新しい人生は新米ポケモントレーナー   作:とぅりりりり

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ポケモンたちが主に喋ってる話。あんまり本編に関係のないクソどうでもいい話でもあります。


回れ!サーナイトさん!

 

 

 夜、主人が眠った後の時間は私のちょっとしたお楽しみの時間。

 

 そんなわけで私サーナイトの夜更かしタイムでございます。主人であるエミには信頼されていると自負しております。

 ですから、少しハメを外しても怒られないでしょう。

 

 

 ごそごそとできるだけ音を立てないように例のブツを取り出して部屋の外に出ようとした私は物音に気づいた彼女に声をかけられた。

【んー……サーナイトなにしてんの】

 うむむ……マリーさんですか。彼女、意外と真面目だから怒るかもしれませんね。さいみんじゅつでも使いましょうか。

【あれ、お姉ちゃん?】

 タイミングの悪いことにエルド君まで起きてしまいました。どうしましょう。彼には悪影響を与えてしまうかもしれませんね……。

 そのままポケモンたちが連鎖するようにぞろぞろ目を覚ましてしまったので主人にバレる前にもう人もほとんどいないポケモンセンターのホールに移動しましょう。

【わーい、よふかしー】

 イヴちゃんも悪い子の仲間入りですか。ミックちゃんもいますしジョーイさんやトレーナーさんが不思議そうにこっちを見ています。

【で、サーナイト何しようとしてたの】

 仲間の一人であるコジョンドがムッとした様子です。私がエミに隠し事をしているからでしょうか。

【実はこれを……】

 取り出したのはエミのポケフォンです。通話やメール、アプリからゲームまで色々できる人間の知恵の結晶でしょう。

 元々、私はエミがすぐ機械を壊してしまうのでよく代わりにパソコンを操作したりポケフォンを使ったりしていたのですが先日、エミに内緒である物に手を出してしまいました。

 

【携帯端末ゲームというものです】

 

【けいた……?】

 マリーちゃん含むほかの子たちが一斉に首を傾げる。

【ポケフォンとかスマートフォンとか色々ありますよね。あれらで遊べるゲームのことですよ】

【へーいつでも暇潰せるじゃん】

 マリーちゃんが感心したように言います。ふっふっふっ、そうなのです。

 私も元々エミのお手伝いしかしていませんでしたが最近ではSNSとかもちょっとだけやってみたりしてとても楽しいのです。でもエミはこういうことに疎いですし説明も難しいのでこっそり遊んでいるのですよ。

 ポケッターではフォロワー数が最近いっぱい増えてちょっとした有名人気分です。

【人間の娯楽は飽きがきませんね! ついついこっそりやる時間が増えてしまいます】

【まあ、エミのことだし私はそこまでとやかくいわねーけどさ】

 マリーちゃんの複雑な表情の横でコジョンドがぶすっとそっぽを向いています。

【私はどうかと思うわよ。あんまり人間の世界にのめり込むとポケモンとしての矜持が……】

【コジョンドもちょっとやってみましょう! 大丈夫、怖くないですから!】

【やらないわよっ!】

 むーん、ネットサーフィンから勧めるべきでしたかね。動画とか面白いのもあるんですよ。

【ねーねーサーナイトちゃん。ゲームってどんなのなの?】

 イヴちゃんが興味津々で聞いてくるのでアプリを起動します。

 

 一番のお気に入りはポケ★ナイトというやつなのですがこれがまた面白いと同時にとても辛いのです。

 キャラクターとして排出されるトレーナーの当たり外れはもちろんのことトレーナーの手持ち2匹の組み合わせが悪いと駄目ですし、ガチャは頭が悪いのではないかと思うほど確立が低くて高レアが全然出ません。

 ちなみにトレーナー3人をパーティー組ませて探索しながら敵を倒していくゲームなのですがこのバトル部分がトレーナーとポケモンの数だけあるのでかなり組むのは戦略性があって楽しいのです。でもガチャが渋い。

 

【その、ガチャ?ってやつが不満あるのになんでやってるんだ?】

【爆死した画像をSNSにあげるまで含めて楽しいんですよ】

【わ、わかんない……】

 なぜかマリーちゃんにドン引きされたような気がします。イヴちゃんは画面に興味津々で前足でいろいろ押してます。

【フフフ……ようやく10連分の石が溜まったので今夜はガチャのお祈りタイムの予定だったのですよ】

【そっかぁ】

 マリーちゃんはどこか遠い目をしています。なぜでしょう。コジョンドはじーっと画面を見ているというのに。

【ねーねー、サーナイトちゃん。イヴこのガチャっていうのやってみたいの】

【じゃあ一緒に押しましょう。せーの、それー】

 

 あ~ガチャ演出最高ですね~。これは高レア確定演出。やはりビギナーズラックというやつでしょうか。

 

 

 SSR[ジムリーダー オトギ]

 

 

【ああああああああああああああああああああああああああああっ!】

 ポケフォンを叩きつけそうになってしまいました。マリーちゃん筆頭にみんなが止めてくれて助かりました。

【何!? 急に発狂してどうした!】

【サーナイトちゃんおちついてー!】

【ええ、落ち着きました。大丈夫です。何も見てませんので】

【この子、あいつ見るとすぐにいかりのツボ押されたみたいになるのよ】

 コジョンドあなた失礼ですよ。

 まあそいつのことは今どうでもよいのです。問題はせっかくのSSRがアレだったことです。

【性能はまあまあですができれば視界に入れたくないので残念ですが今日はハズレです……】

 今せっかくのコラボガチャでアマリトジムリーダーズのキャラが実装されているというのになんということ……。もう期間内に石が貯まることはなさそうですし、コラボキャンペーンのキャラ一人プレゼントを選んでしまいますか。

【もうガチャしないの?】

【ガチャは石がないと回せないのですよ】

 イヴちゃんが首を傾げてきょろきょろとあたりを見回すがしゅんと耳を垂らして言います。

【この辺に石ころないの……】

 そっちの石ではないのですがどのみち回せないことは間違いありません。

【その石っていうのはどうやったら手に入るのよ】

 お、コジョンドってば興味あるんじゃないですか。恥ずかしがらなくてもいいのですよ。

【基本的には現実のお金を使ってゲームで石を購入する形かログインボーナスでちまちま貯めたりするくらいですかね】

 たまにキャンペーンもあるがそこはすぐには無理なので省くとしましょう。基本的には課金です、ええ。

【じゃあ買えばいいじゃない】

【無理ですよ。私たちお金持ってませんし――】

【だってほら、それで買い物しても請求って父親のところいくじゃない】

 コジョンド、あなた天才ですね。そういえばそうでした。失念していました。

 エミは契約する時支払いの口座を父親のものにしています。というかそうしろって父親に言われてました。すぐ壊すし新しいの買うハメになるから連絡取れなくなるよりマシとのことで金銭的な問題は結構許されていました。

【あの人のお金なら特に心が痛みませんからね】

【でしょ?】

【お前らさらっとひどくない?】

 マリーちゃん、あなたやはりツッコミさんですよね。でもコジョンドと私からしてみればあの人、あんまり好きじゃないんですよね。

【他人の金で回すガチャほど楽しいものはありませんから!】

【ガチャとかゲームとか全然わからないけどお前が今真性外道なことだけはわかる】

 マリーちゃんはこういうとき真面目ですよね。そういうところ、損すると思います。

【コラボガチャは復刻するかわかりませんしできれば8人とは言わずとも半分は手に入れたいですね~。キャンペーンで一人交換できますからガチャ回しきってから当たらなかったのだけもらいましょう】

【で、どれくらいやるのよ。ていうかだいたいいくらくらいするわけ】

 コジョンドってばやっぱり乗り気じゃないですか。

 とりあえず購入画面へと向かいましょう。ふむふむなるほど、一番高いのでだいたい10連4回くらいですか。えーっと9800円……?

【9800円って、価値にしてどれくらいなんでしょう……?】

 人間の価値観がよくわからないのでこれできのみ何個分なのかさっぱり見当がつきません。

【だいたい1万円でしょ?ってなると……】

【10万ボルトの十分の一ってこと?】

 そういえば10万ボルトって言いますけどあれ数字言われてもぴんとこないんですよね。だいたい感覚というか。

【10万くらいまでならそんなたいしたことないですかね】

 まあ困るのはあの眼鏡親父だけですから。

 とりあえず1万分課金してみました。あ~石の増える音~。

 

【しらねーぞ……私は知らねーからな……】

 

 マリーちゃんは呆れながらお部屋に戻っていきました。むう、マリーちゃんにも回してもらおうと思ったのですが。

【ではさっそくですがコジョンドお願いします!】

【仕方ないわね……】

 とか言ってちょっと楽しみなのが見えてますよ!

 

 ガチャ演出~、あ特に確定演出はないですね。

 結果としてはSRが出たくらいで面白い結果ではなかったです。ドブってほどでもないといいますか。

【よーし、私も回しますよ~】

 ぐるんぐるんと回せ~。ガチャでお金をドブに捨てるの~。

 

 

 SSR[ジムリーダー オトギ]

 

 

 うっかりまた端末を破壊しかけました。

 なんですかこいつ。なんで何度も出てくるんですか?ていうか8人いるのになんでお前かぶるのか理解できません。

【私が回すとのろいのようにこいつしか出てこない気がするので誰か代わりに回してもらえませんか……】

【じゃああちきやる~】

 おや、パチリスいたんですねあなた。

 しっぽでぽちっとガチャボタンをプッシュ。超エキサイティン。

 おや、確定演出。今夜はとてもツイてますね。

 

 

 SSR[ジムリーダー イヅキ]

 

 

 おお! 新キャラ引けました! さすがですねパチリス!

 

【ま、あちきにかかればこれくらい余裕~】

【今度おやつわけてあげますね】

 ふふふ、このキャラは性能的にも使えそうなのでいい感じです。

 

【さあまだまわしますよー!】

 

 

 

 

 ――30分後。

 

 

 

【で、でない……】

 

 

 新規SSRが全然引けません。

 もうみんなも最初はノリノリだったのに飽きている様子でぼちぼちお部屋に戻り始めています。

 もう○○万つっこんだのにコラボジムリーダーが結局あいつとイヅキしか引けていません。せめてあと一人くらいは欲しいのに……。

【ここまでやったらせめてあと一人は引けないと――!】

【お姉ちゃん……】

 するとずっと黙って見ていたエルド君が私をじっと見てきます。あっという間に大きくなりましたがまだ子供。お目々が潤んでおります。

【お姉ちゃんがそんなこわいかおでいるのやだよ……】

 はっ……私としたことがあまりのガチャの闇の深さにこわいかおになっていたなんて……。

 ガチャは冷静を奪う。まさにその通りでしたね……。

【……すみません。ちょっと血が登ってしまいました。エルド君、これで踏ん切りをつけるので最後の10連……あなたにお願いしてもいいでしょうか】

【うん! これやったらおやすみしようね】

 ぽちっとガチャを押すとおや、これは……。

 

 SSR[ジムリーダー ケイ]

 SSR[ジムリーダー ナギサ]

 SSR[ジムリーダー ユーリ]

 SSR[ジムリーダー アンリエッタ]

 

 

【ひゃっほおおおおおおおおおおおおお! 4枚抜き! 神引きですよおおおおおお!!】

【お姉ちゃん!?】

 

 

 ポケッターにガチャスクショ投稿してやりましょう。ああ、最後の最後になんという神がかった引きを……。

【エルド君(の神引き)大好きです】

【えっ、う、うん……】

 

 なぜかエルド君が引いていた気がしますが気のせいですね。

 

 

 

 その後、神引きスクショがバズってフォロワーがちょっとだけ増えたのは関係のない話。

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 次の日、ヒナガリシティ、ユーリの探偵事務所にて。

 

 

「ポケ★ナイトってゲーム知ってますか?」

 リンドウの言葉にユーリは「知ってる」とつまらなさそうに答える。

「今ユーリさんがコラボでガチャで出るんですよ」

「というかその企画、前にジムリーダー全員で関わったから言われなくてもわかるぞ」

 仕事中にゲームの話するな、と言いかけてそういえばとユーリはリンドウに言った。

「確かそれ、一人はコラボキャンペーンとかで交換できるらしいからガチャとかいうやつはやらんでもいいはずだぞ」

 

「何言ってるんですか。交換もしましたしガチャも回しますよ」

 

 なんとも言えない迫力というか圧にユーリは珍しく「お、おう……」と言葉に詰まった。オルガルとイオリもそこにやってきて話に混じってくる。

「自分はやってないのですが娘がやっていてユーリさんもらって喜んでましたよ」

「僕は元々やってたけどガチャで引いたよ。交換どうしようかなー」

 思ったより健全そうで少し安心したユーリは早くこの話終わらないかなと内心思いながら次の予定を確認する。しかしこの話はまだ終わってくれないらしい。

 

「というか無料でユーリもらうとか僕のプライドが許さないから出すまで回したよね」

「わかります」

 

「お前ら常に俺と直接顔合わせてるのになんなんだ! というか怖い!」

 

 横でオルガルがそっと胃薬をユーリの机に置く。そんないつもあるようでないような日常であった。

 

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 その頃のワコブシティ、ツリガネ道場。

 

 

「お前らなにしてんの」

 

 ケイがジムトレたちがこそこそとポケフォンでなにかしてるのを見つけ、声を掛ける。一部の者がびくりと反応して画面を隠したのでますますケイは訝しむ。

「鍛錬サボるほど崇高なことでもしてたのか?」

「いえ、そういうわけじゃ」

「なら見せろ」

 有無を言わせぬ圧にケンガがそっとポケフォンを差し出すとそれはポケ★ナイツのゲーム画面。しかも画面にはキャラ化されているケイ。

「け、ケイさんがもらえるって聞いたからちょっとだけ、ちょっとだけと思って……」

「……そういえばこれもうやってたのか……」

 すっかり忘れていたというか完全にあることすら忘れていたケイはむしろ言ってないのにこいつらよくやろうと思ったなという感心しかない。

「……まあ、サボらないなら俺は気にしないから」

 でもできれば自分の顔を美化されたゲームのキャラでワイワイするのはやめてほしいと思うケイであった。

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 

 

 某所、研究所にて。

 

 エミの父であるライアは打ち合わせを終え一度研究所に戻ってきていた。またすぐに出かけるため腰を落ち着けるつもりはないようだが。

 

 ふと、机の上に見覚えのない封筒があるので確認するとポケフォンの支払い請求の書類だった。

「あ、そういえばあいつ新しい端末買ったって言ってたネ。まあどうせほとんど操作はサーナイトだろうケド」

 一応ポケフォンなどの連絡に使う端末はよく壊すこともあって好きに使ってもいいと言っている。普段は部下が確認してくれているのだが今日はたまたま手が空いている者がいなかったためそのままにされていた。

 ライアは請求書を特に何も考えずに開いて一応確認する。すると一瞬にして虚無に陥った。

 

 

 

 ――○○万円。

 

 

 

 言葉に出すのも恐ろしい額に一瞬見なかったことにしてライアはそっとそれを机に伏せた。

 が、現実であることに変わりはなく、再度ちらっと確認して「おぉう……」と絞り出すような声をあげるのであった。

 

 

 

 

 

 




ポケ★ナイト!今なら初回10連無料!
キャラの数だけ可能性がある――冒険の旅に出よう!
[ジャンル:シュミレーションRPG 基本プレイ無料(アイテム課金)]

今ならアマリトジムリーダーズコラボキャンペーン実施中!

なおこのあとクソガチャとキャラの性能差で大荒れした挙げ句サイレント修正が入ったりして地獄絵図だった模様。でもアマリトのセルラン1位



ナギサ:ゲームあんまりやらないからわからない
リコリス:興味ない
コハク:興味ない
アンリ:今それどころではない
オトギ:興味ry
イヅキ:めっちゃやりこんでるけどフレンドはいない

ランタ:ナギサだけ交換した
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