世界を忌み嫌う武器商人と過去を捨てた兵士   作:のんびり日和

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エピローグ

―――学園襲撃から多くの季節が過ぎた。その間に起きたことを此処に記す。

 

束は国連、そして女尊男卑に染まっていないIS委員会の幹部に学園襲撃に手を貸した千冬、そして女権達のやり取り。そして白騎士事件の真相を記した資料を提出した結果、千冬にはブリュンヒルデの称号が剥奪され、テロに手を貸した罪人として刑務所への投獄が決まった。勿論女性権利団体の多くも逮捕された。特に多くの女権の人間が逮捕されたのは日本だった。政府の中には女権と繋がっている者が多く居り、襲撃に手を貸したのではと叩かれ、横領やら着服など別の埃がわんさかと出てきてしまい、同じく捕まった。

 

IS学園には教育委員会、IS委員会が査察として入り学園内で揉み消された事案などが見つかり再度調査し厳正な処分を下す事が決まった。

そして日本政府の元に置かれていたIS学園は国連の管理の元に置かれ教師などは厳正な審査で合格した者のみを採用することが決まった。学園長は、学園を守るべく戦った轡木十蔵のまま継続となった。(因みに轡木が元傭兵だという事は伏せられた)

 

そして学園生徒や関係者たちのそれぞれの人生はと言うと……

セシリア・オルコットは何とか学園襲撃時は生き残り、淡々と学園行事をこなしながら借金を返済できるよう手配し、卒業する頃には借金はほぼ返しきれていた。

そして卒業した後両親から受け継いだ企業が傾き出し、立て直すべく率先して現場に立つようになった。結果業績は安定し会社を守れたが、その後も現場に立ちつつ会社の為に働いているそうだ。

 

篠ノ之箒は体の不自由などが有る為、別の学校への転校が決定した。本人はISが有れば大丈夫だと言うも、政府からIS学園に通う為の補助金などは打ち切ると言われ仕方がなく転校した。その後県立の高校に転校しても周りに馴染めず孤立し不登校に。現在は家の手伝いを淡々とこなす日々を過ごしているとか。

 

シャルロット・デュノアは卒業後、PEC社に入社。鬼鉄陽太郎の秘書として頑張っていた。

因みに2度と帰れないと思っていた故郷であるフランスには陽太郎が気を利かして休みの日には帰れるよう手配してくれているとのこと。最近母親の墓の前で片思いの人が出来た。と報告しているらしい。

 

ラウラ・ボーデヴィッヒは学園でカウンセリングを受け2年後にはある程度回復したが、やはりISに乗ることだけは無理だった。結果軍を除隊するも、家族もいない自分に行くところが無いと思っていた所、轡木佳代子が養子としてウチに来ない?と言われラウラは轡木家の養子となった。その後公務員の資格を取るべく勉強。その後無事に合格し、IS学園の用務員となり花壇や草木の手入れを養父の十蔵と共にやっているとか。

 

簪は本音と学園卒業後、束の元に行き宇宙開発の手伝いをしていた。数年後、彼女をリーダーに立ち上げられたプロジェクトチームが宇宙へと飛び立ちコロニー建設が行われた。

 

楯無は日本政府の大規模内部変更に伴って暗部業をたたんだ。その後はロシアの国家代表も辞め自身も束の企業に就職。簪の手伝いをするも簪から「お姉ちゃん、ちょっと邪魔」と言われ暫く寝込んだそうだ。その後企画部のリーダーになり、色んなイベントの計画を任されるようになったとのこと。

 

篠ノ之束は国連に保護された後、国連直属の企業ムーンラビットを設立。クロエやオータム達、更に簪と本音の手を借りてISを宇宙にあげるべく研究を続けているとのこと。最近ネイサンの伝手で知り合ったココの計画に興味を示し、陰ながら手を貸している。

 

スコールはIS学園で学年主任に就き、生徒達に勉学を教えているとのこと。因みに副担任に春野がつき、次期学年主任として育ているらしい。最近の鬱憤はオータムとイチャイチャできていない事らしい。

 

 

そしてネイサン達はと言うと現在砂ばかりの国に居た。4台のトラックに1台のフォルクスワーゲン トゥアレグ。そしてその5台にはM134ミニガンやM2重機関銃を積んだハンヴィー3台が守る様に走っていた。この車両に乗っているPMC達はネイサンの知り合い、『パーフェクト・ディフェンダー・ユニット社』の兵士である。社長とネイサンはネイサンの父ジェイソンの繋がりで知り合い、そして今回ネイサンが社長に依頼、更にHCLI社からも依頼されと言う事で、社内で特に精鋭を選び今回の任務に従事させた。

 

「あぁ~、暑い」

 

トラックの一台に乗っていたマドカは助手席で文句を零しながら警備していた。

 

「へっへへへ。マドカちゃんはこう言う砂漠には慣れていない感じかい?」

 

「あぁ。兄さんに会うまでは比較的温暖な地域でしか戦った事が無いからな」

 

そう言い若干ぬるくなった水を口にする。

 

「それにしても、何で武器商人が学校用の建材やら何やらを運ぶんだか」

 

「まぁ、武器だけを売ると会社の評判は悪くなっちまう。だからイメージアップをするためだとさ」

 

レームは煙草を吸いながらそう言い運転する。

 

その頃ココはルツの運転するトゥアレグの後部座席にいた。隣にはバルメが座っており前の助手席には真耶が居た。

何故真耶がココ達の分隊に居るのかと言うと、束がその腕を売り込んできたのだ。

 

『この子、ウチで育てた傭兵なんだけど中々実力があるんだよ! あの事件の時に見たと思うけどどうよ?』と。

 

レームもその腕を見たが、良い腕だと褒め入隊をココに推薦した。結果ココはムッとした表情を浮かべながらも真耶を雇ったのだ。

 

「へぇ~、それじゃあルツさんの狙撃術はその対テロ部隊時代から培ってきたんですかぁ」

 

「おう。でも、マヤの方がすげぇと思うぜ。夏休みっていやぁ2ヵ月ちょっとしかないのに、その短期間でレームに納得されるだけの実力を付けられるなんてすげぇぞ」

 

ルツにそう言われ真耶はいやぁ。と照れた表情を浮かべる。

 

「マヤ、余りルツを褒めたりしない方が良いですよ。調子に乗ってまたケツを撃たれるかもしれませんし」

 

「姉御! なんで俺が調子に乗ったらケツを撃たれるんだよ!」

 

バルメの発言にルツは声をあげながら訂正をぉ!と言っていると、ココの無線機にPDU社の護衛隊の隊長から無線が入った。

 

『此方ガーディアン1から、Ms.ヘクマティアルへ。現在目的地の半分まで到着しました』

 

「あ、わざわざ報告して下さってありがとうございます」

 

『いえいえ、それが仕事ですから。それと先ほど遭遇したPMCですが、本部に確認したところやはり屑の集まりで構成されたPMCだったようです』

 

「あ、やっぱりそうでしたか」

 

PDUの隊長からきた報告にココはやっぱりかと納得した表情で返した。ココ達がPDU社の護衛と共に港を出て、数時間後道を塞ぐようPMC『エクスカリバー』が居たのだ。向こうは格安で護衛してやると言ってくるが追い返していたのだ。

 

「皆ぁ、さっきのPMCはどうやら屑な集まりで出来たPMCみたいだからもし襲ってきたら撃滅して良いからねぇ」

 

ココは無線機で全員に送ると

 

「「「「「うぃ~~~~す」」」」」

 

と気の抜けた様な返事を返す。PDU社は一瞬気が抜けるも、多くの戦場を渡り歩いてきたから出来る上に互いに信頼し合っているからこそ余裕が出来ているんだろうと思った。

 

ココからの無線を聞いた鈴は運転席に居たトージョにある事を聞いた。

 

「あのトージョさん。一つ聞いてもいいですか?」

 

「ん? なんだ?」

 

「どうしてワイリさんが一番前で運転しているんですか? 護衛の車両を先に行かせた方が良いのに」

 

そう言いうとトージョは、あぁそれか。と笑みを浮かべながらその訳を話し始めた。

 

「鈴はまだこの隊に入って日が浅いけど、ワイリが元アメリカ軍の工兵だと言うのは聞いてるよな?」

 

「はい。以前ワイリさんの軍人時代のお話を聞かせてもらった時に」

 

「俺もレームから聞かされた話で詳しくは知らないが、ワイリの家は実は建築家だったんだ。で、どう言う訳か建物を潰す軍人になったんだ。で、レームとその仲間達と共にある工場を潰しに向かったらしい」

 

「その話は聞いてます。確か爆薬が足りず、現場にあった爆弾を使って潰したと…」

 

「そっ。で、それから暫くしてココさんの護衛についていたレームのおっさんの元にワイリもやって来て護衛に就いたらしいんだ」

 

そう言いトージョは可笑しそうな笑みを浮かべながらある事を聞く。

 

「そう言えば、鈴は俺らの中でFBIにマークされている奴って知ってるか?」

 

「FBIにですか? ん~、ココさんは明らかだとして…、誰なんですか?」

 

「ワイリだよ」

 

トージョの口からワイリの名前が出たことに鈴は驚いた表情を浮かべる。あの温厚そうな方がそんなFBIにマークされるような人物に見えなかったからだ。

 

「ど、どうしてワイリさんがマークされるんですか?」

 

「ワイリって実は爆弾に関してはエキスパートなんだ。レームのおっさんから聞いた話なんだが、その昔俺や姉御達がまだココさんの部隊に入隊する前、とあるホテルに泊まることになったらしいんだ。だが運悪く其処に爆弾を仕掛けた奴がいたらしいんだ。けど、ワイリがすぐに見つけて細工を施したらしい」

 

「細工? どういった細工何ですか?」

 

鈴がそう聞くとトージョは若干引きつった笑みを浮かべながら口を開く。

 

「爆弾を仕掛けた奴が、起爆しない爆弾を見に行ったのを遠くで確認して6階建てホテルを5階建てに変貌させた」

 

そう言われ鈴は顎ががくんと開き唖然となった。あの優しくて本で蓄えた知識豊富のワイリにそんな技術があるなんて。と。

 

 

別のトラックの助手席にいたネイサンは外から見える砂漠に若干うんざりと言った表情を浮かべていた。

 

「流石に見渡す限りの砂には飽きますね」

 

「だな。もう少し代わり映えのあるものが有ったらいいんだが」

 

運転席にいたアールはそう言いながら片手でミネラルウォーターの蓋を開け口にする。すると無線機からワイリの声が流れる。

 

『1号車からココさん、全車へ。60秒後減速停車しても?』

 

『了解ワイリ。トラップの気配?』

 

『えぇ。この先のカーブ、アンブッシュ臭いですね。私がもし仕掛けるなら――』

 

『ふふ~ん、ワイリがそう言うなら当たってるかもしれないよ。恐らくさっきのエクスカリバーだろね。先制攻撃なんてさせん! ぜんた~い、止まれ!』

 

その指示が飛ぶと、全車ブレーキを掛けた。

 

『PDUの皆さん、すいませんが今から襲ってくるかもしれない連中の撃退に当たります。ご協力をお願いします』

 

『喜んでお手伝いしましょう』

 

『ほら、皆! 降りて迎撃準備!』

 

そう無線が飛び全員トラックから降りる。

 

その頃カーブ近くにあった岩場ではエクスカリバーの待ち伏せ班がイラついた表情を浮かべていた。

 

「クソッタレ。なんであんなところでトラックが止まったんだよ」

 

「分かりません社長。ん? あいつ何してるんだ?」

 

エクスカリバーの社長の横に居た兵士はそう呟くと、社長は双眼鏡を覗く。その先にはワイリが何かをしている様子だった。

 

「なんだ? IEDをいじってるのか?」

 

そんな様子を見ている間にもコンボイ群の後ろからテクニカルが3台やって来た。乗っていたのはエクスカリバー達でそれぞれAK-47を持っており、テクニカルの荷台にはM2重機関銃などが装備されていた。

 

「社長から連絡が来た。トラックが変な所で止まったってよ」

 

「変なとこだぁ? 構う事はねぇ、皆殺しに」バシュッ

 

助手席の男は突然窓ガラスに穴が開くと同時に運転していた男が撃ち殺された事に驚き慌ててハンドルを取る。

 

「撃ってきた! 撃ってきた!」

 

荷台に居た男はそう叫びながら反撃する。

 

『M2機関銃に警戒! 撃たせるな!』

 

「あいよ」

 

レームは道に寝そべりながら愛用のレミントンM700で狙撃していく。バルメもM249で制圧射撃を行う。

 

岩場に居たエクスカリバーの社長達も始まったことに焦り出す。

 

「クソッ! 始まっちまった」

 

そう言っている横で、兵士の一人がIEDをいじっていたワイリが居ない事に気付く。

 

「おい、あの男どこ行った!?」

 

「援護射撃! 奴も見つけたら撃ち殺せ!」

 

そう声が響き、兵士の一人は援護射撃をすべくバレットM82を構えるもスコープ越しに頭を撃ち抜かれた。撃ったのはLRS2を構えたルツだった。次々に撃ち殺されていくエクスカリバーの兵士達。すると見失っていたワイリを見つけた兵士が社長に報告する。

 

「IEDで吹き飛ばしてやれ!」

 

「野郎ぉ」

 

そう言い兵士は携帯でIEDを起爆しようとしたが、

 

「はっはっはは」ピピピピッ、カチッ

 

電話がなるのを確認したワイリは笑いながら無線機のスイッチを押す。押した瞬間岩場の一部が吹き飛ぶほどの爆発が起きた。それを見た追手側の兵士達は驚愕の表情を浮かべる。

 

「ま、待ち伏せ班との通信途絶…」

 

「ザッケンなよ!」

 

「おい、あれを出せ! 生きてるか?」

 

そう言い車両からある物を引きずり出した。それを見たココは慌ててインカムで指示を出す。

 

「全員、射撃中止! ワイリ、人間爆弾だ」

 

『分かりました、今行きます。全く絵に描いた様な下種な連中ですな』

 

ココも全くだなと心の中で同意していると、ワイリが続けて無線を入れてくる。

 

『道のトラック側は占拠できてますか?』

 

「出来てる。それにしても危うく撃つところだったよ。見た感じ現地人ぽいね」

 

『了解』

 

そして無線は切れた。

 

 

ワイリはトラックの傍まで戻ると近くに居たPDU社のオペレーター達に目を向ける。

 

「済まないが、あっちの丘から虫の息の奴を一人連れて来てくれないか?」

 

「ん? 別に構わないが、何に使うんだ?」

 

「なに、ちょっとした仕返しだ」

 

そう言われPDUのオペレーター達は首を傾げながらも丘へと向かった。

 

 

 

「神よ…何故私はこのような目に…」

 

爆弾を付けられた男はそう言いながら歩いて行くと

 

「おい、おじさん」

 

「え?」

 

道路端に匍匐したココとワイリが居た。

 

「こっちにこけろ、おじさん」

 

「だ、だれ!? でも爆発する…」

 

「大丈夫だから、さっさとこっちにこけろ」

 

そう言われ男はバレない様に自然に見える様にココ達の方へとこけた。

 

その様子を見たエクスカリバーの兵士達は驚く。

 

「なっ!? 野郎こけやがった!」

 

「クソッ! クソォ!! 何てざまなんだよ!」

 

「クソォ! 鴨狩が逆に俺達が滅ぼされかけてるじゃねぇか! 何にもない砂漠のど真ん中で退路まで断たれてよぉ!」

 

「俺に怒鳴んじゃねぇよ!」

 

「もういい! 起爆だ。起爆しろ!」

 

そう叫び、生き残ったエクスカリバーの兵士は起爆用の電話を掛ける。だが

 

ピピピピッ!

 

「はっはっははは。はい、もしもし」

 

とワイリは早々に解除をしていた。

起爆用の電話をコールするも、爆発は起きず男達は茫然となった。

 

「……起爆しない?」

 

「ファーーーック!!」

 

と空に向かって大声で叫ぶエクスカリバーの兵士。

 

 

その頃ココ達の元には、PDUのオペレーター達が生き残った者を引き摺りながら連れて来られていた。

 

「すいません、彼に生き残りを連れてくるよう頼まれたんだが…」

 

そう言いまだ息のあった赤いシャツを着た男を地面に転ばせた。するとネイサンはもう一人連れて来ていた事に気付く。

 

「そいつは?」

 

「まだ息のあった奴なんだが、一人で十分と言われたんだがどうする?」

 

そう聞かれネイサンはどうしようと思いながら男が付けていたバラクラバを外す。

 

「誰だコイツ?」

 

「さぁ? まぁ取り合えず放置しておいても『ピピピピッ』ん、誰だろう?」

 

そう言いネイサンはイリジウム電話を取り出し出る。

 

「もしもし。あぁ、お久しぶりです。何か用ですか?……え? はぁ、まぁいいですが……。ちょっと待って下さい、今から顔写真を送るんで確認してくれませんか?」

 

そう言いネイサンはスマホを取り出し写真を撮り、何処かに送る。

 

「今送りましたが、こいつですか?…あぁこいつでしたか。それじゃあ迎えの車両今からこっちに送ってくれませんか? えぇ、お願いします。では、また」

 

そう言い電話を切るネイサン。

アールは若干嬉しそうな顔を浮かべるネイサンにその訳を聞いた。

 

「こいつの身元が判明したのか?」

 

「えぇ。どうやらコイツ、英国内務省の高官の息子みたいです。で、こいつの身柄が欲しいと言う人から依頼が来たんで拘束しておきます」

 

ネイサンはそう言いながら男の腕を拘束バンドで拘束し、その辺に転がす。

 

「それで、もう1人の男は…あっ」

 

ネイサンはある光景を見つけ、アールやPDUのオペレーター達はその方向を見ると全員時が止まったような感覚に陥った。

 

 

 

その頃エクスカリバーの生き残った兵士達はどれ程経ったのか分からず照りつく太陽の下で動けずにいた。すると誰かが自分達の元へ歩んできたのが、見えてきた。

 

「おい、あれって社長じゃねぇか?」

 

「た、確かに社長だよな?」

 

そう言い合っている間にも社長は彼らの元へやって来た。

 

「な、なぁお前等…」

 

そう言いながら社長は腹の部分を見せると、其処には自分達が現地人に取り付けた爆弾が付いていた。

 

「これ、外せるか?」

 

そう聞くと同時に、トラックに居たワイリは起爆スイッチを押した。結果は言わずもがな、爆弾は爆発して今まで生き残っていたエクスカリバー達は全員死亡した。

 

全員片付いたと一息を付いていると、何処からともなくMi-24ハインドが飛んできた。そして近くに着陸し一人の男性がアタッシュケースを片手に降りてきた。ネイサンはその男性の元に行き握手を交わす。

 

「お久しぶりですね、ナザル中尉」

 

「えぇ、お久しぶりですMr.マクトビア。それで例の者は?」

 

「あそこです」

 

そう言いネイサンは顔を向けると地面に転がされている高官の息子が居た。

 

「確かに。الحصول على طائرة هليكوبتر!(ヘリに乗せろ!)

 

そう言うと、ヘリに乗っていた兵士達は息子に麻袋を被せ、ヘリに積み込んだ。そして人間爆弾にされていた現地人も兵士がヘリへと乗せる。

 

「さて、これが約束の報酬です」

 

そう言いナザルはアタッシュケースを開けると、其処にはドル札が詰め込まれていた。

 

「確かに。それより一つ聞いても?」

 

「なんです?」

 

「僕がイラクに来たのは何時お気付きに?」

 

「ふっふふふ。内緒です」

 

そう言いナザルはヘリに乗り込み去って行った。ココはネイサンの傍へと行く。

 

「彼は誰なの?」

 

「彼はイラクの軍事保安局の方です。昔仕事で一時期お世話になって、それから色々な情報を交換し合ったりするんです」

 

そう言われココはふぅ~~ん。と呟く。

 

「それで、そのお金はどうするの?」

 

「これですか? 特別報酬としてPDUの方にいくらかお支払いして、残りは街で豪勢なお食事の代金にでもしましょう」

 

そう言うとルツやトージョ達はやったぜ!と声を揃えあげた。PDUのオペレーター達も特別報酬と言う事で喜びを見せていた。そしてココ達はトラックへと乗り込み目的地へと向け再出発をした。

 

※ネイサン・マクトビア

学園卒業後もココ達と共に旅を続けている。着実に名が知れ渡り始め、ジェイソン・マクトビアの息子として見られるのではなく、ジェイソン・マクトビアの再来として語られている。最近鈴、真耶、ココから同時にアプローチを掛けられるようになり、絶対その手には『ゼク○ィ』が握られていた。それから数年後、ドイツのウッドハウスには3人の綺麗な女性と一人の男性、そして色々な髪色をした子供達が遊んでいる姿が目撃されたとか、してないとか。

 

※ココ・ヘクマティアル

ネイサンが部隊に戻って来てアプローチを再開。そして鈴や真耶と『ネイサン、嫁の座決定戦』みたいなのが密かに開かれた。が、結局決着がつかず、3人同時にアタックをしようと決まりネイサンにアタックし続けているとのこと。

友人と開発している物は開発を続けているものの、起動はもう少しこの世界の様子を見てからと呟いたそうだ。

 

※山田真耶

ネイサンが学園卒業と同時に学園を辞め、ネイサン達の元に行く。束と、真耶の腕を見たレームの推薦により入隊。相変わらずドジっ子の様な雰囲気を出すも、戦闘になれば真剣そのものになった。ココや鈴と共に共同戦線をしき、ネイサン攻略の為奮闘する。

 

※凰・鈴音

学園卒業後はネイサン達とともに世界中を飛び回る。バルメの様にナイフの扱いに慣れ始めるも、バルメに指導してもらっている。鈴も真耶達同様共同戦線をしきネイサン攻略の為、あの手この手を使って堕としにかかった。

 

※マドカ・マクトビア

卒業後もネイサンと共に部隊の元に戻りネイサンの傍に居た。部隊の皆からは妹の様な扱いを受けており、試しにウゴを「お兄ちゃん」と呼んだ瞬間、ウゴは良い笑顔でGJしながら気絶したとか。ココにルツ達にもやってみたらと言われたが「やっても良いがアイツらのケツに鉛の弾とナイフが刺さるが、いいか?」と聞かれ、ルツ達は全力で首を横に振ったそうだ。

 

※レーム達

変わらずココの護衛をしつつ、色々アプローチをする鈴や真耶、そしてココの姿を見て楽しんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その様子を衛星で見ていた人物がいた。

 

「ほぉ~、良かった、良かった。もし無理そうならゴー君を送ろうかと思ったけど、そんな心配しなくてよかったやぁ、ネイ君の仲間は相当強いみたいだし」

 

空間ディスプレイで見ていた束であった。そしてディスプレイに向けた目線を次に向けたのは、目の前の強化ガラスの向こうに居る人物。

 

「で、どうなのさ、刑務所の飯は? 織斑千冬」

 

そう言い束は冷淡な笑みを浮かべる。千冬は全身を強化拘束着を着せられていた。その顔はやせ細っており、目にも光が無かった。

千冬が投獄されているのは国連が束と共に計画、建設したISを使って重犯罪を行った者を投獄する刑務所である。勿論犯罪を行ったIS委員会の幹部や女性権利団体の過激派もこの刑務所に投獄されている。

 

「返事も出来ない程か。まぁ、体はやせ細るけど、死にはしない。お前の中にあるナノマシンが絶えず生命活動を行う。自殺しようとしても即座に感じ取ってお前を生かそうとする。死んで楽になろうなんざさせねぇからな」

 

そう言い束は座っていた椅子から立ち上がる。

 

「それじゃあ、生き地獄を味わいな。元ブリュンヒルデ様」

 

そう言い束は出て行った。残された千冬は返事もなく、ただ浅い呼吸を続けながら虚空を見つめていた。




これにて「世界を忌み嫌う武器商人と過去を捨てた兵士」を終えます。


グダグダなうえに誤字脱字、ガバガバすぎる設定で書き始めた小説でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。

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