evangelion×fleet girls sequels ~BLESS FOR HOPE DRIVERS~ 作:イミテリス紫音
ワダツミ上層会議室は紛糾していた。
「鬼だぁ!?」
「有り得ない……有り得ないぞ……」
「鬼だと……姫だと……」
「どうやって生き残ったんだ!?」
「井伊雁さん、貴方が知らないのも無理はない……まだ着任してから1か月の提督が鬼級と出くわすなど滅多にないことなので、まだ教えていませんでした……本来なら、3か月ほど提督業務を行ってから、鬼級、姫級について教えるつもりだったのですが……」
「鬼級、姫級、ですか……?」
「深海棲艦の中でも、特に強い人型実体を鬼級や姫級と呼称します。通常の深海棲艦よりもはるかに強く、特に最深部にいるものは、過去多くの犠牲を払い、ようやく撤退できる、というものでした」
「そんなに……」
「ああ……私も一度しか見たことはない、が……一人も轟沈させずに帰れたのは運が良かったとしか……」
「井伊雁君、聞きたいのだが……君は、どうしてそこから生きて帰れたのかね?」
「……砲撃と爆撃を受けて、痛くて気絶して、気付いたら知らない天井だったので……多分、流されたんだと思います、参考にならなくてすみません」
「確かにこれではなんの参考にもならんわい」
「なんだ……単に運がよかっただけか」
「何という幸運の持ち主……やはり」
「――待て、普通攻撃喰らった時点で死ぬだろ」
「……あっ」
「どうしたのかね、井伊雁君」
「当たる直前にいつも目の前が一瞬オレンジ色になっていたの、もしかして……あ、いえ」
「言いなさい」
「……ごめんなさい」
「ふうむ……少しばかり確認の必要がある、か?」
●
「それは……本当なのか、シンジ」
「はい、光輝さん、……あと元貴さんも」
「そのオレンジ色に、心当たりは……ありそうな顔をしているな」
がん、がん、という音がどこからか聞こえるが、それを無視して初宮・ゴットヴァイス・元貴が問う。
「……あれ、たぶん……ATフィールドだと思うんです」
「「……それは一体」」
「使徒やエヴァが持ってる、バリアみたいなものです」
がん、がん、と――おそらくドアをノックしているのだろう――心なしか近づいているような気もするが――
「なるほど……にしてもうるさいな」
「でも、もしそれが本当にATフィールドなら、……僕は、もう」
「待て待て、貴様が使徒になった、というのは流石に飛躍が過ぎる」
「――一つだけ確かなのは、シンジ君、君は紛れも無く……『提督』だ、ということだ」
「……はい」
がん!がん!
「さっきからうるさいと思っていたが、ついにここにも来たか……何者だ」
「井伊雁司令官麾下、暁型駆逐艦四番艦、電なのです!司令官さんを探しているのです」
「ああ、ごめんね、ちょっと報告とかあったから……」
「了解なのです」
「鳳翔さんは?」
「ワダツミの大淀さんのところなのです」
「ありがとう、今から僕たちも行こうか――元貴さん、光輝さん、ありがとうございます」
「どういたしまして」
「俺にとっては容易い事だ、またいつでも来い」
●
「はい、建造及び開発の成果を確認いたしました。建造研修任務、開発研修任務、完了です!」
「ありがとうございます」
「それで……これからどうするおつもりですか?」
「数をもっと増やしたいんだよね……出来れば30人」
「……」
「……え?」
辺りを見回すと、かなりの数の提督――そして艦娘たちも――が一様にため息をついていた。
「え、ええ!?だって、数が多ければ」
「それじゃあ駄目なんだ、奴ら艦娘の気配に敏感らしくてなぁ……6人までならまだ何とかなるんだが、7人超えると大抵の深海棲艦は姿を見せなくなっちまうのさ」
「で、でも、深海棲艦の方はいっぱい……」
「奴らは奴らで、何しろ元が怨念だからなぁ……集まりすぎると共食いしやがる、だから大抵5、6隻に落ち着く……例外は鬼級や姫級だぁな、あいつらは統率力に優れているのか連合艦隊を率いて来やがる……つってもたかだか12隻が限度らしいが」
「そう、だったんだ……」
「ちなみに鬼や姫ともなりゃあ多少艦娘が増えても捻り潰せる、とでも思ってるのかは知らんが……こちらも12人までは何とか出せるようになる、ことも多い……あと、後から支援艦隊送ってもそれは含まれないらしい、あくまで一度に多くの艦娘を送ると警戒するらしいな」
「あと、戦艦や空母を多く入れると警戒して姿を隠す奴も多い……気を付けな」
「あ、ありがとうございます……」
「そこで駆逐艦や巡洋艦ですよ、奴らは戦艦や空母、
「はい!」
「いい返事だ……さて、ここまでのまとめだ。一つ、深海棲艦相手に数で押し切る戦略はとれない。二つ、駆逐艦と巡洋艦を意識して育てろ。そして三つ――一番大事な事を言い忘れていたが――大破したら撤退しろ、必ずだ、さもないと……君が艦娘を殺すことになる」
「……わかり、ました」
●
「とはいっても、さすがに2人は少なすぎるよね」
「報酬の資源をさっそく溶鉱炉に投げ入れるのですね……」
「ま、まあ、これで誰か来てくれれば色々できることが増えると思う、し……そうなれば、おつかいとかで資源を持って帰れるはずだし、ね……あっ、それで思い出した」
「何をです?」
「確か、2人いるから練習航海遠征が出来るようになるはずなんだ」
「遠征、なのです!?」
「そう、遠征。……といいつつ、今回は初めてだし、航海の練習らしいけど」
「――早速訓練なのです」
「ええ、そうしましょう。……ところで碇提督、旗艦は私と電、どちらにいたしましょうか」
「んーと……初めてだし、電ちゃんに旗艦をさせてあげたいかな」
「承知いたしました」
「ありがとうございます、感謝なのです」
●
「――井伊雁紫帆麾下、練習航海艦隊二隻の到着を確認」
「
「艦隊旗艦、電、
「2番艦、鳳翔、
「艦隊内の全艦娘は補給済み、問題なし」
「量子ポータル接続シークエンス突入……接続完了」
「開きます」
「電ちゃん、鳳翔さん、――よろしくね」
「安心して待っていてほしいのです」
「ご心配には及びません、気を楽にしてください」
「艤装装着完了」
「装備確認は行いましたか」
「はい、しっかりと!」
電には主砲とドラム缶。鳳翔には艦上爆撃機と機銃。
(ごめんね……帰ってきたらもっと良い装備作るからね……!)
ともあれ、今持っている装備をすべて積み込み。
「出撃用意」
「元気で帰ってくること、いいね!」
「了解なのです」
「提督は心配性ですね」
「だって初めてだし……」
「それはお互い様なのです……では、行ってくるのです!」
「
「量子ポータル縮小、最小限の接続余地を残し出来うる限り遮断します」
「……信じなきゃ、だよね……それしか、もう出来ないものね……」
(
かつて戦場の最前線で命を懸けていた自分が、今は後方で送り出す側に立っている……その事実に、気を抜けば目眩がしそうだ――
「……っと、今の間に出来ることしないとね」
●
15分後。
「ただいまなのです」
「ただいま帰りました」
「鳳翔さん、電ちゃん、おかえりなさい――こっちも二人に見せたいものがあるんだ」