逆凌辱に苦しみ始めた艦娘たちと深海棲艦たち。
彼を応援してくださいね。
「ふー、朝から炭水化物は腹に付きそうだな」
俺は最近の食事について考えてしまった。
「美味いからつい完食してしまうが、俺の食費を鎮守府の維持費にま・・・・」
ソファーに深く凭れてひとりごとを言って何気にドアのほうを見た瞬間、失敗に気が付いた。
ドアの向こう側から2隻が半分顔を出してこっちを見ていた。
間宮と間宮の胸を輪っかに乗せた龍田だった。
こちらを観察する様子は無表情だがその片目が笑っているようにも見えた。
2隻は扉に隠れた。
「食器をお下げいたします、クスッ」
「本日は深海ちゃんたちと模擬演習です。
参加者は準備できています、んふふふ~」
2隻の声は弾み気味だった。
おまけに忍び笑いが混じっているように聞こえなくもない。
= = = = =
「龍田さん、知っていて広めましたね」
「間宮さんは深読みしすぎですよ、んふふふ~」
(とぼける龍田さんは絶対確信犯です。
提督は今日も完食してくださいましたでしょうか?)
(食器を下げに来ましたが、先ほどの大胆だったことに恥ずかしさがこみ上げてきます。
今度は龍田さんもいらっしゃるので迂闊なことはできませんね、いろんな意味で)
そうこう考えつつ2隻は執務室の前に来た。
「あら、ドアが閉まっていませんね」
「みんなで押し掛けた時に閉まらなくなったかもしれませんね~」
≪ふー、朝から炭水化物は腹に付きそうだな≫
執務室の提督の声が廊下からも聞こえた。
(提督は少しは痩せ気味ですから、しっかり食べていただかないと)
『間宮さん、ちょっとだけ様子を見ませんか?』
『え・・・・(たまには油断している提督を観察しましょうか)ですね』
2隻はドアの裏に張り付いた。
「美味いからつい完食してしまうが、俺の食費を鎮守府の維持費にま・・・・」
提督の言葉を聞き易くするため2隻は覗き込んでしまった。
何気ない提督と2隻の目が合った。
提督が何を言おうとしたのか理解した瞬間、見られちゃいけないと思った2隻はドアに隠れた。
「食器をお下げいたします、クスッ」
(見ていないところで褒められるとにやけるのが止まりません)
「本日は深海ちゃんたちと模擬演習です。
参加者は準備できています、んふふふ~」
(提督、そんなところが天龍ちゃんと同じくお気に入りなんですよ~)
2隻は声が弾むのを抑えられなかった。
つい笑みがこぼれてしまっていた。
= = = = =
「うふふふっ!
いい天気ですね、任務頑張りますよー!
うふふふっ♪」
「荒潮、張り切っちゃって」
「
「いい意味で見込み違いだったな、なぁ鳥海」
「本当にヒドい司令官さんですよねぇ。
ケーキ作ったら、食べてくれるかな」
「なぁなぁ、大人の提督には、酒のつまみがアリだな。
わたし味見すっから、あ痛っ」
重巡たちは演習前の適度な緊張の中で今の状況を楽しむ余裕があった。
すさんだ心はブラックな鎮守府にあって、癒されてきた。
提督はきっとブラックさを前面に押し出し嫌がらせをしてくるだろう。
艦娘たちにその行為はどう映っているかも知らずに。
「大潮もアゲアゲで行きまっすよぉ~」
「司令官、朝潮はお会いできたことに感謝します!」
「みんな司令官に甘いわよ。
な、何よ、私は別に褒めて欲しいわけじゃないし!」
満潮は自分に向けられる他の艦娘の視線に居心地の悪さを感じてしまった。
「満潮も早く素直になってくださいね」
高雄は駆逐艦たちも
= = = = =
「提督!
電探に感あり。
演習の行動信号をまだ一度も出していない機影多数!」
鎮守府に緊張が走る。
「輪っか、発令!
平文でかまわん、無線封鎖解除!
直ちに戦闘機の迎撃発艦!
全艦防戦行動開始!
迎撃しつつ帰投せよ。
空母群は全力で敵航空兵力を迎撃せよ」
「復唱します。
無線封鎖解除!
直ちに戦闘機の迎撃発艦!
全艦防戦行動開始!
迎撃しつつ帰投せよ。
空母群は全力で敵航空兵力を迎撃せよ」
提督の命令を龍田が全艦に伝える。
鎮守府に警戒のサイレンが鳴り響く。
「提督、演習艦隊から入電。
【我が艦隊に損害あり、救援を請う】ブラックな平文です」
「どの艦隊だ?」
「独立愚連艦隊、被害艦は荒潮!
・・魚雷による直撃です!」
「・・・・秋月、照月、涼月、初月を救援に向かわせろ」
「復唱します。
秋月、照月、涼月、初月の4艦を救援に向かわせます」
「龍田、このまま全艦帰投命令に変更はない。
命令を遂行させろ。
俺はちょっと出かけてくる」
「提督、どちらへ」
「美人たちに会いに行ってるのさ、クヒヒ」
提督が指令所を出ると中尉と出くわした。
「もう止めませんから、必ず帰ってきてください」
中尉の頬には何筋もの涙の跡がついていた。
海が荒れ始めました。