SF   作:黒神 真夜

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覚醒の承

工業の世界を生き抜くには、豊かな発想能力とそれを実現させる器用さ技術力がいると...父が酔った時に私に話したのを覚えている。

中学2年生の頃、特に部活に入ることなく、平凡に日常を消費していた。

東京オリンピックを境に日本の技術力は大幅に進歩して、車はほとんど自動運転化、水素エンジン化した。私はそんな事に興味はないけど、父が水素エンジンの愚痴を毎日言うからそれぐらいは覚えた。父が暇なら車の免許を取れとかエンジンのバラシ方を教えようとか色々誘って来たけど興味なんかなかった。

私はただ、平凡に中学生活を過ごしたかった。イレギュラーなんて要らない。50点の日常が欲しかった。

 

そんなある日、父の会社がマグネシウム合金の改良金属2NDASTMの開発、特許取得に成功したらしい。

マグネシウム合金は車の次世代採用金属候補として着目されていた、合金である。

なぜ着目されていたかと言うと、それは軽さである。

マグネシウム合金は軽量金属の主流、アルミニウム合金の重量の3分の2しか重量がない。それでいて振動吸収性も良い金属である。車にはマグネシウム合金ホイールや近年ではエンジンでも使用されている。

しかし、そんなマグネシウム合金だが、もちろん弱点はある。

それは燃えやすい、加工がしにくい、加工がしにくいから値段が高いなどがあった。

それを完全改良したのが2NDASTMと言うことになる。

 

早速、2NDASTMで構成されたエンジンが来月草レースでだがデビューするから、その時見に行くぞと言われた。

レース当日、父と2NDASTMで構成されたエンジン搭載車NDロードスターを見せてもらった。2NDだけにNDロードスターなのかなと冷たいギャグのせいでリアルに震えたのだけを覚えてる。

 

レースが始まった。父の紹介ということもありピット内で試合観戦をさせてもらえることになった。

 

レースに参戦する車一覧を眺めるが車に興味の無い私はその参戦している車が速いのかすら分からない。

だけど、さっき見たNDロードスターの兄弟車なのか知らないけどNAロードスターと言う名前の車だけは妙に気になった。

父曰く、隣がそのNAロードスターのチームピットと聞いたので、ちょこっと覗き込む、NAロードスターで参戦してたチームはチーム名が中学校の名前だったので既に察していたがチームメンバー全員が中学生だった。自分と同い年か+-1年の子達が刻々と変わるサーキット内の状態をドライバーに連絡している。誰も50点なんか目指してない。100点を目指していた。

 

私とはやる気が違うんだろうなと思っているとピット内で作業をしてた女の子と目が合った。草レースとは言え試合は試合、そんな時に相手の拠点を覗くなんて失礼だし、やっちゃいけない事だ。急いで顔を隠して無かったことに...出来たか知らないけどした。隣のピットから

「どうしたの?よしむら」

 

「なんでもないよ、やまき」

と聞こえてくる。私とほぼ同年代であんなに生き生きとしていて楽しそうだなと思う。

 

レースの結果はボチボチと言った感じだった。

エンジン重量とミッション重量を軽くしたこと以外改造してないから、当たり前と言えば当たり前の結果だった。

 

だけど、私は今日のこのレースを見て平凡な日常は辞めようそう思った。

 

まずは、車の免許を取得した。そこからは、毎日父にエンジンのノウハウを叩き込まされる日々を過ごした。

 

そんな事をしてたら、あっという間に中学3年の秋になっていた。

中学生活でこのまま、何の成果も得られるず終わるのも味気ないので、エンジンOHの大会に出ることにした。

1年と半年、エンジンをバラしてた実力は圧倒的で、余裕の1位で優勝することが出来た。

ここで、優勝出来たから今思えば東雲工業高校にスカウトされたんだろうなと思う。

 

「...ちょっ」

ん?何か聞こえてくる。

 

「ちょっと。起きてよ」

と。激しく揺さぶれる。起き上がって揺さぶってた本人の顔をみる。

 

「芳村か...あと1時間寝させてよ...」

 

「駄目、ゴールデンウィーク中にエンジン組むって決めたんだから、ほら。やりますよ」

折角のゴールデンウィークなのに、休む暇もないなんて、ケチな世の中になったなと思いながら、ガレージに向かう。

春の夜風が何とも気持ち良かった。

 

ガレージの鍵開けると、そこには蒼く輝くスープラが眠っていた。私達がこのスープラのエンジン2JZ-GTEを280馬力から598馬力付近にまで改造しないといけないらしい。

 

「それで、芳村作業長...具体的な改造内容は?」

 

「作業長って...けどね、岩森、あれを見て見なさい。」

そう言って芳村はガレージの奥の方にある、ダンボールを指差す。中身を確認するとそこには...カムやECU、タービン、コンロッドなど沢山入っていた。

 

「芳村、よくこんなにたくさんのパーツ仕入れたね。」

本当に感動した...どれも新品でその質感にうっとりしてしまう。

各パーツには、WPC処理、DLCコーティングがされてあり、細かいとこまで手を抜かない、芳村のやる気が伝わってきた。

 

「叔父経由でね、何とかなったんだ、エンジンに詳しい岩森なら、私のこだわりポイントも分かってくれると思うだ。」

そう言って、芳村はコンロッドとバルブを渡してきた。

持ってみると...異常に軽かった

 

「これ、幾ら何でも軽くない?アルミ製?」

そう言うと芳村は、指をノンノンと言いたそうに振っている。なかなか、可愛らしい動作だった。

 

「コンロッドとバルブはチタンにしたんだ。NSXの特権を奪っちゃた感じだけどね。」

 

「なるほど、軽量化とより正確な運動性の追求ってことかな?」

そう言うと、芳村がコクコクと頷いている。

 

「それで、カムとクランクシャフトは中空の物をマフラーはオールチタンを使うから。大分軽くなると思うんだよね。」

 

「それは、凄いことになりそう。けど、よくそんな軍資金集まったね。」

 

「それはね、自分達の学校に早速2件もスポンサーが着いたんだって、それで資金を頂いたんだ。」

 

「なるほどね、なら尚更いいエンジン組まないとね。」

そう言って私と芳村による。2JZ-GTEの改造が始まった。

 

まずは、エンジンを1度バラす。この間気をつけないといけないのは、写真を撮ったり、そこに使われてるボルトを順番通りに並べたりして、もう1度組む時に間違えなく組めるように準備すること。

ボルトは使わない封筒などに、そのボルトがどの部品に使われてたかをメモして同封すると、失敗しにくい。その間前にどれぐらいの力で絞めていたかを調べることも忘れないこと。

取り敢えず。今日はエンジンをバラして終わりと言うことになった。芳村は寄らないと行けない所があると言って、闇夜に消えていった。

 

家に帰って、すぐにお風呂に入り、汗と油の匂いを落とす。

今年のゴールデンウィークは代休などが重なり10日もあると言う。本当にゴールデンウィークだなと思えるぐらい日にちがある。

芳村は、あんなに軽量化にこだわっている。他に軽量に出来る所はないかなと...考えていると、思いついた...あるじゃないか..早速頼まないと...そう思い風呂を上がった。

リビングに向かうと父がいた。

 

「あの...お父さん...頼みたいことがあるんだけど...」

そう言った後、私と父は春の闇夜に消えていった。

 

それから、3日間、芳村が用事があると言って休みになった。

まぁ、その気になれば1~2日ぐらいで一応は組めるので別に心配ではない。むしろ、作業を中断してもらえた方がコチラとしては有難い。芳村から休ませて頂きますと言う内容のメールを見た後自分も作業に入ることにした。

父の会社の製図室にあるドラフターを1つ借りて、目の前にある無骨なオイルパンやシリンダヘッドなどを見つめる。

製図は暇な時にやっていたので、一応はできる。

よし、やりますか。そう自分に言い聞かせ作業に入った。

 

3日後、芳村との待ち合わせ時間の30分前にガレージに入り、運送物の整理をしていた。すると、ガレージのドアがなんの抵抗も無く開いた。入ってきたのは芳村だった。手にでっかい封筒を抱えている。

 

「早いね。どうしたの?」

 

「岩森こそ、ちょっと...意外かな」

そう、冗談半分で言ってくる。彼女が動くたびに封筒から、小気味よい金属音が響く。

 

「芳村、その封筒何が入ってるの?」

 

「気づいちゃった?まぁ、気づくよね...」

そう言って芳村は封筒を丁寧に開けていく。

中から出てきたのは、蒼い金属光沢を放っている...ボルトだった。

 

「芳村...これは...」

そう...聞いたことはあったけど...こんなことをしたエンジンは見たことない。

 

「これはね...64チタンボルトだよ。」

そう言って芳村はボルトを手に取ると軽いねと言って、はしゃいでる。芳村って、もしかして結構オカルトチューン信じる人なのかな...まぁ、私も人のこと言えないよね。

 

「芳村...このボルトどうやって手に入れたの?」

64チタンはモータースポーツなどで注目されている金属だ。

 

64チタンはTi-6Al-4Vと書くそうだ。

これは、チタンにアルミ6%、バナジウム4%を配合しているからと言うことらしい。

 

64チタンがなぜ、モータースポーツなどで注目されているかと言うと、それは強靭的な強度や耐久性、軽量化などからだろう。

64もだが、チタンは錆びない。この事から車のマフラーなどにも使われている。

そして、アルミほどではないがチタンにすることによりかなりの軽量化ができる。

しかし、ここで出る疑問はなぜ、アルミにしないか?と言うことだろう。

アルミの方が軽いなら、アルミにするべきと思うかもしれないがそうではない。

アルミは軽いがそれ言えに脆いのである。

一方チタンは、軽さではアルミに一歩引いてしまうが、引張り度などでは、少し高級な7075アルミ合金でも約2倍の引張り度を誇る。

この事から見れば、誰もが使用するボルトは全部64チタンにすればいいと思うかもしれないが、本物の64チタンボルトは1本1500円ぐらいもする、超高級金属なのだ。

そんな、高級ボルトが、今目の前に大量にあるので、驚くのも無理はないと思う訳だが...

 

「岩森、前にスポンサーが付いたって言ったの覚えてる?」

 

「なるほど、そういう事ね」

まぁ、スポンサーが部品提供をしてくれたという事だろう

 

「有難いことだね。早速組み込んで行こうか。」

芳村が秘密兵器を紹介した。

まぁ、秘密兵器を準備したのは芳村だけではない。

私は、ブルーシートで隠していた物を晒す。

 

「岩森...そこに置いてあるものってなに?」

 

「2JZ-GTE用の試作品なんだけどマグネシウム合金製のオイルパンやシリンダヘッドとか作ったんだけど...どうかな?」

 

「これ...岩森が作ったの?」

 

「設計は自分だけど、作ったのは2NDASTMって言う会社だよ」

私が設計させてもらった、このオイルパンなどは、余計な部分などを肉抜きしている。これによって、もしかしたら...不具合が発生するかもしれないのであくまでも、試作品ということにした。

 

「凄いよ...岩森。やっぱり岩森に頼んでよかった。」

そう言って芳村が頭を撫でてくる。

 

「よ、芳村?」

 

「あっ、ごめんね」

そう言って、芳村が後ろへ退る。

芳村が撫でてくれた所に温もりが残って何とも言えない感じになる。

 

「べ、別にいいけど」

ツンデレみたいな口調になってしまったが、まぁ、いいだろう

 

エンジンを組みはじめる。オイルパンなどをバラシて2NDAMSTの物に付け替え、64チタンボルトで取り付ける。

64チタンボルトが蒼く輝く、その蒼さに吸い込まれそうになる。

カムシャフトなども純正からより良いものに付け替える。

プーリーなどもジュラルミンなどに付け替え軽量化。

すべて、芳村の計画通りに進んでいる。

 

「芳村、この改造計画書ってどうやって練ったの?」

 

「私、設計図とかが無いと、できない人だから、ネットとかで付けたいパーツ見つけて、600馬力に近くなるように計算アプリで計算してって感じかな...」

 

「芳村...すごいと思うよ。」

そう言って私も芳村に撫でられたのを返そうと思って近づくが、手が油まみれなので辞めた。

 

バランス取りなどを終え、エンジン組み立ても、いよいよ最終段階に近づいた時、ガレージが開いた。

 

「芳村さん、岩森さん、お疲れ様です」

そう言って、コンビニのビニール袋を手にぶら下げ、ガレージに入ってきたのは、佐々木さんだった。

 

佐々木さんから、飲料水を受け取って休憩に入ることにした。

 

「佐々木さん、わざわざ、ありがとう」

 

「いえいえ、さん付けじゃなくて、けんとか佐々木でいいですよ。」

 

「そ、そうかな、じ、じゃあ。けんちゃんとかで」

芳村の底辺レベルの対人スキルが火を吹いていた。

 

「はい、なんですか?朋ちゃん」

そう言い返されると、芳村がグラついていた。

私もまた今度、朋ちゃんと言ってやろう、そう思った。

 

「それで、エンジンの方はどうですか?」

 

「いい感じだよ。ECUを煮詰めたら598馬力に行くし。軽量化もバッチリかな。」

 

「そうですか。このボルト1本を見れば分かりますよ。朋ちゃんと加奈江ちゃんの頑張りが」

 

「64チタンを使ってるからね。軽いよ。」

そう言うと佐々木がガレージのドアを開ける。

 

「その軽量化に私も手助けさせて頂きたくて、ここに来たんですよ。」そう言って、佐々木が炭素繊維の塊を持ってきた。

 

「これは?」

芳村が、手に取り、うわー軽いとか言って喜んでいる。

 

「一応、エンジンカバーとインテーク等パイプをcarbon+で作ってみたんですけど、どうですかね?」

 

「あ、ありがとうございます。けんちゃん、大事に使わせて貰います。」芳村も佐々木と仲良くなったみたいで、安心した。

 

佐々木が荷物を下ろすと、そのまま作業の邪魔になりますよねと言って帰っていった。

 

佐々木が作ってくれた、エンジンカバーにロゴが刻まれていた。2ND-GENERATION’Sと書かれていた。

この、ロゴの意味が理解できた気がする。

この、エンジンはもう、次の次元に進化したと思う。

 

通常、エンジンのチューニングは馬力上げだけ、エンジンを軽くするのは、そのパーツをつけた時にいい素材だったら生まれる言わば副産物みたいなもので軽量化される。

 

しかし、このエンジンはどうだろうか。

600馬力は叩き込めれるような仕様になり、更にエンジンは大幅に軽量化されている。新次元のチューニング。

これを実現しようと設計した女が、目の前にいる。

大したビジョンだよ。と尊敬する。

 

エンジンを組み終わり、車内に戻す。

配線を繋いで、エンジンがかかるのを確認すると、ホッとする。

これで、エンジンチューンは終わった。後はコンピュータのセッティングな訳なんだけど。ここで一つ引っかかる。

 

「ねぇ、芳村ってコンピュータいじれるの?」

 

「え、えーと、その...できません。」

 

「あれ...私もできないけど...」

ここは、父に頼もうかと思ったが...流石にこれ以上負担は掛けられない。

 

「情報電子科に、誰かいじれる人いないかな?」

 

「さぁ、取り敢えず、明日行ってみようか。」

 

そう言って、ゴールデンウィーク5日目は終わりを告げた。

 

私は、中学時代、部活に入っていないので、ゴールデンウィークに学校に来るのは、人生で初めてだ、私も偉くなったな...と感心しながら情報電子部にお邪魔する。

 

「失礼します。」

芳村と共に、入室する。

部室に入ると、ポッキーゲームをしている女子2人とそれを見ながら、スケッチしている1人がいた。

 

「...お邪魔しました。」

そう言って、部室のドアを閉めた。

 

「岩森...ごめんね、部室間違えたみたい...」

 

「うん、いいよ。失敗は誰にでもあるよ。」

そう言って私達は、情報電子部を後にしようした。

 

「そんな訳、あるかーー」

そう、後ろから叫ばれ、ドアが勢いよく開いた。

 

「え...いや、その私たち間に合ってますから。」

 

「いや、そんな蔑んだ目で見なくても...誤解だから...多分」

 

「え?あれに誤解とか...面白いこと言いますね。」

 

「ちょっと、話聞いてもらえますか。」

そう言われ、部室に再び入室する。

 

「それで...えっと...なんですっけ?」

 

「反応が冷たい...えーとね、ポッキーゲームしてたから、アウトって思ったんでしょ?」

 

「え?あれでアウトじゃなかったら...警察要らないですよ」

我ながら、リターンがかなり強烈だなと思う

テニスだったら、リターンエース確定だろう。

 

「わ、分かったから...その。この2人には...私の本の題材になってもらってたのよ。」

 

「え?百合本ですか?」

突如、横から声がする...よ、芳村...しかも結構食い気味だ

 

「まぁ、そう言うのかな...新刊のビジュアルが決まらなくてね...モデルになってもらってたの。」

 

「へぇ、そうなんですか。え?イラストレーターか、なんかですか?」

 

「まぁ、一応...HKNってサークルで」

 

「え、HKNですか、私大ファンなんですよ。」

そう言って、芳村が蔑んだ目から神を見る目に変わっていた。

え、HKN...車のチューニングメーカー、HK...う、頭が...

そんな、私に構うことなく、芳村とHKNと名乗る子のトークは激熱する。

 

「HKNさんのイラスト毎回楽しみにしてます。これからも頑張ってください。あ、サインとかって...」

 

「あ、いいよ。何か描くものある?」

 

「あ...今、手元には...ッ...待ってください」

そう言って、芳村はバックの中から、金属製の色紙(ECU)を手渡した。

 

「芳村...お、落ち着こう。」

思わず、止めにかかった。いや、ECUは、マズイでしょう。

 

「これって...」

それを見たのか...HKNと名乗る子は声を上げる

 

「あの、その、自分達、ECUセットアップしてもらいたくて、来たんですけど...」

 

「...そう...いいよ。やってあげる」

 

「え?いいんですか?」

 

「もちろん、任せて、だけど...流石にタダではな...」

 

「も、もちろん、お金は多少なりは...」

 

「ノンノン、甘いね、ピンクロングちゃん」

 

「ピンクロングって...」

私のことか...

 

「私は...お金じゃなくて、癒しを求めているのだよ。」

 

「癒し...ですか?」

 

「そうそう、ココ最近、ブランクって言葉は使いたくないけど、どうも書けなくてね。だから、モデルも用意したけど...なんとも」

 

「なるほど...それで...」

 

「うん、だからね...モデルやってくれない?」

 

「はい?」

思わず、声を上げた。

 

「うん。だから...絵のモデルだよ...この子達みたいに、ポッキーゲームなり、なんかするんだよ。」

 

「はい、HKN様のためなら、なんでもさせて頂きます」

芳村はもう、もはや、奴隷かのように賛成した。

 

「よし、なら、早速、モデルちゃん頼んだよ。」

 

「はい。任せてください。」

芳村は、そう言って、腕まくりをする。

まぁ。ここは、芳村に任せて、家帰ってゲームするか...

そう言って、身支度をするが...手を取られる。

 

「えっと...?」

 

「あなたもよ、ピンクロングちゃん」

...完全に立場が逆転してしまった...

芳村が前、我が家を飛び出した理由がわかった気がする。

 

嘘だァァ...

 

そう叫びそうになりながら、見た空は...蒼かった...


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