ブラック鎮守府で我が世の春を   作:破図弄

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横流しで私腹を肥やす提督。

やることはやっています。

彼を応援してくださいね。


第11話 伝わらない想い

「まあいい、酌をしろ。

 そうだな、胸元は、はだけさせろよ。クヒヒ」

 

「・・・・」

「なんだぁ?

 命令が聞けんのかぁ?」

持っているグラスを投げつけようと振りかぶったが、グラスが勿体ないので止めた。

 

「すみません、よくわかりませんので」

間宮は、エプロンを脱ぎ、ブラウスのボタンをはずし、ブラが見えるように襟元を開いた。

 

「いいねぇ、これだよ、キヒヒ」

グラスに3杯目を注ぎ、間宮に差し向けた。

間宮は観念したのか、俺のところに寄って立ち尽くしていた。

 

「ぬうーん、どうした?

 ほらほらぁ。

 どうして、こんなやつに。

 いやだけど、逆らえない。

 こんな嫌な思いは、一生消えない。

 悔しい、死にたい。

 って、顔をみせてくれなくちゃあ、キシシ」

俺は、煽りながら、3杯目を呷った。

(駄洒落じゃないよ)

なぜか、心で説明をしておく必要性を感じた。

 

椅子を回して、正面を間宮の方に向ける。

(別に泣いて飛び出して行ってもいいんだけど)

次の瞬間、予想外のことに反応が遅れた。

 

「提督、当面の献立を立てました。

 今持って来ておりませんので、明朝、報告します」

間宮の報告は順当なものだった。

いきなり俺の膝に座って頭を胸に預けてきたことは、順当とは言えなかった。

 

間宮は、目の前にある俺の制服の金ボタンを手慰みにし、開いている方の手は、肘掛けに乗せた俺の手に重ねてきた。

 

「とんだビッチだな。クヒヒ」

俺は、表面的には平然を装いつつ、次の言葉を考えていた。

 

「嘘つき」

間宮、捨て台詞的な言葉を残して、いきなり立ち上がって部屋から飛び出していった。

 

やれやれ、艦娘も女だな。

何を考えているのか、さっぱりわからん。

「結局、何しに来たんだ?」

 

4杯目を呷ったところで、いい感じに眠くなってきた。

 

海軍ジャージに着替えて、制服をハンガーに吊るす。

(風呂に入り損ねたな)

 

ソファーに非常用に持ってきた寝袋を広げて、潜り込んだ。

 

灯りを落とした執務室の中で、クソが売り払った設備や什器の入手を考えてた。

リストを作って、業者が誰にするか、リサイクルショップに丸投げ・・・・Zzz

 

 = = = = =

 

食堂に二人分(・・・)の夜食を自棄(やけ)食いをしている艦娘影。

 

「もう! ふたりでしてるかもって思って、遠慮して入ったのに」

 

「ふたりで夜食って、ありじゃない」

 

「せっかくなのに」

 

「お酌しろって何よ」

 

「命令なんでしょ」

 

「飲ませて、酔わせればいいじゃない」

 

「覚悟して密着したのよ」

 

「心臓の音が聞こえましたぁー」

 

「嘘つき」

 

自棄食いは、勢いを失い、一口食べてはニヨニヨし、二口食べては身体をよじって、消化に良さそうな食べ方に変わっていた。

 

 = = = = =

 

≪ドックン!ドックン!ドックン!≫

(あー、心臓の音がうるさいー)

 

≪ガチャッ タトタトタトタト・・・・≫

 

(・・・・行っちゃった?)

 

(隣りが静かになった)

 

(何、ハンガーの音? 着替えてる!?)

 

(いよいよなの? わたし、モノになっちゃうのぉ)

 

(あーん、どうしよう。

 朝、噂になっちゃうよー)

 

(ど、どんなだろ)

 

(や、やっぱり、叩かれたりとか、言葉でいじめられたり?)

 

(・・・・?)

 

(・・・・さぁ、来い)

 

(・・・・アレ?)

 

(・・・・・)

 

(・・・・Zzz)

 

 




提督の一日が終わりました。

波乱の一日の終わりです。

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