答えは本文の中に(笑
簡単に言えば、合法ロリ(とその執事)が色々やらかす話です(えっ?
ヤン・ウェンリーが所定の郵送先にレポートを送り終えた後、短い休暇を終えたラインハルト・ミューゼルは「いくつかの課題」をヤンに託し、出世への道を登るべく再び宇宙へと旅立った。
新たな配属先は自由惑星同盟駆逐艦”なのです!”……もとい。”イナヅマ”の航法士官だ。
目的はイゼルローン方面の哨戒任務に参加するため。
何か原作で同じようなシチュエーションがあった気もするが、”イナヅマ”はどちらかと言えば型の新しい駆逐艦であり、ついでに同盟側なのでアホ貴族も搭乗していない。
要するに叛乱を起こす必要は無さそうだった。
仮に遭遇戦が発生したとしても、今度は多勢に無勢でボコる側なので問題ないだろう。
むしろ、戦闘が発生した方が昇進しやすいのでラインハルト的には願ったり叶ったりだ。
さて、そんな平和(?)な日曜の午後の昼下がり……
”キンコーン”
静寂を破るようにミューゼル家の呼び鈴が鳴らされる。
防犯カメラで確認すると、執事服に身を固めた初老の男性と赤いミニスカドレスをばっちりキメた金髪幼女だった。
午後のお茶の準備をしていたアンネに、「私がでるよ」と告げて廊下を抜けヤンはドアを開ける。
なんか無用心と言うか……緊張感のない動きだった。
しかも、ラインハルトに「服務規程も考え、可能な限り帯銃してろ」と言われているのをコロッと忘れているらしい。
まあ、本人に言わせれば『どうせ撃っても当たらないし』と言いそうだが……やはり一度くらいは痛い目にあったほうがいいのだろうか?
一応、女性が護身用に買うようなコンパクトかつ軽量なブラスターを私費で購入した(というかラインハルトにガンショップへ連行され買わされた)ようだが、同じく購入したホルスターに突っ込んだまま机の引き出しに入れっぱなしだ。
「はいはーい。どなたですか?」
執事と幼女とは妙な取り合わせだな?とは思ったが、「どこかのお金持ちのお嬢さんかな? 御近所に越してきたから挨拶回りしてるとか?」と納得してガチャリとドアを開ける。
すると……
”ビシッ!”
といきなり指を刺され、
「アナタがヤン・ウェンリーね? うん。中々美形ね? 落ち着いた感じがワタシ好みよ♪」
「は、はあ。そりゃどうも」
どうリアクションしていいかわからなくなっているヤンにその幼女は、
「ヤン・ウェンリー、ワタシを愛人にしなさい! これは命令よ! アナタに拒否権は無いわ!!」
…
……
………
「はあっ!?」
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「あら? このお茶、美味しいじゃないの♪ アンネローゼ、アナタいい腕してるわね?」
「お褒めにあずかり光栄ですわ♪」
ここはミューゼル家リビング。
ちゃっかり家に上がりこんだ幼女と執事は、ヤンとアンネローゼが座るソファのテーブルを挟んだ対面のソファに陣取っていた。
「えーと……強引に家に上がりこんできた君は一体、誰なんだ?」
すると幼女は余裕綽々の微笑で、
「ヤン・ウェンリー、アナタってば政治とか関心ないクチ? ワタシ、自分で言うのもアレだけどそこそこ有名な議員のつもりよ? 民主主義の特権たる選挙権を放棄するなんて勿体無いわよ?」
するとヤン、少しムッとした顔で、
「参政権が民主主義の重要な権利と義務だってことは、君に言われなくても心得てるよ。それより、君が議員だって?」
すると幼女はちらりとアンネローゼを見て、
「ワタシを知ってるわよね?」
「ええ。もちろん♪」
幼女は勝ち誇ったドヤ顔で、
「ほらね?」
「ぐぬぬ……しかし、議員には年齢制限が、」
すると幼女は少し視線を鋭くし、
「言っておくけど……ワタシ、アナタより2歳年上よ? 年長者にはそれなりの敬意を払ったほしいところね」
「いくらなんでもそんなことは……!」
「”
”
”銀河連邦の負の遺産の一つ”に数えられる遺伝病で、詳細は省くが連邦時代の狂った遺伝子工学……不老不死、あるいは不老長命研究の副作用とされている。
ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムの施行した”劣悪遺伝子排除法”において、銀河帝国では完全排除されたとされるが……帝国へのアンチテーゼを国是の一つとしてもつ自由惑星同盟では、”特定遺伝子病”として認知されていた。
一般に第二次性徴前に発育が止まり、新陳代謝異常から死ぬまでその姿は変わらないとされ、また、見た目どおり細胞分裂速度が子供並に速く、寿命は健常者に比べて短い。
同盟での戦死や不慮の事故死を除く生物的平均寿命は男女共に90歳を越えるが、このネオテニー・シンドローム患者の平均寿命は50代と言われていた。
また女性なら初潮、男性なら精通がない場合が多く、極めて子供を作りにくい(ただ、まったく出来ないわけではない)とされている。
同盟市民には多くの因子保有者がおり、隔世遺伝や超隔世遺伝の例も多い。
発症率は100万人に1人……実はさほど低くは無い。
計算上、21世紀の日本に準えれば100人以上患者がいることになる。
「……ごめん……」
「素直ね? ますます好みだわ……」
クスッと笑い、
「ワタシは”ヨブ・トリューニヒト・
立ち上がりキメ顔で仁王立ちポーズのお嬢ニヒト。自分で新進気鋭と言ってのけるあたりが、彼女の性格をよく物語る。
「トリューニヒト家の家令を勤めさせていただいております”ウォルター・アイランズ”と申します。皆様、以後お見知りおきを」
と同じく立ち優雅に一礼をみせる執事だった。
ヤンは気づかない。
この出会いが、アンネローゼやラインハルトの出会いに匹敵するほど、彼の人生を大きく変えてゆくことを……
お嬢ニヒトがちみっこい理由が存外に重かったでござる(挨拶
実はもう一つの拙作”金髪さんのいない”の方のイリヤの設定を、一部改変して使ってたりして(^^
これぞ、”
蛇足ながら……”ラインハルトが電に乗る”と表記を変えると、微笑ましくも犯罪臭のする字面になりもうした(笑