evangelion×fleet girls sequels ~BLESS FOR HOPE DRIVERS~   作:イミテリス紫音

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第陸話 Sally go!!/初出撃、ただいまとおかえり@二〇一八年五月

数ヶ月後。

 

ワダツミの私室にて――

 

「演習、かぁ……」

 

「碇提督、あまり根を詰め過ぎてはいけません。お茶にしましょう」

 

「ありがとう、鳳翔さん」

 

「それにしても、まさか自分の部屋が持てるようになるなんて」

 

先日の意図しない大建造で麾下の艦娘が6人になったシンジは、自らの部屋を持つことを許された。これを部屋持ち(ルームド)といい、まずはこの領域に到達することがワダツミの提督の卵たちの目標の一つだったりする。

 

さて、自分の部屋といっても、部屋自体はかなり広い。ホテルの一室をイメージすれば良いだろう。しかし……実際のところはかなり手狭だったりする。それはそうだ――

 

 

 

なにしろ提督1人に艦娘6人で、最低7人はいるのだから。

 

 

 

ちなみに、部屋のいたる所に監視カメラが仕掛けられており、常時憲兵に監視されている――半人前が艦娘に手を出すんじゃねえ、ということである。

 

まあ、一人で発散する分には憲兵も何も言わない。憲兵も分かっているのだ――可愛い女の子と同じ屋根の下で、なのに手を出せないもどかしさとか、その他諸々の事情は。

 

 

 

少々下世話な話になってしまったが、提督にとって自分の性欲とどう付き合うかは一生付き纏う大きな問題である。そういう意味でも、女性提督は有利な立ち位置にいるといえよう。

 

「次の演習は五月末から六月上旬、だったよね……」

 

「先の演習は何も出来なかったのです」

 

「阿武隈さんや由良さん、北上さんに大井さんに木曽さん、さらに瑞穂さんの6人が始まる前に終わらせてしまったからね……」

 

げに恐るべきは先制攻撃である。殺られる前に殺れ、を地で行く青倉少将のスタイルに何も出来なかった……彼女たちの後悔は深く、一週間前のショックは未だ癒えない。

 

「せめて航空攻撃で一人くらいは倒しておきたかったですね……」

 

「しかも今度は元帥が演習のために来るらしいし……あれよりもさらに強いのが来るのかぁ……とにかく今は経験を積んでいかないと、だね……」

 

「そうだね――ところで提督」

 

「なぁに、時雨」

 

「僕たちを呼び捨てにしてくれ、といってすぐ実行してくれたのは嬉しいけど、未だに鳳翔さんはさん付けなんだね」

 

「なんだろう……なんとなく、呼び捨てがためらわれる、っていうか……なんていうか、ついうっかり母さんって呼んじゃいそうなときもあってさ」

 

「まあ、ある意味では母のような存在でもあるかもしれないね……少なくとも、帝国海軍の空母の母、には違いないし、僕たち駆逐艦を始めとして、鳳翔さんにお世話になった子は多いし――それはそれとして、出撃はいつからするのかな、そろそろ大丈夫だと思うんだけど」

 

「6人を改装してから、と思っていたんだけど……改装なしでもいけそう?」

 

「やってみないことにはわからないわ、でも多分大丈夫だと思うの」

 

「そうよ、もう少しわたしたちを一人前のレディとして信じてちょうだい」

 

「……分かった、じゃあ……今日の午後に一度出撃してみよう」

 

「了解なのです」

 

 

「――井伊雁紫帆麾下、鎮守府近海攻略艦隊六隻の到着を確認」

 

「井伊雁提督、提督資格証明(アドミラル・ライセンス)提督資格証明読み取り機(ライセンス・リーダ)に通してください」

 

「はい!」

 

「認証処理、正常に終了」

 

「了解、出撃艦娘の接続振動(Linkage Vibes)計測開始」

 

「艦隊旗艦、鳳翔、接続振動(Linkage Vibes)14.67±02.69、損傷なし(Status Green)、航行可能です」

 

「2番艦、電、接続振動(Linkage Vibes)12.25±00.62、損傷なし(Status Green)、航行可能です」

 

「3番艦、雷、接続振動(Linkage Vibes)11.51±00.42、損傷なし(Status Green)、同じく航行可能です」

 

「4番艦、暁、接続振動(Linkage Vibes)12.35±00.95、損傷なし(Status Green)、航行可能です、どうぞ」

 

「5番艦、響、接続振動(Linkage Vibes)19.20±00.29、損傷なし(Status Green)、航行可能」

 

「6番艦、時雨、接続振動(Linkage Vibes)14.70±00.73、損傷なし(Status Green)、同じく航行可能です」

 

「艦隊内の全艦娘は補給済み、問題なし」

 

「量子ポータル接続シークエンス突入……接続用意」

 

「量子ポータル接続……まもなく完了」

 

「接続完了、開きます」

 

「井伊雁提督、再度提督資格証明(アドミラル・ライセンス)提督資格証明読み取り機(ライセンス・リーダ)に通してください」

 

「わかりました」

 

「再認証シークエンス完了、艤装装着を許可します」

 

「艤装装着完了」

 

「装備確認を行います――鳳翔、紫電改二8機、彗星一二型甲11機」

 

何も出来ないまま、幾度となく六本の先制雷撃に倒れ。

 

「電、12.7cm連装砲、10cm連装高角砲」

 

涙をこらえた初めての敗戦を、彼は無駄にはしない。

 

「雷、12.7cm連装砲、10cm連装高角砲」

 

せめて良い装備を持たせてやりたい。

 

「暁、12.7cm連装砲、10cm連装高角砲」

 

装備のせいで勝てない、そんな思いは絶対にさせない。

 

「響、12.7cm連装砲、12.7cm連装砲」

 

まだ十分ではない、だけど。

 

「時雨、12.7cm連装砲、10cm連装高角砲」

 

これが今の、最高だ。

 

「出撃用意」

 

「元気で帰ってくること、いいね!」

 

「了解なのです」

 

「提督は心配性ですね」

 

「本当よ!もっと私たちを頼っていいの!」

 

「必ず帰ってくるよ」

 

「だって初めてだし……」

 

「それはお互い様なのです……って、このやりとり、以前もしたのです」

 

「大丈夫。私は不死鳥と呼ばれたこともあるんだ……必ず、皆を無事に連れて帰るよ」

 

「あの……旗艦は私なのですけれど……」

 

「さ、準備はいい?」

 

「「「「「「いつでもどうぞ!」」」」」」

 

「リフトォォォ……」

 

艦隊抜錨(Weigh Anchor)――!」

 

「オォォォォフ!」

 

 

 

 

 

「量子ポータル縮小、最小限の接続余地を残し出来うる限り遮断します」

 

 

 

「……おい、シンジ……」

 

「あっ、ケイタくん」

 

浅利ケイタが物言いたそうにシンジを見ている!

 

「あのな……」

 

「はい」

 

 

 

「リフトオフって、……エヴァじゃねえんだぞ!?」

 

 

 

「あっ」

 

 

「いたよー、くちくかんがいっせきです」

 

「索敵完了しました、駆逐艦1隻よ……気は抜かないように」

 

「鳳翔さん、索敵ありがとうなのです」

 

「……見えたよ」

 

時雨が呟く。

 

「……まずいわ!丁字不利よ!」

 

深海棲艦の駆逐艦……の中でも提督が良く目にするのがイ級である。今回は1隻、しかし単縦陣で進んでいた暁たちを左舷方向に通り過ぎようとしていた。

 

これは丁字不利である。もし敵が複数ならば、敵は火力を集中させることができ、一方こちらは敵に向けられる砲の数が少ない状態で戦わねばならなかっただろう。

 

しかし。

 

「艦上爆撃機、彗星一二型甲……発艦!」

 

「りょうかい」

 

「おとなしくねむってくれよ」

 

「わるくおもわないでくれ」

 

鳳翔が動く。発艦した爆撃機は、イ級の直上で急降下。その爆撃は過たずイ級を呑み込んだ……そして。

 

……アリガ、トウ

 

「……これ、って」

 

「うん。きっと……解放、されたんだよ」

 

「きっとそうだわ、きっとそうよ」

 

「……おやすみなさい」

 

 

 

「どこかしら、なんとなく胸騒ぎはするのだけれど」

 

「鳳翔さん、響より索敵を具申したい」

 

「了解しました、飛ばしましょう」

 

「まかされた」

 

「がってんしょうち」

 

 

 

「よんせきからなる」

 

「すいらいせんたいです」

 

「敵艦隊は4隻、水雷戦隊です……見えました」

 

「われらいちばんに」

 

「われらすいせい、とっつげーき」

 

「くちくかんいっせき、おとなしくしたよー」

 

「残り3隻なのです」

 

「ちょうどすれ違う形だね……反航戦だ」

 

「もういっかい」

 

「せーのっ」

 

「残るは軽巡洋艦と、駆逐艦と……1隻ずつか」

 

「ホォォォォ……」

 

「……危ない!」

 

「えっ……って私!?」

 

「そうです、暁ちゃん狙われてるのです!」

 

敵艦隊の旗艦である軽巡洋艦……ホ級と分類されているそれが、暁に主砲を向ける。当たるか、と思われたが、

 

「よっ、と」

 

余裕を持って避けた。

 

「僕が終わらせてあげるよ……」

 

時雨が旗艦を狙い撃つ。が、

 

「傷は与えられたけど、そこまで大きな傷ではないみたいだ……」

 

「……嫌な予感がするわ、先に避けとくわね!」

 

「ちょっと、雷ちゃん!?っと、本当に避けたのです……さて、これ以上迷惑かけちゃ駄目なのです、本当の有るべきを……」

 

「そうよ、目を覚まして……!」

 

「もう、気は済んだだろう?」

 

「一人前のレディとして、貴女を……」

 

「取り戻すのです!」

 

「起きなさーい!」

 

「не смей.」

 

「救い出して差し上げますわ!」

 

4姉妹の砲撃が残る2隻に当たり、少し時間がたって……海が、輝き出した。

 

「アリガトウ」

 

「アリガトウ」

 

「オメデトウ」

 

「アリガトウ……」

 

「……よかったのです」

 

「ええ、そうね……」

 

「さあ、帰ろう……鳳翔さん?」

 

「……あれ、は?」

 

「艤装、だね……でも、どうして」

 

「オクフカクニ、ワタシタチト、オナジク」

 

「ニクシミニトリツカレ、クルシムナカマガイル」

 

「ドウカ、タスケテアゲテ」

 

「ホンノスコシ、ダケド……」

 

「ホンノ、アトオシ」

 

「ありがとうなのです、大切に使わせていただくのです」

 

「「「「「ありがとうございます」」」」」

 

 

 

「さあ、今度こそ帰りましょう」

 

 

「おかえりなさい」

 

「ただいまなのです」

 

「怪我もなくてよかったぁ……」

 

「……司令官、ちょっと涙もろすぎやしないかい?……いいんだ、泣いてもいいんだ」

 

「そーとー、心配性ね、わたしたちの司令官は」

 

「ぶじにがえっでぐれで、よがっだよぉ……」

 

「提督が良い装備を頑張って準備して、応援してくれたからだよ」

 

 

 

「――お疲れさまでした、碇提督」

 

「こちらこそ、お疲れさまでした。……さ、補給が済んだら休憩しよう、元貴さんがシュークリーム買ってきてくれたし」

 

「ありがとうなのです、碇司令官」

 

「おやつ♪おやつ♪」

 

「その前に補給を忘れないように」

 

「「「「はいっ」」」」

 

 

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