ハリーポッターと機関銃   作:グリボーバルシステム

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お久しぶりです。
前回投稿から1年以上が経過しました。ようやく、家庭と職場が落ち着いたので投稿が再開できます。大変申し訳ありません。
最近、感想を書いてくれている方もいて感激です。
息子は1歳6ヶ月となり、先日はワーナーのハリポタ(としまえん)に家族で行って来ました。
ベビーカーの上で杖を振り回していた子供を見かけた方が居たら、それが私の息子でした……

あとガリオン金貨のレプリカ買いました。


case110 land battle 〜陸戦 vs魔法生物〜

フェルドクロフト奪還作戦前日の夜。

 

センチュリオンの隊員達はクィディッチ競技場の横に集まっていた。

時刻は間も無く23時。

城も森も静まり返っている。

 

競技場の横にはハンヴィーとオートバイがそれぞれ並べられ、補給科の隊員達がディーゼル燃料とガソリンをそれぞれ補充していた。

需品科の隊員は車載機関銃に弾薬を装填している。

 

作戦に参加する11名の隊員は既に車輌に乗り込み、暗視装置などの個人装備のチェックをしていた。

なお、ハンヴィーは不完全ながらも検知不可能拡大呪文が施されているため、本来の乗車可能人数を超えた10名が乗り込める。

 

ハンヴィーの運転席に座るロルフ・スキャマンダーは表情を硬くしていた。ロルフは

彼は実戦経験が少ないことに加えて、後方職種である。

前線で戦うのは初めてと言っても良い。

彼の祖父は有名なニュート・スキャマンダーである。

魔法生物学者として名高い祖父に負けず劣らず、ロルフも魔法生物に詳しかった。

 

「怖いか?」

 

「え……はい」

 

車の外から暗視スコープを頭に付けたフナサカが話しかける。

ロルフは今回、ハンヴィーの運転手となっていた。

魔法生物だらけの城外を熟知していたからである。

無論、エスペランサやフナサカら車輌の運転に長けた隊員による訓練は実施済みだ。

 

「それが正常だ。普通は戦闘ってのは怖いものだ。うちの隊長は正直言って狂ってる。前線に出なきゃ気が済まないんだからな」

 

「フナサカ先輩は怖くないんですか?」

 

「怖いさ。俺の初戦は忘れもしない吸魂鬼殲滅戦だった。通信機を握る手が震えてたのを今でも思い出す」

 

「怖いのに……センチュリオンで戦い続けてるんですね」

 

「まあな。乗りかかった船というか……俺はあんまり信念とか正義感は無いんだが、隊長に付いて行きたいという一心でここまできたんだよ」

 

フナサカは数々の勝利をもたらしたエスペランサを信じて疑わなかった。

 

「ロルフは何でセンチュリオンに入ったんだ?」

 

「僕は……好きな人を守るためです。力があれば好きな人を守れると思って」

 

ロルフの回答にフナサカは笑う。

 

「おかしいですか?」

 

「いや、正常だ。普通、兵士ってのは国のためとか王のためとかじゃなく家族のために戦うもんだ。少なくとも心の奥ではそう思ってる。エスペランサがそう言ってた。だから、お前は正常だよ」

 

「隊長達は正常ではない、と?」

 

「隊長も副隊長も……世界平和とか魔法族のためだとか本気で言ってるからな。きっとどこかで壊れたんだ。だけど、壊れたからと言ってそれが悪いわけじゃない。そういう存在こそが世界を救う可能性を持ってると俺は思う。少なくとも正常で普通な俺には無理だからな」

 

「そういうものなんですかね」

 

「そういうもんさ。ところで、お前の好きな人って誰なのさ」

 

フナサカの質問にロルフは少し躊躇った。

 

「ええと……ルーナ・ラブグッドです」

 

「前言撤回だ。お前も異常だった」

 

フナサカは冗談半分に笑う。

世界のためを思って戦うエスペランサも想い人のために戦うロルフも間違いなく正しい。

 

「言うんじゃなかった……」

 

「青春って良いね。最近は隊長も青春してるみたいだけど。ねえ、シンデレラさん?」

 

フナサカは後部座席で衛生機材を確認している最中だったフローラに話を振った。

 

「シンデレラって何ですか?」

 

キョトンとするフローラにフナサカは頭を抱えた。

 

「ああ、そうか。ここにはマグル生まれが少ないんだったな」

 

彼はハンヴィーのボンネットを軽く叩きながら再びロルフに話しかける。

 

「とりあえずエンジンは問題ない。カボチャの馬車はいつでも舞踏会へ行けるぜ。まあ、キャリバー50をくっつけて装甲を固めた馬車だけどな。だが、シンデレラも乗ってることだしカボチャの馬車には変わりないだろ」

 

「フナサカはハンヴィーには乗らないんですか?」

 

「俺はあっちのオートバイに乗る。万が一敵に攻撃された場合、的は2つあった方が良い。斥候の役割も兼ねるしな」

 

ハンヴィーの隣にはオフロードバイクが一台止まっていた。

軍用では無いカワサキ製のオフロードバイクだ。

これはフナサカが実家から持ってきたものである。

彼自身はオフロードバイクよりもハーレーを望んでいたが、任務の都合からオフロードの方が適していた。

また、このオフロードバイクは極東の島国にある軍隊で偵察用バイクとして使われているものと同型である。

 

「カボチャの馬車ねえ……。物騒で可愛く無い見た目してるし、何か名前でも付けたら?」

 

キャリバー50に12.7ミリ弾を給弾しているダフネが言った。

フナサカは呆れ半分で答える。

 

「ハンヴィーに可愛さなんていらないだろ。無骨なデザインが良いんだ。名前なら決めてる。こいつの名前はデロリアンだ」

 

「ええー。可愛くないよ。と言うか何その名前」

 

「俺が整備してるんだから良いだろ。じゃあお前なら何て名前を付けるんだ?」

 

「私ならエレーナって付ける」

 

「なんだその名前は。とにかく、この車はデロリアンだ。そのうち戦闘車両を配備する計画があるからそっちにそのヘンテコな名前はつけておけ」

 

「戦闘車両?」

 

「ああ。隊長からのオーダーだ。現有の車輌では火力が不足しているから強力な戦闘車輌を確保せよ、と。でもまあ、そんな簡単なもんじゃない。ハンヴィーは市販もされてるし、運転も難しくはない。だが、戦闘車輌となれば操縦だけでなく射撃も専門の訓練が必要だ。魔法で何とかできないかと考えているが……難しいだろうな」

 

センチュリオンは現在、歩兵戦力のみに頼り切っている。

野戦砲も迫撃砲以上の火力は持っていないし、機動力はハンヴィー1台に箒のみ。

突破性のある戦闘車輌の導入を望む声は少なくなかった。

 

「さて、それから、そこのシフトレバーの横に新しくレバーが付いてるだろう。前に押せば目眩し呪文が発動する。後ろに引けばポートキーに様変わりだ」

 

フナサカが説明を続ける。

 

「つまり、通常はポートキーではないんですね」

 

「そういうことだ。車体にはウィーズリー製の盾の呪文も施してあるから数発程度なら呪文も弾くことが出来る」

 

ウィーズリー家の技術満載のハンヴィーは勿論、アーサー、フレッド、ジョージの協力があった。

不完全ながらも燃料は魔法で不要になり、一時的に空を飛ぶ機能も追加されている。

ただし、魔法が切れた時のために燃料はジェリ缶で積み込んでいた。

 

「総員、準備は良いか?久しぶりの野戦だ。気を引き締めていくぞ」

 

助手席にエスペランサが乗り込んだ。

人数こそ少ないものの、センチュリオン創設以来の精強な古参メンバーで固められている。

 

「時刻整合を行う。5秒前。4、3、2、1……時間、2300。時刻整合終わり。夕闇に紛れてフェルドクロフトへ前進する。途中、攻撃してくる目標はこれを全て排除、緊急時は移動キーを使用してホグワーツに帰還する。了解か?」

 

「了解した。ホグワーツは俺たちが死守する。必ず全員生きて帰ってこい」

 

セオドールが言う。

彼を含めた残留組は不安そうにエスペランサ達を見ていた。

 

「ああ。必ず戻る」

 

エスペランサとセオドールは互いに敬礼をする。

やがて、ハンヴィーは動き出し、ゆっくりと夜の闇の中に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エスペランサ達がフェルドクロフト地域に到着したのは日出の1時間前であった。

暗視スコープのみでフェルドクロフト地域まで移動したため、隊員達は思いの外疲弊している。

 

フェルドクロフト地域は一般的な魔法使いの村であり、主産業は畜産及び農業だ。

一部の魔法使いが薬草の栽培をしており、土壌が良いためなのか、収穫高は他の地域よりも多かった。

数十年前まではマグルの農民も暮らしていたようだが、過疎化が進み、今は若干の魔法使い及び魔女が住むのみ。

 

「射手と運転手を残し、総員下車戦闘用意。車輌は透明ブースターを展開し、微速で前進せよ」

 

エスペランサの号令で運転手のロルフ、射手のダフネ以外は車から降りた。

フナサカはオートバイを茂みに隠す。

透明ブースターはかつてアーサーがフォード・アングリアにかけていた目眩しの魔法である。

効力は車を透明にするというものだ。

 

「集落に人はいない。寝静まってる」

 

M24狙撃銃のスコープ越しに村の様子を伺うネビルが報告した。

エスペランサも双眼鏡を覗く。

 

隊員達がいる場所は村の入り口から200メートル離れた草原地帯だ。

草木も多く、村から彼らが視認されることはまず無いだろう。

 

村には数軒の家が建っていたが、灯りは見えない。

住民は寝静まっているのだろうか。

 

「おかしいです。この辺は魔法生物がたくさん住んでいるはずなのに……一匹もいない」

 

エスペランサの後ろでM733を構えるポール・スヴィーディングが呟く。

 

「魔法生物?」

 

「はい。この辺は湿地帯なので魔法生物がたくさん住んでいる筈なんです。でも、パフスケインの一匹すらいない」

 

ポールはロルフ同様に魔法生物に詳しいため、後方部隊から派遣されてきている。

ハッフルパフの男子生徒であり、気さくで勤勉。人事評価も申し分ない。

担当は補給であり、武器ではなく整備資材や修理品等の利材を担当している。

後方部隊のムードメーカーと評される隊員だった。

また、ニュート・スキャマンダー程では無いが、彼の祖母も魔法生物の学者としては有名な人である。

 

「わかった。エドワードとハミルトン。先遣隊として集落の偵察に行け」

 

「了解!」

 

「何か見えたらすぐに無線で知らせろ。それから交戦はするな。もし、会敵した場合は速やかに後退しろ」

 

エドワードとハミルトンは歩兵小隊所属のグリフィンドール生である。

エスペランサ達よりも学年は下で実戦経験もまだ浅いが、度胸を買われて本作戦に参加していた。

エドワードとハミルトンは自身に目眩しの呪文をかけ、集落の方へ中腰で接近していく。

 

ものの数分で村の入り口に辿り着いた2人は、村と湿地帯の境界となっている木製の柵に身を隠しつつ、様子を伺った。

恐らく魔法生物の侵入を防ぎ、飼われている羊や山羊を守るための柵なのだろう。

 

数軒の家と簡素な牧場及び畑が広がる村には人っ子1人いない。

空はほんのりと明るくなってきており、遠くの山には朝日が差し込んでいた。

村も山も雪が軽く積もっているため、朝日が差し込むとキラキラと光る。

 

「寒いな。村の連中は誰もいない。敵の姿も見えない」

 

「いーや。そうでもないぞ。あそこを見てみろ」

 

ハミルトンがエドワードに双眼鏡を渡す。

村の奥には丘があり、その丘に向かって一本の道が伸びていた。

その道も雪で覆われていたが、多くの足跡が残されている。

 

「村の人口に比べて足跡が多い。恐らく敵はあの丘にある遺跡と行き来してるんだろう」

 

ハミルトンは携帯無線の送話器を手にした。

 

「ハウンド。こちらヘルダイバー。敵影視認できない。しかし、村の奥の丘に足跡多数。接近して引き続き捜索を行いたい。送れ」

 

『こちらハウンド。捜索の前にレベリオを使え。村内に敵が潜伏していた場合、囲まれる可能性がある。送れ』

 

「ヘルダイバー了解。レベリオを使用し、索敵を行った後、異状がなければ丘に接近したい」

 

『ハウンド了解。レベリオ使用後、接近を許可する。終わり』

 

交信を終えるや否やエドワードがレベリオの呪文を唱える。

簡単に言えば索敵捜索する魔法であるレベリオにより、村の中にいる生物、もしくは魔法道具等の存在が明らかになった。

 

「村の中に人はいるが……就寝中だな。村民しかいない。よし、丘に接近しよう。俺が先に行く。援護を頼んだ」

 

「了解した。行け」

 

2人は互いに援護しながら、丘を登っていく。

丘の上には遺跡のような廃墟がある。

かつては城だったのかもしれないが、草木に覆われているため、近くで見ない限り、ただの鬱蒼とした茂みにしか見えない。

 

付近はところどころ木が生えているものの、見晴らしも良く、逆に言えば身を隠す場所は少なかった。

 

「止まれ。敵影を確認した」

 

先行していたエドワードが廃墟の横にある広場を指差す。

複数のテントが張られ、焚き火の後が点々としている。

食料や押収したのであろう物資も積まれていた。

 

そして、フードを被った死喰い人と思わしき魔法使い達が10人ばかり彷徨いている。

 

「視認出来るだけでも10人。奥に行けばもっといるかもしれない。それに、あれを見ろ」

 

「何だあれ。犬みたいな?」

 

「闇の番犬ってやつだ。密猟者が良く使う魔法生物ってロルフが言ってた」

 

ハミルトンは無線機の送話器を再び手にした。

 

「ハウンド。こちらヘルダイバー。敵影確認。最低でも10人は居る。それに、闇の番犬が6」

 

『ハウンド了解。他に何か見えるか?』

 

「ちょっと待ってください。あ、あれは何だ?人質か?」

 

『何!?』

 

「テントの横に縛られた老人が見えます。かなりの歳です。ダンブルドアよりも年寄りかもしれない」

 

テントの横にロープでぐるぐる巻きにされた老人が横たわっていた。

猿轡をされて苦しそうにしているが、間違いなく生きている。

 

「何のためにあんな老人を捕まえたんだ?」

 

『それを考えている余裕はない。一先ずは後退しろ。ポールの話では闇の番犬は嗅覚が特化している。目眩しの呪文をかけてても見つかる可能性が高い』

 

「どうやらそうらしいですね……。恐らくその犬っころに見つかりました」

 

死喰い人達の宿営地までは50メートル近くある。

しかし、特異な嗅覚を持つ闇の番犬達は間違いなくハミルトンたちの匂いを嗅ぎつけ、真っ直ぐにこちらへ向かってきていた。

走る速度を考えれば数十秒でエドワード達の居るところに到達出来てしまう。

 

『了解した。総員で救援に向かう。それまでの間、持ち堪えてくれ』

 

「分かりました。では、これより戦闘を開始します」

 

闇の番犬6匹は各個に向かってくる。

2人で迎撃するのは難しい。

 

「闇の番犬は嗅覚で我々を探している。なら嗅覚を殺してしまえば良い」

 

「どうやって?」

 

「こうするのさ」

 

ハミルトンは手榴弾を取り出して安全ピンを抜く。

そして、間髪入れずに闇の番犬の方へ投擲した。

 

ズンという鈍い音と共に土煙が上がり、火薬の臭いが充満する。

闇の番犬のうち2匹は手榴弾の破片により、絶命したが、他の犬は距離が離れていたこともあり、ほぼ無傷だ。

 

しかし、火薬の臭いで嗅覚が麻痺したのだろう。

エドワード達を探すことが出来なくなっている。

 

「冴えた考えだ。おかげで犬達の動きは封じたが、死喰い人に勘付かれたぞ!」

 

手榴弾の爆発で死喰い人達が騒ぎ出す。

手榴弾や迫撃砲弾による攻撃はヴォルデモート陣営も周知している。

すぐにセンチュリオンによる攻撃だと判断した彼らは盾の呪文を展開し始めた。

 

「伏せろ!」

 

エドワードがハミルトンの頭を押さえつける。

そのすぐ後に2人の頭上を死の呪いが通り過ぎていった。

エドワードもハミルトンも実戦経験は乏しい。

死の呪いが身体を掠める恐怖をはじめて味わい、動きが止まってしまう。

 

「くそっ!ふざけやがって!」

 

ハミルトンは立ち上がり、小銃を乱射しようとしたが、敵が放った爆破呪文が付近に直撃し、吹き飛ばされる。

 

「ハミルトン!!」

 

「だ、大丈夫だ。掠っただけだ」

 

幸いにも吹き飛ばされただけで、大した怪我はしていない。

だが、勢いに乗った敵は間髪入れずに闇の魔術を連射してくる。

また、闇の番犬も2人を見つけたのだろう。

襲いかかってくるのが目の端に映る。

 

「伏せてろ!」

 

エスペランサの声がしたかと思えば、闇の番犬が地面に倒れた。

土煙をあげて走ってくるハンヴィーのドア越しに、隊員たちが支援射撃をしていた。

 

急停車したハンヴィーから隊員達が下車し、草むらに散らばる。

 

「ネビル!アンソニー!人質を確保しろ」

 

下車したエスペランサが伏せ撃ちの姿勢を取りながら指示した。

ネビルはすかさず、M24で人質の周りにいた魔法使いを全滅させ、その隙にアンソニーが人質の側に駆け込む。

 

「敵だ!センチュリオンだ!」

 

「相手は少人数しないない。全員殺せ!」

 

死喰い人も果敢に反撃してくる。

死喰い人が放った死の呪文がハンヴィーの車体に当たり、火花を散らした。

 

「ダフネ!50口径を叩き込め!他の隊員は重機関銃で牽制している間に敵を囲い込む!」

 

エスペランサが弾倉を交換しながら指示する。

 

「了解!」

 

ダフネは敵陣に向けてキャリバー50を乱射した。

不意を突かれた死喰い人はなす術もなく粉々に弾け飛ぶ。

12.7ミリ弾の直撃を喰らえば人間はあっという間にミンチになる。

 

死喰い人も闇の番犬もそのほとんどがセンチュリオンの銃弾に倒れ、残すところは本命のアデレード・カローのみになる。

 

「お前!裏切り者の女狐か!」

 

アデレードはハンヴィーを掩蔽にして射撃していたフローラを目ざとく見つけて叫ぶ。

 

「裏切るも何も……。私は元々こちら側の人間です」

 

「お前も、お前の仲間も皆殺しにしてやる!」

 

完全に頭に血が上っているアデレードは生き残っていた数匹の闇の番犬をけしかけてきた。

しかし、フローラは冷静に杖を構えると、連続して呪いを放つ。

 

「アグアメンディ。エンゴージオ。ウィンガーディアムレヴィオーサ。グレイシアス。レダクト」

 

宙に巨大な氷塊がを作り、レダクトで破壊する。

粉々になった氷は散弾のようになって闇の番犬を串刺しにした。

 

「流石だな。だが、気をつけろ!闇の番犬は囮だ!」

 

伏せ撃ちの姿勢を維持したまま、アンソニーが言う。

刹那、巨大な地響きと共に、丘の奥から大型のトロールが姿を現した。

 

「山トロールだ。しかも、あんなに大きいのは見たことがない」

 

「こいつがアデレード・カローの隠し玉か」

 

「どうする隊長!?」

 

令なく隊員達はハンヴィーを囲うように防御のフォーメーションをとる。

一方のアデレードは勝ち誇っていた。

山トロールは完全に彼女の制御下に入っている。

 

山トロールの大きさは約6メートル。

制御下に置かれているためか、非常に冷静だ。

手には巨大な棍棒が握られている。

 

トロールと隊員達の距離は10メートルもない。

 

俊敏な山トロールであれば2秒で到達できる距離だ。

故にエスペランサは即座に処置判断をした。

 

「ダフネ!LAWでトロールを潰せ!他の隊員は小火器で弾幕を張り、アデレード・カローに盾の呪文を使わせないようにしろ!」

 

エスペランサの指示を聞くや否や、隊員達は小銃による射撃を再開する。

自動追尾の魔法があるため、銃弾は全てアデレードに向かった。

当然、彼女は盾の呪文を展開する。

 

その隙を見て、ダフネはハンヴィーの中からM72LAWを取り出す。

M72LAWは口径66mmの使い捨て対戦車ロケット発射機だ。

上部に押し込み式のトリガーがあり、発射機後部を引き伸ばして展開すると、点火系列が接続され射撃ができる。

60年代からある古い装備だが、コンパクトであり、取り扱いも簡単であることから、センチュリオンにも導入した。

 

手慣れた動作でダフネはLAWを発射する。

 

白煙と共に対戦車弾が真っ直ぐに山トロールの頭に向かって進み、直撃した。

 

頭を失ったトロールは全ての生命活動を停止し、草っ原にその巨体を投げ出す。

 

「わ、私のトロールが。こんなあっさり倒されるなんて」

 

まさか虎の子のトロールが一撃で仕留められるとは思っていなかったようで、アデレードは丘の上にある廃城に向かって逃げ出した。

 

「追うか?」

 

「無論だ。逃がしておく手はない。それよりも人質は無事か?」

 

見ればハンヴィーの横でフローラが救出された老人の手当をしている。

外傷は特にない。

 

「あ、ありがとう。君たちは?」

 

「最近、世間を賑わせているセンチュリオンだ。あなたは?」

 

「私はセバスチャン……。奴ら、フェルドクロフトで我が物顔で悪事を働こうとしていたから…懲らしめてやろうとしたんだが」

 

「返り討ちにあって捕まった訳だな。案外、アクティブな爺さんだ。さてと……」

 

エスペランサはハンヴィーの中から複数の予備の弾倉を取り出し、隊員に指示を出した。

 

「負傷したエドワードとハミルトンは残れ。ロルフとポール、それにフナサカは車輌で待機。20分しても俺達が戻らなければ車輌をポートキーにしてホグワーツに退避せよ」

 

「不本意だが、命令なら仕方ない。必ず戻れよ!」

 

「ああ。任せておけ。無線は常にオープンにしておく。何かあれば連絡しろ。他の者はついて来い!」

 

エスペランサを先頭にして、ネビル、アンソニー、フローラ、ザビニ、ダフネが銃を片手に廃城に向かって走り出した。

 

 




話の構想は通勤中に考えていますが、自転車通勤なのでアウトプットができないのが……

ワーナースタジオツアー楽しかったです。
また行きたい……
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