ブラック鎮守府で我が世の春を   作:破図弄

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臨時収入の糸口を見つけた提督。

先立つものは多ければ多いほど助かったりします。

彼を応援してくださいね。


第19話 のり弁の出会い

艦娘ショップを後にして、通りを散策する。

 

海軍の城下町らしく水兵たちの姿が目立つ。

久しぶりの上陸許可なのだろうか、若者たちがふざけ合っていた。

 

(ハメ外し過ぎるなよ、憲兵が目を光らせてるぞ)

 

小腹が空いたので、テイクアウトの店でのり弁を買った。

ノンアルコールビールをコンビニで買って海の見えるベンチに陣取った。

「弁当持参でコンビニで買い物か、我ながら、段取りが悪かったな」

 

ともあれ、まずはビールをプルトップを開栓して一口飲む。

内臓にシュワシュワが広がる感じが心地良い。

 

ベンチに誰かが腰かけた。

 

ベンチはほかにもあったが、わざわざここに座ったので、知り合いかと思った。

知らない娘だった。

俺のことには構わず、海を見ている。

(この場所がお気に入りなのか?)

 

邪魔しちゃ悪いと思って、隣のベンチに移動して、白身魚のフライを一齧り。

揚げたての衣がサクサクとして美味かった。

ここでビールを一口。

「クゥーーーッ。

 大人になった醍醐味だな」

 

「ナニヲ シテイル?」

気が付くとさっきの娘が、真横で俺を見ていた。

「お嬢さん、何か用かな」

「ソレ、ナニ?」

娘は、外国人だった。

白い肌にボリュームのある胸が印象的だった。

「これは、白身魚のフライ、って、わかるか?」

「ワカル。

 クロイノハ?」

「これは、ノリ。

 剥がすとこんなヤツ」

「フヌ、ニホンノボウ ツカウノ ジョーズ」

娘は、箸を指さす。

「箸は、日本人が使う食用具。

 慣れたら便利だぞ」

 

彼女は、のり弁を覗き込み、興味津々の様子。

「何か食ってみるか?」

「イイノカ?」

「日本海軍の友好の証だぞ。

 よく味わって貰えばいい」

「ソノ アザヤカナ キイロ」

「卵焼きな、そら、あーん」

「アーン、カプっ。

 ムクムク、ウン ヤワラカイ」

「じゃあ、次は・・・・

 

 = = = = =

 

外国人娘の餌付けは初めての経験だった。

彼女は、ニコニコしていたので、のり弁に満足したようだ。

 

「フライ齧っただけか」

ビールを飲み干す。

 

「オマエノ ナイ」

「気にしてくれるのか?」

「オイシカッタ。

 ホッシテイタ キモチ ワカル」

「じゃあ、今度何かで返してくれたら、それでいい」

「ワカッタ コンドカエス」

「君は、話すのが片言でも、日本語はしっかり理解しているんだな」

「ワタシ アタマ イイ」

 

「確かにそうだ。

 立派立派」

思わず頭を撫でてしまった。

彼女は目を細めてされるがままだった。

 

「おっと、そろそろ帰らないと心配してるんじゃないか?」

「ソレハ タダシイ ハンダンダ」

 

「じゃあな」

「マタ アオウ」

 

彼女は、走って行った。

夕方の雑踏の中に消えていった。

 

「なんとなく、また会いそうな気がする・・・・

 艦娘か?」

 

 = = = = =

 

俺は将校クラブのラウンジで新聞を読んでいる。

海軍報道係のまとめた戦況速報のページを何回も見てしまう。

 

神出鬼没の深海棲艦が次々に艦娘艦隊を撃破していく。

俺はその状況に恐怖した。

 

ショップに売りに行く服が、燃えちまったら元も子もない!

 

この後、俺はその場で正座させられた。

合気道女性中尉にショップから出てくるところを見られてた。

壮大な計画は隠し通せた。

しかし、そっちの趣味は人としてどうとか、父親(中将)に報告するとか窮地に追い込まれてしまった。

 

 




ここで新キャラですが、敢えて伏せています。

バレてるかな?

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