ブラック鎮守府で我が世の春を   作:破図弄

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医務室に担ぎ込まれた提督

肩は大丈夫でしょうか?

彼を応援してくださいね。


第43話 通じ合う同艦

≪≪中佐ァー≫≫

 

「ああー、やかましいぃ。

 耳元で騒ぐんじゃねえよ。

 解体申請出すぞ」

俺は、縋りつく艦娘たちにベットに押さえつけられるままで文句を言う。

万全の艦娘たちは、人間が抗えるところではない。

彼女たちの自己抑制の上に、安全が担保されているに過ぎない。

 

「テメェ、かわいくねぇなぁ。

 だったら、オレと勝負しやがれ」

ここの生(意気)巡(洋艦)が腕まくりをして、肩を怒らせる。

「ほー、いいぞ。

 じゃあ、お前が上な」

「バ、バカ野郎! そんな勝負じゃねえよ!

 (それにみんな見てるじゃねえか)」

生巡が顔を赤くして後退(ずさ)りする。

 

「はいはい、じゃあ、わたしと交代。

 中佐、決着つけますからね。

 覚悟してください。」

ここの眼鏡が、チロリと舌を見せるとモソモソと掛けシーツの下に潜り込んでくる。

「な、何するのよ。

 ちょっとわたしの(・・・・)提督から離れなさいよ!」

ウチの眼鏡が、掛けシーツからつき出たスケベスカートの下半身に掴みかかり引きずり出した。

 

「ちょっと、邪魔しないで。

 こっちが先約なんだから!」

「先約も何も、わたしの提督なんですから!」

「な! 中佐! どういうことですか!」

ここの眼鏡が照準を俺に向けてきた。

「俺も鎮守府を預かる身だからな」

俺は、当たり前に答える。

 

「・・・・交代よ。

 あなたと私が交代すればいいの。

 同艦だから問題ないわ」

「勝手に決めないで。

 提督は【お前は俺のモノだ】って言ってくれたのよ。

 これは、命令だから逆らえないわ」

眼鏡同士が、言い争いが続くのだった。

 

 = = = = =

 

医務室の中、ベットから離れたところに立つふたりの間宮。

(ちゅう)、提督は意地悪でしょう?」

「ええ、もう何度も蹴られたり、なじられたりされています」

「それは、酷い。

 あの人ったら、相変わらずなのね」

「フフ、変わっていなくて、安心した?」

「何を言っているの?」

意味ありげに会話するふたりの間宮。

 

「・・・・わたしのことは、気にしないで」

「そうはいかないわ。

 むしろ、酷くされた分、遠慮しなくていいのよ」

「膝に座ったときに何も(・・)されなかったの」

「心臓の音を聞いたんでしょ?」

「どうしてそれを」

「同艦だからかな」

「フフ、変わっていないのね」

「そう、意地悪な(ヒト)

 

しばし微笑み合い、騒がしいベットに目を向ける。

 

 = = = = =

 

(ちゅう)、提督、肩は大丈夫なんですか?」

俺のセクハラで、泣いて痙攣までしていた駆逐艦は心配そうに聞いてくる。

「おー、大丈夫だ。

 音には俺も驚いたが、ずれてた関節が嵌ったようだ。

 違和感は古傷のせいだと思っていたのが、軽くなったからな」

俺は駆逐艦に肩を回して見せる。

「よかったー」

「そんなので喜ぶなよ。

 俺みたいな悪党を心配する暇があったら、訓練しろ。

 解体するぞ」

俺は、横でかがむ吹雪の頭をわしゃわしゃと撫でる。

駆逐艦は、目を細めてされるがままだった。

髪型を乱される精神的苦痛に耐えているのを承知で嫌がらせを続けてやった。

 

「中佐、もうダメです」

いつの間にか近くにいた中尉に腕を抱えられ、作業は中断した。

「あ、あの中尉どの、わたしはー」

「ダメよ」

「ヒッ」

駆逐艦は、中尉に何かを言おうとするも中尉の威圧に負けて短く悲鳴を上げてしまった。

 

「ヤレヤレ、お前らより深海棲艦の方が気楽に付き合えそうだ」

一部始終を見ていた少将は、呆れながらも笑って言った。

 

「中尉、少将が呆れてるから、自重し給え」

「中佐、冗談が過ぎるとグーで殴りますよ」

中尉の言葉で、艦娘たちが観艦式並みに見事なウンウンと頷いてみせた。




ウーム、ブラックで書いているのにピンク?

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