ブラック鎮守府で我が世の春を   作:破図弄

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強行?凶行?中尉の運命は!

ブラック提督は、据え膳をどうする!

彼を応援してくださいね。


第6話 女性士官の過去

時間は少し遡る。

 

畳床で飲み交わしていた中尉の様子がおかしい。

 

ペースが速くなってきた上に何やらブツブツとつぶやいていた。

 

「貴官、どうした?

 気分が悪くなってきたか?」

 

「え?

 う、ううん、大丈夫。

 ねぇ中佐、初めて会った時のこと覚えてる?」

中尉が何の前触れもなくしんみりとなった。

 

「?・・・・覚えてるぞ。

 任官でいきなり情報部に配属されたのは驚きだったからな」

「やっぱりかぁ」

怪訝に包まれた俺をほったらかしにして、中尉は落胆を隠さなかった。

 

「わたしが兵学校の3号生だった時だよ」

「うーん、そのくらいの時には江田島には行ったことはなかったはずだが・・」

「パパの名代で親戚のところに行った時なんだよ」

「なるほど、それならあるか。

 てか、そういわれても記憶がない」

俺が頭を傾げている姿を見て、中尉はクツクツと笑う。

 

「中佐、直後の大怪我でやっぱり記憶がなかったんだね」

中尉は予想していた口ぶりだった。

 

「あの日、突然の襲撃で路上にへたり込んでたのを助けてくれたんだよ。

 あと護衛の戦艦を庇ってくれたし」

中尉の言葉は、深海棲艦襲撃と庇いきれなかった戦艦を思い出させた。

「庇いきれてねえ。

 無様に俺のほうが助けられたんだ」

戦艦の最後の言葉を思い出す。

「わたしたちしか戦えないから、仕方がないの・・か」

「それ、彼女とのお別れの・・」

無意識に口にしていた艦娘の言葉。

 

「そうか、覚悟の上での出撃だったんだね」

中尉は何か汲み取るように頷いた。

「アレを覚悟というものか?

 仕方がないって、諦めてるじゃないか」

「彼女は諦めていないよ。

 陸に留まって迎撃することだってできたんだから」

彼女たちは一緒に過ごして心を通わせていたのかもしれない。

 

「わたしは、あの時初めて人が肉片になるところを見て、竦んじゃったけどね。

 彼女をかばいに行った中佐は、勇敢だなって思った」

彼女はタハハと笑った後、上目遣いで身を乗り出してきた。

 

「おっと、申請漏れがあったな。

 貴官、ちょっと席を外すぞ」

「はーい」

中尉はえらく素直に返事をした。

 

 = = = = =

 

「貴官、なぜそこに座る?」

「えー、だってー、寂しくて死んじゃうよぉ」

「だから、なぜそこに座る?」

「ここは小官の専用エリアであります。

 それから中佐は小官を抱き枕に使っても問題ありません」

横向きに膝に座る中尉、腕を俺の首に巻き付けてくる。

 

「ささ、右手の邪魔にならぬよう留意しておりますので申請書をどうぞ」

言葉とは裏腹に上半身を捩って上目遣いで覗き込んでくる中尉。

追いかけて執務室に入ってきたときには、制服と中の襦袢(シャツ)を鳩尾辺りまで開いていた。

中尉を見下ろすと胸元が露わになっていた。

 

≪コンコン≫

ドアがノックされた。

 

『貴官、早く離れなさい』

『艦娘ちゃんたちにブラックなところをアピールできるよ』

『仕方ねぇな』

どうも言いくるめられた。

「入れ」

 

入室を許すと荒潮が入ってきた。

 

 = = = = =

 

荒潮が退出すると中尉の積極性が加速する。

 

「ちゅーさー、チューぅ」

「こらこら、やめろ。

 あんまり揶揄うなら、泣かすぞ」

「やったー、いい声で鳴くから、前戯はやさしくしてね」

 

すかさず中尉の頭に手刀を打ち込む。

「いったーい。

 もう、そういうプレイはイヤですってばぁ」

頭を摩りながら抗議の視線を向けてくる中尉に諫める視線で返す。

 

「中佐、わたしの気持ちわかってますよね」

「いーや、わからん。

 そもそもだ、貴官は選り取り見取りなんだぞ。

 それこそ将来有望な士官がいるだろ」

 

中尉の言葉に少しぎくりとさせられた。

酔っているから勢いで言っているのは判っているつもりだ。

このまま流されては退役後の生活設計に絶対響く。

 

「貴官、一時の快楽に身を任せるとヤケドするぞ」

「その時は責任取ってくれたらいいですよ。

 パパに挨拶してもらえばオッケーだよ」

小首をかしげてニッコリ微笑む中尉。

 

たぶん冗談だ。

冗談だと思いたい自分がいることに俺は薄々気づかされていた。

 




ブラック提督(自称)は殊の外奥手でした

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