やることはやっています。
彼を応援してくださいね。
「まあいい、酌をしろ。
そうだな、胸元は、はだけさせろよ。クヒヒ」
「・・・・」
「なんだぁ?
命令が聞けんのかぁ?」
持っているグラスを投げつけようと振りかぶったが、グラスが勿体ないので止めた。
「すみません、よくわかりませんので」
間宮は、エプロンを脱ぎ、ブラウスのボタンをはずし、ブラが見えるように襟元を開いた。
「いいねぇ、これだよ、キヒヒ」
グラスに3杯目を注ぎ、間宮に差し向けた。
間宮は観念したのか、俺のところに寄って立ち尽くしていた。
「ぬうーん、どうした?
ほらほらぁ。
どうして、こんなやつに。
いやだけど、逆らえない。
こんな嫌な思いは、一生消えない。
悔しい、死にたい。
って、顔をみせてくれなくちゃあ、キシシ」
俺は、煽りながら、3杯目を呷った。
(駄洒落じゃないよ)
なぜか、心で説明をしておく必要性を感じた。
椅子を回して、正面を間宮の方に向ける。
(別に泣いて飛び出して行ってもいいんだけど)
次の瞬間、予想外のことに反応が遅れた。
「提督、当面の献立を立てました。
今持って来ておりませんので、明朝、報告します」
間宮の報告は順当なものだった。
いきなり俺の膝に座って頭を胸に預けてきたことは、順当とは言えなかった。
間宮は、目の前にある俺の制服の金ボタンを手慰みにし、開いている方の手は、肘掛けに乗せた俺の手に重ねてきた。
「とんだビッチだな。クヒヒ」
俺は、表面的には平然を装いつつ、次の言葉を考えていた。
「嘘つき」
間宮、捨て台詞的な言葉を残して、いきなり立ち上がって部屋から飛び出していった。
やれやれ、艦娘も女だな。
何を考えているのか、さっぱりわからん。
「結局、何しに来たんだ?」
4杯目を呷ったところで、いい感じに眠くなってきた。
海軍ジャージに着替えて、制服をハンガーに吊るす。
(風呂に入り損ねたな)
ソファーに非常用に持ってきた寝袋を広げて、潜り込んだ。
灯りを落とした執務室の中で、クソが売り払った設備や什器の入手を考えてた。
リストを作って、業者が誰にするか、リサイクルショップに丸投げ・・・・Zzz
= = = = =
食堂に
「もう! ふたりでしてるかもって思って、遠慮して入ったのに」
「ふたりで夜食って、ありじゃない」
「せっかくなのに」
「お酌しろって何よ」
「命令なんでしょ」
「飲ませて、酔わせればいいじゃない」
「覚悟して密着したのよ」
「心臓の音が聞こえましたぁー」
「嘘つき」
自棄食いは、勢いを失い、一口食べてはニヨニヨし、二口食べては身体をよじって、消化に良さそうな食べ方に変わっていた。
= = = = =
≪ドックン!ドックン!ドックン!≫
(あー、心臓の音がうるさいー)
≪ガチャッ タトタトタトタト・・・・≫
(・・・・行っちゃった?)
(隣りが静かになった)
(何、ハンガーの音? 着替えてる!?)
(いよいよなの? わたし、モノになっちゃうのぉ)
(あーん、どうしよう。
朝、噂になっちゃうよー)
(ど、どんなだろ)
(や、やっぱり、叩かれたりとか、言葉でいじめられたり?)
(・・・・?)
(・・・・さぁ、来い)
(・・・・アレ?)
(・・・・・)
(・・・・Zzz)
提督の一日が終わりました。
波乱の一日の終わりです。