ブラック鎮守府で我が世の春を   作:破図弄

20 / 111
提督は、軍組織の中では頭の上がらない相手がいます。

野望を達成するために頑張ります。

彼を応援してくださいね。



第20話 知人との約束

「いいですね。

 いかがわしいところへの出入りは禁止ですよ」

「だから、誤解だって」

「嘘、艦娘ってかわいい子が多いもん」

「それは貴官には関係ないと思うのだが」

「関係ないことはないと思いますぅ」

やっぱり中尉は不機嫌だ。

 

彼女の周りには将来有望な将校が集められている。

それも親心だろう。

彼女の父君は中将、参謀本部次長を務めておられる。

と言っても、やはり人の親。

愛娘の将来を気にしているのは間違いなく、勤務も将校クラブになっている。

 

将校クラブなら、出会いがあっても、中将の目が届く。

婿入りすれば、出世はできるかもしれないが、頭が上がらないのは確実だろう。

 

「もう行かねえから、見逃してくれよぉ」

「どうしようかなぁ」

中尉の瞳が輝いたように見えた。

(マズい、何か企んでる。

 先手を打つか)

「鎮守府が落ち着いたら、手料理をごちそうするわ」

「中佐の手料理!」

「ああ、金でどうにかなるものだと、俺が用意できるものは、たかが知れてるからな」

「えへへへ。

 じゃあ、それで手を打ちましょう」

「助かる。

 じゃあ、お前の営「鎮守府でお願いします!」」

「まあ、別に構わんが。

 殺風景だぞ」

「いいんです。

 提督の鎮守府ですからね!」

 

「何か、リクエストはあるか?」

「肉じゃ・・・・、やっぱり、カレーでお願いします」

「海軍伝統か。

 まあ、手料理感は、微妙だが、リクエストだしな。

 OK、あの時以来か」

「そうですよ。

 薄情ですねぇ」

 

「そういうなよ、女子寮は、男子禁制だったんだからな。

 親父さんから直接指示があったから、なんとかは入れたけど」

「あの後、大変だったんですよ。

 青年将校が部屋まで入ったから、同期が【先に空母になるなんて羨ましい】とか」

「アハハ、女子も大変だな」

 

「営舎には、どうして来ないんですか?」

「先任順位で優先して入舎できる施設だからな、終了課程ギリギリの俺には、敷居が高いんだよ」

「今は、提督なんですよ。

 一番早いんじゃないですか?」

「一番じゃないが、早い方だな。

 でもな、兵学校の先任順位は変わらない。

 今の鎮守府だから、任命されただけだ」

 

「中佐、わたし、軍人には拘らないよ。

 中将は尊敬しているけど、軍人だけが偉い訳じゃないしぃ」

「残念だな。

 俺は、その軍人の下の方だ」

「中佐は、わたしより偉いじゃないですか」

「いやいや、貴官には、正直頭が上がらんよ」

 

「あーあ、なんで軍人なんだろうな」

「自分で選んだんだろ?」

「・・・・」

「どうした、何か変なこと言ったか?」

 

「あー、もう、腹が立つーーー!」

「いててて。

 ギブギブッギブーーーー!」

俺は、中尉に関節を決められ、床を叩いていた。

 

 = = = = =

 

「あー、生地が裂けちゃった」

「吹雪ちゃん、替え持ってる?」

「これが最後。

 ここは人が来ないから、我慢するしかないよね」

「でも、提督が変な気を起こしたら、大変っぽい」

「だ、大丈夫だよ。

 見つからなきゃ」

「そ、そうだよね。

 乾いたら、縫えばいいよね」

 

 = = = = =

 

「最近は、凝った図柄があるんだな。

 面白半分で買ったが、今度巾着でも作ってやるか」

 

一通り用事を済ませて、家路についた。

海沿いの道、我が鎮守府へ。




提督は、何かと面倒見てもらった中将に頭が上がりません。

そのおかげで、娘の中尉にも。
おまけに中尉は、合気道の技能教官だったりするので、勝ち目がありません。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。