ブラック鎮守府で我が世の春を   作:破図弄

33 / 111
ようやく業務が追い付き一息つけた提督

まだまだ懸案事項はありますが、
野望に向かって突き進みます。

彼を応援してくださいね。


第33話 弄られ放置

昼食を終え、眼鏡が執務室にやってきた。

 

「ただいま戻りました」

「午後は、仕事がないから、好きにしろ」

眼鏡の入室で昼休みが終わったことを知る。

と同時に眼鏡の仕事がないことを告げる。

応接セットのテーブルに広げられた裁縫道具を片付ける。

それを見ていた眼鏡が一言。

「てーとく、お食事は?」

 

定期補給品が届いていない今は、自主的に食事制限をしている。

 

大食いたちへの支給を制限している以上、責任者が補給品に手を出すのは妥当ではない。

 

町に行ったとき、買っておくのを忘れたので、もう缶詰しか残っていない。

 

「まあ、適当にな」

やせ我慢がバレないように平静を装い、受け流す。

眼鏡は何かを考えていた。

 

「あの・・わたし、てーとくのことが嫌いです」

「お! 言うねぇ。

 で、俺に何をさせたいんだ?」

「そうやって、すぐに考えていることが判るから嫌いです」

「うーん、それは、お前が単純だからだろ」

「うーーーーー」

唸る眼鏡。

コイツと言い、生巡といい、巡洋艦は、弄り甲斐のあるヤツがいて面白い。

 

「おい、眼鏡。

 パンツ脱いでこっちに来い」

「にゃっ!」

一瞬で耳まで真っ赤になる眼鏡。

単に揶揄っただけ。

表情は作っていないし、口調も普通。

のはずだった。

 

「あ、あの。

 誰かが来ると恥ずかしいので、てーとくのお部屋じゃダメですか」

俯いて震える眼鏡。

予想外の反応だった。

「ほー。

 えらく素直だな、何か企んでいるのか?」

「い、いえ!

 企むなんて、その、逆らったりしたら、解体されますから」

眼鏡の答えは、一応筋が通っていた。

丸2日は、眼鏡を弄ってきたから。教育ができているかもしれない。

 

「なかなかいい心がけだ。

 俺の部屋の布団に入って待っとけ」

「・・・・はい」

 

 = = = = =

 

「そろそろ、第一便が届く頃だな」

屋上でリトルシガーをふかしながら、鎮守府に繋がる道を眺めている。

 

私室で待っているだろう眼鏡は、放置している。

放置プレイもいいだろう。

まだ風呂に入れないから、うかつなことをすると(にお)う。

知っている人間には、すぐにバレるから、おいそれとはできないのが現実の話。

 

「そういえば、中尉が准尉になりたてで再会したとき、いきなり関節技を決められたっけ」

当時、同僚と大人の付き合いがあった時期で、彼女の部屋から出勤したときバレたんだな。

 

遠くて車種は判らないが、トラックが走っているのが見えた。

品物を載せたトラックだろう。

 

もう1本は吸えそうだな。

 

 = = = = =

 

「早いね、結構結構」

「ありがとうございます。

 仮納品書です」

運転手は、知っている人間だった。

若旦那だった。

次期社長になるため修行中。

 

「体育館に降ろしてくれるかな」

「はい。

 トラックを回します」

彼が働き始めた時から、俺と付き合いがある。

弟分と言えるかもしれない。

見どころがあると思ってたら、俺より早くに所帯持ちだ。

 

「中佐、おっと提督」

「変に気を使うなよ。

 どっちも間違っちゃいないからな」

「判りました。

 で、ハウスの子、みんな待ってますよ。

 最近、来ないのは、誰かが悪い子だからじゃないかって心配してましたよ」

「ありがとう。

 筋と桜の数が増えると面倒ごとも増えて、困るわ」

リストをチェックしながら、世間話に花が咲く。

 

 = = = = =

 

「Zzz、やめて、こんなのって、ウフ、Zzz」

 




伏線ではないのですが、提督のプライベートの話があります。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。