幻想支配の幻想入り   作:カガヤ

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1年以上も経ってしまった・・・


第159回 「ステージ4:白玉楼」

紅魔館でいつも通りの騒がしい一夜を過ごした後、俺と文は次の取材場所、白玉楼に向かった。

 

「そう言えば文、これまでの取材でいい写真撮れたのか?」

 

俺としては紅魔館以外では見栄えを重視した動きをしてきたつもりだけど、撮影取材なんてやった事ないからうまく出来ているか自信がない。

 

「そうですねぇ、昨日も寝る前にチェックしたのですが、特に問題は……ないですね。見てみますか?」

 

今一瞬間があった気がする。

ともかく、文からカメラを預かり撮った写真を見てみる事にした。

 

「いやぁ、前までのカメラよりも沢山写真を保存出来て大助かりですよ」

 

文が使っているカメラは、俺のスマホを元に最近にとりが大幅に改造したらしい。

今までは撮ってすぐに印刷できたがフィルムを携行しなければならず、沢山写真を撮るとなるとその分に荷物になっていた。

けど、改良した事でデジカメと同じ性能になり、撮った写真は保存してすぐに見れて、簡単な編集はいつでもできるようになり、保存枚数も増えた。

流石に新聞に使うようにするには家に帰ってから印刷しないといけないみたいだが。

 

「にとり、と言うか河童の科学力はすごいな」

「河童の中でもにとりは変わり者ですからね。よくあなたのいう学園都市に行ってみたいってぼやいていますよ」

 

もしも、にとりが学園都市に行く事が出来たら絶対興奮のあまり失神しそうだな。

 

「で、どうですか? よく撮れているでしょう?」

「撮れてはいるが、なんで俺のドアップばかりなんだよ」

 

確かによく撮れているが、俺の写真でいっぱいだった。

 

「え“!? あわわわっ、ま、間違えました! こっちです、こっち!」

 

どうやら俺に見せるデータを間違えたらしい。

フォルダわけとか器用な事出来るんだなこのカメラ。

 

「へぇ、こっちは綺麗に撮れてるんだな」

 

俺がチルノや永琳達の弾幕をかわす構図を見やすい角度からしっかりと抑えている。

紅魔館で俺のクローンもどきを殺した写真は、やっぱり弾幕ごっことは程遠いスプラッタで新聞には使えないな。

 

「というわけでこの調子でお願いしますね。と言ってもあとは白玉楼に行けば終わりなんですけどね。もう十二分に撮れましたし」

 

俺としては少し物足りないが、文が満足そうならそれでいいか。

 

「……はぁ~」

 

って、あれ? なんで今は呆れ半分不満半分な顔なんだ?

 

「もう少しくらい反応してもいいと思うんですけどね」

 

なんてつぶやきが聞こえたが、何に反応すべきだったか分からないのでほっとこう。

 

 

こうして俺達は冥界に着いた。

ここでは妖夢と弾幕ごっこやればいいのかな。

白玉楼に続く長い階段を歩いていく進む。

前は飛んで行っていたが、こういう階段は歩いて進むものだと藍に教わったので歩いていく、文も同じくだ。

そして、階段の上、白玉楼入口には妖夢が待ち構えていた。

 

「師匠、文さん。白玉楼にようこそいらっしゃいました」

 

妖夢は、俺が弟子にしてから初めて訪れた時みたいな丁寧なお辞儀で出迎えた。

 

「そんな仰々しい挨拶はいらないっての」

「いえ。今回はお客様ですのでこれくらいはしないといけません」

 

真面目な所は変わらないな妖夢は。

妖夢に白玉楼まで案内され、幽々子と挨拶した。

 

「妖夢ちゃんったら、今朝は日が昇る前から門であなたを待っていたのよ。おかげで朝食は少なかったわ」

「よ、余計な事言わないでください幽々子様! それに、朝食はちゃんとおにぎり30個作っておいたんですからそれで充分でしょう!」

「どこから突っ込もうか」

「とりあえず待っていたのはユウキさんだけなんですねぇ……」

 

なんだか埒が明かなさそうなんで、とっとと始めた方が良さそうだ。

 

「じゃ、始めようか妖夢」

「えっ? はい? あ、では……」

「ちょっと待った!」

 

妖夢と弾幕ごっこを始めようとしたが、幽々子に止められた。

 

「ダメよ妖夢ちゃん? 今回は私が彼のお相手をするんだから」

 

どうやら今回の相手は妖夢じゃなく幽々子のようだ。

 

「いっつも妖夢さんと弾幕ごっこしていて少々飽きがあるので、今回は幽々子さんにお願いいたしました」

「そういえば前に見た蝶の弾幕は綺麗だったっけ。幽々子の方が写真写りは良いか」

「まぁ~ユウキちゃんったら、私が綺麗だなんてありがとう♪」

「幽々子様、師匠が綺麗と褒めたのは幽々子様の弾幕ですよ」

 

主従コントは紅魔館だけでいいんだけど。

 

「どっちが相手でも俺は構わないからさっさと始めようか」

 

ちょっと試してみたい事もあるからな。

 

 

こうして、俺と幽々子の弾幕ごっこが始まった。

 

「そういえば、幽々子とやるのは初めてだよな」

「ふふっ、だからやってみたかったのよ。まずは小手調べね」

 

幽々子の周りに水色と黄色の球体が浮かびあがり、そこから二色の弾幕が放たれた。

小手調べ、という割には結構な密度だが。

 

「この程度じゃ、まだまだ使えないな」

 

綺麗だけど単純な動きなので空中を舞うように飛んで避ける。

これまでの取材で少しは学習しているつもりなので派手に演出してみた。

だけど、文的には見栄えに不満があるのかカメラを構えていてもシャッターは押していない。

この程度の動きなら今まで散々やったしな。

 

「あら物足りなさそうね。じゃあ、これならどうかしら?」

 

2色の球体が俺を取り囲むように浮かび、弾幕が濃くなってきた。

だけども、これでもまだまだ手ぬるい。

跳び上がる必要もなく、身体をひねる程度でかわしていける。

 

「これも簡単にかわしちゃうわね」

「単調すぎるな。フランの弾幕の方が面白かったぞ」

「ふふっ、そうね。伊達に悪魔の妹さんの家庭教師をやってるわけじゃないわよね」

「家庭教師をしたつもりはないんだけどな」

「それじゃ、そろそろスペルカードを遣おうかしら、【幽雅・死出の誘蛾灯】」

 

さっきの直線的な弾幕と違い、今度の弾幕は曲線を描いている。

しかも、幽々子の背後に扇型の壁が現れて弾幕の合間を縫うように、さらに大きめな赤い弾幕が放たれてくる。

 

「これなら満足いただけるかしら?」

「うーん。確かにさっきよりはマシだけど、それでも」

 

弾幕の隙間を見切って、一気に幽々子の眼前へと距離を詰めた。

幽々子が少し驚いた顔をして、妖夢があっと声をあげた。

やったのは、文の風の力で一気にブーストをかけて詰め寄っただけだが。

 

「あらあら、やっぱりあなた素敵な顔付きよね。うちの子にならない? 妖夢も喜ぶわよ」

「ちょっ、幽々子様!?」

「今彼は私のもの……私の助手で仕事中なんです! 勧誘は別の日にやってください!」

 

外野が騒がしいけど、無視。

 

「あいにく仕事中なんでね。勧誘はお断りするよ」

「あら、残念。じゃあ、代わりにもっともっと過激にしてもいいわね 【蝶符・鳳蝶紋の死槍】」

 

背後の扇が更に大きくなり、今までよりも密度が高い弾幕が放たれた。

いや、放たれたというか弾けたと言った方が正しいか。

それにこの弾幕は、速度が少し遅く展開している。

素早い弾幕よりもよけにくいんだよな。

 

「えいっ♪」

 

さらに二色の槍のような形をした弾幕が高速で放たれた。

遅い弾幕で動きを制限して、この槍で確実に当てるつもりだろう。

しかも、槍を避けても軌道上に弾幕がばらまかれているので更に避けにくい。

 

「流石、ここまで来るとやりにくいな」

「ふふっ、ユウキちゃんのご期待に応えてみたのだけど、どうかしら?」

「あぁ、これなら十分だ」

 

地面に降りて文の力を解除する。

 

「えっ、ちょっと、何をしてるんですか!?」

 

文は、俺から自分の気配が消えた事で、能力を解除した事に気付いたようで声をあげた。

 

「まぁ、見てろって」

 

両手のナイフに力を籠める。いや、籠めるだけではなく、水を注ぎ込み、砥石で砥ぐイメージ。

ナイフに力が行き渡った感覚がして柄の水晶がキラリと光った。

後は、これを一気に解き放つ!

 

――ブオンッ

 

鈍い音と共にナイフから半透明な白色の刀身が伸びた。

そして、弾幕を次々と切り裂き、槍型の弾幕すら斬り割くことができた。

 

「あららっ?」「わぁ!」「なんですかそれは?」

 

突然の新技に三者三様の反応だ。

 

「ひょっとしてそれって妖夢の真似かしら?」

「まあな」

 

以前、西行妖を斬った時に使った、霊力で刀身を伸ばす妖夢のスペルカード、迷津慈航斬。

元々魔理沙の魔力など幻想支配でコピーした力や俺自身の力をナイフに纏わせる事はした事があるけど、あのスペカのように刀身を伸ばせるように出来ればもっと使い勝手が良くなると思った。

 

「うん、消耗もない。いい感じだ」

 

今まで何度か試しては見たけど、ただ力を放出するだけですぐにバテたりうまく刀身が伸びなかったりと実践で使えるものではなかった。

けど、今回の竹林で力のうまい流し方分かってやっと成功出来た。

これならもっと文も取材の見栄えが良くなるだろうな。

 

「じゃあ、早速試させてもらうわね、それっ!」

 

幽々子のスペカが再開された。

それもさっきまでより弾幕の密度や速さ、全体的に勢いが増している。

これでは避けるのは難しい。

 

「なら、こうだ!」

 

ナイフ、いや、刃が伸びもう刀と化した得物を振るう。

それだけで弾幕が二色の槍に撥ね返されて消滅した。

それを観た幽々子の目付きが鋭くなり、普段ののほほんとした雰囲気が一変した。

 

「もうHardじゃ物足りなさそうね。なら最後のスペルカードは、Lunaticにいきましょうか【死符・酔人の生、死の夢幻】」

 

幽々子の身体がまばゆい光を放ち、球体となって高速で俺の周りを飛び回った。

同時に今まで一番速く、濃密な弾幕が放たれた。

これは、避けるのではなく迎撃するしかない。

 

「……はぁ~」

 

深く息を吐き、脳裏に鞠亜だけではなく天草式の皆や美鈴がよくしている演武の動作を思い浮かべる。

両手の刀をクルクルと回転させながら流れるような動きで、斬る。

身体を捻りながら刀を滑らせ、弾幕を斬る。

地面を蹴りきりもみ回転しながら、弾幕を斬る。

ただ斬るだけではなく、身体全体を動かして斬る。

斬られた弾幕は弾かれて他の弾幕へとぶつかり色鮮やかな小爆発を引き起こしてもいた。

これがてゐの言っていた舞踊なんだと思う。

 

やがて、幽々子のスペルカードの時間切れとなり弾幕の嵐はようやく収まった。

 

「あらぁ~もう終わっちゃった。ユウキちゃんともう少し遊びたかったわね」

「ふぅ……思ってたより疲れないな」

 

あんなに力を使って激しく動いたというのに疲労感は少ない。

 

「お疲れさまでした。いやぁ~今までで最高の出来でしたよ!」

 

文が今まで一番満足な笑みを浮かべているって事は、今の動きが一番写真写りがよかったようだな。

 

「師匠、ずっとあんなに回っていて、気持ち悪くなっていないですか?」

 

妖夢が気になってるのはそこかい。

 

「あぁ、そっちも特に問題ない。こういうの慣れてるしな」

 

「で、ユウキさん。さっきのスペルカードなんですけど、何ですかあれは?」

 

さっきまで上機嫌だった文だが、急に不機嫌になって俺に詰め寄ってきた。

なんですかと言われてもな。

てかアレもスペルカードになるのか。

 

「私の力使ってくださいよ!」

 

気にしてるのそこか。

 

「文の力使えばあんな芸当簡単に出来るだろうけど、俺の力だけですることに意味があるんだよ。写真写りはよかっただろ?」

「それは、まぁ、花火みたいで綺麗でしたけど」

 

文だけじゃなく他の人の力でも同じように刃を作る事は多分出来る。

でも、それじゃいざって時の俺の切り札にならない。

 

「もう1つの目的としては成功なのだけど、なんか納得いかないわ」

 

小声で何か言っているけど、無視しておこう。

 

「じゃあ、これで取材は終了か。お疲れ様~」

「はい。お疲れさまでした……じゃないわよ」

 

と、帰ろうとしたところで幽々子が手を握って止めてきた。

 

「ん? まだ何かあるのか幽々子?」

「つれないわねユウキちゃんは。せっかくおもてなしの用意してるんだからもう少しゆっくりしていきなさいな」

 

幽々子がそう言うと、妖夢も全力で首を縦に振っていた。

 

「だとさ、文。どうする? もう取材に行くところないんだろ?」

「ないと言えばないですけど……はぁ、こうなるとは思ってたので構いませんよ」

 

こうして弾幕取材は終わった。

 

のだけど、まだ全て終わってない気がするんだよな。

 

 

続く

 




これでノーマルステージ終了、次からはエキストラステージ
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