甘いってどういうものなのか模索しております。
茶々丸さん主催で始まったビーチバレー大会。
それもいよいよ佳境へと入って行く。
試合の結果は序盤から主催の思惑を外れ、茶々丸さんは早々に敗退を期した。
対戦相手は千冬姉と真耶さん。
試合をしている最中、審判としてはあまり良い事ではないのだが……真耶さんばかりを見てしまっていた。
一生懸命に頑張る真耶さん、気合いを込めて可愛らしい声を出してボールを取りにいく真耶さん、得点を入れると両手で可愛らしくガッツポーズを取り天真爛漫に喜ぶ真耶さん。
可愛かったなぁ………。
いつもは清純で可愛らしいが、今日は一生懸命に頑張って無邪気に喜ぶ姿がまた堪らなく可愛い。
ずっと見ていたいような、直ぐにでも抱きしめてキスしたくなるような、より大好きという気持ちが溢れて仕方ない。
こんな可愛らしい真耶さんが見れただけでも、この明らかにいかがわしいビーチバレーに参加した甲斐があったと思える。
試合が終わると勝利の喜びも顕わに俺の方に来て、勝ったことを、頑張ったことを嬉しそうに語る。その様子がまた幼い感じがして可愛らしく、それでいて汗を掻き上気した豊満な身体が艶やかで大人の色気を醸し出す。その真逆ながらの魅力に瘴てられ、俺はさらにドキドキしてしまう。真耶さんの凄い魅力の一つは、この矛盾しない両極端の魅力が同居していることだ。
毎回見てて可愛さに顔が緩んでしまう。
そのまま今度は一緒に試合を見ることに。
マドカが活躍する姿を真耶さんは顔を赤らめながら一喜一憂する。それがまた可愛らしくて微笑んでしまう。
多少負けた腹いせか、茶々丸さんが真耶に食って掛かったが、そんな大人げないことを許せるわけも無く、逆に言い負かすことにした。いつまでも振り回されるわけにはいかないから。
何より、いくら茶々丸さんでも真耶さんを怖がらせるなど許さない。
言い負かされた茶々丸さんは大鳥さんに連れられて少し離れていったが、その間に、
『巨乳は敵、爆乳は抹殺すべきだ……………』
と洩らしていた。
まったく物騒この上ない。心でも体でも負けているのだから、これ以上卑屈になられても困る。
それよりも真耶さんだ。
その間きっと怯えていたのだろう。俺の胸の中にすっぽりと入ってきゅっと俺に抱きついていた。その様子がまた可愛らしくて頬が緩んでしまうのは仕方ないだろう。
そのまま二人で仲良く試合の審判を行いながら鑑賞し、決着がついた所で俺に断りを入れてからマドカを抱きしめに行く真耶さん。
その優しさに俺はまたときめいてしまう。
やっぱり…………。
可愛いなぁ……大好きだ………。
そう想い笑みを浮かべてしまう俺なのであった。
「んじゃ次は最後の決勝戦なぁ~!」
若干ふてくされつつもそう発表を行う茶々丸さん。
既に負けただけに、もうテンションは駄々下がりのようだ。
そしてコートで対峙する千冬姉・真耶さんペアと村正さん親子ペア。
両者とも清々しい笑顔をしていた。
「真耶、貴方が一夏と一緒に旅行に行きたいのは分かっているわ。でも、それは私も同じ、御堂と『二人だけ』で『邪魔されず』に旅行に行きたいの。そして御堂の妻として、周りの連中に突き付けたいのよ、だから、負ける訳にはいかないわ!」
「はい、此方こそ負けません! 旦那様と一緒に旅行にいって、もっと一杯二人で思い出を作って、ホテルで…………キャッ。そ、そう言うわけで、私も頑張ります!」
村正さんと真耶さんがお互いに闘志を燃え上がらせながら見つめ合う。
お互いに美人なので迫力があるが、可愛さは真耶さんが圧倒的に上だ。
俺はついつい応援の声を上げてしまう。
「真耶さん、頑張って~~~~~~~~!!」
「はい! 旦那様と一緒に旅行に行きたいですから、絶対に勝ちます!!」
両手を胸の前に持ってきて意気込む真耶さん。
可愛い上に、胸の谷間が強調されて俺はドキっとしてしまった。
「っておい、審判が片方しか応援しないなんて問題大ありだろ!」
俺達にすかさず突っ込みを入れる茶々丸さん。
そんな茶々丸さんに俺は当然と言わんばかりに答えた。
「何言ってるんですか? 恋人の応援をするのは当然じゃないですか。それもあんなにも健気に俺の事を慕ってくれる真耶さんを応援しないなんてあり得ません!」
「旦那様………うん、こんなにも愛してくれる旦那様に応援してもらって負ける訳にはいきません。頑張ります!」
真耶さんは俺のエールを聞いて顔を赤くしながら嬉しいことを言ってくれた。
俺も同じ思いだから、凄く嬉しくてたまらない。正直今すぐ駆け寄って抱きしめてあげたい。
お互いに見つめ合う。
距離が離れていようと、お互いに通じ合っている感じがして心が満たされていく。
「うわ、何このバカップル! もう死んじゃえば良いのに!」
茶々丸さんから羨ましそうな目と共に文句を言われたが、そこはそれ。これはこれ。
「ちゃんと審判もやりますよ。試合中は公平にするつもりですからね。茶々丸さんとは違いますからね」
「なに気にあたい、馬鹿にされた!」
騒ぐ茶々丸さんを放っておき試合開始の宣言を行う事に。
その際、首を治し中の師匠に茶々丸さんが泣きついたのは言うまでもない。
最初は真耶さん達のサーブであり、真耶さんは元気よくボールを上に上げると、
「やぁっ!」
気迫が籠もっていながらも可愛らしい声と共にアタック。
その際にぷるんと揺れた胸にまたドキっとしてしまう俺。
飛んでいったボールは声とはかけ離れて結構鋭く相手コートへと向かっていく。
それを村正さんは真正面から構え、迎え撃つ。
「やるわね、真耶! でも此方も負けないわよ! かか様!」
「任せろ、娘よ」
村正さんが上げたトスを御母堂が跳び上がり相手コートに突き刺そうとそアタックをかける。
そのボールはコーナーの角ギリギリへと飛んでいき、このまま行けば決まってしまうだろう。
それを今度は千冬姉が飛びつくことでキャッチした。
「流石はあの超人達の中にいるだけはある! だが、ここまで来て負ける気もない。其方に行ったぞ、真耶っ!」
「はい!」
空中にふわりと浮き上がったボールを真耶さんが受け止め安定したトスを上げる。
そのボールに飛びつくかのように、千冬姉が跳び上がり腕を振り上げていた。
「此方も行くぞ! やぁああぁああああぁあああああああああああ!!」
紫電一閃のスパイクが決まり、凄まじい勢いで村正さん達のコートへとボールが突き刺さった。
それを見て御母堂が笑う。
「ほう、武者でもないのにこの威力とは……流石はあの一夏の姉上と言うべきか。惜しいな、武者ならば御堂の次に強者になっていただろうに」
「それは褒め言葉として受け取っておこう。だが、私は武者にも負ける気はないぞ」
千冬姉は不敵に笑うと、御母堂も同じように笑う。
その笑みは真耶さんにも村正さんにも頼もしく見えたのだろう。二人とも嬉しそうに笑った。
「それに……冑も婿殿と旅行に行きたいしな。そのまま更に子を儲けるというのも……悪くない」
「ちょっとかか様! それって本気だったの!」
どうやら向こうは少し荒れているようだが。
村正さんは獅子心中の虫を見つけたような顔をしていた。
それを見て苦笑する真耶さん。師匠はまた火種を生んだようだ。
そんな師匠はというと、再び始まった試合を無心そうな顔で見入っていた。
それが無心ならば良いのだが……。
「師匠はどちらに勝って貰いたいですか?」
試しに審判をしつつそう聞くと、師匠は真顔で答えてくれた。
「審判足る者、そのように片方に有利な見方をするものではない」
流石師匠! と言いたい所だが、その瞳は先程から戦っている村正さん達や真耶さん達の胸に向けられている。
なので此方も少しばかり気安い感じに問う。
「本音は?」
「先程も良かったが、やはり大きな胸が揺れるというのは実に良い光景だ。見て手飽きず、劣情を掻き立てられる」
きっと本人は真面目に言っているつもりなんだろうが、その声は明らかに悪鬼のそれが混じっていた。
流石にそれを否定出来ないところが同じ男として痛いと言うべきか?
今コートに経っている人達は皆スタイル抜群の人達ばかりだ。
千冬姉がスタイルが良いのは昔から知っていたし、真耶さんは寧ろ自慢したいくらい凄い。村正さんもスタイルが千冬姉に負けず劣らずに良く、御母堂はサイズこそ一番この中では小さくても平均以上、その上細身なのでより際だって見えるのだから。そんな美女達が動けば胸もかなり揺れることに。
正直、俺は真耶さんにしか目が行かないが、それでもかなり興奮していることを否定出来ない。
だから師匠がもっと凄いことになっているのは、当然予想出来るだろう。
流石にそろそろ止めさせるべきだと思い目潰しを構えようとするのだが……どうやら必要無いようだ。
「むっき~、そんなにデカい乳がいいのか、お兄さん! 量より質だよ、質! あんな脂肪の塊よりあたいの胸の方が断然いいはずだ!」
さっきまでやさぐれていた茶々丸さんが師匠の状態を見て我慢が出来なかったらしい。そのまま師匠の右腕に抱きつき、自分の小さい胸を押し当てていた。
「湊斗さん! 私の胸はまだ小さいですけど、その分肌の張りや瑞々しさならあんな蜘蛛女には負けませんよ!」
綾音さんが顔を赤くして潤んだ瞳で上目使いに師匠を見つめながら左腕に寄り添っていた。
「景明様、わたくしの方が向こうの鉄女や此方のお子ちゃま達よりも絶対に満足させてごらんにみせますわ!」
大鳥さんが師匠の背中に自慢の大きな胸を押しつけて抱きつき、腕を首に絡ませていた。
その状態になった師匠はと言うと………。
「うむ……大小様々な感触がして……これは良い。実に良いものだ」
悪鬼の笑みを浮かべていた。
それはもう実に素晴らしい程にイヤらしく禍々しい笑みだ。
その陰気を感じ取ったのか、村正さんは此方を向いて顔を真っ赤にしながら叫んだ。
「ちょっとっ! 御堂に何してるのよ、あなた達!!」
そのまま試合中だというのに師匠に向かってずんずんと歩いてくる村正さんは、師匠にくっついている三人とギャアギャアと喧嘩をし始めた。
そして事態は悪化し、いつの間にか持たれていたビーチボールによるドッチボールへと変わっていく。
その光景を見て唖然となる俺と真耶さん、それと千冬姉と御母堂。
「これでは試合は出来そうに無いな」
「そうですね」
仕方ないかと諦め、こうしてビーチバレー大会はあっけなく終わった。
未だにボールを投げ合い、近くにあった岩を砕き、木々をへし折るようなボールを投げ合っている四人を気にせず、俺達は帰り支度をすべく、ビーチバレーのセットを片し始める。
俺と真耶さんは一緒にネットを片づけることになった。
一緒に回収したネットを畳みながら、さっきまでのことを話し合うのだが、真耶さんは少し残念そうだ。
「せっかく旦那様と一緒に沖縄旅行に行けると思ったのに……残念です」
「まぁ、主賓がああで、その上対戦不可能になれば仕方ないですよね」
少し寂しそうに笑う真耶さん。
そんな真耶を俺は優しく抱きしめてあげる。
「あ、旦那様………」
顔を赤らめ恥ずかしそうにする真耶さんの可愛らしさに頬を緩めつつ、俺は真耶にだけ聞こえるように耳元で囁く。
「確かに優勝出来なかったのは残念ですけど、その代わりその分真耶さんが頑張る姿が見られたから俺は嬉しいです。だから、そんな頑張った真耶さんにはご褒美をあげます」
そう言うなり素早く顔を動かし、真耶さんの身体を包み込むようにぎゅっとして瑞々しい唇にキスをする。
「ん………」
少し驚いたようだが、幸せそうに受け止める真耶さん。
身体から香った汗の香りが妙に男を刺激して止まず、俺はその興奮をキスとして真耶さんに伝えるべく、その可愛らしい唇の更に奥、口の中に舌を滑り込ませて中を弄るかのように舐めていく。
「んぅ…ちゅ……ふぅ…ん…んん……ちゃぷ…」
そして唇を離すと、そこには恍惚とした表情を浮かべて気持ちよさそうにふやけてしまった真耶さんがいた。
その姿も愛おしくて、俺は抱きしめたまま問いかける。
「どうでしたか、ご褒美?」
すると真耶さんは夢心地のような顔でうっとりとしながら俺を見つめ、そして脳が焼き切れるんじゃないかというくらい甘い声で答えた。
「とっても……きもちよかったれす……だから今度は……」
そこで一旦切ると、真耶さんは俺に身体を押しつけるように身体を預け、俺に囁く。
「わたしからもっと……一杯キスしちゃ…ダメですか?」
あまりの可愛らしさに俺は返事の代わりにキスしたのは言うまでも無い。
そのまま二人で濃いキスをし、しばらく砂浜に海とは違う水音が聞こえていた。
それが終わったのは、四人のドッチボールで被害が甚大になった後であった。
師匠と四人は疲労困憊。
俺の腕の中には、顔を真っ赤にして幸せそうに微笑む天使がいた。