スカイリム~邪眼士として戦乱の地へ~   作:元気玉

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第3話─謎の男─

 

アーヴェルから受け取った金の爪を見ると、何やら装飾が施してあった。

 

「なんじゃこりゃ」

 

「これも古代ノルドの仕掛けね。多分この先にノルドの宝があるのよ。だからアーヴェルはこの爪を持ってここに来た」

 

「うへぇ、よく知ってんなお前」

 

「私もノルドだから。それに盗賊の時、お頭に色々教えてもらった」

 

「ま、その知識には助けられてるからな。お前がいて良かったよ」

 

「え、ほんと!?」

 

「ホントもホント。お前は最高の相棒ですよ」

 

「へへ、えへへへへへ」

 

(なんだよその笑い方!照れるとモロ分かりだなコイツ)

 

「ま、まぁとにかく先に進むか」

 

「そうしましょう」

 

ようやく我に返ったリンにため息をつきながら進むロイ。

すぐ隣の部屋は何らかの儀式場だったのか、少しひらけていた。

埋蔵壺もいくつかあり、2人で物色していく。

 

「指輪やら金貨やら、結構入ってんな」

 

「埋蔵壺は死者の臓物なんかを入れる壺なのだけど、ソブンガルデに行った時に困らないよういくらかのお金と装飾品を入れるの。ノルドの古い風習ね」

 

「ソブンガルデねぇ。言ってみりゃ天国みてぇなもんなんだろ?」

 

ノルドの中でも特に勇猛であった者が死ぬと、ソブンガルデと呼ばれる戦士の楽園に魂が運ばれるという。

勇猛さを美徳とするノルドにとってソブンガルデはまさに天国であり、多くのノルドがソブンガルデに行く為に戦いに赴く。

 

「ノルドにとってはそうね」

 

「でもショールを悪魔だって言ってるエルフからすりゃ地獄みてぇなもんだな」

 

ショールとはソブンガルデを取りまとめるリーダーのような存在だと言われ、ノルドの伝統的な信仰においては主神であった。

しかしエルフはショールを悪魔だと考えており、その考え方の違いもあってノルドとエルフは仲が悪い。まぁ他にタロス信仰等の理由もあるが。

 

「それはエルフが間違っている」

 

ロイの呟きに答えたのはリンではなかった。

 

「誰だ!?」

 

ロイが声を荒げて振り向く。リンは即座に弓を構えた。

リンの感知をすり抜けた人物だ、相当腕が立つのだろう。ロイとリンはすぐさまそれを理解した。

 

「待て、俺は敵じゃない」

 

「何モンだ!?」

 

ロイ達の視線の先には1人のノルドがいた。

鋼鉄の鎧を着込み左手には鋼鉄の盾、右手には鋼鉄の斧が握られている。

 

「俺はバルグルーフ首長とファレンガー殿の依頼でここに来た。少し話をしないか?」

 

「ホワイトランの首長直々の依頼?」

 

「信用出来ない。このまま聞く」

 

ロイは少し警戒を緩めるが、リンは構えを解かずに警戒を続けた。

ノルドの男は斧を腰に収めると手を前に出して戦闘の意思がないことを示す。

 

「俺はドラゴンストーンと呼ばれる石を探している。ファレンガー殿の話ではこの墓地の一番奥にあるらしい」

 

「ドラゴンストーン?聞いたこともねぇな」

 

「ヘルゲンにドラゴンが出たのは聞いたか?」

 

「なんだと!?」

 

「ウソよ。ドラゴンなんておとぎ話だわ」

 

2人が信じないのも無理はない。

ドラゴンはおとぎ話や吟遊詩人の歌に登場する伝説上の生物だという認識が殆どだ。

事実、ここ何百年もドラゴンなど目撃もされていない。

 

「本当の話だ。俺はこの目で見た。信じるかどうかはお前達次第だがな」

 

「・・・信じよう」

 

「ロイ!」

 

「ここでそんなウソをつく理由がない。リンも構えを解け。コイツは悪い奴じゃ無さそうだ」

 

「・・・っ!わかった」

 

渋々ながら構えを解くリンをよそに、ロイは話を進める。

 

「で、ドラゴンが出たってのが本当だとして、そのドラゴンストーンとやらが必要な理由は?」

 

「お前達も言っていた通りドラゴンは最早おとぎ話、伝説上の存在。倒し方はおろか、存在そのものが謎なんだ。だからとにかく情報が欲しいらしく、ドラゴンストーンに何かしらの情報が無いかとファレンガー殿が俺に依頼してきたんだ」

 

「なるほど。何となくだが飲み込めた」

 

「ロイ、本当に信用していいの?」

 

リンはまだ信用出来ないようだが、ロイは完全に警戒を解いていた。

 

「さっきも言ったろ、ここでウソをつく意味が無いって。殺す気ならその背中の弓で殺してる、そうだろ?」

 

「ああ。それにお前達の噂は聞いてる。俺も元々傭兵だからな」

 

「ちなみに聞くが他に仲間は?」

 

「俺1人だけだ。真のノルドは1人で戦う」

 

「そうか。これから俺達は奥へ行くが・・・お前も一緒に来るか?」

 

「そうさせてもらう。俺も奥に用があるからな」

 

「なら行くぜ。俺はロイだ、よろしくな」

 

そう言って手を差し出すロイ。

 

「クーガーだ」

 

ノルドの男、クーガーも手を差し出しロイと握手を交わす。

 

「リンよ。言っておくけど私は完全に信用してないからね」

 

クーガーがリンにも握手を求めるが、リンはそれに応じず距離を取った。

 

「ったく。悪いな、コイツのこれは性分なんだ」

 

「気にしていない。むしろ当然の反応だ」

 

クーガーは傭兵経験が長いのか、簡単に信用されない事を何とも思っていないようだ。

リンは盗賊時代の癖もあるが、ロイの人に対する警戒心の無さを知っているが故、余計に人を信用しないようにしている。

ロイが寝首をかかれないよう気を張っているのだ。

ロイもそれを知ってか知らずかそれ以上咎めはしなかった。

 

「俺が先頭をいく。重装だし接近戦には自信があるからな」

 

「それなら頼んだぜ。俺は魔術師でコイツは盗賊系だ、援護は任せてくれ」

 

クーガーが頷き先頭に立つ。

その後ろをロイとリンが続く形となった。

パーティ編成的に見れば重装の近接系、中距離系の魔術師、遠近両方の盗賊系のバランスの良い組み合わせとなったが・・・果たしてこの先何が待ち構えているか。

ロイとリンは一層気を引き締めるのだった。




プレイ済みの方は正体がわかると思います!(笑)

ではまた次回!

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