他の間宮と初めて出合った間宮。
彼を応援してくださいね。
「本日のご用は何でしょうか?」
爽やかさが眩しいイケメン提督。
相対的に俺の黒さが目立ってくる。
「これまで哨戒を代行いただいて感謝しています。
実はささやかですが、砂糖を40キロを持参しました」
「砂糖ですか、それは助かります。
甘いものは、
さすがイケメン提督。
艦娘たちへの配慮に余裕があり過ぎる。
「准将のご配慮、小官も見習いたい。
どうでしょうか、もう10キロ」
「この時期、どこも砂糖は貴重品。
ウチにそんなに回してもらうわけには」
「たまたま物資がだぶついたので、所帯の大きいところで使っていただく方が良いでしょう」
嘘を言う時に俺の舌は、数枚になっているのだろう。
滞ることなくよく回る。
「提督、ちょっと早いが、昼食は、いかがですか。
ウチの間宮の腕は、ちょっとしたものですよ。
おっと、そちらの間宮さんと比べるつもりはありませんよ」
「お言葉に甘えます。
准将、階級でお願いいたします。
日が浅いので、提督と呼ばれるとむず痒いものです」
飯を勧めてくれたので、快諾する。
中尉が脇腹をつついてくる。
「中尉は、どうされます?」
「中佐、隣の席は?」
「貴官の指定席ですよ」
第三者がいると中尉とのやり取りはやりづらい。
「ほー、噂も当てになりませんね」
「准将、それはどんな噂でしょう?」
イケメン提督の言葉に中尉が少しムッとする。
「失礼を承知で申しますと【男嫌い】と」
「フフフ、そうですよ。
小官は男嫌いです」
鈍感な水兵がいても気づくだろうあからさまな腹の探り合い。
= = = = =
食堂の隣にある瀟洒な部屋に通された。
元帥の鞄持ちをしていたころ、地区拠点の鎮守府で見かけた記憶があった。
要人をもてなす来賓席スペースだ。
俺が中佐だから、中尉が居るからだろう。
「准将、ウチの艦娘たちも食事をさせたいんですが」
「彼女たちは、食堂で好きなものを
イケメン提督の意外な言葉。
(こいつ、人間と艦娘を区別してやがる)
「ねえねえ、大淀、間宮、わたしと一緒に
男前だ。
この娘、昔からそうだ。
中将にまっすぐに育てられた。
ある出来事でなおさら、彼女はまっすぐに育った。
俺には眩しい存在。
「わたしは中尉ですから。
中将と違いますので、特別扱いは無用です」
「・・お嬢さまが、そうおっしゃるなら」
= = = = =
「A定食4つです」
にっこりとここの間宮がカウンターに並べてくれた。
「旨そうだ」
「こういうのって鎮守府ごとにおいしいですよねぇ」
中尉が相槌を打ってくる。
「「・・・・」」
ウチのふたりは、緊張していた。
イケメン提督の表情は微妙だった。
気のせいか、秘書艦が寂しそうにしている。
「提督、定食です」
「ありがとう。
うん、旨そうだ」
トレーを受け取るイケメン提督。
≪≪いただきまーす≫≫
まだ混雑する前の食堂の一角で食事を始める。
提督の傍らに秘書艦が控えていた。
彼女は、後で食事を
「ここは設備が充実していて、維持管理が大変でしょうね」
つい社交辞令を口にしてしまう。
「いえいえ、みんなが手伝ってくれるおかげでなんとか維持できてます」
中尉が距離を置いている相手は、
その手の人種は、
食事は普通に美味かったが、会話は盛り上がらなかった。
= = = = =
「ごちそうさまでした」
「中佐、おいしかったね」
「ああ、間宮は、どこでも一流だからな」
中尉は、俺の気持ちを知っている。
情報部に居た頃が懐かしい。
あの時は人に気を使う必要がなかった。
それが懐かしい。
「准将、そのうち演習をお願いしたい」
「いいですよ。
ウチの艦娘たちは手ごわいですよ」
「存じています。
お手柔らかに」
交わした握手は、出合った時と微妙に異なっていた。
こっちの間宮は、面識がありませんでした。