野望を達成するために頑張ります。
彼を応援してくださいね。
「いいですね。
いかがわしいところへの出入りは禁止ですよ」
「だから、誤解だって」
「嘘、艦娘ってかわいい子が多いもん」
「それは貴官には関係ないと思うのだが」
「関係ないことはないと思いますぅ」
やっぱり中尉は不機嫌だ。
彼女の周りには将来有望な将校が集められている。
それも親心だろう。
彼女の父君は中将、参謀本部次長を務めておられる。
と言っても、やはり人の親。
愛娘の将来を気にしているのは間違いなく、勤務も将校クラブになっている。
将校クラブなら、出会いがあっても、中将の目が届く。
婿入りすれば、出世はできるかもしれないが、頭が上がらないのは確実だろう。
「もう行かねえから、見逃してくれよぉ」
「どうしようかなぁ」
中尉の瞳が輝いたように見えた。
(マズい、何か企んでる。
先手を打つか)
「鎮守府が落ち着いたら、手料理をごちそうするわ」
「中佐の手料理!」
「ああ、金でどうにかなるものだと、俺が用意できるものは、たかが知れてるからな」
「えへへへ。
じゃあ、それで手を打ちましょう」
「助かる。
じゃあ、お前の営「鎮守府でお願いします!」」
「まあ、別に構わんが。
殺風景だぞ」
「いいんです。
提督の鎮守府ですからね!」
「何か、リクエストはあるか?」
「肉じゃ・・・・、やっぱり、カレーでお願いします」
「海軍伝統か。
まあ、手料理感は、微妙だが、リクエストだしな。
OK、あの時以来か」
「そうですよ。
薄情ですねぇ」
「そういうなよ、女子寮は、男子禁制だったんだからな。
親父さんから直接指示があったから、なんとかは入れたけど」
「あの後、大変だったんですよ。
青年将校が部屋まで入ったから、同期が【先に空母になるなんて羨ましい】とか」
「アハハ、女子も大変だな」
「営舎には、どうして来ないんですか?」
「先任順位で優先して入舎できる施設だからな、終了課程ギリギリの俺には、敷居が高いんだよ」
「今は、提督なんですよ。
一番早いんじゃないですか?」
「一番じゃないが、早い方だな。
でもな、兵学校の先任順位は変わらない。
今の鎮守府だから、任命されただけだ」
「中佐、わたし、軍人には拘らないよ。
中将は尊敬しているけど、軍人だけが偉い訳じゃないしぃ」
「残念だな。
俺は、その軍人の下の方だ」
「中佐は、わたしより偉いじゃないですか」
「いやいや、貴官には、正直頭が上がらんよ」
「あーあ、なんで軍人なんだろうな」
「自分で選んだんだろ?」
「・・・・」
「どうした、何か変なこと言ったか?」
「あー、もう、腹が立つーーー!」
「いててて。
ギブギブッギブーーーー!」
俺は、中尉に関節を決められ、床を叩いていた。
= = = = =
「あー、生地が裂けちゃった」
「吹雪ちゃん、替え持ってる?」
「これが最後。
ここは人が来ないから、我慢するしかないよね」
「でも、提督が変な気を起こしたら、大変っぽい」
「だ、大丈夫だよ。
見つからなきゃ」
「そ、そうだよね。
乾いたら、縫えばいいよね」
= = = = =
「最近は、凝った図柄があるんだな。
面白半分で買ったが、今度巾着でも作ってやるか」
一通り用事を済ませて、家路についた。
海沿いの道、我が鎮守府へ。
提督は、何かと面倒見てもらった中将に頭が上がりません。
そのおかげで、娘の中尉にも。
おまけに中尉は、合気道の技能教官だったりするので、勝ち目がありません。