ブラック鎮守府で我が世の春を   作:破図弄

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ブラック鎮守府も通常任務に戻ります。

いよいよ提督が食い散らかします。

彼を応援してくださいね。


第2章
第1話 哨戒任務再開


鎮守府の機能が回復すると視界の中にちっこいのが現れ始めた。

正確にいうと見え始めたというのが正しいか。

 

ちっこいのは身体が透けて、触っても、まだはっきりとした感触がない。

これから実体化するのだろう。

 

ブラックな鎮守府を除けば、鎮守府なら必ず見ることのできる妖精たち。

なぜ俺の鎮守府で見え始めたのか?

 

 = = = = =

 

「おい、正規空母」

俺の声で正規空母が振り返る。

「「はい」」

サイドテールの方に、じっと見られる。

(おっ、なかなか反抗的な目だな。

 解体してやろうか)

 

「あのちっこいのは、航空兵力もいるんだろ。

 お前らのところで、何チビ居る?」

その問いが意外だったのか、正規空母のふたりは、慌てて、お互いの状況を確認している。

 

答えが出たらしい。

人当たりの柔らかそうな方の正規空母が答えてきた。

「稼働率が低くて、60ほどです」

「そうか、それは低いな。

 まあいい、3機編成で6編隊、予備待機1編隊で哨戒開始しろ。

 おっと、飛ぶ連中は、発進前に俺の私室に持ってこい、クヒヒ」

 

「あの子たちに何を」

「知らない方がいいぜ、キヒヒ。

 日が暮れちまうぞ、さっさとしろ」

 

 = = = = =

 

航空兵力の妖精たちを正規空母が連れてきた。

私室に()れるように言って、正規空母は廊下で待たせておく。

 

「よく来た、チビども」

妖精たちは、一斉に俺を睨み、殺意を向けてくる。

正規空母が薄い粥しか食えなかった元凶の俺が偉そうにしているわけだから、そうなるのは当たり前。

 

「いいのかぁ。

 まだ充分な補給がないから、燃料節約してやろうか」

妖精たちが青ざめる。

 

燃料の備蓄は、事実少ない。

この鎮守府は、いびつなスペードのような境界線の海域哨戒を分担していた。

剣先部分は重要で、深海棲艦の侵入を許すと他の鎮守府の死角に回り込まれてしまう。

しかし、哨戒飛行となると、航続距離ギリギリでもある。

妖精たちは板挟みになった状況を理解しているようだった。

 

「フヒッ。

 俺は、お前らがどうなろうと気にしねえ。

 成果がすべてだ、効率的じゃねえと評価が下がって困っちまう。

 じゃあ、1列に並べ」

 

ちょこまかと妖精たちが並んだ。

畳床に据えてある文机に置いてあったレジ袋を手に取り、列の前にいく。

俺は、その先頭の前に胡坐をかいた。

そして、レジ袋の中からミニチュアの巾着を取り出す。

「お前らに巾着(コレ)を預ける。

 拒否してもいいぞ」

先頭の妖精に手渡す。

 

「拒否した場合、正規空母に責任を取ってもらう。

 持って帰れなかったり、失くした場合も、責任はあいつらにな、キヒヒ。

 正規空母は、どっちも好みのタイプだぜ。

 いい声で鳴きそうだ、クヒヒ・・・・」

言い聞かせるように話し掛けながら、巾着を渡す。

 

巾着を渡し終わって、立ち上がり、制服のしわを伸ばす。

 

「状況は厳しいが、もはや我らに退路はない。

 今は粒粒辛苦せよ!」

俺は、敬礼で締める。

 

一変した提督の言葉に妖精たちは釣られて敬礼を返した。

少し感動した妖精もいるように見える光景だった。

 

「おっと忘れるところだった。

 お前らに渡したソレは、空母には黙ってろ。

 もし知られたら、俺が楽しんだ後で、空母を解体処分するからな」

妖精たちが一斉に上着の内側に巾着を押し込んだ。

 

正規空母を呼び入れると妖精たちがわらわらと空母を囲む。

「なんだったの?」

<ア>の付いた正規空母が妖精に話しかけた。

 

妖精たちが一斉に俺を見る。

 

俺は笑顔で応えた。




妖精たちに精神的プレッシャーを与えました。
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