まだまだ懸案事項はありますが、
野望に向かって突き進みます。
彼を応援してくださいね。
昼食を終え、眼鏡が執務室にやってきた。
「ただいま戻りました」
「午後は、仕事がないから、好きにしろ」
眼鏡の入室で昼休みが終わったことを知る。
と同時に眼鏡の仕事がないことを告げる。
応接セットのテーブルに広げられた裁縫道具を片付ける。
それを見ていた眼鏡が一言。
「てーとく、お食事は?」
定期補給品が届いていない今は、自主的に食事制限をしている。
大食いたちへの支給を制限している以上、責任者が補給品に手を出すのは妥当ではない。
町に行ったとき、買っておくのを忘れたので、もう缶詰しか残っていない。
「まあ、適当にな」
やせ我慢がバレないように平静を装い、受け流す。
眼鏡は何かを考えていた。
「あの・・わたし、てーとくのことが嫌いです」
「お! 言うねぇ。
で、俺に何をさせたいんだ?」
「そうやって、すぐに考えていることが判るから嫌いです」
「うーん、それは、お前が単純だからだろ」
「うーーーーー」
唸る眼鏡。
コイツと言い、生巡といい、巡洋艦は、弄り甲斐のあるヤツがいて面白い。
「おい、眼鏡。
パンツ脱いでこっちに来い」
「にゃっ!」
一瞬で耳まで真っ赤になる眼鏡。
単に揶揄っただけ。
表情は作っていないし、口調も普通。
のはずだった。
「あ、あの。
誰かが来ると恥ずかしいので、てーとくのお部屋じゃダメですか」
俯いて震える眼鏡。
予想外の反応だった。
「ほー。
えらく素直だな、何か企んでいるのか?」
「い、いえ!
企むなんて、その、逆らったりしたら、解体されますから」
眼鏡の答えは、一応筋が通っていた。
丸2日は、眼鏡を弄ってきたから。教育ができているかもしれない。
「なかなかいい心がけだ。
俺の部屋の布団に入って待っとけ」
「・・・・はい」
= = = = =
「そろそろ、第一便が届く頃だな」
屋上でリトルシガーをふかしながら、鎮守府に繋がる道を眺めている。
私室で待っているだろう眼鏡は、放置している。
放置プレイもいいだろう。
まだ風呂に入れないから、うかつなことをすると
知っている人間には、すぐにバレるから、おいそれとはできないのが現実の話。
「そういえば、中尉が准尉になりたてで再会したとき、いきなり関節技を決められたっけ」
当時、同僚と大人の付き合いがあった時期で、彼女の部屋から出勤したときバレたんだな。
遠くて車種は判らないが、トラックが走っているのが見えた。
品物を載せたトラックだろう。
もう1本は吸えそうだな。
= = = = =
「早いね、結構結構」
「ありがとうございます。
仮納品書です」
運転手は、知っている人間だった。
若旦那だった。
次期社長になるため修行中。
「体育館に降ろしてくれるかな」
「はい。
トラックを回します」
彼が働き始めた時から、俺と付き合いがある。
弟分と言えるかもしれない。
見どころがあると思ってたら、俺より早くに所帯持ちだ。
「中佐、おっと提督」
「変に気を使うなよ。
どっちも間違っちゃいないからな」
「判りました。
で、ハウスの子、みんな待ってますよ。
最近、来ないのは、誰かが悪い子だからじゃないかって心配してましたよ」
「ありがとう。
筋と桜の数が増えると面倒ごとも増えて、困るわ」
リストをチェックしながら、世間話に花が咲く。
= = = = =
「Zzz、やめて、こんなのって、ウフ、Zzz」
伏線ではないのですが、提督のプライベートの話があります。