オータムを退けた俺はすぐにクラスに戻りたかったが、その前に後始末をしなければならないのでもう一回更衣室に来ていた。
さすがにあの血痕をそのままにするのはまずい。学園の生徒や教員に見られては騒ぎになりかねない。それを掃除するために道具を取りに行き、更衣室を綺麗に掃除することに。
掃除し終え外に出ようとしたところで声をかけられた。
「いっちー、お疲れ~」
「ご苦労でござった、織斑殿」
俺に声をかけてきたのは茶々丸さんと童心様の二人だ。
俺が何をしていたのかわかっている口ぶりに、大体のことは知っているのだろう。
「ええ、まぁなんとか。しかし自分は良いとしてもそちらは追わなくて良いのですか? 邦氏様を、六波羅に害をなそうとした輩ですよ」
どうも口ぶりからオータムを追いかける気が感じられない。
六波羅としては甘いと感じたのだが・・・
「いやいや、あんなちゃっちーのなんて追っかける気にもなんねーよ。やろうと思えばいくらでも潰せるし」
「さよう。御主は一々飛んでいる蚊を潰さねば気が済まぬ性分かな。たかが虫けらに裂く労力など勿体ないものよ」
二人にとって亡国機業は虫けら扱いらしい。
まぁ、たかが潜んでテロをするくらいしか出来ない組織と、やろうと思えば真っ正面から国一つ乗っ取ることも出来る組織では鯨とノミくらいににスケールが違うのだろう。
六波羅にとって亡国機業とはその程度の存在でしかないようだ。
その後二人は帰るまで俺をしこたま映画のネタでからかいまくり帰って行った。
俺はその事にまたダメージを受けへこみそうになる。やはりあの二人がそろうとろくなことがない。
聞いたが、どうやら今回の映画の件はこの二人がノリノリで提供したそうだ。何でも生徒会長がこの前の勝負で負けたことを悔しがっていたのでその腹いせに協力したらしい。
理由は『面白そう』だからだそうだ。
思いっきり笑う二人に俺は疲れたため息しか出てこなかった。
俺は教室に戻るまで精神的に疲れ切っていた。
その後も学園祭は続き、後夜祭になった。
先進的なIS学園でも珍しく、グラウンドを使ってのキャンプファイアーを行いダンスを踊ったり
するものとなっている。
後夜祭らしい出し物にして祭りの最後を飾るにふさわしい。西洋文化だが、どことなく風流を感じる。その炎を見ていると、どこか心がウキウキと弾んでいく気がした。
俺はさっそく真耶さんを連れて行くことにした。
未だに真耶さんは制服のままであり、キャンプファイヤーの付近にいる生徒達と混じっても違和感が無い。
「せっかくだから踊りましょう」
「そ、それは嬉しいんですけど・・・・・・」
誘ってみるのだが、真耶さんは思いっきり恥ずかしそうにしていた。
気絶するほど恥ずかしい目に遭ったこともあって気がついた後でも恥ずかしさから真っ赤になったままだった。そして未だに俺達には好奇の視線が四方から注がれていることもあって尚恥ずかしいらしい。
俺も恥ずかしかったのだが、あの二人のせいで心底疲れたこともあってナチュラルハイになっていた。そのため恥ずかしくてもあまり気にしないようにしていた。きっと正常にもどったときにまた恥ずかしさでへこむだろうから。
それにせっかくの後夜祭。俺にとって初めての後夜祭は恋人と一緒に楽しみたい。(どんなイベントだろうと同じ事しか言わない)
俺は少し強めに恥ずかしがる真耶さんの手を引きファイヤーの前に行こうとする。
「ほら、もう観念して下さい。どうせみんな知ってるんですから、今更恥ずかしがったって仕方ないですよ。どうせならみんなに自慢出来るくらい見せつけましょう」
「い、一夏君! 何かやけに大胆になってませんか!」
「大丈夫です、いつも通りの俺ですよ」
「目が据わってますよ~!」
駄々をこねるような感じに少し抵抗する真耶さんを強引に抱きしめる。
「きゃ!?」
そんな可愛らしい声が胸元から聞こえたが、お構いなしにそのまま運ぶ。
その瞬間周りから黄色い歓声が上がったが、気にせずに向かう。胸の中の真耶さんはさらに真っ赤になっていた。
そしてキャンプファイヤーの前に到着。
炎の熱を感じ、より精神が昂ぶってくる。
「ひ、酷いですよ、一夏君」
真耶さんは俺に抱きしめられながらも俺に抗議の視線を送る。
といっても恥ずかしさのこともあって涙目であり、全然怖くいない。寧ろ可愛い。
「だって、ああでもしないと真耶さんは尻込みしちゃうじゃないですか。だからですよ」
「それはそうですけど・・・・・・」
真耶さんはまだ観念してないようだ。
俺はさらに一押しに真耶さんの右頬にキスをする。
「なっ!? い、一夏くんっ!?」
「もう観念して下さい。どうせバレバレなんですから」
そう言って左の頬にもキスをした。
「ふ、ふにゃぁ~~・・・・・・」
真耶さんはそれを止めに全身の力が抜けてふにゃりとなってしまう。
そんな姿も可愛くて愛おしくて、さらに抱きしめる力が入る。
俺は何とか真耶さんを立たせるとさっそく踊る体勢に入った。
真耶さんはさっきのこともあって力が入りきらないらしい。度々俺が抱き留める。
後ろから黄色い歓声が聞こえるが、今俺は真耶さんに夢中でそれどころではない。周りがどうだろうと真耶さんしか目に入らないのだ。
そして音楽が流れ始める。
音楽に沿って俺と真耶さんは踊り始めた。
両手を繋いで、まわる。
「もう、さっきから酷いですよ、一夏君」
少し慣れたらしい真耶さんはかなり照れつつも少し怒っていた。
「すみませんでした。何だかああしないといけない気がして・・・」
そう謝罪するが、まったく悪く思ってない。
「でもいいじゃないですか。こうして一緒に踊れるんですから」
「そうですけど~・・・・・・むぅ~、一夏君のイジワル」
少しむくれる真耶さん。
しかし嫌じゃ無いらしく、頬が緩んでいた。
「いいんですよ、イジワルで。そうじゃないとこうして真耶さんと一緒にいられませんから」
そう答えてチークダンスのように頬をよせて抱きしめると、真耶さんは「はうっ!」と可愛らしく反応を返す。その反応が可愛いものだからさらに見たくなってしまう。
「もう、一夏君たら」
顔を真っ赤にしながらも仕方ないなぁ~といった感じに真耶さんは俺の手を握り返してくれた。
そのことが嬉しい。
そのまましばらく俺と真耶さんは二人とも無言のまま踊っていた。
それだけでも胸が満たされていく。
そして曲が終わる。
「楽しかったですね、真耶さん」
「そうですね」
真耶さんも少しは吹っ切れた、もとい昂ぶってきたらしい。
あまり周りが気にならなくなってきたらしく、俺が抱きしめたりすると嬉しそうに笑顔で返してくれた。
「来年も、そのまた来年も一緒に踊りたい。だから真耶さん。俺とこれからも一緒にいてくれませんか」
何故だかは知らないが、そんな言葉が口から出た。
きっと内心不安だったのだろう。俺のような奴が真耶さんと一緒にいていいのかを・・・・・・
すると真耶さんは何だか少し怒っていた。
「何言ってるんですか!」
そう少し大きな声で言った後に俺に穏やかな笑顔を向ける。
「わたしこそ、ずっと一緒にいたいです。だから、私と一緒に・・・これからもずっと一緒にいて下さい」
そう言って目をつぶる。
それがなんなのかなんて言うのは、すぐに分かった。
俺もそれに応じて唇を真耶さんの唇に合わせた。
「んぅ・・・ふぅ・・・・・・」
柔らかい感触に脳が溶けてしまいそうか気がした。
鼻をくすぐる髪がくすぐったくて、それでいて甘い香りに満たされていく。
何度したってドキドキしっぱなしで落ち着かない。
それなのに幸せで嬉しい。
そしてしばらくして合わせた唇をはなした。
「じゃあ、これからもこんな私ですけど、よろしくお願いします、一夏君」
「はい」
そう返事を返すと、真耶さんは満面の笑顔で俺を抱きしめてくれた。
俺も嬉しくて抱きしめ返す。
その後にはまた黄色い声が上がりまくったが、俺達は気にせず抱き合った。
この後また千冬姉に怒られたのは言うまでも無く、また、次の日には恥ずかしさで真耶さんは知恵熱をだしてしまい休みに。俺は思い出して自己嫌悪になっていた。
余談だが、教室に四つの死体同然の何かが転がっていたとか・・・・・・
最近自分の文才の無さに呆れ返ります。
もっと甘い文が書きたいですよ。
戦闘なら思いつく辺りどうなんでしょうかね?