早速反逆でしょうか。
彼を応援してくださいね。
「てーとくは、この鎮守府の支配者なんですよ」
「そうだ。
で、お前が俺に指図してんだよ」
眼鏡の口調は、わかりやすかった。
俺がある状態だったとき、周りから叱咤されたときのそれ。
「ここに来てから、3食しか食べていないじゃないですか」
「晩飯はここで食ってるだろ」
「お食事の量が全然足りていないじゃないですか!
このままじゃ、わたしたちより弱ってしまいます」
「いいじゃねぇか。
お前らには好都合だろ」
「やっぱり、わたしはてーとくが嫌いです!
失礼します!」
眼鏡は、執務室を飛び出していった。
「うーん、まずいなぁ。
懐かれ始めたか?」
= = = = =
「大淀さん、どうしたの?顔色が悪いですよ。
お粥にしますか?」
「そ、そうですね。
お粥がいいかも」
「じゃあ、作り「長門さんたちとご一緒します」・・・・はい」
「大淀、大丈夫か?」
「長門さん、ありがとうございます」
= = = = =
「あらあら、若旦那。
お久しぶりです」
とある施設の玄関先で、若旦那をご婦人が出迎えていた。
「すみません、零細企業は休みなしですから」
「奥様に来ていただいて、助かっておりますから」
若旦那は、寄り道をしていた。
「中佐がよろしくと」
「ありがとうございます。
あの方には感謝しきれません。
子供たちも待っていますから」
「はい、気にかけておいででした。
ほんと、自分ではブラックと自称しているというのに」
「うふふ、お言葉を借りれば【騙されているんだ】ですってね」
2人の表情は、共通の知り合いの話題ということで穏やかだった。
= = = = =
「風呂をどうするかなぁ」
思わずひとりごちていた。
普通は、時間割りにしておけば使える。
ただ、それをすると遠征やら、大破した連中の入渠の妨げになる。
「鎮守府の運用効率と損耗率を落とすわけにはいかんしなぁ」
そう、効率重視でなければ、評価が悪くなる。
裏ルートを確保すれば、評価を維持できるが、それを追い詰めるヤツが居た。
俺だ。
手塩にかけた弟子もいる。
自分の首を絞めている。
「間抜けだなぁ」
ショットグラスにウイスキーを注ぐ。
軽く呷る。
「せっかくブラックを自称しているのにな。
第3者の評価が絡むと意外と難しいか。
俺は、存外、知恵が回らない、はぁ、ダメだなぁ」
俺は、努力は惜しまない人間だと思う。
だが、思い通りにならないことがある。
たぶん基本的に頭が悪い。
だから、悪知恵が幼稚なレベルで限界を迎える。
俺が隠し事をすると必ず見破られてしまう。
中尉、眼鏡、たぶん間宮
ああーーーー、接触のあった関係者全部じゃねえか。
駆逐艦も懐いてくるし、あの軍艦も気づいているかも。
「くっそー、俺はブラックなんだぞ。
根っからの悪人なんだぞ。
・・・・そっか、見事に騙されているってわけだ、アハハハ、はぁー」
俺の笑いは、一瞬で勢いを失い、弱いものになった。
= = = = =
「間宮さん、お代わりを」
赤城さんの当たり前のような言葉。
大食いさんたちと一緒にお粥を食べているつもりだった。
違う。
レベルが違う。
彼女たちの食事の様を見ていると食欲がなくなっていく。
見ているだけでおなか一杯。
なんとなくわかった。
てーとくがこの状況を設定したのは、補給の状況を考慮したからだ。
判っていなかった自分が情けなかった。
感じていた違和感は、これだったんだ。
わたしはどうしたいんだろう。
種明かしでしょうか?