金髪さんのいる同盟軍   作:ドロップ&キック

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長らくお待たせしてしまい申し訳ありませんでした。
そして長い間待ってくださり、ありがとうございました。

そして約1年ぶりの再開!
ノリが馬鹿です。
真面目な方には怒られそうなくらいバカです。
久しぶりのこのシリーズの執筆で、ちょっと壊れました。

久しぶりだし、それでもいいよ~って方にオススメします。
脳味噌空っぽにして読んでくれると嬉しいです(^^




第01章:”少しずつ何かが変わり始める日々”
第016話:”シリアス? ああ、アイツなら長い旅に出たよ”


 

 

 

さて、世の中には空白期間というものがある。

別に”『 』”のことではない。

 

とりあえず何が言いたいかと言えば、今はエル・ファシル帰還組が2週間の特別休暇を出されているど真ん中で、ここハイネセンにある同盟軍将校御用達の”酒場(パブ)”……無論ショー・パブなどではなく正統派英国風パブに錚錚たる面子が集まっているということだ。

 

年長から順に言えば……

 

アレックス・キャゼルヌ大尉

現在、同盟きっての後方任務のスペシャリストであるシンクレア・セレブレッセ少将の元に配属され、様々な経験を積んでる将来の同盟兵站補給線(ロジスティック)を支えるエキスパート候補。オルタンス嬢とは既に婚約してるらしい。

実はこの人がいないと将来的にヤンも同盟全体でも戦争ができないのではないのだろうか?

 

マルコム・ワイドボーン中尉

ヤンと同級で首席卒業のエリート。ヴィジュアル・イメージ的には新コミック(フジリュー)版に近い。おそらく大尉に昇進した後は軍大学へ進学すると思われる。士官学校時代より”10年に1人の逸材”と言われているが、本人に言わせれば「僕が10年に1人ならヤンは100年に1人さ」とのこと。本人曰く「ヤンのファン第壱号」。

何気に年下好き/ひんぬー好き/ケモミミ好きと女性の趣味が真っ黒な数え役満だったりする。どこぞの世界線のカストロプと幼女談義で盛り上がりそうだ。

 

ジャン・ロベール・ラップ中尉

士官学校卒業席次は6位とこれまたかなり優秀。ヤンの「頭のいい怠け者」に対し典型的な「頭のいい働き者」で参謀気質。健康運と上司運の大量増加を望みたいところ。

女性の趣味は「ジェシカ一択! 他に選択肢など在りはしない」。現在、ジェシカ・エドワーズと交際中。完全に尻にしかれてる模様(隠れMという噂も……)。

 

ダスティ・アッテンボロー少尉

伊達と酔狂が大好物の好青年。これでも優秀だが、「素行不良の代表格。規律正しくあるべき軍人の素養に乏しい(ドーソン談)」。原作と異なり同級生のラインハルトと同じく既に任官してるらしい。一応、参謀志望。

好みのタイプは「青葉かな……」と呟いたが、なんのことだかわからない。”銀河艦これ伝説”とか作者は知らない。

ラインハルトの親友、”士官学校の三羽烏”のその2

 

アンドリュー・フォーク少尉

実は”ありえたはずの歴史”から最も運命が乖離したお人。『どこまでも広がる蒼い宇宙(ソラ)()の心を癒してくれるのさ』とパイロット・コースを歩み始めて宇宙を思う存分飛び回ってるせいか、一人称が変わった上に少し不思議ちゃんになってしまったようだ。彼が”同盟の白い悪魔”と呼ばれる日は果たしてくるのか?

ラインハルトの親友、”士官学校の三羽烏”のその3

 

 

 

そしてこの面子を呼び集めたのは無論……

 

「先輩方、それにアッテンボローとフォークもよく集まってくれた」

 

御存知、金髪さんことラインハルト・ミューゼル(”士官学校の三羽烏”のその1)。まだエコニアに旅立つ前の休暇中なので、階級は少尉のままだ。

 

「いや、さすがにこんなメール送られてきたら無理をしても集まらざるえないだろ?」

 

そう本来なら、いかに()()士官の中では下っ端であるといっても、そう簡単に集まれるような面子じゃない。

ちょっとタイミングがずれれば同盟の方々に散ってしまってる……というか、全員がハイネセンというよりバーラト星系にいるのはこの日を外してはなかった。

 

キャゼルヌは携帯端末を立体投影モードに切り替える。

そこ浮かび上がった文字列は……

 

 

 

***

 

《Title》”俺の姉がこんなに度胸があるわけ無い”

 

《本文》姉が突然、ヤン先輩にプロポーズした。どうしよう?

 

***

 

 

 

「ミューゼル、俺は受け取った瞬間、コーヒーをフイタぞ」

 

とアッテンボロー。

 

「僕は軽く(とき)が見えたかな?」

 

フォーク、それは洒落にならん。君の場合は特に。

 

「俺はカノジョ(オルタンス)の手料理を喉に詰まらせかけた」

 

とキャゼルヌが言えば、

 

「ボクは思わず外に出すつもりが膣内(なか)に……いきなり父親になってしまったらどうしよう? いや、大丈夫かな? まだ来てないって可能性も……」

 

「おっとワイドボーン、そこまでだ。”憲兵さん、コイツです”される前に不穏当な発言は慎むんだ」

 

即座にツッコミを入れるラップはいい参謀になれるだろう。

 

 

 

それはともかく、1500年以上未来に”俺妹”が残ってるのは意外である。

ちょっと脱線してしまうが、”この世界線”ではサブカルチャーがかなり重要な意味を持つので少し書いておきたい。

 

宇宙暦700年代……というより帝国とほぼ同時期に成立したと言って良い自由惑星同盟の住民達は、建国時より”独自のサブカル”を生み出す能力が20~21世紀の地球単独時代に比べると実はかなり低い。

別に帝国のように「退廃的、反帝国的なものはすべて排除する」ような厳しい言論や表現の統制があるわけじゃない……というより21世紀の日本と比べてもかなり規制がゆるい。

 

何がとは言わないが、無修正が当たり前で下限年齢は存在しない……と言ったら驚くだろうか?

150年も戦争を続けてる国家らしいと言えばらしいアバウトさだが、「生めよ増やせよ星に満ちよ」は国家的に大奨励で、結婚や妊娠や出産の適齢期が上や下へ伸びるのは大いに歓迎すべきところだ。

 

まあ、そんな倫理観のマイルドさに加え、宇宙を生活の場にすることになって久しい人類は、実は自分達が生活圏として行ける範囲には「人類以外の知的生命体が存在しない」ことを知ってしまった。

 

拡張し続ける物理的な現実が、人から未知に対する想像力や憧憬の念を奪い、フィクションがノンフィクションになるにつれ浪漫が減少していった……というのは極論過ぎるか?

 

だが現実に、地球が人類唯一の生存圏だった時代……宇宙がまだ未知と浪漫に溢れていた”夢を馳せるに相応しい遠い世界”の頃のサブカルが、リメイクやオマージュされ、時には原型も遺さないほどの変貌を遂げながら、ひたすらに再生産し続けられてるのが”今”だった。

 

時にはそれが大きく歴史を動かすこともある。

いずれヤンがそのあたりのことを語ってくれるかもしれないが……

 

 

 

無論、全てのサブカルが残っているわけではないし、数え切れない戦乱の中でデータベースごと消えたものも多い。

そもそも”この世界線”では最初から存在しないサブカルもある。例えば、”()()()()()()”などはその典型だろう。

 

こんな下地があるなら地球教が跋扈し猛威をふるいそうなものだが……だが現実はどうやら逆のようで、多くの同盟人にとって地球とは「人類発祥の地として神聖視」するものではなく、もっと身近な「かつて豊かなサブカルチャーを生み出しておきながら、自らサブカルチャーを排斥し駆逐することによって衰退した哀れで傲慢な星」だった。

そんな星に粘着質な妄執を持って語る地球教の評価など……という感じである。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

とにもかくにもVR化されたギャルゲーなんてものは健全な男なら一度はやったことがあるくらいありふれたもので、ヴァージョンアップ繰り返しながら非常に息の長い……それこそ1世紀に渡るロングセラーなんてタイトルも存在している。

 

そんなこんなで原作より恐ろしくフリーダムな気質が漂う自由惑星同盟だが……こんなんが未来の同盟軍幹部(ヤン・ファミリー)候補で大丈夫なんだろうか?

まあ、反面恐ろしくしぶとそうではあるが。

 

とりあえず、別の世界線以上に問題児を抱え込む気配が漂っているので、某風紀委員の胃を心配しておいたほうがよさそうだ。

 

いずれにせよ、この若者達の未来は未だ定まってはいないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蛇足

 

「若い子達は元気でいいわね~♪」

 

そんな彼らを見つめる視線があった。

わずかにクセのある柔らかそうな金色の長い髪が、ハイネセン・ポリスの街風に揺れる……

 

(でも、ちょっと青臭いわね~。ワタシ的にはもうちょっと枯れた、あるいは熟した方が好みかな?)

 

「さほど歳が離れてるわけでもありませんでしょうに」

 

と秘書というより執事と呼びたくなる壮年の男が言えば、

 

「そんなことないわよ~。最近、何気に歳を感じるもの」

 

とひどく小柄な”()()”は返す。

 

「それはさておき……”()()()()()()()()()()”、そろそろ参りませんと予算会議が」

 

「はいはい♪ では()()()()()、粛々といきましょうか? いつまでもネグポン一人に大汗かかせるわけにもいかないしね」

 

「どこのユルキャラですか? 彼の名はネグロポンティです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




久しぶりなのにヤン不在でござる(挨拶

皆様、お久しぶりでございます。
お待たせしてしまい申し訳ありませんでした。

久しぶりだし気合入れて新章をスタートさせようと思ったら、何故だかこんなことに(^^;
いや、我ながらホントどうしてこうなった?

新章は基本的に原作が始まるまでのダイジェスト版になるでしょうが、また付き合いいただけたら嬉しいです。



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