天帝の眼が開眼しました。   作:池上

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第11話です。毎日投稿していたのに最近はとびとびになってすみません。これからも不定期でいつ投下されるかわからない状況ですがよろしくお願いいたします。
ちなみに、これからはオリジナルと原作を組み合わせた感じになるかと思います。
では、どうぞ!


第11話 全国デビュー

 すんなりと手中に収めたインターハイへの切符。それを得るまでの戦いに大きくかかわっていたチームの1人の俺だったわけだが、こんな簡単に全国への切符が舞い込んできたことにおかしさなのだろうか、モヤモヤとした気持ちが胸につかえていた。

 

「そんなことないと思うよ」

 

 ここ数日、インターハイ予選決勝が終わり埼玉の代表が出揃い、各地方の都道府県でも常連の強豪や勢いのままに勝ち上がった新星などがぞろぞろと出るころ、練習終わりに俺はボソッと思わずみんなの前、龍や優人、ナベケンに優希の前で今の気持ちの在り方をこぼしてしまった。すると、優希が第一声を挙げた。

 

「そんなことないよ。まだ、大会が始まってないだけで実感がないだけだよ」

「ハハッ、翼。お前、そんなことでくよくよしてたのかよ。まぁ、俺も準決勝と決勝の試合にしか出てないけど……同じようにまだ実感はないぜ」

 

 そう言ってくれる優希とナベケン。龍と優人も同じように頷いて同意見だったようだ。

 

「翼、お前は間違いなくチームに欠かせないプレイヤーなんだぞ。自信を持ってよ」

「そうだよ、翼くん! 自信もって!」

 

 そう言われてやっと自分はチームの立ち位置など考えなくやっていたことが分かった。それだけ必死に目の前のことだけに集中していたんだな……。

 

「あぁ~、なんか話してスッキリした。ありがとう、みんな」

 

 みんなに色々と相談したことですっきりした俺だった。そうだ、もうすぐ始まるインターハイで頑張ってやっていこう! 俺はその気持ちでまた明日からの練習に取り組んだのだった。

 それからチームとしては3週間ぐらいインターハイに向けての調整で汗を流し来る日を待つだけだった。

 

 

 

 インターハイ大会の開催地である南東北にある会場に俺たち武蒼のメンバーたちは初戦のためにやって来ていた。

 

「おい! 忘れ物するなよ!」

 

 バスから競技場外の隣接するスペースでアップをするためにすぐに降りた。それにしても熱いな、どこに行っても気温は変わらないものなんだな。

 

「さっさと始めるぞ!」

 

 キャプテンの合図とともにインターハイ予選で臨んだ武蒼のベンチ入りメンバーのままで初戦の相手大分の高校との対戦に向けて準備を始めた。

 

――――……

 

 初戦の相手、大分の高校との試合。朝10時からの試合とあってまだ最高気温に達する前だが汗ばむ気候とあって首元にはすでに汗が滴っていた。

 

「へいっ!」

 

 今も中盤でボールを持った俺は一気に縦へ前線で待つ小田さんにパスを託した。

 

「おっ!?」

 

 インターハイ予選準決勝から復帰した小田さんはあの復帰戦以降から調子がうなぎのぼりでいい動きで相手のDFを攪乱させる。

 

「マコっ!」

 

 そして、ラストパスを中央で待つマコさんへパス。

 

「おらぁ!」

 

 最後は速いクロスを正確にヘディングシュートでゴールネットを揺らした。後半開始早々2-0だ。

 

「ナイス! マコさん、小田さん!」

 

 得点シーンを作った2人を称える後ろの選手たち。今日の調子ならまだまだ点を取れそうな雰囲気を前線の2人からは十分に感じられた。

 

「しゃぁ!」

 

 ポールさんが相手との対面のDFでボールを奪いすぐに俺へパスを送る。おっ、相手が寄せてきた。

 

「くっ!?」

 

 俺は相手のチェイスをしっかりといなして同じボランチに付く戸部さんへパスを送る。そこからレノンさんへ渡って、右サイドでコンビを組む白川さんとつなぎでレノンさんが抜け出す。

 

「よしっ」

 

 レノンさんは見えていた。俺がバイタルエリア中央でフリーになって受ける動きを。

 

「行かせるか!」

 

 相手がすぐにDFに入ってきたが遅かった。俺はそのままダイレクトでラストパス。その先には小田さんがすでに左足で振り抜く体勢に入り、そのまま一閃。ボールはゴールネットを豪快に揺らした。

 

『入ったぁ~~!! 武蒼3点目!!』

『武蒼ってこんなに攻撃的なチームだったか!?』

『守備も固いけど、決めるところでしっかり決めるよな!』

 

 会場は3点目とあってすでに両チームの勝負ではなく武蒼のチームについて語り始めた。会場では一気に勝利が武蒼に傾いていると感じられたわけだが、バックから大きな声で引き締める声が飛ぶ。倫吾さんだ。

 

「ここから25分! もう一回締め直すぞ!」

 

 状況をしっかりと見たキャプテンシーが感じられた場面だった。それからも、武蒼は最後まであきらめずに向かってくる大分の高校に対して真っ向から勝負に挑み初戦を5-0の大勝で次の2回戦へと駒を進めたのだった。

 

△▼

 

 初戦突破した武蒼サッカー部、試合が昼頃に終わったので宿舎に戻り連日の試合に向けて一休みすることになった。

 

「それにしても、よく小田さんへパス出したよな。翼」

「はい、見えたのでほしい動きが」

 

 休むと言っても軽くひと眠りして夕方ごろには少し散歩をするぐらいの軽い運動で流していた。最後尾でゆっくりと俺はレノンさんを話しつつ歩く。

 

「レノンさんも右サイド完全に支配してましたよ」

「まぁ、白川(シラ)とのコンビも上手く行ったからな」

 

 今日の試合、本当に右サイドから思いっきりのいいオーバーラップでチームの攻撃を活性化させてくれたレノンさん。やっぱり世代別代表なだけあって凄かった。

 

「明日の試合が山場だな」

 

 明日の相手はリーグ戦においてプリンスの上・プレミアリーグで戦う数少ない高校の1つ、福岡代表の福岡南だ。今日の相手とは格段に難しい試合になることは確かだった。

 

「相手にはJ内定の町田さんがいるからな」

「町田さん……」

 

 ピッチ中央を玉座のごとくプレーする10番・町田を中心にしたチームだ。まずはその町田さんをしっかりとシャットアウトすることが必要だな。

 

「もし明日の試合……、いやなんでもねぇ」

「ん? どうかしましたか。レノンさん?」

 

 レノンさんは結局何が言いたかったのか分からなかったけど、後々気づかされることになった。でも、まだこの時は目の前だけに集中していた俺だったので気付かず。

 

「赤星さん、お電話ですよ」

「ん? おれ?」

 

 宿舎近くの散歩から帰って来た俺に1本の電話が入っていた。俺は受話器を取ると向こうから3人の声が飛んできた。

 

「「「初戦突破おめでとう!」」」

 

 龍と優希と優人だった。そのあとすぐに龍が話しかけてきた。

 

《今日の試合みんな調子よかったみたいだな。5-0っ》

「あぁ、特に前線のマコさんと小田さんはかなり良かった。最後までしっかりと得点への動きを見せてくれたからな」

 

 それを聞いた龍は負けてられないとばかりに次に会った時は負かすぐらいの意気込みで語って来た。まぁ、俺もそう簡単に負けるのは癪なので対抗するが。

 

「とりあえず、一日でも長く試合するわ。そのあとは地獄だからな」

 

 この後、部としてはこのインターハイ後は強化合宿が組まれている。トップチームのAは菅平合宿、それ以外は学校合宿だ。ちなみに今回のインターハイには応援組はなかったので、A以外は残って学校で練習だった。

 

《電話変わるな》

 

 その後、優人が試合の詳細を聞きたかったのか事細かに教えてやった。

 

《翼くん! 初戦突破おめでとう!》

「おう、優希」

 

 そして、電話は優希に代わる。

 

《それにしても1ゴール、2アシスト! いきなりの全国デビュー戦で大活躍だね》

「うん、思ったよりすんなりと試合に入れたよ。後――」

《ん?》

「やっぱり全国に出てみたらいろんな選手と勝負が出来るって分かったからかな。やっと実感が湧いてきた」

 

 それを聞いた優希は、そうかそうかと電話口でもわかるぐらい陽気な声だったことから笑っているのが良く分かった。

 

《とにかく明日は福岡南だね! こっちから応援しているからね!》

 

 俺たちは武蒼サッカー部の代表として出ているんだ。その気持ちを胸に明日の試合に入れ込む俺だった。

 

▼△▼

 

 初戦突破翌日、連日の試合となるインターハイ。武蒼サッカー部は全国の常連であり福岡の強豪・福岡南と対戦。試合は終始、武蒼が中盤の俺やバックライン4人を中心として守備で危なげないサッカーを展開してカウンター攻撃から2得点奪い2-0の内容も伴った勝利で3回戦進出を決めてベスト16入りを果たした。

 

「赤星くん! 今日の試合どうだったかな?」

「町田君とのマッチアップ! 感想は!?」

 

 そして今、俺は多くの高校サッカー担当の記者陣に取り囲まれていた。トップ下に座る相手の町田さんとちょうど同じ位置でボランチに付く俺だったわけだが、しっかりとマッチアップした結果、しつこいぐらいに町田さんと対峙してチームは超攻撃的な福岡南を零封、その中心を俺と思った記者陣たちだったみたいだ。

 

「え……。とりあえず、最初から必死にどんなことになっても食らいつこうと思ってマッチアップに付きました」

「そうだよね、頭から激しく競り合っていたからね。バッチバチにね!」

 

 まぁ、確かに最初から気持ちをぶつけて行かないと舐められたり、こんなもんかと思われたら嫌だからな。だから、がつがつ最初から思いっきりぶつかった。結果、相手の町田さんも上手かったことからそうガツガツ行っても大丈夫だった。

 

「試合を振り返ってもらって2点目のFK。あれは練習通りだったかな?」

 

 あぁ、あのFKっか。レノンさんが少しずらして俺が左足でけり込んだ約25mのゴール右からの直接FK。いや、ずらしたから関節か? まぁ、入ったからいいや。

 

「練習でも決めていたので自信があったことは確かです」

 

 おぉ~! と記者の人たちは声を合わせる。合わせ芸でも持っているのか?

 

「最後に、明日も連戦になると思うけど意気込みをどうぞ!」

「えぇ、とりあえず目の前の1戦に集中して戦いたいと思います。ありがとうございました」

 

 最後は、どこにでもありそうなコメントを残して俺は記者の輪から抜け出すことが出来た。

 

「このぉ~! お前何人記者ひきつれているんだよ!?」

「ナベケン」

 

 抜け出してホッとしたところで長い腕が肩に掛かる、ナベケンだ。

 

「あのJ内定の町田さんと渡り合うどころから上回ってたからな! 当然だな!」

 

 ナベケンもしっかりと守ってくれたおかげだと言ったが、それでも、今日のマン・オブ・ザ・マッチはお前だと言ってくれた。まぁ、チームの勝利に大きく関われたことは嬉しかった。

 

「よぉ、翼。来たかもな、代表の話」

 

 レノンさん曰く、この試合でしっかりと名の通った町田さんをシャットアウトした俺に世代別代表の話が来てもおかしくないことをレノンさんは言うが……、

 

「あの、いくらなんでも話が早すぎるような……」

「そんなことないぜ。去年のインターハイから今日の試合まで福岡南はずっと得点を挙げていたが、今日の試合で止められた。チームのキーマンを抑えた1年生によって、な」

 

 この話の後から俺の世界は少しずつ大きくなっていくことを後々感じる俺だった。




第11話でした。結構ダイジェストみたいな感じで流れましたが、1試合はインターハイを書こうか悩んでいるところです。まぁ、気長に待っていただけると嬉しい限りです。
いつも感想に評価にお気に入り登録ありがとうございます! では、またまた!
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