スカイリム~邪眼士として戦乱の地へ~   作:元気玉

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第4話─協力者は脳筋?─

 

「静かに。ここから先はドラウグルの巣窟のようだ」

 

「確かに気配がするわ」

 

「どうする?相手がまだ起きてねぇなら俺の魔法とリンの弓矢で殺るか?」

 

クーガーの言葉にリンが同意し、ロイが打開策を提案する。だがロイの策はクーガーのお気に召さなかったようで、首を横に振った。

 

「ドラウグル如きに隠密はいらない。俺が突っ込むから援護を頼む」

 

「生粋のノルドだなアンタ」

 

ロイの皮肉とも取れる言葉にフッと笑ってから腰の斧を手に取るクーガー。

リンは隠密行動の大切さを知っているので、クーガーの行動は少々浅はかだと思っているようだ。

 

「よし、準備いいぜ。クーガーが先鋒で突っ込む、そこを俺とリンで援護だ」

 

「わかったわ」

 

「では・・・行くぞ!」

 

クーガーが斧と盾を打ち合わせて音を鳴らしながら突っ込む。

すると眠っていた1体のドラウグルが目を覚まし、片手剣を抜いてクーガーに襲い掛かった。

ドラウグルは葬られた後にアンデッドと化した古代ノルド人達であり、普段は眠っているが物音や気配を感じると起き上がり襲い掛かってくる。

体は殆どミイラ化し打たれ強さはさほどではないが、武器や盾を使用する者や魔法を使う者など、様々な攻撃方法を持っている。

更にドラウグルには上位種がおり、最下級は大した脅威ではないものの上位種になるとかなり厄介である。

 

「ぬぅうん!」

 

クーガーの斧の一撃がドラウグルを一瞬で葬り去った。

やはりこの男相当腕が立つようだ。

しかしもう2体のドラウグルが目を覚ましクーガーの方を見た。

 

「右は任せろ」

 

「ええ、お願い」

 

ロイは右のドラウグルへ火球を、リンは左のドラウグルへ矢を放った。

ドラウグルはミイラだけあって炎に弱いので、あまり魔力を込めずとも焼き殺せる。

しかし矢などの部位破壊がしにくい武器ではそれ程ダメージにならない。

そこでリンは胴体ではなく足を狙い、ドラウグルの機動力を奪った。

 

「でぇあ!」

 

片膝をついたドラウグルへ斧を振り下ろす。

クーガーの斧による一撃を受けたドラウグルは、胴体と首が別れを告げる事となった。

 

「噂通りなかなかやるな」

 

「お世辞はいいよ。アンタこそかなりの腕だな」

 

斧についたドラウグルの肉を払ってから腰に収める。

ロイは少し照れ臭かったのか、誤魔化すようにクーガーを褒めた。

 

「世辞ではないのだがな。俺は1人で旅をしていたからな、このくらい出来なきゃとっくに死んでいたよ」

 

「ははは、それもそうだな」

 

「ロイ、終わったよ」

 

クーガーとロイが話している間、リンはドラウグルから金目の物を頂戴していた。

埋蔵壺と同じく、ドラウグルもいくらかのお金と装飾品を身に付けている事が多く、武器や矢も装備しているので補充も出来る。

もっとも古代ノルドの武器は重い割に売値段が安く、持ち帰ってもあまり得はしないので捨てていくが。

 

「そう言えば言ってなかったな。ここでの収穫物は俺達が持っていく。ドラゴンストーンが出りゃそれはアンタにやるよ」

 

「それで構わない。ここは元々お前達の獲物だ」

 

「話が早くて助かるぜ。まぁ怪我したらポーションくらいは分けてやるさ」

 

「それは有難いな。ツバの節約になる」

 

「「HAHAHAHAHA!」」

 

軽口を叩き合いながら先へと進んでいく。

リンは内心少しホッとしていた。

こういう場合、収穫物の配分で揉める事が多々あるからだ。

さっきの戦闘もあれだけ楽だったのはクーガーの実力によるところが大きい。

隠密行動をせずとも3体のドラウグルをいとも容易く打ち取れたのだ。

クーガーにも分け前があって当たり前なのだが、今彼の目的はドラゴンストーンのみ。

ここで無用な争いをするよりも、ドラゴンストーンだけを求めた方が合理的だと判断したのだろう。

更に言えばクーガーは先程ロイ達が金の爪を手に入れたのを見ていた。

その上でブリーク・フォール墓地の最奥へ行くには、そのロイ達の持つ金の爪が必要だと考えたのだろう。

だからこそロイ達と協力する事を選択したのだ。

 

そこからはしばらく最下級のドラウグルしか出てこなかったので、戦闘は比較的楽なものであった。

クーガーが先頭で切り伏せ、群がろうとしたところをロイの魔法とリンの弓で打つ。

ほんの僅かの間しか共に戦っていないが、3人の連携は見事なものであった。

 

「振り子の罠か」

 

「リン、イケるか?」

 

「問題無いわ」

 

先へ進むための通路には振り子の罠が施してあった。

左右から研ぎ澄まされた斧が振り子のように暴れ回るこの罠は、一度食らったが最後2度と太陽を拝む事が出来ないと言われる凶悪なものだ。

もっとも、リンは動きが素早く、この罠の対処法を熟知しているので大した問題ではないが。

リンが振り子の罠を抜けて鎖を引くと罠が止まる。

このタイプの罠は渡りきったところに作動スイッチがあるので、1人がクリア出来れば良いのだ。

 

「またドラウグルだ」

 

「みたいだな。これは・・・油かな?」

 

「そうね。どうするの?」

 

この先は狭い通路のようになっており、中にはドラウグルが眠っているのが見て取れた。

正確な数はわからないが少なくはないだろう。

下には油が水溜りのようになっていて、その上には壺がぶら下げてあった。

 

「俺が中を走り回ってここにドラウグルを集める。その後はロイの火炎で丸焼きにしてやれ」

 

「それが一番楽そうだな。気を付けろよ」

 

「うむ、心得た」

 

クーガーは盾と斧を構えて走った。

すると3体のドラウグルがそれに釣られて目を覚まし、クーガーの後を追ってきた。

ドラウグルの攻撃をかわして油の床へと誘導する。

 

「よっしゃ、離れてろ!」

 

クーガーが安全地帯へと離れたのを確認し、火球をぶら下げてあった火炎壷に当てる。

凄まじい勢いで爆発した火炎壷から漏れた火が油に引火し、ドラウグルを焼く。

更に爆風がドラウグルを吹き飛ばし、3体は物言わぬ死体になった。

 

「これは痛快だ」

 

「だな。怪我はないか?」

 

「ああ、平気だ」

 

「そろそろ俺達のストーンフレッシュが切れるな。クーガーもかけるか?」

 

「む、では頼む」

 

「あいよ・・・っと。最初にかけときゃ良かったな。気が付かなくて悪かった」

 

「気にしないさ。助かる」

 

リンが回収を終えてから、ロイがストーンフレッシュを全員にかけ直す。体制は万全だ。

狭い通路を進んで行くと滝のある場所へ出た。

 

「おっ、宝箱」

 

「待ってロイ!」

 

ロイが目に入った宝箱へ歩み寄るのをリンが制止する。

すると突如横にあった棺からドラウグルが出現した。

 

「シッ!」

 

リンの投擲したダガーがドラウグルの額に刺さった。

一瞬動きを止めたその隙をクーガーは逃さない。

斧で右手を切り落とし武器を持てないようにし、更に左肩へと斧を食い込ませた。

 

「ギギギッ!」

 

ドラウグルが悲鳴と共にバッシュを繰り出しクーガーの顔面に直撃。

1歩下がり体勢を崩すがドラウグルは武器を持っておらず、追撃は来なかった。

 

「脅かしやがってこの野郎!」

 

ロイが後ろから首を切り落とすと、ドラウグルは静かになった。

 

「ロイ!気を抜かないで!」

 

「わ、悪かったよ。クーガーもすまねぇな」

 

「宝に目がいくのは仕方ない。気持ちは分かる」

 

リンがロイの軽率な行動を叱責し、クーガーがフォローする。

ロイはバツの悪そうな表情で謝罪した。

 

「これ、ポーションだ。助かったぜ、2人共ありがとな」

 

クーガーにポーションを手渡す。

クーガーはそれを傷にかけてから残りを飲み干した。

 

「約束を忘れたの?ダンジョンでは私の感知が最優先だって」

 

「悪かったって。許してくれよ」

 

転がったドラウグルの首からダガーを引き抜きながらロイを見る。

両手を合わせウインクをするロイを、リンはそれ以上責める気になれずにため息を漏らした。

 

「もう・・・危なっかしいんだから」

 

「まぁ助かったのだから良しとしよう。さ、先を急ぐぞ」

 

「うむ!いざゆかん!」

 

「調子いいんだから・・・」

 

ロイのあっけらかんとした態度に少し頬が緩むリンと、それを微笑ましく見つめるクーガー。

ロイが宝箱を開けると中身は金貨25枚だった。

それを見たリンもホクホク顔だ。

 

「これを引くのかな?」

 

ロイが鎖を引くと鉄の格子が開き道が出来た。

そのままそこを進むと洞窟のような場所に出た。

光るキノコが群生している洞窟は、何とも幻想的な雰囲気を醸し出していた。

 

「キレイね」

 

「あ、あそこにも宝箱!」

 

「中身はファイアボルトの巻物とスタミナの薬、魔術の薬よ」

 

「巻物は売るか。あとは今後の足しにしよう」

 

「下にドラウグルがいる。弓で射れるか?」

 

ロイとリンが宝箱を物色していると、クーガーが滝から見下ろしたところに敵がいるのを発見した。

 

「ええ、この距離なら平気」

 

リンが放った矢はドラウグルの頭に刺さり、地面に倒れて動かなくなった。

 

「上手く眉間を射ったな」

 

リンの弓の腕前を分析するクーガー。

ロイは、まぁこのくらいは普通だよと呟いた。

そのまま先へと歩を進める。

横穴を抜けると分かれ道になった。

 

「下・・・はやめとくか。先を急いでるんだしな」

 

「そうしてくれると助かる」

 

「えっ?お宝があるかもしれないのよ?」

 

「まぁそれはまた後で来た時に見りゃいいさ」

 

「ちぇっ。仕方ないなぁ」

 

先を急ぐクーガーの事を考え、全てを見て回るのを諦めたようだ。

リンも渋々ながらロイの決定に従う。

洞窟を抜けた先には扉があり、少しひらけている。

そこには1体のドラウグルが待ち構えていた。

隠密行動をとる間もなく気付かれてしまい、両手斧を振りかざして襲い掛かってくる。

 

「援護を頼む!」

 

そこへクーガーが突進し、両手斧の一撃をかわしてバッシュを繰り出す。

 

「ウォーカーか!」

 

このドラウグルはウォーカーと呼ばれる上位種で、体力、腕力共に通常のドラウグルを大きく上回る強敵だ。

 

「私も前衛に行くわ!」

 

「わかった、詠唱が終わったら合図する!」

 

リンもクーガーの戦列に加わり、ロイは魔法の詠唱を開始する。

リンのダガーがウォーカーの足や腕を切り裂き、クーガーの片手斧が腹を叩く。

しかしウォーカーは鋼鉄の鎧を着込んでおり、大したダメージは見られなかった。

 

「よし、離れろ!」

 

「お願い!」

 

「でやぁ!」

 

リンはバック転で距離を取り、クーガーがバッシュでウォーカーの体勢を崩す。

ロイは2人が離れたのを確認しウォーカーに突進。距離が2m程に縮まったところで両手から地面に向けて魔法を放った。

 

「ファイアストーム!!」

 

するとロイを中心に爆発が起こり、凄まじい爆炎と熱風がワイトを襲う。

ファイアストームは破壊魔法の達人魔法で、誰でも使えるものではない。

仮に普通の魔術師が呪文書を読んだとしても、マジカが足りずに不発となるのが関の山である。

最大マジカが多く、炎の魔法が得意なロイの体質によって発動が可能なのだ。

 

「グウゥ・・・」

 

達人魔法を至近距離でぶつけられたウォーカーは唸り声を上げて絶命した。

ファイアストームは術者との距離が近ければ近い程威力が上がる。

至近距離で食らったウォーカーに耐える事は出来なかったようだ。

 

「はぁ・・・はぁ・・・大丈夫かお前ら?」

 

「私達は平気、ロイは!?」

 

「少し疲れたけど大丈夫だ。1発だけだしな。いやー、まさかウォーカーが出るとはなぁ・・・」

 

「あれは達人魔法か?若いのに大した男だ」

 

「おいおい、俺はもう23だぜ?子供扱いはやめてくれよ」

 

「はは、すまなかったな」

 

達人魔法を使い疲れているというのに、この期に及んで軽口を叩くロイを見てリンもほっと胸を撫で下ろす。

リンに手渡されたポーションを飲み干しマジカとスタミナを回復させ、息を整える。

リンとクーガーは岩の後ろに身を隠したお陰で、火傷一つ負わずに済んだようだ。




はい、第4話でした!
難易度ハード以上だとウォーカーでもかなり苦戦しますよね!
というわけで、ウォーカーは現時点のロイ達ではかなりの強敵とさせていただきました!

このままじゃスカージなんかとの連戦では話にならないので、この後修行パートがあります。嫌いな人はごめんなさい。

あと2話くらいでブリーク・フォール墓地編は終わりますので、もう少しお付き合い下さい!

ではまた次回!
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