夕焼けに誓う幼馴染達 作:椿姫
奏さん達と昼食を食べ終えてから僕達は演劇の発表がある体育館に移動している。ひまりは依然として僕の腕に絡んでいる。
「薫さんの演劇見るの楽しみだなぁ〜、ね?ゆうま?」
「そうだね。っていうか相変わらず薫さんのこと好きだよね?」
「だってカッコイイんだもん!でも…」
言葉を止めてひまりが耳打ちをしてくる。
ーーーゆうまもカッコいいし、大好きだよ♡
「!?」
突然の不意打ちにびっくりしてしまう。
「どおしたの?ゆうま?」
ひまりはニヤニヤしながら色っぽい目で見てくる。
「な、なんでもない…」
「ん〜?」
「雄天もひまりもイチャつくのは良いけど…行列の中でイチャつくなー。暑くなっちゃうからよ〜」
奏さんに言われてやっとひまりが自重したみたいだ。薫さんと千聖さんが出るロミジュリは大人気で行列が出来るほどだ。今僕達はそれに並んでいる所だ。
「ふえぇ…か、奏く〜ん」
「花音、しっかり俺の手を握ってろよ?はぐれないようにな?」
「う、うん!」
「間もなくロミジュリ開演になりま〜す!皆さん列を乱さずにお願いしまーす!」
つぐみの声と同時にどんどんと人が後ろから押し寄せる。
「きゃあぁぁ薫様あぁ!」
「早く見たいわぁ!!」
「ひまり、僕の手離さないでね?」
そう言ってしっかりとひまりの手を握る。ひまりはうん!と言ってしっかりと握り返してくれた。列に任せた状態で体育館に入ると人が多いったらないよ。僕達はなんとか空いている席に座った。
「ふぅ…なんとか座れた…ひまり大丈夫?」
「私は大丈夫!ゆうまの手握ってたから!」
そう言ってずっと握ってる。
「花音、大丈夫か?」
「だ、大丈夫だよ奏くん…離さなかったよ」
奏さんたちも大丈夫で良かった。ちなみに僕らは演劇を見渡せる中間らへんの席に座ることが出来た。公演まで待っていると、
「おい九郎!!いい加減起きろ!?」
「……莉緒…まだ始まらないよ…寝かせて?」
奏さんの後ろあたりから声が聞こえた。奏さんは後ろを向いてその声の主に声を掛ける。
「莉緒、それに九郎?お前らも来てたのか」
「ま、まぁな…千聖が羽丘で演劇するって言うし元々は九郎が千聖に言われてたんだよ『絶対に観に来て欲しい』ってな」
「だからか…で、当の本人は寝てると?」
「あぁ…頼むから何とかしてくれ奏…」
そこに居たのはエタハピメンバーの沙霧莉緒さんと松橋九郎さんだ。
「はは、九郎は相変わらず眠そうだな」
「……んあ?奏?それに花音もいる…?あれ?隣にいるのって僕らがライブしてた時に来てたお客さんだよね〜?」
「あ、はい!滝河雄天です、と言うか僕の事よく覚えてましたね?」
「だって僕らエタハピのライブ何回も来てたから覚えちゃうよ〜?」
そんな事を話してると演劇が始まる時間になった。莉緒さんは急いで九郎さんを起こそうとしている。
「さっさと起きろ!」
「う、う〜ん……」
いっぽうひまりの方はと言うと興奮してた。
「ゆうまゆうまっ!薫さんのロミオだよ!しっかり焼き付けないと!」
「焼けつけすぎて気絶だけはしないでね?介抱する僕の身も考えてね?」
「は、はーい…」
奏side
「そう言えば奏くんって薫さんの演劇始めて観るのかな?」
「ん?あぁ、そう言えばそうだな」
「薫さんがね『今日の演劇は奏にも来て欲しい。最後まで楽しんでいってくれ!』って伝えて欲しいって言ってたんだ!」
そう言って花音は俺の手を握る力を少し込めるので俺は優しく握り返す。
「……奏くんの手…暖かい」
「…花音だって…じゅうぶんすぎるくらいだぜ?」
顔を見合わせて俺と花音は笑った。
「お、そろそろ始まるみたいだな」
雄天side
薫『僕は誓う。この、美しい月にかけてー』
千聖『月はいけません、月は満ちたり欠けたりするもの。あなたの愛が変わりやすいものになってしまうわ』
薫『じゃあ…何に誓えばいいんだい?』
薫さんと千聖さんの演技は見るもの全てを魅了させた。観客はみんな「すごい」「絵になる2人ですね」「こんな素敵なロミジュリ観たことない」「可愛い!かわ、可愛い!」だの好評だ。奏さんと花音さんも思わず魅入ってる。ひまりはと言うといつから用意してたんだと言わんばかりの薫さんがプリンターされたうちわやペンライトまで使って周囲の薫さんファンと応援したり、気絶しかけたりでもうなんかすごかった。この演劇終わるまでに過労死しそうな勢いだったよ、うん……。
それから演劇は進み終盤に差し掛かる。
千聖『ああ、ロミオ、ロミオ!どうしてあなたはロミオなの?』
薫『ジュリエット!私はここだ!』
薫さんはホントにすごい人だなと改めて思う。役にしっかりとなりきり見るもの全てに感動を齎す。クライマックスのシーンもあってか周りは感動して泣いてる人がいる。それには勿論、ひまりも含まれてる。
「ひぐっ…ぐすっ…」
「ひまり、ハンカチとティッシュ」
「……ゆうま、ありがどぉ…」
「ひまりすごい泣いてるな」
「まぁひまりは感動系に弱いですから…」
「か、がなでぐぅん……」
「か、花音まで…ほらティッシュ」
「ありがどぅ…」
千聖さんも幼少期から子役をやっていたし何より芸能人でもある。薫さんとも息ぴったりだ。
千聖『ロミオ!?どうしてここへ!?庭の塀は高くて、乗り越えるのは難しいはず、それに家の者に見使ったらあなたは……っ!』
薫『恋の翼があれば、こんな塀なんてことないさ』
千聖『ロミオ……あなたが敵だといってもそれはあなたの名前だけ。モンタギューの名前を捨てようが、あなたはあなた』
千聖『名前がなんだというの?バラは他の名前で呼ぼうともあの甘い香りは変わらないわ』
薫『………そう。名前など無意味なもの。僕は僕。君は君だ』
千聖『………っ!ロミオ……っ!』
こうして公演はフィナーレを迎え拍手喝采が体育館中に響き渡った。そして次の瞬間アナウンスが流れた。
『ロミオとジュリエットはこれにて公演終了となりますがまだ席をお立ちにならないでください。………最後に演劇部員が今日限りのスペシャルライブを披露してくれます!』
その司会の言葉に更に歓声が巻き起こった。
「ゆうまゆうまっ!スペシャルライブだって!?」
「落ち着いてひまり!こういう時は円周率を唱えるんだ!」
「雄天、まずお前が落ち着け…って花音は落ち着きすぎじゃね?」
「あはは…私は薫さんから聞いてたからなんて反応したら」
「おい九郎!まだあるぞ!寝るなぁ!?」
「ぐー…………」
ひまりを落ち着かせようとすると司会がスペシャルライブの紹介をし始めた。
『今回のスペシャルライブの曲はなんと!瀬田薫様が所属しているバンドがカバーした『ロメオ』だぁ!!そしてこれを今日限りのこのメンバーでお届けしましょう!!』
そう言って演劇のステージにはいつの間にか衣装を着替えた薫さんがギターボーカル、隣にはベースを抱えた千聖さんもいて、ドラムには麻弥さんが座っていた。そしてもう一つのマイクを握ってるのは僕と同じクラスで演劇部の和都だ。このメンバーでロメオって豪勢すぎるでしょ…すごいな…
そしてライブが始まってからはピンク色の雰囲気と歓声が鳴り止まないことこの上なかった。
「すげーな薫が歌うのか…あともう一人は1年か?」
「そうです、僕と同じクラスの和都ですよ」
「すげー奴がいるもんだな…」
それは奏さんが驚く程に美声だった。薫さんもだけど和都はとんでもないほどの声量だ。音程を自由自在に変えている。歌い終わる頃には再び体育館は大歓声に包まれた。
ライブが終わってからは体育館を出て僕とひまり、奏さん達は学校中を回った。奏さんが模擬店などを見るたびにどんどんと食べていってびっくりしたな。その後はお化け屋敷に入ろうとしたら花音さんとひまりが2人で手を合わせてガクブルしていたが僕と奏さんが笑顔で引っ張る。
「ふえぇっ!?か、奏くん!?」
「ゆゆ、ゆうま!?笑ってるのに怖いよ!?」
2人とも終始腕にひっついては悲鳴をあげっぱなしだった。……明日も学園祭あるからひまりをまたお化け屋敷に連れてこようと思った。え?なんでかって?反応を見るのが楽しいです。あれ?僕ってSだったのかな?
「なかなかお化け屋敷はよかったな?な、雄天」
「そうですね、明日もあるので僕はまた来ようかなって思います…ひまりと一緒に♪」
「ええっ!?ゆ、ゆうまっ!考え直して!?」
「ひまり、冗談だよ…半分」
「半分!?」
そんな事を言いながら奏さん達と楽しむ事が出来た。気がつけばもう2日目が終わる時間帯にまで差し掛かった。
「時間が経つのはあっという間だな花音?」
「そうだね奏くん…」
2人とも楽しんでくれたみたいで何よりだ。
「明日も学園祭ですけど奏さん達は来るんですか?」
「んいや、明日はちょっと野暮用があってだな。今日しか来れないんだよ、わりーな。都合合えば行けたんだけど花音もバイトでさ…な?」
「う、うん…私も奏くんも本当は行きたかったけど…今日は雄天くんとひまりちゃんと一緒に学園祭楽しめたから!改めてお礼言わせて…ありがとう!」
花音さんの見せた最上級の笑顔に思わずドキッとしてしまう。隣ではひまりが僕の頬をつつく。
「ゆうまぁ〜、浮気はダメだぞぉ?」
「しないからね!?」
「じゃあ俺と花音はこのまま帰るわ!今日はサンキューな!じゃあな雄天、久しぶりに話せて楽しかったぜ!またな!」
「奏さんも花音さんも仲良くですよー!」
2人は仲良く手を繋いで帰っていった。それを見送ってからひまりは僕を再びつつく。
「ねぇねぇゆうま」
「どうしたのひまり?」
「クラスの屋台、見に行こ!」
ひまりは僕の手を掴んで引っ張っていく。
「おーい、モカー、巴ー!!」
手を振りながらクレープ屋台に向かっていく。
「おーおー、ひーちゃんマー君おあついねぇ〜」
「ユウにひまりじゃん!よぅ!もしかして買いに来たのか?」
ひまりはウンウンと頷く。
「ひまり、今日いっぱい食べたじゃん?気持ちはわかるけどそんなに食べるとf」
「ゆうま!言わないでっ!わかってるから!」
すごい剣幕…顔が劇画タッチみたくなったよ一瞬。結局ひまりはクレープを美味しそうに食べました。そして巴が今日のことについて聞いてきた。
「そう言えば今日はどうだったよデートは?」
「今日は奏さん達とも会ってWデートになったんだ」
「マジか!?総士さん達だけじゃなく奏さんまでいたとはな…」
「莉緒さんと九郎さんもいたよ?」
「すげーな、龍斗いたらエタハピメンバー勢揃いじゃねーか…」
「確かに…そう言えば総士さんは帰ったの?」
「つぐみのとこに行った。クレープ持ってな」
「そっか、取り敢えず片付け手伝うよ?」
「サンキュー、じゃあ頼むわ」
「おっけー…モカとひまりはクレープ食べるのやめよっか?学園祭明日もあるんだよ?」
「…しゅーん」
「ごめん…」
莉緒side
「おい九郎…」
「ん〜?なに総士?」
「なんで俺またお前をおぶらなきゃ行けないんだ?」
「僕のお世話係は莉緒だって決まってるじゃないか〜?」
「自分で歩いてくれよ〜、頼むからお前らも何か言ってくれ〜?」
俺は後ろにいる千聖とイヴ達に助けを求める。
「莉緒くん頑張って♪九郎くん落としたらダメよ?」
「リオさん頑張ってください!ブシドーです!」
「えぇ〜!?」
「さぁ莉緒、動くのだ〜」
「マジで覚えてろよ…ってか何で俺がこんなに苦労しないと…」
「九郎に苦労…面白いね?」
「面白くねーわ!?」
総士side
〜羽沢珈琲店〜
「悪いなつぐ。疲れてるのに店来ちゃって」
「大丈夫だよ総士くん、この位どうってことないよ」
俺はつぐの出してくれた紅茶を一口飲む。
「今日はありがとう」
「どうした急に」
「生徒会の仕事を手伝ってもらったからね?」
「いやいやそんな事ねーよ…頑張ってるつぐ見てたら放って置けないからな」
「あ、ありがとう総士くん…」
つぐはお盆で顔を隠しながら恥じらいでる。それを見て俺もなんだか恥ずかしくなった。
「わ、私もねっ!総士くんのその誰にでも優しいところ…良いなって思ってるよ?」
「お、おう…」
つぐのその言葉はただただ純粋に嬉しかった。
(奏、ユーマ…お前達のいる所に俺も行くから待っててくれ…!)
奏side
「今日は楽しかったな花音」
「そうだね奏くん」
俺は花音と手を繋いで帰路を歩いてる。
「まさかWデートになるなんてね?」
「確かにな」
「ねぇ奏くん」
「どうした花音?」
「…今日はすっごく楽しかった!ありがと!それでね…お、お礼がしたいんだけど…いい?」
「ここでか?別に構わないぞ?」
気がつくと花音の家の前まで歩いてきていた。花音は手を離し周りを見て誰も居ないのを確認すると俺の方に寄りかかりそのまま
「ん」
唇を触れさせてきた。突然の行動に頭が追いつかなくなる。
「おい、ちょ!か、花音っ!?」
「えへへ…お礼だよ奏くん/////」
花音はそう言って「じゃあね」と言って家に入って行った。俺はしばらく放心状態だった。家に帰ってからはあまりにも恥ずかしかったのか部屋に速攻で行きベッドで頭を抱えてのたうち回った。そして心配した妹が部屋に入ってきた。
「お兄ちゃん大丈夫?」
「大丈夫だ問題ない!」
「顔真っ赤っかになってるよ?お姉ちゃんと何かあったの?」
「か、か、花音とは何もなかったぞ!うん!」
「えー?お兄ちゃんがそんなに慌ててると気になるー!」
この後落ち着くのに3時間ほどかかってしまった。
雄天side
家に帰ってご飯を食べて風呂に入って部屋に行くとパジャマ姿のひまりが何故か荷物を持ってベッドに潜り込んでいた。
「ひまり?何してるの?」
「ん〜?ありゃりゃ寝ちゃってた。ごめんごめん、ゆうまのお布団いい匂いしたからつい、ね?」
「質問に答えよっか?」
僕はそう言ってひまりの頬をつねる。
「ほっぺた引っ張らないでぇ〜言うから〜」
そうしてひまりから聞いた話によるとひまりのお父さんがまた出張でしばらく戻らないしお母さんは婦人会の温泉旅行言ってるとのことで僕の家に泊まることになったのだった。
「とゆーわけで、しばらくお世話になりま〜す♪」
「まぁいいけど…明日も学園祭だからほら、寝るよ?」
「寝る前のちゅーして?」
「…しょうがないなぁ」
僕はひまりの唇にそっと口づけをする。そしてそのままベッドに横たわり毛布をかぶって静かに眠りに入った。
今回のコラボを広い心で受け入れてくれた小鴉丸さん、改めてありがとうございます!そして見てくれている皆さんにも感謝しきれないほどです!
僕の方はこれにてコラボ回は終了となります!
本当にありがとうございました!
感想と評価は気軽にどうぞ!次回も見てくれると嬉しいです!
ではまた次回〜