何か因縁でもあるのでしょうか?
彼を応援してくださいね。
「オーライ、オーライ、ハーイ、ストップ!」
ちょうど駐車場に居合わせた駆逐艦の誘導で駐車場にクルマを停める。
「ようこそ、いらっしゃいました。
えーと、提督になられたんですね」
わざわざ運転席に寄ってくる駆逐艦。
艦娘は、基本的に人懐っこいのが多い。
中には生巡みたいのはいるが、人見知りの裏返しだったりする。
「おー、ご苦労、ご苦労。
しかし、無防備すぎるのは、いただけないな」
俺は、軍用車から降りて、懐かしい顔に話しかける。
「はぁ?」
駆逐艦は、俺の言葉にきょとんとしていた。
「こういうことだよっ!」
俺は艦娘をひょいと肩に担ぎあげてみる。
「きゃーーー!」
叫び声をあげる駆逐艦。
セクハラ男に担がれたことに叫んだのでなく、スカートが捲れて丸出しになったからだった。
≪何!どうかしたの!≫
叫び声を聞いて、周りに
「あーーー! セクハラ少佐だ、中佐になったんだっけ?」
「誰か憲兵さんを呼んできて」
「撃っちゃえ撃っちゃえ」
「だめだよ!吹雪ちゃんに当たっちゃうよ!」
人数が増えた分だけ、騒ぎが大きくなってくる。
「ま、間宮さん、早く逃げないと」
「・・・・間宮さん、ですよ・・ね」
間宮がいるのに気が付いた艦娘たちは、途中から違和感を感じたようだ。
「わたしは、ここの給糧艦じゃないですよ」
穏やかに微笑みながら、間宮が言った。
「で、でも、早く逃げてください。
コイツってば、酷い男なんだから!」
ここの眼鏡が言い切った。
「そ、そう思いますか!」
意外にもウチの眼鏡が同調した。
「中佐、誤解、解かなかったの?」
「貴官、俺がそんなめんどくさいことをすると思うか?
それに誤解じゃねえから」
俺の言葉を聞いて、中尉は呆れ顔でこめかみに指をあてた。
「何の騒ぎだ?」
「提督!たらし野郎です!」
「たらし野郎?」
壮年らしい落ち着いた声にここの眼鏡が答えていた。
「小官ですよ、たぶん」
俺は、答えながら、駆逐艦を肩から降ろす。
「おぉー、貴様か!」
「お久しぶりです」
俺は軽く敬礼をした後に声の主に右手を差し出す。
≪パシッ≫
俺は、飛んできた拳を手のひらで受け止めた。
「貴様、よく顔が出せたな」
壮年男性がにやりと笑う。
「恩着せがましいのが、俺の性分ですからね」
「そうよ、そうよ、あんな思いをさせてくれたのに。
この偽善者!わたしの心を返し・・・・」
言葉の途中で口を押えたここの眼鏡が走り去っていった。
「なかなか、状況は厳しいぞ。
アハハハ」
「潜入している間は、先任提督の腰ぎんちゃくとして手あたり次第でしたからね、キヒヒ」
「被害艦たちを呼びに行かせる。
貴様は、執務室の方に来い」
提督は駆逐艦に短く指示を出し、ついてこいと首をくいっとした。
「はい、お邪魔します」
俺たちは、提督に誘われて歩き出す。
「ところで、今日は何の用だ」
「哨戒のお礼に上がりました」
早速用件を聞かれたので、俺は正直に答えた。
「なんだ、気持ち悪いな」
「下心があるのは承知で受け取ってください」
提督の手厳しい言葉は慣れてるが、ここは押し通す。
「実際、ウチはまだ十全稼働できないんで感謝してるんですよ」
「貴官のそういうところは、律儀だな」
「人間にはね」
「中佐は嘘が下手過ぎだよ」
中尉が提督との会話に割り込んできた。
「嘘じゃねえよ。
艦娘たちへの態度で判るだろ?
後ろのふたりに聞いてみろよ」
「へぇー、いいのかなぁ?」
中尉は、ニヤニヤしながら、ついてきている間宮と眼鏡の方を見た。
目を合わせないようにするふたり。
「ほらね?」
「何が【ほらね】だよ。
酷い目に遭うのを嫌がって、証言を拒否してるだろ」
「ふーん。
そうなんだ、ニヒヒ」
中尉は、なんとなく嬉しそうに笑った。
執務室に招き入れられた。
質実剛健といった執務室。
先任の時とは、趣が変わっていた。
「思い切った模様替えをしたんですね」
世間話の延長で、内装の感想を言ってみた。
「まあな。
前のままだと思い出す艦娘もいるだろう。
聞いたところじゃ、概ね貴様がやらかしたことみたいだがな」
「キヒヒ、まあ、そうでしょうね」
「ったく。
重罪人だな。
立ち話もなんだ、座って寛げ。
君たちも好きなところに掛けたまえ」
提督が全員座るように勧めてくれたので、座って
少佐時代にやらかしていたようです。
ブラックなことに間違いありません。