気付いたら赤木しげるの娘だったんですが、   作:空兎81

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初戦

 

現役最強と呼ばれる原田さんがいる席か。もうめっちゃつらい。しかも原田さんはイカサマを見つけたら平気でドス抜いて殺しにくる武道派ヤーさんだよ。すぐにこの席から逃げ出したいです。

 

救いは確か原作では健さんがやらかしてドベ落ちしてくれるので私はなにもしなくともこの場にはいられるということだ。がんばってね、健さん。私はのんびり打っときますから。

 

そんなわけで始まった東1局、配牌は悪くない。じわりと回していこう。

 

 

「ククッ、お前みたいなガキが出てくるなんてよっぽど東は人手不足のようだな」

 

 

「そうかもね」

 

 

原田さんに話しかけられて思わず身体がガタガタ震えそうになるがなんとか抑え込んでいらない牌を捨てる。ちょ、いきなり話しかけてこないで下さいよ。武道派ヤクザの組長に目をつけられるとか怖すぎる。なるべく静かに打とう。

 

原田さんはソーズを落とすと3巡目でリーチをかけた。捨て牌見るとピンズか萬子に当たり牌がありそうだけど確かこれってピヨ待ちだった奴だよね?よかったぁ!原作覚えていて本当に助かった!とにかくピヨだけは打たないようにしよう。

 

相手のロン牌わかっているならこっちのもの、いらない牌どんどん落として手を作っていく。お、テンパった。後はリーチをかけるかどうかだが、

 

うん、なんか嫌な予感がするんだよね。取り敢えずここはリーチかけずにいよう。でもリーチしなかったら当たり牌でても上がれるかわからないんだよな。ルールわからんのマジ辛い。

 

と言ってる間にピヨつもりました。うわあああっ、これ切れない牌だよ!やっぱりなんか引く予感があったんだよね。取り敢えずこれは中に入れて、さて何切ろう。ピヨ切らなかったらテンパイ崩れるなー。むむむ。

 

いやでも逆に考えれば原田さんの上がり牌を抑えたってことだよね。うーん、じゃあ流れは悪くないのかな?まあ手を回しながらゆっくり打とう。まあ上がれたらラッキーということで。

 

結局その局は誰も上がれず流れた。テンパイと言って手を倒したのは原田さんと健さんのふたりだけ。原田さんの待ちは原作通りピヨ単騎でした。覚えててよかった原作、知らんかったら普通に振ってたわ。

 

 

「ふっ、ガキだがグズってわけではなさそうだな。だがそんな打ち方じゃ、俺は殺れないぞ」

 

 

原田さんがこちらをニヤリと笑う。そりゃ麻雀歴3戦目の私と現役最強の原田さんじゃお話にならんでしょう。なんだろう、挑発なのかな?この人ホント好戦的で嫌です。

 

さて、ここからの打ち筋は原作情報あったかもしれないが全く覚えてないので普通に打たなければならない。どうしようかな、まあ考えたところで私にできる戦略ってリーチをかけるかかけないか選ぶくらいしかないけど。

 

でもリーチかけなくて回し打ちしたとしても相手の捨て牌見て何が怪しいとか全く読めないし、そもそもこの人ってフリテンリーチとかしちゃう人でしょ?捨て牌って意味ないじゃん。うん、役あるか考えるの面倒だしテンパったらリーチしよう。

 

と思っていたら次の回リーチかけた瞬間ツモって裏も乗って跳満いった。その後も中をポンと鳴いて千点であがる。一気に私がトップだ。

 

あれ?こんなに頑張るつもりはなかったのに気づいたらトップ独走しているぞ?周りも驚きながらなんて速さだとか何故その牌を切らないんだ、とかブツブツ話している。別に特に何もせずいらんところ切っているだけなんだけど、初心者だからこそ怖いもの知らずなんです。後は単純に手が速かった。

 

その後は周りがちょこちょこ上がりながらオーラスまで来た。相変わらず私がトップである。原作崩壊しているけどいいのかな、そもそも私が打っている時点で原作もなにもないか。取り敢えずドベにはなりたくないのでこの局は振らないように注意しよう。

 

そうこうしていると、ふと、健さんの手牌が少ないことに気がついた。ああ、ここが例の四暗刻の場面ですか。今確かに健さんドベだしついでに原田さんを飛ばせたら美味しいもんね。これはうまくいかないんだけど、止めるのも難しいんだよな。ということで頑張れ健さん、ひょっとしたらワンチャンありますよ!

 

と思ったがダメでした。やっぱり左手に1牌抱えているの見破られて刺されちゃいました。ドンマイ、健さん。まあまた次があるので頑張って下さい。

 

にしても怖かったわ原田さん、平気で人刺したよ。目の前の卓が血で染まっていってガクブルでしたわホント。やっぱりヤーさんと麻雀なんかしたくないよぉ。次はひろさんが変わってくれると信じています。

 

 

「目の前で人が刺されても顔色ひとつ変えねえか。肝が据わったガキだな。おい、お前名前は?」

 

 

さあ、これで退散と思ったところで原田さんから声が掛かる。内心ヒィ!と悲鳴をあげながら呼ばれた以上は振り返る。アカギDNAのせいで表情筋が仕事しないだけで健さんが刺された時はめっちゃビビりましたよ。取り敢えず聞かれたことには答えとく。

 

 

「蓮、伊藤蓮だ」

 

 

「蓮か、その名前覚えとくぞ」

 

 

ククッと笑いながら原田さんは去っていった。うん、普通に答えちゃったけどこれまずかったよね。ヤクザに名前覚えられても絶対いいことないもん。うわあああっ、私のばかァ!でも答えないという選択肢もなかったよちくしょう!

 

その後、僧我さんと赤木さんが四暗刻上がって他の卓も終了した。次は2回戦か、ココこそひろさんの出番だと信じているからね!

 


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