ブラック鎮守府で我が世の春を   作:破図弄

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どうにかやりくりをして、活動再開を目指す鎮守府。

彼を応援してくださいね。


第26話 中佐

社長たちを食堂に案内する。

 

廊下ですれ違う艦娘たちが敬礼をするので、軽い敬礼で返す。

 

「中佐の許でもここは海軍なんですね」

「いやぁ、しっくりこないというか不思議な感じですな」

 

「なんだよ、ふたりとも俺をなんだと思ってたんだよ?」

「本人には言えませんわ」

「僕も遠慮します」

「ひでぇな」

全く失礼な業者だ。

客の質が悪いんだろう。

あ、俺か。

 

「中佐だから聞きますけど、艦娘は怖くないですか?」

「こうポンと武器がでてくるんでしょ?」

「ああ、ひとたまりもない。

 外れたから生きてるが、撃たれたしな」

 

食堂の扉をくぐる。

 

「間宮、お客さんにコーヒー2つ」

 

入り口の脇のテーブルで眼鏡が寝ていた。

「午後、執務室に来ないと思ったら・・・・。

 後で揶揄(からか)っとくか」

 

眼鏡と反対側のテーブルが開いていたので、そこに座った。

大食いたちから離れていてちょうどいい。

 

社長たちを壁際に座らせ、食堂を見渡せるようにした。

「気に入った艦娘を持って帰るか?」

「お! ブラック」

「うんうん、ブラックですな」

「だろ。こういうのを狙ってたんだ、クヒヒ」

背中に大食いたちの視線が刺さるのが判った。

 

携帯が鳴る。

「ちょっと、失礼」

席を立ち、廊下に出る前に眼鏡の頭にチョップを入れてから出た。

 

間宮が、コーヒーを3つ(・・)テーブルのところに運んできた。

「お待たせしました」

「「ありがとう」」

≪コトッ、コトッ、コトッ≫

ソーサーの上には、フレッシュとスティックシュガーが置いてある。

「えーと、間宮さんでいいのかな?」

「・・はい」

「気を悪くしないで欲しい。

 僕たちは、ほかの鎮守府にも出入りしているんでね。

 他の間宮(・・)さんにも会っているんだよ」

 

「中佐、提督は悪い人だろ?」

「そうそう、極悪人くらいかな?」

「・・・・何をおっしゃりたいのか、わかりません」

「言葉そのままさ」

「困った人ってこと」

2人は、提督の悪口を嬉しそうに話していた。

 

「なんだよ、また(・・)俺の悪口かぁ?」

提督が電話が終わって戻ってきた。

「あ、まずいことを聞かれた」

「隠してたのに」

「間宮、コーヒー下げていいぞ」

3人は、楽しそうに会話をする。

間宮は丸トレーを抱えて、その様子を見ていた。

 

そのあと、俺は業者二人から、最近の鎮守府の情報を聞いた。

大本営に上がってくる着任直前までの情報は、数字だけ。

なので、戦術的な内容が含まれていなかった。

時々メモを取り、聞きかたを変えて質問する。

 

「強力な化物は、1匹だけかもしれないか」

「何体かがローテーションしているかもしれませんよ」

「遭遇した艦隊が壊滅してしまうんで、まだ、遭遇2回目の鎮守府はないですわ」

 

 = = = = =

 

「悪かったね、得にならないことまで」

「中佐の仕事でしたら、いつでも受けますよ」

「長い付き合いですからね。

 今後ともごひいきに」

 

「眼鏡、玄関で見送るぞ」

「・・・・」

「仕事さぼりやがって」

「ハヒィーーー」

 

「やっぱり中佐だ」

「提督になっても中佐だ」

 

 = = = = =

 

俺は、玄関で眼鏡と一緒に社長たちを見送る。

「雨も弱くなってきたから、一安心」

 

「提督、明後日には、すべて納品しますから」

「あんまり艦娘をイジメたらあきませんよ」

「逆らうのは、解体するからいいの、な、眼鏡」

『ヒィーーーー』

 

 = = = = =

 

間宮は思い出していた。

「他の間宮にも会っている・・・・か。

 【提督も】ってことよね」

その言葉の意味が、この時点ではまだ解らなかった。




シャッチョサンのお持ち帰りはありませんでした。

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