後日談の時間   作:神鳥ガルーダ

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潮田あかりのその後

 渚との結婚式から1年以上が過ぎた。

 これまでの渚との生活は幸せだった。

 結婚しても、私は浅野塾の事務員を続けていたから、職場でも家でもほとんど一緒にいる。

 普通、夫婦でもここまで一緒だったらマンネリになる…。

 以前、私が出演したドラマもそういうストーリーだった――そのドラマは主演作品じゃないから私が演じた役ではないけど。

 でも、私たちはそういう状態にはなっておらず俗に言う万年新婚カップル状態だ。

 それに2人で同じ夢を目指しているし、夜のベッドの中は別にしても普段の渚は超草食男子である為、浮気するそぶりも見せない。

 まあ、相変わらず低身長童顔の美青年だから、生徒達のお母さん達に好意を抱かれているが、中学の時の様に小動物扱いされているだけだからある意味安心なのもある。

 

 

 

 

 

 今、私は浅野塾を休職中である。

 その理由は…この膨らんだお腹にある。

 そう、私は今妊娠している為、産休を取っているのだ。

 結婚して半年くらい過ぎた頃、私は自分が妊娠しているのを知った。

 その事を報告した時の渚の喜びようは今でも目に浮かぶ。

 出産予定日6週間前に産休を取り、現在は予定2週間前だ。

 それまでは、家でも職場でも渚と一緒だったから、今は1人で留守番しているので少し寂しい。

 でも、その代わりお義母さんがよく家に来てくれる様になった。

 私がお義母さんを始めて見たのは、渚を本校舎に復帰させる為にE組を訪れた時だった。

 あの時、烏間先生に扮した殺せんせーに、渚に対する母親としての態度の誤りと愚かしさを指摘され逆上し、ヒステリックになっていた。

 触手の痛みに耐えていた時だったけどあの時、お義母さんに対する私の印象は、身勝手で最低な母親…だった。

 でも、文化祭の時に訪ねてきた時のお義母さんはすっかりと角が取れていた。

 渚の話では、中学卒業後にお父さんと復縁し、その後はすっかりとヒステリーは鳴りを潜めていたとの事だ。

 きっと、自分が望む進路に進めなかったから、子供にはその苦労をさせたくないという思いが歪んでいって、ああなっちゃっただけなんだって。

 今なら私もそう確信してる。

 結婚してからのお義母さんとはよくドラマである嫁姑の争いなんて起こっておらず、私によくしてくれる。

 妊娠中である私の面倒をよく見てくれる優しい人だ。

 これからもお義母さんとは良好な関係を続けたいな。

 

 

 

 

 

 子供が生まれた。

 女の子だ。

 お義母さんが言うには、赤ん坊の頃の渚とそっくりだと言う。

 私もそう思う。

 間違いなく渚の子だって一目でわかるほどよく似ていた。

 まあ、私は渚としか経験ないし、渚以外とは死んでも御免だから当然といえば当然なんだけど。

 私に似ている所は、黒髪である事と目元くらいかな。

 ちなみに名前は「あぐり」

 お姉ちゃんの名前をもらった。

 25歳の若さで逝っちゃったお姉ちゃんの分まで幸せになって欲しいから…渚がそう言ってこの名前に決めた時、嬉しくて嬉しくって泣いちゃった。

 

 

 

 

 

 

 産休と育休が終わり、私は浅野塾の事務に復帰した。

 休んでいた分のちょっと鈍っていたけど、すぐに勘を取り戻した。

 しばらくすると磯貝君と片岡さん、千葉君と速水さんも結婚した。

 前原君もとうとう年貢の納め時か、岡野さんと結婚したし、他の人たちもE組メンバーが相手じゃないけど、ちらほらと結婚した。

 奥田(まなみ)ちゃんは竹林君と共同で研究していた人工血液をとうとう完成させ、カルマ君と結婚した。

 カルマ君は、経済産業省での派閥争いで一時窮地に立たされたみたいだけど、持ち前の悪魔的頭脳と暗殺教室で培った経験を使い、見事に窮地を脱し、省内での地位を不動のモノにした。

 杉野は……まだ報われていない。

 神崎さん……ちっとも杉野の気持ちに気付かない。

 男運が悪すぎたからかな?

 

 

 

 

 

 そして幾年もすぎ、とうとう私たちは夢を叶えた。

 浅野塾を退職し、あの旧校舎で新しい私塾を開いたのだ。

 最も手入れをしていたとはいえ、流石に古い校舎なので、補強工事をしなければならなかったけど、千葉君のコネを使って安上がりで済んだ。

 塾の開業資金は、E組の皆からの寄付と、今までほとんど手を付けていなかった私が女優時代に稼いだ貯金と、浅野塾長がくれた膨大な退職金からだ。

 

「教育には金が掛かるから遠慮しないで受け取りなさい」

 

 それどころか、浅野塾と提携を結んでもらい、これからも力になってくれるという。

 本当に中学時代のイメージと全然違うなぁ。

 流石に私たちは浅野塾長の様な完璧超人じゃないから、2人だけで運営するのは無理だ。

 だから渚以外の講師を数人、私以外の事務員を数人雇った。

 その中に、わかばパークで知り合った鬼屋敷さくらちゃんもいた。

 さくらちゃんも渚同様、教師になっていたんだけど、渚とはまだ交流があったらしく、この塾の講師になってくれた。

 再会した時はちょっと恨み言を言われたな。

 さくらちゃんの好みは童顔低身長の年上らしく「渚は、私の彼氏になってもらう予定だったのに…」渚が私に取られたからちっとも彼氏が出来ないって…。

 大丈夫だよさくらちゃん…きっといつか渚みたいな年上がきっと見つかる……かな?

 そういえば第一期生徒の中に、烏間先生の娘さんが入塾してきたな。

 ビッチ先生にそっくりで、塾の男の子たちを侍らせて逆ハーレムを築いていたけど、本人は自分にちっとも靡かない寡黙な男子生徒が気になっているようで、何かとアプローチしてるけど、ちっとも相手にされなくて、いつの間にか本気で好きになったって相談受けたけど……これビッチ先生と同じパターンじゃん。

 血は争えないな…。

 塾の経営は何かと大変だけど、浅野先生や元・E組の皆が何かとサポートしてくれる。

 時には失敗もするけど、順風満帆だ。

 

 

 

 

 

 娘のあぐりもすくすくと成長している。

 外見は渚の女の子版なんだけど、技能は私に似たらしく、かつての私と同じく子役をやっている。

 事務所も私が所属していた所で、今度こそ大女優にするって所長も息巻いてたっけ…。

 

 

 

 

 

 今日の授業が終わり、職員たちも帰宅し渚と2人残っている。

 

「渚…。渚はもう立派に殺せんせーの様な教師(せんせい)になったね」

 

「いや、まだまだだよ。だって、僕はこれからも教師として成長するんだから…」

 

 そうだね。

 超生物のような事は出来ないけど、教師(せんせい)としてなら殺せんせー以上の教師に成長できる。

 私もそんな渚と一緒に進む為に成長し続ける。

 

「渚、一生、一緒に成長しようね」

 

 




今回で終わりですが、Pixivの方では不定期に続けます。
最初で最後とか言っておいてなんですが、書いていて結構ノリましたから。
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