ブラック鎮守府で我が世の春を   作:破図弄

29 / 111
女心は解らない提督。

彼の野望と向きが同じはずですが。

彼を応援してくださいね。


第29話 3日目が多い

スモークチーズを肴にウイスキーを嗜んでいた。

 

眼鏡が出て行ったあと、床にモップを掛けてすっきりした。

 

今から、土足禁止にする。

スリッパを入り口に置いておいた。

 

来客の頻度はどうなんだろう。

スリッパの数は足りるだろうか?

 

そんなどうでもいいことに気が向くのは、余裕ができたおかげだな。

 

≪コンコン≫

「入れ」

 

「失礼します」

駆逐艦が入ってきた。

 

「おう、どうした?」

「あ、お酒」

「なんだ、お前も飲むか?」

「え!・・・・」

「冗談だ。

 子供が飲むもんじゃない」

「わたし、そんなに子供じゃありません!」

「クヒヒ、ムキになるのが、子供なんだよ」

「むーーーー」

この駆逐艦は、俺の周りにいなかったタイプだ。

 

「で?文句があるんだったら、解体するぞ」

「ち、違います!」

「じゃあ、何だ」

「あ、あの。

 ・・・・あの、・・・・すー。

 スカート大事にします!失礼します!」

≪バタンッ≫

スカートを繕ってやった駆逐艦は、勢いよく飛び出していった。

「廊下を走るんじゃないぞぉ」

 

≪コンコン≫

(忘れものか?)

「入れ」

「失礼します」

「なんだ眼鏡か」

「お言葉ですが、扱いがぞんざいじゃないですか?」

「そうか。

 じゃあ、念入りに扱ってやるぞ、キヒヒ」

「ヒッ!」

胸の前で腕を交差させ、身をよじる眼鏡。

(コイツ、起きてるときは、ほんとに弄りがいがあるな)

 

≪コンコン≫

(誰?)

「入れ」

「失礼する」

戦艦だ。

「要件は?」

「特にない。

 貴様の気が向けば、好きにするといい」

「・・・・はい?」

 

≪コンコン≫

(なんなんだ、いったい)

「入れ」

「失礼します」

「「間宮さん」」

間宮だ。

 

「なんだ?」

「あ、あの・・」

間宮は、戦艦と眼鏡に意識を向けた。

 

「気にするな。

 別に俺が呼んだわけじゃない。

 で、お前の要件はなんだ?」

なぜか戦艦と眼鏡の視線が刺々しくなったような錯覚がする。

 

「あ、あの、おつまみを作ってみました。

 材料は、あ、あまりものです。

 けど、捨てるのも勿体ないし、わたしが(まかな)いで、食べる定番なんです。

 ちょっと多いなって、提督とご一緒させていただいたらなぁって思って。

 あ、自分の分のお酒はあるんですよ。

 ですから、その、良かったら」

間宮の説明は、言い訳そのものだった。

ツッコミどころが多々あるが、何を企んでいるのやら。

 

「そうか、じゃあ、貰おうか。

 そうだな、戦艦、眼鏡、お前たちもどうだ?」

「あ、あの」

間宮は戸惑いだした。

「どうした?仲間が一緒だと何か都合が悪いのか」

やっぱり何か企んでいるのか?

 

「提督、お時間ください。

 長門さんが加わるなら、量が足りませんから」

間宮の答えはいたって順当なものだった。

「な、わたしは、そんないやしんぼじゃないぞ」

「まあ、柄杓で飯を食うからな」

「アレは貴様の指示だろう」

戦艦が真っ赤になった。

 

今更恥ずかしがることもないだろ。

さんざん俺を睨んでいたくせに。

 

 = = = = =

 

間宮が追加のおつまみを作ってきた。

俺、間宮、戦艦、眼鏡の4人という妙な面子で酒盛りが始まった。

 

眼鏡がうるさいので、仕方なく狭い私室のほうに場所を移した。

 

野菜の皮のきんぴら、キャベツの芯の浅漬け、炒ったかぼちゃの種、俺の缶詰。

 

間宮の味付けは、絶品だった。

 

おまけに艦娘は燃料を摂取することもできるだけあって、たいして酔いもせず、ウイスキーの瓶が空になった。

 




さあ、酒盛りが始まってしまいました。

艦娘がどんな酔い方をするでしょうか?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。