彼の野望は達成できるでしょうか?
彼を応援してくださいね。
「そこのお前」
俺は目についた駆逐艦を呼びつけた。
食堂に居る連中は、戦艦、空母を除いて一通り行き渡った。
そいつはどうにか歩けるようだ。
「ちょっとこい」
『なんでしょう?』
「食堂に居ないやつもいるだろ」
『はい』
「じゃあ、お前。・・お前とお前」
≪はい≫
「これ飲んで、そいつらを連れてこい」
俺は2杯目の粥カレー汁を駆逐艦に飲ませ残りを順次連れてこさせることにした。
「早く食って行ってこい。
仲間じゃねえのかよ。
グズめ」
駆逐艦たちがビクビクしながら、2杯目を啜り終わると仲間を迎えに行った。
あの廊下の奴も連れてこられるだろう。
「あの」
間宮が話し掛けてきた。
「なんだ?」
「長門さんたちのお食事はいつに」
「ねぇよ、そんなもん」
「え!」
「背嚢に入ってた分しかねえよ」
「じゃあ」
「なし。
出撃もしなくていいってことで話はついてるからな」
「・・・・」
「今まで耐えたんだ。大丈夫だろ。キヒヒ」
思いつめたように駆逐艦が戦艦の方に駆け寄るのが見えた。
「おい、止まれ」
俺が静かに言うと駆逐艦がその場で凍り付いたように止まった。
「命令していないことをするな」
「わたしはいい。
食べなさい」
「長門さん」
戦艦は優しく駆逐艦に言い聞かせた。
「そうそう。
大食いどもは、我慢しとけよ」
食堂に居る艦娘全員が俺に殺意を向けてくる。
(おーおー、戦艦慕われてるねぇ
でも、俺が提督だからな)
「逆らってもいいけど、解体ね、ウヒ」
俺はこみあげてくる笑いを抑えられなかった。
こいつらは、俺のモノ。
食堂の窓からクルマのエンジン音が聞こえてきた。
「お!来たな」
睨みつける艦娘たちを尻目に俺は音源を迎えに行く。
= = = = =
「悪いね。
こんな辺鄙なところまで来てもらって」
「いいですよ。
提督になったのは本当だったんですね。
おめでとうございます」
「ありがとさん。
いやー、日頃の努力の結果だよ」
「ウチも物資を分けてもらったおかげで助かっております」
「いいって、いいって。
このご時世、軍にしかないものがあるからね。
困ったときは、また相談に乗るからさ」
= = = = =
「間宮、食料がついたから、駆逐艦には3倍に薄めたカレー汁と粥な。
大食いたちには10倍の粥を飽きるほど食わしとけ」
「・・・・はい」
「おい、お前とお前」
「「・・はい」」
「お前ら、宿舎が締め切ったままだろ。
窓と扉、全部開けてこい」
「「・・・・はぃ」」
駆逐艦たちはトボトボと歩き始めた。
「ちょっと待て」
「なんでしょう」
ひとりが返事をして振り向いた。
「特配だ。好きな時に食え」
俺がキャラメルを2箱投げ渡すと駆逐艦たちは唖然としていた。
「いいかお前ら、おとなしく俺の言うこと聞けば、優遇してやる、クキキ」
食堂を見回すと間宮が何か言いたそうに見ていやがった。
これは見過ごすと調子に乗るかもしれない。
俺は、間宮が立っている厨房の中に入り、彼女の顔を壁に押し付けながら蹴りを入れる。
「なんか言いたいことがあるんなら言っていいぞ。
俺の気に食わないことなら即解体だけどな、クキキ」
「何もありません」
間宮もおとなしくなった。
いい感じ、いい感じ。
戦艦と空母たちはようやく薄い粥にありつけそうです。