金髪さんのいる同盟軍   作:ドロップ&キック

68 / 105
今回、ヤンが壊れます(笑

あと、ようやくリンチの愛艦”ニルヴァーナ”の詳細情報が出てきます。


第068話:”涅槃とかレイマリとか妖気とかミラクルフルーツとか、出てくる単語だけ並べるとSFっぽくない……というかむしろ東方っぽい話”

 

 

 

前回までのあらすじ

ヤンは率いてるYS11特務護衛船団共々無事にアスターテに到着、義弟と無事に合流。

その後、エル・ファシル特別防衛任務群提督のリンチに呼び出されて、パン屋の跡取りっぽいチュン・ウー・チェン中佐/武闘派アジアンの若頭っぽいグエン・バン・ヒュー中佐/提督席よりトマホークが似合いそうなラルフ・カールセン中佐/四人の中では最年長のライオネル・モートン中佐と顔合わせすることになる。

 

それぞれリンチの麾下で、100隻少々の戦隊を率いてる、いずれも「戦上手」とリンチにも歴史にも評される猛者たちだが……

 

「それじゃあ計画通りお前さん(ヤン)が率いてくれ」

 

精神的レーザー水爆が落ちた。

 

 

 

「リンチ中将、Just a moment, Please(ちょい待った)

 

思わず暴走を止めるように右掌を突き出し、ついで左手の人差し指を眉間に当て、

 

「確認したいのですが……小官の記憶が正しければ、小官の本来の階級は大尉であり、もし四人のお歴々が同じ臨時任官だとしても通常は1階級上昇、つまり本来の階級は少佐でよろしいでしょうか?」

 

「そうだな」

 

「いや、だったらそれはおかしい!? どこからどう考えても、先任は小官ではないはずですっ!!」

 

今にも裁判を逆転させるような調子の我らがヤン・ウェンリーであった。

というのも、当然彼の提出した計画書に、『自分が囮艦隊の指揮を執る』なんてことは()()()()()()()

常識的に考えて、こういう場合は、より先任の中佐が率いる現地艦隊の麾下に入るべきだ。

 

現地に居る士官なら、宙域をよく知るからこそ地の利だって有効利用できるだろうし、階級こそ絶対の指針たる軍隊で、同じ階級の者が、同じ役職で並べばより先任の者が指揮権を持つべきである。

それこそが軍隊という組織、軍隊という縦社会の秩序! 同盟軍万歳!!

 

とヤンが内心思ったかは知らないが、取り敢えず彼の主張その物は正当だ。

だが、

 

「ヤン、良いことを教えてやる」

 

リンチはノンアルコール・ドリンクの入ったグラス片手にキメ顔で、、

 

「幻想郷と俺に常識は通用しねえ」

 

「アンタは一体どこの”東風谷早苗(ミラクルフルーツ)”だっ!?」

 

元気いっぱいのヤンのツッコミが”ニルヴァーナ”に木霊した。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「まあ聞け」

 

そう仕切り直すのは、自機では早苗より魔理沙派のリンチである。

まだVRゲームが楽しくてしょうがなかった若き頃のリンチによると『やっぱ弾幕はパワーだよなぁ~。幻想郷でも艦隊戦でも分かりやすくていいぜ』とのこと。

 

そういえば、リンチの座乗艦”ニルヴァーナ”はパトロクロス級(改アイアース級)としか表記が無かったはずだが、ベースになってるのはアキレウス級全体で現在最強の火力を誇る”クリシュナ”だ。

攻守のバランスがよく標準型とそん色のない機動力を誇る”盤古(バングゥ)”と悩んだらしいが、機動性を犠牲にした圧倒的高火力(25cm中性子ビーム砲門数:標準モデル→40門、クリシュナ→60門。通常の1.5倍の砲門数。ただし防御力は標準と同等)を選んだとんがったコンセプトと、インド繋がり(ニルヴァーナという名前自体はリンチの趣味で伝説的なバンド名由来だが、本来の意味は”涅槃”)。更に……

 

『形がロックしてるぜ……』

 

と一目で気に入ったらしい。

ただクリシュナと全く同じではないようで、『元々、クリシュナからして艦載戦闘艇(スパルタニアン)積めねーし』と、にエピメテウスやヘクトルと同じように、船体(ハル)ブロックから機関(エンジン)ブロックまで伸びる長いサイドバルジが左右に取り付けられた(このバルジは船体ブロック横のスパルタニアン射出口を塞ぐように取り付ける)。

バルジの中身は予備(サブ)動力炉と推進機関で、劣悪になってしまった機動性/運動性を補うと共に、より大きな継続砲撃時間を伸ばしている。

また副次効果として、やたらと上下幅があるクリシュナに比べ、バルジの追加でバランス修正ができたため、操艦安定性はかなり改善されてるようだ。

全長こそビュコック爺様の愛艦”リオ・グランデ”に負けるが、ボリュームや厳つさからしたらおそらく同盟最強だろう。

 

「何もお前に500隻の艦隊をいきなり率いろとは、いくら俺でも言わんさ」

 

リンチは再びグラスを傾け、

 

「ただ、100隻ちょいの艦隊を率いてる、四人の中佐(コイツラ)を指揮してくれと言ってるだけだ」

 

「……あまり大きな差はない気がしますが?」

 

と返すヤンは、当然のように正統派の霊夢使い。主人公(ヒロイン)なのに曲者というあたりが気に入ってる。

そして、あの何物にも縛られない自由な在り様は、未だに憧れる部分がある。万年金欠なのは困りものだが。

そういえば、面倒くさがり屋で(特に戦闘面で)天才肌ってあたり、この二人になんとなく共通項があるような?

 

どうでもいいが、この時代に東方Projectがあること自体が驚きだだろう。

ただずっと時代の荒波超えて生き残っていたというより、ハイネセン家が1000年近く隠蔽保管していた90日戦争前のデータ・アーカイブから発掘されたデータを元に、リメイクされたというのが正解だろう。

何やらVR弾幕ゲー化され、同盟では国民的人気作になってるようだ。

 

「ニュアンスがだいぶ違うじゃねーか。それに直接指揮じゃなくて間接指揮。”お前の巡航艦(バーミンガム)”で500隻の指揮となりゃあ、そりゃキツいが頭の戦艦4隻から処理済みのデータをなんとかすることぐらいできんだろ?」

 

「そりゃまあ、できますが……ところで、チュン・ウー中佐たちはそれでよろしいんですか?」

 

AよりB装備を好んで使う、インドアゲーは三次元チェスでなくともフルダイブVR-MMOだろうと何だろうと不思議と強い紅白巫女(チート)使いは四人に振り向き、

 

「別に構わないよ? むしろどんな指揮を執ってくれるか楽しみなくらいだ」

 

と悪意ない笑顔で、何気にプレッシャーをかけてくるチュン・ウー・チェンに、

 

「ヘマをしねぇならそれでかまわん。少しでも戦いやすくなりゃ御の字だ」

 

「うむ。リンチ閣下の決定なら異存はない」

 

「同じくだ」

 

「うっ……」

 

チュン・ウー・チェンだけでなく、残り三人にもあっさり頷かれ、思わずたじろくヤンであった。

どうやらこの男、世界線の違いがあっても、やたらと孤立無援に縁があるようだ。

 

「決まりみてぇだな?」

 

リンチはニヤリと笑い、

 

「まあ元々、『YS11特務護衛船団に四人の艦隊を組み込む』って事務処理にする予定だったんで、最初(ハナ)っからお前さんに拒否権はねーんだがな。いざとなったら上官命令でゴリ押すし」

 

「酷っ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 

 

 

 

 

うむ。ラインハルト・ミューゼルだ。

ん? 今回はネタは無いのかだと?

ネタ切れだ。悪かったな。

 

何やら東方の話題が出た気がするが……俺は射命丸(しゃめいまる)を自機に使うことが多いな。

ん? 謎の(アヤ)推し? 一体何を言ってる?

 

「ヤン中佐……ラインハルト君とはまた別のベクトルでユニークだよね?」

 

「そうか?」

 

ああっ、今は休憩タイムで私室でくつろいでる。

最近、アヤが俺の部屋に妙に居ついてるような気もするが……まあいい。少なくとも俺よりコーヒーを淹れるのが上手い。

 

「なんて言うか……変な色気があるって言うか」

 

「はあ? お前は何を言ってるんだ?」

 

ヤン先輩が色気って。おそらくだが、先輩と一番イコールで結ばれないグループの単語だぞ? それは。

 

「それも単純なセクシーさじゃなくて……ほら、ラインハルト君って綺麗じゃん?」

 

「アヤ、お前なぁ……綺麗と評されて素直に喜んだり頷いたりする男は、正直かなりキモいぞ?」

 

少なくとも俺はそんなナルシーな奴には近づきたいとは思わん。

 

「そうなの? まあ、それはそれとして……ヤン中佐って、ラインハルト君みたいに怖いくらいに容姿が整ってる訳じゃないけど、なんて言うか”妖しい”のよ」

 

「妖しい? そりゃ色気ってよりは、まだ先輩に似合う単語かもしれないが」

 

「あえて言語化すると”妖気”かな……? なんか人、特に女を狂わせる毒気の混じった色気って感じ」

 

……先輩は、いつからコズミックホラーの登場人物になったんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございました。

アヤが言う”妖気”っていうのは、おそらくは随所に出てくるヤンが時折出す”凄み”と同じものではないかと(^^

ヤンにその空気が定着してきたのかもしれませんが、アヤはこう見えて存外色々鋭いです。
普段はポンコツだけどw

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。