというものだ。俺は本当に嬉しいよ!!」

 

こんなにワクワクしたのは久しぶりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、本当の力を見せてやる。」

 

タツミは掌を太陽に向けると凄まじい熱が太陽からタツミの掌へと送られる。

 

ドオーーーーーーン!!

 

「 地獄の業火に焼かれて消えるがいい!!!」

 

タツミは掌を前に勢いよく突き出し

 

「死ねえええええ!!!!!!」

 

貫通力のある黒い炎が直線に放たれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」

 

燃え盛る炎の中から響き渡る高笑い。自分の前では全てが無駄。

 

「燃やせ!!燃やし尽くせ!!!ハハハハハハハハハハハハハ!!!」

 

もう誰も止められない、誰一人何も出来はしない。そんなことを思っていると

 

「僕は・・・・・・」

 

炎の中から光が

 

「何?」

 

「どんなに虐められても、嫌われても、道をはずれても、倒れそうになっても、悪あがきだとわかってても何度でも立ち向かう、周りが立ちあがらせてくれる。そんな人間が僕は好きだ。」

 

「ほう・・・・・」

 

「例えまた騙されても、傷つけられても・・・・僕はもう逃げない。」

 

「・・・・・・・・・・。」

 

「この先は暗い夜道だけかもしれない。それでも信じて進むんだ、人間を・・・大好きなみんなを!!!!」

 

「!?」

 

のび太は右手で破壊の光を放ち、タツミの放った炎を徐々に押し戻す。

 

「小賢しい・・・・・」

 

その言葉にタツミは敵愾心を燃やす。

 

「『はあああああああああ!!!』」

 

周りの有りとあらゆる物が吹き飛び、破壊されていく。余りの衝撃に吹き飛ばされそうになる。互いに一歩も引かない攻防戦が続く。のび太とタツミ。ナイトレイドとイエガーズ。帝国と革命軍。光と炎。慈しみと憎しみ。その全てが今、ぶつかり合う。

 

「はあああああああああ!!」

 

そしてついに決着の時が来た。

 

「!?」

 

のび太の力がタツミの力を凌駕したのだ。のび太の放っていた破壊の光がタツミの肉体を飲み込み

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・のび太・・・やっぱり・・・俺は・・・・間違って・・・ないよ・・・。俺たち・・・、人間ってこうやって・・・・殺し合って・・・ばっかで・・・危ない、生き物・・・なんだ・・・。でも・・・・俺・・・こんな力欲しく・・・なかったよ・・。俺・・・・ずっと・・・貧しくても・・・サヨと、イエヤス・・と一緒に・・村で・・・・・暮らしたかった・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、消し飛ばした。タツミは塵一つ、肉片一つ残すことなく、この世界から消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・タツミの分からず屋・・・・。」

 

最後まで自分を理解してくれなかった頑固な友にのび太は悲しい顔をする。その表情にうつるのは悔しさだけであった。

 

「・・・・・・・・・・・。」

 

すると

 

「のび太・・・・」

 

「???」

 

アカメは優しい笑みを浮かべる。

 

「任務・・・完了だ。」

 

アカメの言葉にのび太はゆっくりと頷く。

 

「ありがとう。ちゃんと約束守ってくれたな。」

 

「・・・・・・・・・・。」

 

するとアカメが手を差し伸ばす。

 

「さっ、帰ろう。」

 

「・・・・・・・・・・うん。」

 

のび太とアカメは手を繋ぎ、歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

こうして千年にわたり繁栄した大帝国は今ここに崩壊した。帝国最強の帝具も英雄(ドラえもん)たちの帰国で歴史からその姿を消した。帝国に平和が戻ったのである。

のび太の結婚相手は?

  • 静香
  • ジャイ子
  • 梨華
  • なつみ
  • その他

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