ブラック鎮守府で我が世の春を   作:破図弄

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酒盛りが始まりました。

このまま、酔わせれば、提督の野望に一歩近づくかも。

彼を応援してくださいね。


第30話 お酒は大人になってから

「うん、うまい酒だ」

「とっておきなんですよ」

「どこにあったんですか」

戦艦は酒を褒め、間宮は自慢し、眼鏡は出所を尋ねた。

 

俺は、酔いつぶれる直前だった。

今、かろうじて意識があるが、明日の朝は、記憶が飛んでいると思う。

 

「てーとくは意地悪れす」

「そうだろ。

 俺はブラックだからな」

 

「貴様は艦娘をどょう思っているんだ」

「俺の欲望の捌け口だぞ、クヒヒ」

 

「どうして可愛がってくれないんでしゅ」

「うーん、ビッチは何をしてほしいんだー」

 

 = = = = =

 

息苦しさに目が覚めた。

意識が飛んで畳の上でそのまま寝ていた。

私室には、一段高く、下に収納スペースがある畳床がある。

 

外はまだ暗い。

窓から星が見える。

 

うん?

何やら弾力のあるものが、身体の上にのしかかってきている。

 

「うん、どうした、起きたのか?」

「せ、戦艦。

 お前がどうして俺の頭を抱えているんだ」

「仕方ないだろ。

 間宮と大淀が、お前の両脇に居るんだから」

「え゛」

 

その言葉はにわかに信じがたかったが、両腕が全く動かないことではっきりした。

 

酒臭い。

彼女らは、酒を飲むこと自体は、人間よりはるかに分解する能力が高い。

しかし、酔うことに関しては、人間と変わりなかった。

 

おまけに酒癖が悪いというか、このまま捻られでもしたら、骨ごと捻じ切られてしまうことさえありそうだ。

まずは、身体から引き離そう。

 

「戦艦、もう部屋に戻ったらどうだ?」

「ダーメ。

 わたしがいなくなったら、このふたりに手を出すつもりだろう。

 そうはいかない」

「そうだな、心配は解った。

 じゃあ、このふたりを部屋に連れて行ってもらえないか」

「イーヤ。

 可愛い子を起こすのは、不本意だから、拒否する」

「このままだと、風邪をひくかもしれないから」

「う、それは正論だな」

「じゃあ」

「うん、じゃあ布団をかぶろう」

戦艦は、掛け布団をまとって、覆いかぶさってきた。

 

「これなら寒くないだろう」

「いやいや、これは解決になっていないぞ」

「うるさい。

 知っているぞ。

 貴様、さっきから、ここに凶器を準備して、機会をうかがっているだろう」

戦艦は酔っている。

それもいい酔い方じゃないと心のどこかで警鐘が鳴っていた。

 

「提督、間宮さんのことをイジメないでくれ、カワイソーなのー」

戦艦は泣き出した。

おいおい泣き上戸かよ。

 

「提督、ありがとうございます」

「あ、間宮、起きたか。

 風邪を引く前に部屋に戻れ」

「・・・・はい」

間宮はモソモソと布団から出る。

「きゃぁぁ、こんなに寒いなんて、死んでしましますぅ」

わざとらしい小芝居のあと、布団に潜り込んでくる。

「提督、凍え死んでしまいます。

 温めてくださいね」

コイツも酔ってやがる。

腕に纏わりつく上に身体を擦りつけてくる。

 

「てーとく、何をしてやがりゅんです」

ダメだ、呂律も回っちゃいない。

「悪い手は、わたしの脚で挟んでメッってします」

眼鏡は手を太腿で挟みやがる。

 

「貴様、ふたりに何をしている。

 そんなヤツは折檻だ」

戦艦が頭から布団に潜り込んできた。

「「わたしも」」

 

「お、重い」

3人がのしかかってくるとさすがに重い。

 

「「「重くなーい!」」」

 

「あ、敵戦艦の主砲発見!」

戦艦が言ってはダメなこと口走った。

「・・・・」

「・・・・」

 

「「「提督?」」」

3人の重さで息が吸えなくなっていた俺は、その言葉が聞こえたあたりで意識を手放していた。




酔った勢いでしょうか、それとも酔わなくても?

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