ソレスタルビーイング
「ここは……?」
「おお、目が覚めたか!」
俺は聞き覚えのない声を聞いて目を覚ます。回りを見てみるとそこは白い部屋で目の前には見覚えのない男性がいた。
俺は直ぐに自分の記憶を手繰りだす。俺は確かもしもボックスを使って転移したはず。
ガンダムOOの世界に……。
そうだ、転移に成功したのはいいが転移した場所がどこかの国の戦争地帯で俺は慌ててもしもボックスをしまって、歩いていたら衝撃でぶっ飛ばされて意識を失いかけていたところを彼らに拾われたんだっけ?
いきなり命の危機を感じたよ、うん。いや、俺の設定がいけなかったんだけどさ。
俺はもしもボックスでつけた設定はガンダムOOの世界へ、ソレスタルビーイングに戦場で拾われそのままヴェーダに選出、孤児院出身、配属されたら仕事は雑用全般という設定だ。しかしこんな危ないコンタクトになるとは思わなかった。
もしもボックスの影響により、俺はここに来る前のことについて違和感を持たれないはずだから話し方とかはヘタなことを言わなければいいのは楽だな。
次に今後についてだが設定通りに暫くは艦の雑用として働くことにしている。理由はパイロットの技能の設定を作り、モビルスーツで無双でも良かったが、まずはこの世界についての情報が少ないので艦の雑用をしつつ情報を集めるのが最適からだと思ったからだ。それに加え、艦のメンバーとコミュニケーションを取るのにも適しているし。
「怪我も軽傷だったし、拾ってくれたロックオンには感謝するんだな」
「ロックオン?」
「ああ、この艦のパイロットさ。とりあえず皆がいるところまで来てもらいたいんだが……歩けるか?」
「大丈夫」
「そうか、なら着いて来てくれ」
俺は目の前の青年の後に続き部屋を出る。部屋を出るとテレビでみたことあるような機械で出来た道があった。恐らくここは彼らの組織の拠点で間違いないようだ。
目的の部屋まで歩いていると目の前の青年が話し掛けてくる。
「そういえば自己紹介してなかったな。俺の名前はラッセ。よろしくな、のび太」
「俺の名前……」
「ああ、ここは訳ありでな。悪いが調べさせてもらった」
「……」
ですよねぇ~。
分かっていたことだがやはり経歴から人体実験とまではいかないが色々調べられたようだ。俺は腰についているスペアポケットがあることを確認すると安堵の息を吐く。このスペアポケットもこういう時のために他の秘密道具を使って俺以外に使えない、感知できないようにしてあった。
とりあえずこの流れでいきなり殺されることはないだろう。もしもボックスで作った設定とはいえ不安はあるが。
しかしラッセにロックオンね。ガンダムのパイロットや焼け野原さんはなんとなく覚えいるがそれ以外の人のことや詳しい原作の流れなどは覚えていない。ノートに書き出したとはいえ、原作知識の穴はすごかった。
さらにラッセルからこの組織のことについても聞かされる。ここの組織の名前はソレスタルビーイング、目的は戦争根絶。まだあの放送前なので本格的に動き出していない原作前ののようだ。原作が始まる前までには色々と出来ることを増やしておきたい。
やがて目の前のラッセルの足が止まる。どうやら目的の部屋に着いたようだ。
「よし、ここだ。入ってくれ」
「……どうも」
「失礼します。例の彼を連れてきました!」
俺は扉の先の光景を見て、心の中で感嘆の声を上げる。そこは沢山のモニターがあり、部屋の真ん中には他とは違い一段と高い席がある。そしてその部屋にいる人達が俺に気づきこちらに向いた。その中でも優しげな男が俺に話し掛けてきた。
「おう、無事に目が覚めたようだな。安心したぜ」
「あなたは……」
「ロックオンだ。よろしくな」
「助けてくれたみたいでどうも……」
「なに、きにするな。当然のことをしただけさ」
とりあえず、助けてくれたお礼を告げる。しかし、あのロックオンが目の前にいると思うと感動するな。狙い打つぜぇを生で聞いてみたい。
すると、今度は二人の女性が近付いてきた。その内の一人が声を掛けてくる。
「初めまして。この艦の艦長を務めているスメラギよ。そして……」
「私は王留美といいます。突然だけど、のび太くん。良ければ私たちソレスタルビーイングに入ってくださいませんか?」
彼女が俺に手を差し出してくる。俺はこの誘いを断ることも出来ないし断る理由もない。俺は迷いなくその手を取った。
「野比のび太。あなたをソレスタルビーイングに歓迎します」
俺はこの瞬間、ソレスタルビーイングの一員となった。