ブラック鎮守府で我が世の春を   作:破図弄

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間宮に痣まで残した提督

彼の暴力は留まるところを知りません。

彼を応援してくださいね。


第13話 不用

「おい、眼鏡」

「・・・・」

 

「・・ビッチ」

「ビッチじゃありません!」

 

「眼鏡の自覚が出てきたな、結構、結構。

 ところでビッチ」

「てーとく、眼鏡でいいです」

 

「眼鏡、俺に指図するんじゃねぇ。

 解体すんぞ」

俺は、空手チョップを眼鏡にお見舞いする。

「へぅ」

眼鏡は頭をさすっている。

 

「スケベスカートで、話しが進まねえだろ」

「眼鏡でいいです」

「ヤレヤレ」

「うーーーーー」

揶揄い過ぎて眼鏡が唸りだした。

パワハラは愉快愉快。

 

「あのさー、お前も洗濯、行ってこい」

「でも、書類が」

俺は、中庭で洗濯大会が繰り広げられる予定は確認できている。

眼鏡が朝食を済ませて、執務室に戻った際に報告してきた。

 

「気象情報を信じれば、明日以降天気がくずれる。

 今のうちに洗濯してこい」

「書類の「部屋干し臭い女は、20m以内に近寄るのを禁止するぞ!」はい!行ってきます!」

眼鏡は執務室を飛び出していった。

 

「飯食って、早めに出発するか」

今日は、洗濯機をはじめ、物資調達に出かける予定がある。

交渉事が伴うし、時間に余裕を持つためにも繰り上げるのもありかと考えた。

 

 = = = = =

 

食堂は昨日と違って、大食いの人数が半分しかいなかった。

俺に気が付いた大食い(半艦隊)が睨んでくるが気にしない。

 

「間宮、熱湯くれ」

 

「提督、あの、すぐお食事の用意をしますね」

「はぁ?俺は、熱湯って言ったよな」

「あの、でも」

「逆らうの?解体して欲しい?」

 

「貴様! 間宮さんの好意を無下にするのか!」

俺と間宮のやり取りを見かねたのか、戦艦が語勢を強めてきた。

 

「戦艦さんよぉー、俺は熱湯を頼んだんだよ。

 それを聞き入れてくれないのに、好意って何よ。

 お前さぁ、人格者で慕われてるってわかるよ。

 でもよぉ、お前が必ず正しいって、押し付けて来るな」

「な!」

「長門さん、いいんです。

 提督、申し訳ありません。

 熱湯です」

間宮がヤカンを持っている。

 

「よしよし、じゃ、・・・・なんだ?」

俺は、間宮からヤカンを受けとり熱湯を注ごうとする。

ヤカンが動かない。

間宮が取っ手を掴んだまま放さない。

「間宮、蹴りでも入れてほしいの?

 ドMなの、Mビッチに目覚めたのか、キヒヒ」

意図が判らないので、軽口で探りを入れることにした。

食事をし、体力が戻った艦娘なら、生身の人間をひき肉にするのも容易(たやす)い。

 

「提督、せめて、お湯を注ぐくらいには、お役立てください。

 お願いします」

間宮は、半ば強引にカップに熱湯を注ぎ入れた。

 

俺は、間宮の真意を図りかねている。

艦娘たちに警戒しながら、カップ麺を食べ、食堂を後にした。

 

 = = = = =

 

提督が、カップ麺のスープまで飲み干し、カップをお湯で濯ぎ、箸を洗って食堂から出て行った。

無言のまま。

 

「間宮さん、申し訳ない」

「長門さんは、何も悪くありません」

 

「わたしは、もしかしたら、大きな勘違いをしているのかもしれない」

「・・・・長門さん」

「いや、忘れてくれ」

 

「・・・・お代わりのお鍋は、いりますよね?」

「ああ、消化が早くて、食べるのが追い付かないな」

長門は、苦笑いを間宮に投げた。

間宮は、少し悲しそうな笑顔だけで応えた。




なぜか複雑になる鎮守府

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