とある瞳の情報観測   作:ゆーま@疲れたよ…

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 前回の続き。閑話
 相変わらず独り言の多い主人公。



4 日常:正しき法と観察者 Ⅱ

 灰次は白井の説教から逃げ出し、木で日が遮られた公園のベンチに座ってコンビニ弁当をつついていた。

 

「む、このからあげ…………もも肉じゃん。胸肉って書いてあんのに……」

 

 ただなんとなしに能力を発動させ、からあげを見ると使われた材料が材料の表記されたシールとは違うことに気づく。

 詐称表記していて大丈夫なのかと思いながらもからあげを口に放り咀嚼すると濃い目に味付けされた肉の味が口に広がった。

 

「うへー、めっちゃ脂っこい。やっぱここは冷やし中華にするべきだったかなぁー」

 

 灰次はコンビニでから揚げ弁当を買ったことを後悔しながら白米を口にかき込む。

 

「コンビニ弁当って絶対米足りなくなるよなぁ……ついでにジュースでも買っとくべきだったかぁ」

 

 そこで近くに自販機があったことをふと思い出し、弁当をベンチに置いて立ち上がる。

 

「偉人は言った『油がヤバイならお茶を飲めばいいじゃない』と。ということで自販機によっこらセック……お?」

 

 いざ自販機前に向かって一歩踏み出そうとした時、見覚えのある一人の少女が立っているのを発見し動きを止めた。

 常盤台のサマーセーターに明るめの茶色の短髪という、お嬢様というイメージを残しながらも活発そうな印象を受ける少女。

 少女は2回ほどその場で軽くはね、そして片足を軸にして回転し

 

「ちぇいさー!!」

 

 勢いよく自販機を蹴り飛ばした。遠心力、軌道、力の乗せ方、全てにおいて花丸をあげたくなるような見事な蹴りである。……まぁ、やっていることはあまり褒められたことではないが。

 自販機はガコンという音と共に緑の缶を吐き出し、腹を痛そうに凹ませていた。

 少女はそれを気にせず身をかがめ自販機の取り出し口から戦利品を取り出す。

 

「げ、ガラナ青汁……」

 

 その光景を遠目で見ていた灰次はにやりと意地の悪い笑顔を浮かべ、影のごとく気配を絶つと、こっそりと少女に近づいていった。

 

 

 

「ジャッジメントだ! 器物破損と窃盗罪で現行犯逮捕する!」

「な! ……ってなんだ第8位(最下位)か。アタシになんか用?」

 

 少女は咄嗟に身構えたが声をかけてきたのが灰次だとわかると脱力して問い返した。

 

「第8位て。序列で呼ぶなよ。最下位ってなんか弱そうじゃん」

「あーはいはい、すいませんでした。学園都市第8位、情報観測(オブザーバー)の北山灰次先輩」

 

 棒読みであしらうように言う少女に灰次は笑いかけながらも額に青筋を立てる。

 

「はっはっはっ、喧嘩を売ってるんですかねぇ、第3位の御坂美琴ちゃんよぉ」

 

 御坂美琴。白井の敬愛するお姉様とは彼女のこと、昨夜の停電を引き起こした張本人でもある。

 

「そんなわけないじゃない。アンタとの喧嘩すごくめんどくさいんだもん」

「おおっと、めんどくさい男発言いただきましたー」

「そういうのいいから。で、結局アンタはアタシに何か用があったワケ?」

「あん? ああ、そうそう」

 

 言われて思い出したというように手のひらをポンっと叩いた。

 

「さっきのチクられたくなけりゃワイロが欲しいなー、なんて」

「はぁ? ワイロってなによ」

 

 その反応に灰次は御坂が持っている500ml入の缶ジュースを横目でちらりと見て、

 

「あーあーあー、なんかちょうど喉が渇いてきたぞー? 青汁的な何かが飲みたいなー」

 

 なんてわざとらしく言った。

 

「ああ、そういうこと。欲しけりゃあげるわよ。狙ってたのは別のやつだから」

 

 御坂はそう言いながら手に持っていた缶ジュースを灰次に投げよこした。

 

「ととっ、別の狙ってたって、狙い通りのもん出るまで蹴るつもりかよ……」

「べっつにー? 次は狙い通り出そうな気がするのよね。……ちぇいさー!」

 

 灰次がげんなりとした様子で尋ねるのを尻目に御坂は再び自販機を蹴り飛ばす。

 すると、ガコン、という音と共に薄緑色のアルミ缶が取り出し口に落ちてきた。

 ちなみに御坂が自販機を蹴った際スカートがなびき中が見えるも、見えたのはベージュ色の短パンであり、灰次が心なしかがっかりした表情を浮かべたことを追記しておく。

 

「やた、ヤシの実サイダーゲット♪ ……んくっんくっ、ぷはー♪」

 

 目当てのジュースが出たのか缶を取り出すと早速プルタブを開け嬉しそうに缶を煽った。

 

「常盤台のお姉様ともあろうおかたがジュース泥棒の犯罪者ですか。嘆かわしいねぇ」

 

 灰次もそう言いながら御坂と同じように青汁の缶を開け一気に飲み干した。

 

「何言ってんのよ、それ受け取ったアンタも共犯者でしょうが。ていうかよくそんなまずいもの飲めるわね」

「ああ? いいじゃんガラナ青汁うまいじゃん。それに犯罪なんて苦いモンなんか一気に飲み干してやるぜ? 青汁だけに」

「いや、意味わかんないし大して上手くないし」

「青汁だけに?」

「あ、それは上手い……じゃなくて、あんた何しに来たのよ。まさかジュースねだりに来ただけってわけでもないでしょうに」

「いやいやー、流石御坂お姉さま、俺のことよくわかっていらっしゃる」

「ってホントにジュース貰いにきただけかい」

 

 御坂はゲンナリとしながらツッコむが、当の灰次はどこ吹く風でそれを流す。

 

「さっ、用は終わったし俺は弁当を貪り食らう作業に戻らせてもらうぜーっと」

「お弁当?」

 

 くるりと御坂に背を向け自分の座っていたベンチに戻ろうとするが、

 

「お弁当ってあのベンチでカラスの群れにつつかれてるアレのこと?」

「ん? ……んぉわ! めっさ食われとるぅーー!!」

 

 急いでベンチに戻りカラスを追い払う灰次だが、弁当は既に食い散らかされておりそこには弁当の無残な残骸だけが残っていた。

 

「ドンマイ」

 

 御坂は残骸の前でうな垂れる灰次の肩を叩き、そう一言残し去っていった。

 

 




 パンチラはロマンなんだ……ロマンなんだっ……!
 
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