ロクでなし魔術講師と超電磁砲   作:RAILGUN

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あとがきに設定を書き起こしました
興味があればご覧ください……本文の半分くらいあるっていうね


SIDE RAIL 1

ㅤㅤ———これは一人の青年が死後をも明け渡して、いつか恋した少女を救った話。

 

 とある男の話をしよう。

ㅤ出身は不明。生い立ちは周りに難あれど本人は至って純粋に過ごしていた。

ㅤ彼はある事情により深い眠りについていた。

ㅤ目覚めさせる方法はなく、自発的に目覚めるのを待つしかない。

ㅤそれは永遠の呪いに至る試練。乗り越えられなければ彼の未来には墨が撒かれる。

ㅤ彼はルミア=ティンジェルという少女を好いている。それはもう彼女が槍に刺される運命なら身を呈してでも。

ㅤしかし、それはきっと彼女が悲しむから槍を構える人間をはっ倒すという考えに至る深き愛情を抱くくらいに。

ㅤ———世界のやり直しをしよう。

 

ㅤ言い忘れていたが眠る男には記憶がない。

ㅤそれは夢の中だから変な話なのだけれども、男の事情は特殊で一般認識の下で成り立つものではない。

ㅤ故に記憶がないという言葉は今現在の事実を説明するのに最も適している。

 

ㅤ———永遠の愛を捧げよう。

 

ㅤ男が眠るこの状況で普段通う学び舎では問題が起きていた。

ㅤ未回収の魔道書の写本を用いた事件である。

ㅤただし、魔道書を扱う少女に事件を起こしたという認識はない。

ㅤ夕焼けの色をした赤髪の少女———アンナ=ホルスフッドの願いはただ一つ。幸せに生きること。

 

ㅤ———次に託します。

 

ㅤ魔術を扱う素養のないアンナはたまたま手に入れてしまった魔道書でアルザーノ魔術学院の中でも活気に溢れたクラスの様子を覗き見た。

ㅤアンナは自分自身の勝手な思い込みで魔術の授業はジメジメしたものとか、ひたすら呪文を捧げるものだと思っていた。

ㅤたまたま覗いた楽園。アンナはそれから何時ものようにクラスを覗き込んだ。

 

ㅤ———智慧を蓄えましょう。

 

ㅤその日々はまるで万華鏡。

ㅤ移りゆく季節に変わりゆく心模様。

ㅤただ、遠くで見ているだけで良かった。

 

ㅤ本当に?

 

ㅤ魔道書はそう呟いた。甘く、甘く、甘く。

 

ㅤ———要は単純な話で後ろから殺りゃいいんだろ?

 

ㅤアンナの願いは歪んだ。否、歪ませられた。

ㅤ古来より意識を持つ魔道書に善意などない。

ㅤどういう形にせよ自分の益になるように働きかけるのだ。

 

ㅤ———■■■■■■■■■■ッ!

 

ㅤアンナは気がつけば学院で()()()()()才能ある者として有名なシスティーナよりも優秀になっていた。

ㅤいや、そう認識させていたと言った方がよいだろうか。

ㅤ魔道書の願いのために……アンナから真なる願いを口に出させて魂を掴むために。

ㅤ魔道書は願いを叶え続けた。

 

ㅤ灰色の舞台に偽りの演者を置くことで。

 

ㅤ———生涯に曇りながら剣を振るった事実はない。

 

ㅤアンナの願いは加速していく。

ㅤクラスで教鞭を取るグレンを見て。実際に講義を受けて見て、その想いはより一層強くなっていく。

ㅤそれはポケットの中に隠し持っていた小さな夢だった。

ㅤ年相応の淡く儚い夢。

ㅤ届かないと思っていた日常。あり得ないと思った風景が目の前にあって手が届くというなら……。

ㅤ手を伸ばしてみたいじゃないか。

ㅤ抑圧されていた悲しみは溢れ、自分の感情は既に制御不能になっていた。

 

ㅤ———不器用だから(コレ)でしか解決できないんだ。

 

ㅤしかし、アンナと魔道書が築き上げた砂上の楼閣はアルベルトの洗礼詠唱された聖水により泥となった。

ㅤアンナは言葉を失う。

ㅤもっと、もっと。もっと……。

ㅤみんなと一緒にいたい。

 

ㅤそしてアンナ=ホルスフッドは魂を掴まれた。

 

ㅤ◆

 

ㅤそこは今は眠る男の『器』の中だった。

ㅤついこの間までは多くの子供達が宿り、圧迫されていた世界。今はもう、面影はない。少しばかりの残滓が漂うだけだ。

ㅤほんの僅かな恩恵はあれど現世に現出させるほどのモノではない。

ㅤこの世界には8つの席がある。

ㅤ男の名前が■■■■■だったときにあった伝記である『アーサー王物語』を模して作られた円卓。

ㅤそれを囲うようにして8つの席があるのだ。

ㅤ意味は並列。この席に並ぶ者達に上下関係はない。

 

ㅤ厳格な雰囲気を纏う者達だが、席に座する者達の顔は全て同じ。

ㅤ雷撃の異能者、ラクス・フォーミュラだった。

ㅤこうして顔を合わせて会議をするのは珍しい。開幕を宣言するように席に座する者達の中で最も9人目に近しい風貌をした始まりの雷撃(アイン)が口を開いた。

 

「9人目の俺すごいね。ルミア救ちゃったよ。流石は俺だ」

 

ㅤ戯けた風に言う彼だがそれは席に座する者達も同様だ。

ㅤローマ数字のⅤの席に座るターバンを巻いた紫電の夜(フュンフ)は退屈そうに円卓に足をかけて応える。

 

「甘甘の甘ちゃんだけどな。つかなにかぁ、ヤローが出来たってことは俺たちは全員、ヤローより無能ってことを証明したってことか?ㅤはっ、揃いも揃って情けねぇな、オイ」

 

ㅤ不遜な態度に眉を顰めた一同だが、いち早く反論したのはローマ数字のⅢの席に座する大賢者(ドライ)だ。

 

「この円卓とは並列を意味するけど、俺たちの役割は継承。直列に繋ぐことだフュンフ。悲観的に捉えるのいいけど悪癖だな、ソレは」

「なんだ?ㅤ歩んできた道のりは無駄じゃないってか!?ㅤかーっ、流石は大陸最強の魔術師の弟子は違いますねぇ……で、戦うことを放棄しての隠居生活はどうだった?」

「……ッ!ㅤ貴様ッ……!」

 

大賢者(ドライ)紫電の夜(フュンフ)の相性はすこぶるよくない。

ㅤそれもこれも彼らが対極の生き方を選択したからである。

ㅤドライは記憶の継承をいち早く気づき自分の回では救えないことを確信して大陸最強の魔術師であるセリカ=アルフォネアに弟子入りをして、研鑽を積んで次代に託した。

ㅤフュンフは記憶の継承が死ぬ間際まで行われずに特務分室所属の執行官No.12『刑死者』として精神が擦り切れるほどまでに外敵を排除し続けた。

 

ㅤ生き方も考え方も違う二人は同一の存在にして正反対の在り方であった。

ㅤ正反対の属性を持つことができる。それがラクス・フォーミュラの可能性であり無数の欠片を引き寄せられた秘密だ。

ㅤ険悪な二人に水を指すようにこの中で最も歳をとったⅦの席にいる瞬剣(ズィーベン)は口を挟む。

「二人ともよさんか。今はめでたい時だ。お主らが言い争うのもあの大天使のため。道筋違えど、目的は同じ。当代(ノイン)には悪いが、コレは彼奴だけの成果ではない。全員が等しく血を流した」

「■■■■■■■■ッ!」

「ほら、ゼックスも『そうだそうだ』って言ってる」

 

ㅤ同意したという風にⅥの席に座る最果ての踏破者(ゼックス)は唸り、アインが通訳する。適当だが、割と正鵠を射ているのでゼックスは怒らない。

 

「あっ、そういや。アインさん、質問いいっすか?」

「はーい、どうぞ。アハト」

 

ㅤ険悪な空気も少しだけ薄れた所で黒の道着を着るⅧの席に座る崩雷拳(アハト)が手を上げて質問をする。

 

「なんでゼックスさんって理性失ってるんですか?ㅤそれにゼックスさんの記憶がないですし。聞いたんですけど、先輩方はともかく俺とかズィーベンさんにすらないっておかしくないですか?」

「確かにそれは私も気になっていました。その失い方は普通じゃない」

 

ㅤ30代くらいの白髪の真銀の錬士(フィーア)片眼鏡(モノクル)を直しながら同様に問う。

 

「うーん、いいかなゼックス?」

「■■ッ!」

「いいみたいだね。ゼックスはね。この中で唯一、禁忌教典(アカーシック・レコード)にたどり着いたんだ」

 

ㅤこれには全員が息を飲んだ。

ㅤアインはそれからゼックスに起きたことを話した。

ㅤドライほどではないが早い段階で記憶の継承をしたゼックスは力を求め禁忌教典にたどり着いたが故に精神性を損なった。

ㅤある程度の力は得たがそれでもルミアは救えず。その身を蝕んでいく禁忌教典の呪いに敗れ、息を引き取った訳だ。

 

「あれは人の身に余るモノ。多くの者が求め、渇望したその正体は実にくだらないものさ。ただ、毒だけは本物だ。記憶の継承だけでヤバイんでね。ゼックスの記憶は俺とゼックスしか持ってない」

「うむ、それが最善じゃな」

 

ㅤ心底嫌そうに語るアインに同意するズィーベン。

ㅤさりげなく禁忌教典の毒すら凌駕すると言ったアインにアハトを含めた全員が驚愕するが、何せ始まりの男。神と直接会って、時すらも超えた術式を編み出した男だ。なんら不自然はない。

 

「ところで皆さん、この状況どうするんですか?」

 

ㅤ長年の謎が解けたところで鎧を着けた騎士の男……閃紫電(ツヴァイ)が状況看破のために切り出した。

ㅤ確かに、だ。ルミアは死の運命を乗り越えた。

ㅤだが、死なない訳じゃない。これから先でクソつまらないことで死んで貰っては死んでも死に切れない。

ㅤだからこそ、当代が意識の海———正確にはそれまでの道筋で一悶着している間に魔道書が好き勝手やってるのは鼻に付く。

 

「うーん、方法はあるね。すんごい運がいいから出来る代物だけど」

「アイン、それは如何に?」

「まてまてツヴァイよ。そうカッカしては物事は見切れん」

「……失礼した」

「分かればよい。胸に秘めたる想いは全員同じ。ならば、悪魔程度、アインの策略で一捻りじゃろうて」

「策略って……そんな上等じゃないんだけどなぁ」

 

ㅤズィーベンは焦るツヴァイを宥める。

ㅤツヴァイは忠義の騎士。ルミアの騎士として天命を全うできなかったことに深い悲しみと後悔があるのは汲み取っているズィーベンは出来るだけ優しい言葉をかける。

「ま、グレン先生にいつか教えて貰ったことの応用さ」

 

ㅤ本来ならば器に過ぎない彼らは現世に対し干渉手段を持たない。それが神様転生の儀式中ならば尚更、抵抗力が強まり成功しない。

ㅤが、当代のラクス・フォーミュラは神様転生の儀式中ではあるがルミアを救うことで運命に争い、勝ちをもぎ取った。

ㅤそれにより世界の抵抗力は落ちている。

ㅤならば始まりの男の領域だ。負けられない。

ㅤ後の世に任すだけが能じゃない。器に残るラクス・フォーミュラはそれぞれが一騎当千の英傑。

ㅤあるかもしれないIFを極限まで突き詰めた存在。

 

「先生は召喚場で本を食らう魔獣を召喚するつもりなんだろうね。でも、きっとその前に追いつかれる」

 

ㅤ魔道書は一直線にアンナのみを狙う。

ㅤ魂を掴んだ彼女をまず始めに食らうつもりなのだ。

ㅤ魔道書は既に8体の悪魔を召喚した。

ㅤ2体はアルベルトが受け持ったが、それも劣勢だ。

 

「悪魔が使った召喚ルートを使わせて貰おうか。呼び出す為に必要な真の名は問題ないしね」

「おい、アイン。その真の名は誰に呼ばせるんだ?ㅤ都合良く名前を呼んで貰わないと逆手にとることすら出来んぞ」

「心配ないよフュンフ。世界の抵抗力が弱い今なら軽いテレパシー位は使える」

「……それが出来るのはお主くらいのものじゃろうて」

「褒め言葉ありがとうねズィーベン。俺の魔術特性は連鎖の始点・原素。ここを起点として反旗を翻そうか」

 

ㅤそれが始まりの男の魔術特性。

ㅤ連鎖にはいつでも始まりがある。

ㅤ始まりが無ければ何も繋がらない。

ㅤアインに強い力などない。彼に出来ることはただ、始まりを生み出すこと。

ㅤ席に座する者の口元から笑みが溢れる。

「なぁ、アハト。しばらくぶりの闘争だ。どっちが悪魔を速攻でぶっ殺せるか勝負しようぜ」

「フュンフ先輩の誘いなら喜んで……なんすっけど」

「どうした。なんか心残りでもあんのか?ㅤくだらない理由だったらまずてめぇから殺すぞ?」

 

ㅤアハトはマジで殺す目をしているフュンフに慄きながら席に座るメンバーを見る。

ㅤ敵は確かに悪魔だ。

ㅤが、魂を掴んでようやく受肉する程度。

ㅤもしそれがアハト自身だとして魂を掴んだなら速攻で干渉して御し易い操り人形にする。

ㅤそれをしない……出来ないということはそこまでの相手。誰か二人出れば事が足りる。

「全員で行く必要ないって言うか……あの場所が更地になっちゃいますよ?」

「関係ねぇな。むしろ、開墾し易くしてやってんだ謝礼出せ」

「いや、フュンフ。アハトの意見は正しい」

「あぁ?ㅤ水を指すなよフィーア。俺はよぉ、楽しみてぇんだよ。世界各地回ってウジ虫どもの首を飛ばし続けた挙句に目覚めれば闘争もねぇ、天国よりも退屈なところにおしこめられてよぉ……甘ちゃんの映像を見る度に殺してぇんだよ。ルミアを狙う奴はよ……地獄よりも冷たい夜を見せてやるよ」

 

ㅤフィーアとフュンフの殺意が研ぎ澄まされる。

ㅤストップを掛けたのは大賢者だ。

 

「フュンフ、アインの能力にも限界がある。魔術は便利だけど万能じゃない。ならば尚更、現世に出る人間は選ばないといけない」

「あぁ!?ㅤ……あぁ、いやそうか。そうだなぁ。おい、アイン!ㅤで、誰を出すんだ!」

 

ㅤ一瞬、怪訝な顔をするフュンフだが彼もまた一流。

ㅤ相性が悪いとはいえドライの言葉が正しいと受け取ると即座に次の段階に移るが、アインの言葉は速かった。

 

「うん、ドライとフュンフだね」

「おぉおおおうう!ㅤそうか、そうかよぉ!ㅤ分かってんじゃねぇかよ!ㅤ引きこもりと一緒にってのは癪だが、腐っても大賢者……こいつがいねぇと行けねぇからな」

「言ってくれるな……隠れんぼが取り柄の擬態マニア。背中に気をつけた方が良い。太陽が落ちてくるかもなぁ?」

「てめぇもな。夜に太陽は輝かねぇんだよ」

 

ㅤ口で()()罵りあうも意識は既に別のところにあった。あぁ、またルミアに逢えるのかと。

ㅤそれは自分達が知るルミアとは違うのかもしれない。

ㅤけど、それもまたルミアなのだ。この気持ちは分かって貰う必要なんてない。

ㅤこれは円卓に座する全員の泥。誰にもくれてやらない。

 

ㅤアインが区切りを付けるように手を叩く。

ㅤそして凍えるような笑顔で言った。

 

「んじゃ、俺たちの敵を潰そうか?」

 

ㅤ◆

 

ㅤ物語の顛末は語るまでもない。

ㅤ悪魔の使い魔は二名の亡霊により滅されて、魔道書も食い潰された。

ㅤ暗殺者はルミアを大賢者はセリカを。

ㅤ一瞥して何かを語ろうとするが、目を伏せた。死人に口はない。

ㅤ今はノインの時代だ。これから何かを為すのも、こなすのも全てはノインだ。

ㅤこれっきりの奇跡。ちっぽけな奇跡かもしれないが、ちっぽけだからこそ守れたものがある。

ㅤこれにて、円卓の幕は落ちる。

ㅤラクス・フォーミュラは長い旅路の果てでようやく幸せを世界から奪いとった。

ㅤ意識は統合される。器に残る魂達は在るべき姿に戻る。

ㅤ神となる試練の結末がどうであれ、これ以上の未来はないと全員が納得した。

ㅤだからこそ、全てを託すことができる。

 

「さぁ、あとは任せたよ。やりたいようにやってみて。その道筋が光となり、結末を照らす。成功と同じように間違いもあるだろう。だけど、失敗じゃない。だって、ルミアを救っているのだからね」

 

ㅤ神に挑むのは忘却された記憶で戸惑う九代目。

 

「俺たちはそれだけで報われたんだよ。たとえ、それが俺の知るルミア=ティンジェルじゃなくとも、ね」

 

ㅤどうにか、自我を保っているようだが状況は芳しくない。ならば、散り際の悪あがきを亡霊の手でしてみせよう。

 

「ここで大人しく消えたらいい所無しだからね。それはあまりに俺達らしくない。見せてやれよ、人類代表。神様に人の可能性ってやつを———」

 

ㅤそして、ラクスの器から八人の残滓は消え去った。

ㅤ同時に。神と対峙するラクスが記憶を取り戻す。

ㅤ偶然ではないだろう。

ㅤ連鎖の始点・元素は確かに反逆の切欠を生み出したのだ。

 

ㅤ———これは一人の青年が死後をも明け渡して、いつか恋した少女を救った話。




ㅤ物語の主人公らしく中肉中背。
ㅤ身長はグレンよりも少しだけ低い程度。165くらいかな。
ㅤ参考までにだが、システィが157でルミアが158。グレンは不明だが、170-180程度はあるように思える。
ㅤ僅かにつり目でちょっぴりだけ怖いお兄さんフェイス。イケイケな見た目。見た目だけの虚仮威し。
ㅤグレンと同じように黒髪に黒目。『Project:Revive Life』を巡る騒動の裏で起きたラクスとニコラの騒動を得てから僅かに白髪が目立つようになる。
ㅤストレスから来る心的なもので本人は少しだけ気にしていて、染めたりしている。
ㅤが、高出力の電気を使うので直ぐに色素が分解され、元どおりになるのが悩み。
ㅤ神域に到達する神様モードでは目に琥珀が灯る。
ㅤ128人の魂を宿した時は碧を宿した。
ㅤ力のソースで瞳の色が変わるタイプ。

ㅤ努力は一応程度にはする。授業で名指しされたときに答えられない時が一度あり、教師にため息を吐かれたことに腹を立てた経緯がある。
ㅤ教師側に悪意などはなく、場の空気が悪くなったので大袈裟な演技をしただけだがラクスにとっては裏目に出た。
ㅤいや、その頃から成績は右肩上がりを始めたので良かったのかもしれない。典型的な負けず嫌いだが、厳しいとか、辛いのは嫌な人間。いわゆるダメ人間。

ㅤ魔術特性は【調和の逆転・転化】。
ㅤ名もなき神様から賜った身体らしく、魔力は多い。
ㅤしかし、内に留める力が弱く漏れ出しやすい。自然回復力が強いため差し引きゼロ。
ㅤが、魔術特性が乗った魔力が漏れ出してるために平穏は遠い。現状維持を壊しやすい体質。
ㅤ神様モードになれるようになり、留める力が人並みになった。やったね、ラクス君。

ㅤ異能は電撃操作能力。
ㅤあらゆる雷系統の力がラクスの味方をする。
ㅤ自然災害の雷無効。スタンガン無効。雷系魔術無効。
ㅤ吸収はできない。
ㅤ増幅、操作に長けており砂鉄を用いた攻撃や空気中の水分を含んだ翼の形成が可能。
ㅤルミアを救うためになんどもラクス・フォーミュラとして繰り返しをした雷撃は継承、そのために出力が異常。
ㅤ例えるなら大きな水槽と大きな蛇口。許容する量も出力する量も大きい。
ㅤ異能でレーダー使うが、最低索敵範囲は1km。異能として行使するならこれ以上は小さくできない。頭にかかる負荷が莫大で一時間も使えば脳がチンされる。
ㅤ細かい操作は全て魔術任せ。中間は存在しない。
ㅤ大出力の異能。器用の魔術。使い分けをしている。
ㅤ魔力容量が異能に占有されてるために雷系の魔術しか適正がないのではなく、他の魔術が極端に使いにくい。
ㅤ他の魔術は大きな水槽をこじ開けて行使するようなもので魔力を通常の5倍は使う模様。ただし、雷系は1/10程度とお買い得。
ㅤラクスが【グラビティ・コントロール】や【トライ・バニッシュ】を使う時は相当、切迫された状況。

ㅤ魂の器に刻まれた127人の子供達は成仏したが、残滓として残る異能は僅かに顕在。あらゆる耐性を持つ程度と本人は語るが十分に人間を辞めてる。
ㅤそして魂に刻まれたといえば、先代のラクス・フォーミュラ達。

ㅤ初代ラクス・フォーミュラ。アイン。
ㅤ物語の始まり。つか、元凶。ルミアが大好きすぎて時越えの魔術を編み出した。
ㅤ白魔儀【願いを叶えるまで(リンカーネション)】。
ㅤ自身をオートマチックピストルの弾倉に見立てて、繰り返しを行う。究極のトライ&エラー。
ㅤ弾丸数は自身を入れて十発。当代、【超電磁砲】でルミアを救えなければ結構やばかった。
ㅤ現在のラクス・フォーミュラが死ぬか、リタイアをするとアインが術式を起動。記憶や経験を全て弾丸に込めて、新たに放つ。
ㅤ禁忌教典の毒や神様に相対し物怖じをしない、飄々としながら実力隠す系。力が強いどうこうではなく、単純に強い。グレンタイプ。
ㅤ先見を切り拓く始まりの雷撃。

ㅤ二代目。ツヴァイ。双紫電。
ㅤ察しの通りにゼーロスに弟子入りしたラクス。基本的にはラクス・フォーミュラとは思えないほど丸い性格をしている。
ㅤ全パラメータこそ晩年の瞬剣には及ばないないが、その真骨頂は魔法剣士と称されるほどの均整の取れた戦闘スタイル。手数が多く、切り札の数は最多。ただし、鬼札と呼べるようなものは少なく、そのために日頃の鍛錬は欠かさなかった。
ㅤ先頭で闘うタイプではなく後方で指揮を行い、いざという時に出陣する大将ポジション。
ㅤ奔る双頭の紫銀、影さえも追い越す。

ㅤ三代目。ドライ。大賢者。
ㅤ魔術戦最強。
ㅤそれもそのはず、セリカの弟子だからね。
ㅤ最速で記憶の継承を行なった大賢者はすぐにセリカへと弟子入り。ごねられたが、使える手札を全て切った。
ㅤルミアを助けらなかった後は究極の引きこもりとなり魔術の研鑽に勤めた。
ㅤ新しい軍用攻撃呪文の開発など軍に多大な協力行なった。グレンは人殺しの術を増やすことに反対したが、大賢者はいずれ来る未来の為と本人にしかわからない言葉で説明した。
ㅤ擬似太陽の生成。一定領域での重力崩壊など師匠譲りの大火力を武器にする。
ㅤ天界の理を以って爪痕を残す者。

ㅤ四代目。フィーア。真銀の練士。
ㅤリィエルの《隠す爪》に驚嘆して、錬金術の可能性を探り続けた。
ㅤ師匠にリィエル?ㅤないない。
ㅤ記憶の継承も速く、二代目と三代目を足して2で割った人生を歩む。
ㅤ世渡りが上手く学院卒業後は軍部に所属。最終階級は大佐。焔を使えそう。
ㅤルミアを守れずとも残されたものを残そうと奮起した。
ㅤ異名通りに扱いずらい真銀を粘土のように扱う職人泣かせ。
ㅤ戦闘スキルは高くない。どちらかと言うと支援職。
ㅤリィエルが前線で闘う光景を人間辞めてるなと遠目で呟いたという記録が残っている。
ㅤ真銀は滅びない。

ㅤ五代目。フュンフ。紫電の夜。
ㅤツンデレ。口調こそ荒々しいものの、心の内ではやはりルミア第一。他?ㅤゴミ。
ㅤルミアを目の前で殺害された経験から闇落ち。誰の師事も仰ぐことなくオカルトサークルを独自に潰していった。故にジャティスは顔を合わせることがしばしばあった。
ㅤ最期はグレンを狙っていたエレノアと相討ち。学院に侵入する前に片をつける。
ㅤ誰の目にもつかずに暗殺者としての責務を全うした。
ㅤ紫電の夜は尚も明けず。

ㅤ六代目。ゼックス。最果ての踏破者。
ㅤレイクやズドンさんといったテロリストにルミアを殺された世界。始まりの試験すら超えられなかった最弱。
ㅤ想いを打ち明けることもできずに力は方向性を見失い、グレンやセリカの目にかけられるが禁忌教典を誰よりも目指した。
ㅤ性格は臆病で内気。にも関わらずに禁忌教典を手に入れるためならどんな悪逆も良しとした。
ㅤ禁忌教典に求めたものはルミアの完全な蘇生。
ㅤが、ゼックスは膨大な呪いや信念、恨み、愛情、喜び、嫉妬。あらゆる感情に呑み込まれ御することができなかった。
ㅤ死ぬ間際の間一髪でシスティが助けに来るが、体だけでなく精神にまで亀裂を入れられたラクスは3年で息を引き取った。
ㅤラクスは死ぬまでの3年間でオカルトサークルを壊滅直前まで追い込んだ。サークル会長に辿りつけなかったが、第三団は一人残さず地獄に送った。
ㅤ手際こそフュンフに劣るが、全ラクス・フォーミュラの中で最多の殺害数を誇る殺しのプロ。
ㅤ慟哭の獣、牙は既に研ぎ澄まされた。

ㅤ七代目。ズィーベン。瞬剣。
ㅤ異能に頼らず、只ひたすらに剣の技量を磨いた。
ㅤ魔術はそこそこ。100メトラ先の人形の的を狙う実技では当代と同じ様にバラバラにしてグレンの顔を真っ青にさせた。学生時代から並外れた力を手にしていたが、ルミアを助けるには至らず。というか、ラクスだけならまだしもグレンもいるので分断させられた。敵も馬鹿じゃない。
ㅤその思いから剣の腕は昇華。同時に魔術と異能を余すことなく使い、視界に入ればどんな敵にも届く刃を手に入れた。本人は魔術である【エア・ブレード】を刃に載せただけと語るが、そんなちゃちなものではない。
ㅤ【斬撃瞬間移動(ディメンション・ブレード)】。剣の長さや当たる条理など完全無視。視界に入った場所ならば斬撃を置くことができる。剣撃と異能と魔術を合わせたハイブリッドの極致。
ㅤ老剣、未だ果てを知らず。

ㅤ八代目。アハト。崩雷拳。
ㅤ異名の通りに拳をメインに闘うスタイル。非常勤講師としてグレンがやってきた直後にテロリストが攻めてきた事件でグレンの拳闘に一目惚れ。
ㅤ以降はグレンを師匠と呼び、バーナードに血闘術を伝授してもらい独自に進化。
ㅤ至近距離の破壊力では超電磁砲にも劣らない。
ㅤその拳、空を裂く紫電。

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