ドラえもん のび太のアカメが斬る!   作:雛月 加代

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第十章:本番を斬る (前編)

「・・・・・・・・・・・・。」

 

本番五分前、のび太はジュリエットの衣装を着たアカメに心を奪われる。

 

「何をしている?もうすぐ本番だぞ!」

 

「えっ!?ああ、うん。」

 

アカメの言葉で我にかえり、彼女の隣に立つのび太。するとアカメはふっと笑い出す。

 

「???」

 

「こうしていると帝都にいた頃を思い出す。あの頃もこうやってお前と一緒に戦っていた。お互いに背中を、命を預けながら。」

 

「そうだね・・・・・。あれからもう三年経つけど・・・・・君は全然変わらないね。大食らいでマイペースなアカメのまま。」

 

「お前も・・・・・意気地なしでのんきなのび太のままだ。」

 

そう言いながら二人は見つめ合い、笑みを浮かべる。

 

「さっ、行こう。」

 

「ああ。」

 

 

 

 

 

 

こうして劇の本番が始まった。

 

観客席に座るのはドラえもん、レオーネ、シェーレ、のび太の両親、スネ夫の母、そしてジャイアンの母。

 

「楽しみだな〜。」

 

そして舞台の幕が上がった。

 

「おっ、出てきた。あれ?随分派手な衣装だな。」

 

「本当だ、まるでロミオみたい。」

 

のび太の服装に違和感を覚える野比助たち。

 

「ロミオみたいじゃなくて、あれロミオなんじゃないの?」

 

「そんなはずは・・・・・ロミオはアカメのはずじゃあ・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ロミオ、ロミオ。どうしてあなたはロミオなの?その家名をお捨てになっててくれたなら、私も家名を捨てるのに。」

 

観客は静まりかえる。アカメのジュリエットに彼らの心が引き込まれていく。

 

「その言葉、確かに頂戴いたします。ただ一言、僕を恋人と呼んでくれたなら、その言葉こそ新しき洗礼、今日からはもう、僕はロミオでなくなります。」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして観客席では

 

「それにしても、なんでのび太くんロミオやってるんだろう・・・・」

 

「いいじゃん、理由なんてどうだって。」

 

そう言いながらレオーネたちはアカメに視線を向ける。

 

「そうだね。」

 

「アカメったらとってもいい顔してますね。」

 

「フフフ、ホント。よかったわねアカメちゃん。」

 

劇の内容に玉子たちは満足する。

 

 

 

 

「すごい息ぴったり!これは嬉しい誤算だわ。」

 

「本当だね。源さん相手の時はどこかぎこちない感じだったのに、今はすごく自然な感じ・・・本当の恋人みたいに見えるよ。」

 

「アカメちゃん嬉しそうにぴったりくっついてる・・・・すごいね、本番になるとさらに恋人同士って感じが出ててさ。」

 

「二人の恋にもう夢中だよぉ〜っ!台本見てるはずなのに、先がきになるぅ〜っ!」

 

「学園祭の劇だからって、舐めてたけど、とんでもねぇよ。」

 

舞台袖や客席から、声が聞こえてくる。

のび太の結婚相手は?

  • アカメ
  • クロメ
  • チェルシー
  • シェーレ
  • レオーネ

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